星新一「マイナス」のネタバレ解説

主人公の男は外国を旅行したときに
古道具屋でペンダントのようなものを買いました。

その帰りの飛行機の中で椅子から転げ落ちたり、
出発空港のトイレで麻薬の入ったビンをポケットに
入れてしまい、税関で怒られたりと酷い目に遭います。

さらに不眠症に悩まされるようになった主人公は
宗教や神秘に詳しい友人に相談します。
すると、例のペンダントがマイナスのマスコットであり、
そのペンダントを誰かに譲るしか方法はないと言われます。

そこで主人公は、もとから不運な相手に押し付けようと、
運が良くなるマスコットだと言ってペンダントを渡します。

それから1年後、主人公のところに高級外車に乗った人物が
訪ねてきました。

その人物こそがペンダントを渡した相手でした。
彼は川で転んだことがきっかけで小判や温泉を見つけ、
トントン拍子でお金持ちになっていたのです。

主人公は、なぜそうなったのかと考えます。
そして2つの可能性に思い至りました。
まず、もとから不運な状態の人物が不運のマスコットを
手にしたからかけあわさって幸運になったという可能性と、
実はあのペンダントは幸運のペンダントなのですが、
最初に少し悪いことが起こるという仕組みだった、
という可能性です。

お金持ちになった相手はペンダントを返そうとするのですが、
どちらの可能性が正しいのか判断できない主人公は、
今の生活で満足している、と言って断ります。
『欲がないんですねえ』
と相手は言いますが、欲はありすぎるくらいある、
ただ、決断力がまるでないだけなのだ、
と主人公は自己嫌悪にかられます。

こういう性格の人っていますよね。
何を隠そう、しまうましたもそうなのですが……。

でも、個人的には、これは別に悪い性格ではないと思います。
ポジティブに考えれば、慎重な性格ということなのですから。
こういう人は、確かにチャンスを逃してしまうかもしれませんが、
逆に大きく損をすることもありません。

ですから『あ、この主人公、自分に似てる』と思った人も、
そんなに落ち込まなくていいと思います。

星新一「たねの効用」のネタバレ解説

主人公の少年はある日、
50歳くらいの男にお寺の場所を訊かれ、
道案内をしてあげます。

そのお礼にと、男は主人公に植物のたねを渡します。
その葉っぱをお茶のようにお湯に入れて飲むといい、と言って。

さっそく主人公はそのたねを庭に埋め、
育った植物の葉っぱをお茶のようにお湯に入れます。
しかし、この頃の主人公はまだ賢かったので、
いきなり飲んだりせずに近所の犬や豚や鶏に飲ませ、
様子を見てから飲みました。
すると、幸福な気分が続き、焦らない性格になり、
成績はどんどん下がっていきました。

やがて、その植物の根っこに純金ができることに
気付いた主人公は進学するのをやめ、
その植物の栽培を仕事にすることにしました。

その植物のお茶を飲み、幸福な気分で遊びほうける
毎日が続き、やがて中年になった主人公は
手相を見てもらいます。
また、ほかの有名な占星術師にも見てもらったところ、
主人公は何をやっても超一流の成功をおさめる、
すばらしい人物になっていたはず――と言われます。

しかし今は殆ど何もせずのんきな生活を送っています。
主人公が本来すばらしい人物になるのを妨げていたのは、
あの植物のせいだろう、と主人公も気付きます。

さて、主人公にたねを渡した男の正体や目的は不明ですが、
その目的には2通りの解釈があります。

1つめは、男に悪意があったというものです。
外国のスパイや未来人の陰謀だったのかもしれません。

2つめは、男は善意から主人公にたねを渡したというものです。
あのお寺の墓地に眠る先祖が、主人公が幸福で平穏な毎日を
送れるようにしてくれたのではないか、という可能性です。

主人公は都合よく考え、2つめの解釈を選びますが、
それは例の植物がそう考えるように仕向けているだけでしょうから、
それが本当かどうかは分かりません。

結局、読者がどちらの解釈を選ぶかは自由なのです。

ところで、たねに関係したことわざには
『たねを蒔く』や『芽を摘む』というものがありますが、
男が善意からたねをあげたのだと考える場合は『たねを蒔く』、
男が悪意からたねをあげたのだと考える場合は『芽を摘む』
のが目的だったのでしょう。
と、お茶を濁してみるしまうましたでした。

星新一「暗示療法」のネタバレ解説

(1)夢の分野を専門とする医者のところへ、
  ある青年がやってきます。
  その青年は夢を見ないことで悩んでおり、
  医者は青年に暗示療法を試み、
  眠る前に飲む薬を渡しました。

(2)青年は夢を見ることができたのですが、
  地味な服の中年男が立っているだけという
  夢だったので、再度暗示療法をしました。

(3)中年男が喋り始めましたが、
  その内容は青年をののしるものでした。

(4)青年は中年男とバドミントンをする
  夢を見るようになりました。

(5)素晴らしい風景を見るようになりました。

(6)暗い中で音楽を聞くようになりました。

(7)一週間、十日、二週間とたっても青年は
  やってきませんでした。
  医者は、あの青年も人並みの夢を見ることが
  できるようになったと満足しつつ、
  『……しかし、なぜかな。このところ、
  ぜんぜん夢を見なくなったよう気がするが』
  と独り言をいうところで話は終わります。


ちょっと待てYO!
最後の医者のセリフはどういう意味なんだYO!


と、疑問に思った人も多いでしょう。

さて、なぜ医者は夢を見なくなったのでしょうか。

実は、(2)~(6)までが、すべて青年の夢だったのです。

(7)での一週間、十日、二週間とたっても
青年はやってこなかった、というのは、
(1)から数えて一週間、二週間たっても――と
解釈することもできるのです。

つまり、医者が夢を見なくなった理由は、
青年の夢の中に出張していたせいだったのではないか、
と、しまうましたは考えました。

時雨沢恵一「キノの旅」15巻「あとがき」のネタバレ解説

一体いつから――
  あとがきは解説しないと錯覚していた?


というわけで、あとがきも容赦なくネタバレ解説します。

キノの旅15巻のあとがきは何と「おしながき」です。

そう来たか……という感じですね。
さすがはあとがき界のプリンス、時雨沢恵一です。
毎巻毎巻、いくら何でももうネタ切れだろうと思うのに、
読者の想像の斜め上を軽く飛び越えていきます。
がき」しか合っていないにもかかわらず、
ここまで堂々とやられては負けを認めざるを得ません。

メニューもその説明も細かいネタが仕込まれており、
『ああ、あの話ででてきた料理か』とニヤニヤしてしまいます。
個人的にはとりあえず『ティーが大好きな携帯食料』を
食べてみたいです。

さて、次の巻のあとがきは、
裏表紙(バーコードが印刷されている部分)にあるのではないかと、
大胆な予想をしてみます。

時雨沢恵一「キノの旅」15巻口絵2話「白い国」のネタバレ解説

ある大きな湖に面した国を訪れたキノとエルメスは、
まず、国中の建物が白いことに驚きます。
その建物は湖でとれる貝を加工して作ったものなのでした。

また、国中どこに行っても貝料理や貝にちなんだもので
溢れ返っていました。
さぞかしこの国の住人は貝が好きなのかと思いきや、
実は見るのも嫌いだと言われます。

この国では水が湖からしか手に入らず、
どんどん増殖する貝を放っておくと水が濁り腐ってしまうため、
仕方なく食べたり加工したりしているのでした。

最初からそうだったわけではなく、
昔は貝を食べてくれる鳥がいたのですが、
その鳥を食べ過ぎて絶滅したため、
今のような状況になったのでした。

これは環境破壊がテーマの話ですね。
人間の安易な行動が動植物を絶滅させ、
生態系を壊してしまうのです。
今この瞬間にも想像を絶する数の生物が絶滅しています。

ただ、逆にこの話の貝のように、
間引いた方がいい生物というものもあります。
もちろんその多くは害虫や害獣ですが、
中には一見そうは見えないものもあります。

例えば、クジラです。
全世界のクジラが食べる魚介類の量は、
世界中の人間が食べる魚介類の消費量の3倍から6倍だそうです。
もちろん、捕りすぎると絶滅してしまいますが、
ある程度はクジラを間引いて食べた方が海洋資源の保護に繋がる、
という説もあるのです(否定意見も多いですが)。

西尾維新「小説版めだかボックス(上)久々原滅私の腑抜けた君臨または啝ノ浦さなぎの足蹴による投票」のネタバレ解説

小説版めだかボックス(上)久々原滅私の腑抜けた君臨または啝ノ浦さなぎの足蹴による投票 (JUMP j BOOKS)


小説版のめだかボックスの上巻のネタバレ解説です。下巻はこちら

ちなみに、作者としては小説から入った人でも
大丈夫なように書いたつもりらしいですが、
やっぱり漫画を読んでないとキツいです。
また、漫画のかなり先の方――最新刊近い部分までの
ネタバレが当たり前のようにあるので、
先に小説を読んでしまうと漫画を読む楽しみがなくなります。

小説版の時系列は漫画が始まる前、
めだかちゃんが生徒会長になる前の話です。

小説版では何と、原作では一切登場しなかった教師が初登場しています。

前半は黒神めだかの担任の久々原滅私(くぐはらめっし)の視点で、
後半は雲仙冥利の担任の啝ノ浦(なぎのうら)さなぎの視点で
物語は進みます。
凡人である教師が、天才である生徒を前にしたときどうなるのか、
という話です。

やる気のない教師、久々原は、一年十三組の中で
唯一登校してくる黒神めだかの相手に四苦八苦していました。
めだかの兄の黒神まぐろや、
同僚の朳理知戯(えぶりりちぎ)や啝ノ浦に相談したりして、
何とかめだかちゃんを理解しようとするのですが、
失敗に終わります。
やがて、久々原は箱庭学園で一番やる気のない
教師だから(好き勝手にやれるだろう)、
という屈辱的な理由で生徒会の顧問になって欲しいと
めだかちゃんから頼まれたところで前半終了です。

後半の語り部である啝ノ浦さなぎは、
安心院さんの端末の悪平等として、
もう1人の端末である赤青黄と雑談をしつつ、
27回も担任を変えさせたという雲仙冥利や、
黒神めだかの観察をしています。

啝ノ浦本人は観察者や傍観者を気取っていたのですが、
最後の方で雲仙から、
お前のやっていることは傍観者などではないと指摘されます。
啝ノ浦の前の27人の教師は、
足による投票(自分にとって好ましい自治体に移住すること)をし、
雲仙にノーを叩きつけて自分から去っていったのでした。

それに比べれば、確かに啝ノ浦のやっていることは
雲仙のイエスマンに過ぎませんでした。
啝ノ浦は相手によって様々な性格を使い分けているのですが、
それすらも角度を変えて見れば相手の顔色を窺っている
ということですからね。

ようやく傍観者であることをやめた啝ノ浦は、
黒神めだかのやり方にノーを叩きつけるために
彼女と勝負をすることにしました。
ちなみにその勝負の方法はなぜかサッカーなのですが、
これは『足蹴による投票』をサッカーとかけているのでしょう。

それにしても、最後に登場した椋枝閾と朳理知戯の会話が、
『○○がやられたようだな……』
『ククク……奴は四天王の最弱……』
的なものに見えてしまいますwww


さて、この小説の最大の特徴は、
話が全然動かない』ということだと思います。
基本的には久々原と啝ノ浦が、めだかと雲仙を観察している、
ただそれだけの話です。
なのに、なぜか面白い、というあたりは流石だなあと思います。
個人的には、漫画よりも面白く感じたくらいです。

時雨沢恵一「キノの旅」15巻口絵1話「見つけてしまった国」のネタバレ解説

口絵の話は解説するべきかどうか迷ったのですが、
このタイミングを逃すと2度と解説できなくなりそうなので、
思い切ってやります。

師匠と荷物持ちさんが訪れたその国は、
温泉が湖に流れ込むせいで魚や作物が育たない貧しい国でした。
そんな国の人に、師匠は温泉を観光資源とするよう勧めます。

それから時間が経ち、シズと陸とティーがその国を訪れたときには、
温泉国家として裕福な生活を送っていましたが、
さらに時間が経ち、今度はキノとエルメスが訪れたときには、
地殻変動のせいで温泉が止まり、
その国の人たちは借金地獄に苦しんでいました。
そんな中、エルメスは砂金を見つけ、
『どうする? キノ、このこと、言う?』
と尋ねたところで話は終わります。

砂金があるうちはまた贅沢な生活を送るのでしょうが、
やがて掘り尽くしたときには
さらなる絶望が待っているのでしょう。
資源国家が、その資源が尽きたときにどうするのか、
という問題を扱った話だと思います。
今はウハウハな石油大国も、
石油が尽きたり代替エネルギーが発見されたりしたら、
悲惨なことになりそうです。

一度贅沢な生活を覚えてしまうと、
なかなか元の生活に戻ることはできないものですからね。
今の日本でも、バブルを経験した世代たちが
その頃の感覚のまま浪費し続け、
貧しい若い世代と摩擦を生んだりしていますし……。


(キノの旅15巻 口絵1 口絵2 1話 2話 3話 4話 5話 6話 プロローグ あとがき

時雨沢恵一「キノの旅」15巻エピローグ&プロローグ「戦って死ぬということ」のネタバレ解説

時雨沢恵一さんの「キノの旅XⅤ the Beautiful World」の
エピローグとプロローグ「戦って死ぬということ」のネタバレ解説です。

資源を巡って泥沼のような戦いを続ける国を訪れたシズと陸とティーは、
車の前に飛び出してきた少年兵が、
その上官である軍人の男に頭を撃たれて殺されるのを目撃しました。

その少年兵は爆弾を持ち、
敵の車が近づいてきたら自爆するようにと命じられていたので、
軍人は撃ち殺したのでした。

その軍人とお茶を一緒に飲むことになったシズたちは、
軍人が少年兵にパースエイダ―を口に咥え、
今だ、と言ったら引き金を引くようにと命じます。
少年兵はその自殺しろという命令に対し、冷静に頷きます。
軍人は「もういい。パースエイダ―を返せ。お前らは兵士だ。
ここで死ぬことはない。死ぬ時は戦ってから死ね!」と命じます。

他にも多くの少年兵がいましたが、彼らはみな、
近隣の敵国から誘拐されてきて、特殊な薬で過去の記憶を消され、
『恐れを知らない無敵の兵士』という
新しい記憶を植え付けられていたのでした。

その話を聞いたティーは、
『そのくすりは、いつきれる?』
と尋ねました。
軍人は、15年から20年で切れると言われている、
しかしそんなに長い間少年兵達が生き残っているはずがない、
と答えました。

そして、ティーは彼女にしては奇跡的に長いセリフを喋り、
その軍人も薬で記憶を消され、
新しい記憶を植え付けられていたということを思い出させます。
絶叫し、人生に絶望した軍人は自殺を図ろうとしますが、
先ほど自殺するようにと命じた少年兵に止められます。
その少年兵が「どんな状況でも戦ってから死ね!
――あなたは、そう教えてくれたではありませんか!」
と答えるところで話は終わります。
もちろん、この少年兵に記憶が戻ったわけではなく、
教えられたことを守ろうとしているだけなのでしょうが、
それが余計に悲しく感じてしまいます。

ここから先の展開は想像するしかありませんが、
この軍人は自殺を思いとどまり、
祖国だと思い込まされていた敵国に対し復讐をするのかもしれません。
そうなればますます多くの少年兵が命を落とすかもしれませんし、
逆に救われるのかもしれません。

誘拐された子供が敵国の兵士として育てられる――というのは、
しまうました達が住む現実の世界でも、
今この瞬間にも起こっていることなのですが、
何がどうなれば彼らは救われるのでしょうか……。

それにしても、ティーは滅多に喋らない
という設定のキャラのはずなのに、
毎回よく喋っているような気がしますよねwww
まあ、ティーは名探偵の役割を振られていますから、
仕方のないことではあるのですが。

時雨沢恵一「キノの旅」15巻6話「犯人のいる国」のネタバレ解説

時雨沢恵一さんの「キノの旅XⅤ the Beautiful World」第6話、
「犯人のいる国」のネタバレ解説です。
同じく15巻に収録されている『ケダモノの国』のネタバレもあります。

ある国を訪れたキノは、夕食で「唐揚げがおいしい」と褒めたところ、
お店の人に「カラアゲって何だい?」と訊かれ説明すると、
「初めて知った! 他の国にもあるんだ!」と驚かれました。
この何気ない会話が伏線になっており、
この国が他国とあまり交流のない閉鎖的な国であることを示しています。

そしてキノとエルメスは、
夕食の帰りに殺人鬼が人を殺しているところを目撃してしまいます。
すぐに警察を呼んだキノでしたが、
目撃したはずの犯人の男には鉄壁のアリバイがありました。

入国2日目に、またしてもキノは例の殺人鬼と遭遇し、
『森の人』を奪われてしまいました。
再び警察を呼んで、あの男が犯人だと訴えたのですが、
やはりその男には鉄壁のアリバイがありました。

そして入国3日目。
エルメスは「『あの男って、実は双子なんじゃないの?』と確認します。
これは読者の大部分が思っていて、
しかしまさかそんな簡単なトリックのわけがないと
無意識に否定していた可能性でもありました。
ところが刑事は、『フタゴとは、なんだ? 何か特殊な……、
魔法のようなトリックが使える人間のことか?』と訊き返しました。

そうなのです。この国には有史以来双子が生まれず、
その可能性に誰も思い至らなかったのです。
あの男たちが双子であると確信したキノは、
『旅人にはこの国の法律が適用されない』という話を刑事から聞き、
あの男の家を襲撃して『森の人』を奪い返すことにしました。

ちなみに、241ページでキノが
『師匠と同じ作戦が、結局一番か……。使わせてもらいます』
と言っているのは、『ケダモノの国』で師匠たちが
ヒグマを追い詰めるときに煙で燻し出したことを言っているのだと思います。
この『犯人のいる国』の冒頭で、
キノがエルメスに『ケダモノの国』の話をしていますし、
まず間違いないでしょう。

そして地下室にいた男をゴム弾で気絶させ、
『森の人』を奪い返したキノは、さっさとその国を後にしました。
おそらく、キノは気付いていたのでしょう。
あの殺人鬼の男が、実は3つ子かそれ以上かもしれないということに――。

さて、この話はミステリーで禁じ手とされている、
『実は犯人が双子か三つ子かそれ以上』というトリックを使っています。
そのトリックが明かされたとき、
なーんだ、今さら双子トリックかよ……と思った人もいるかもしれません。
しかし、この話は実は結構凄い話なのではないかと思います。

つまり、『読者や主人公たちはみんな犯人が双子だという
可能性を考慮しているのに、警察はその可能性を考えていない』
という話なのですから。
これはファンタジー世界ならではの大胆なトリックだったと思います。
ミステリーを読み慣れている人であればあるほど
無意識に排除してしまう可能性に登場人物たちが思い至らないというのは、
どこか背筋がうすら寒くなるものがあります。

時雨沢恵一「キノの旅」15巻5話「ジャーナリストの国」のネタバレ解説

時雨沢恵一さんの「キノの旅XⅤ the Beautiful World」第5話、
「ジャーナリストの国」のネタバレ解説です。
第1巻の「大人の国」のネタバレも含みます。

ある国を訪れたキノは、名乗るたびにその国の人から驚かれます。
理由を尋ねると、その国の有名なジャーナリストが、
茶色いコートを着た背の高いキノという男の人は恐ろしい殺人鬼であると、
10年ほど前に報道していたからでした。

入国から3日目に、キノはそのジャーナリストの家を訪ねました。

そして、こう言いました。
あなたが書いた殺人鬼キノの本が本当でないことが分かる、と。
なぜなら、キノは彼と同じ出身であり、
旅人はみなキノを名乗るようにしているから、と。
自分自身もセンセーショナルな嘘をついて構わないから、
謝礼が欲しい――と。

その日の夕方、キノはジャーナリストとの会話を録音したテープと手紙を
その国の報道各社に送り、出国していきました。

茶色いコートを着た背の高いキノという男の旅人――つまり、
初代キノの汚名を二代目キノが返上するという話でした。

それにしても、あまり自分自身や他人の名誉というものを
重んじない二代目キノにしては、積極的な行動だったように思えます。

これはしまうましたの勝手な妄想なのですが、
初代キノは二代目キノの初恋の相手だったのではないかと思っているので、
その特別な人が殺人鬼扱いされているのが許せなかったのでしょう。
また、別に初恋の相手でなくとも、
恩人が悪く言われてたら許せないですよね。

また、現実の日本でもこんなふうに一方的な報道で
名誉を捻じ曲げられている人がいて、
それを鵜呑みにしている人が大勢いるのだと思うと、
他人事ではないような気がします。
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