東川篤哉「探偵少女アリサの事件簿 今回は泣かずにやってます」第2話「怪盗、溝ノ口に参上す」のネタバレ解説

良太は綾羅木孝三郎に呼ばれ、綾羅木邸に行きました。

溝ノ口駅西口の古い飲み屋街で焼鳥専門店『鳥男爵』を経営している
鳥山直次郎を紹介されました。

ここ最近、南武線沿線に出没している窃盗犯、怪盗ウェハースが、
鳥山直次郎に、明日の深夜零時、三代伝わる秘伝のタレをいただきに参上する、
とウェハースの表面にチョコレートで書いた犯行予告ウェハースを出したのでした。

これまで4回も犯行予告ウェハースが届き、そのたびに警察に通報し、
警察は警備態勢を敷き、怪盗ウェハースはまったく現れませんでした。

警察は鳥山直次郎を狼少年のように見ていて、警察の力は借りたくなくて、
綾羅木孝三郎に依頼したのですが、孝三郎には別の事件の依頼が入っていて、
孝三郎は昼間の有紗のお守りと深夜の『鳥男爵』の警備を良太に頼んだのでした。

その日の夕刻、良太は有紗と『鳥男爵』に行き秘伝のタレの焼き鳥を食べましたが、
有紗は、なんだか甘ったるい感じがして、あたしはあんまり好きじゃない、
と辛辣でした。

翌日の夜、良太は『鳥男爵』に行き、
店の従業員であり一番弟子の松岡弘樹と二番弟子の滝沢真一、
フロア係のパートの中年女性、有島美幸と、
学生バイトの中条敏夫を紹介されました。

フロア係の2人はまだこの店で働きはじめて1ヶ月程度で、
直次郎は心から信用できるほどの長い付き合いではないと考えていました。

良太と直次郎と松岡と滝沢は、
秘伝のタレの入った壺を二階の六畳間で見張ることにしましたが、
有島美幸と中条敏夫には1階を見張ってもらうことにしました。

良太が用意していた飲み物を飲んだ後、
有島美幸と中条敏夫も珈琲を持ってきましたが、
良太は扉を開けることなく断りました。

その後、深夜零時近くになり、良太は眠ってしまいました。

柑橘系の香りで目を覚まし、窓を開けた後、有島美幸と中条敏夫がやってきて、
扉を破ろうとしましたが、良太は扉を開けました。

有島美幸と中条敏夫は勢い余って窓から外に飛び出してしまいました。

眠っていた全員を起こすと、壺を満たしていたはずの秘伝のタレは、あらかた失われ、
底にウェハースにチョコレートで書かれた犯行声明文がありました。

良太達が眠ってしまったのは、空気清浄機に睡眠ガスが仕込まれていたからでした。

有紗が現れ、良太に内緒で良太の車に乗って裏口を見張っていたということを話しました。

裏口を見張っていた有島美幸と中条敏夫は、珈琲を持ってきた時と、
みんなを起こしに来た時の、2度ほど裏口を離れていて、
その隙に怪盗ウェハースが侵入して脱出したと良太は推理しましたが、
裏口を見張っていた有紗がその推理を否定しました。

有島美幸は有紗が怪盗ウェハースじゃないかと疑い、良太も疑いますが、
良太の軽ワゴンの中にタレがなかったことから疑いは晴れました。

その後、店内を調べた後、怪盗ウェハースは、最初から、この建物の中にいた人物、
そして、いまもこの建物の中にいると有紗は推理しました。

良太は有紗に誘導され、犯人は「タレをトイレに流し、タレの匂いを、
芳香剤のレモンの香りで掻き消そうとしたと推理しました。
また、目覚めた時にレモンの香りがして、良太の隣にいたのは松岡だったことから、
良太は松岡が犯人だと名指ししました。

松岡は『鳥男爵』の味が落ちているのに、
直次郎が秘伝のタレの味を守り続けようとしたことから、
秘伝のタレこそが、すべての元凶だと考え、怪盗ウェハースに成り代わって、
タレを捨てたのでした。

直次郎が松岡を許す感動的なシーンの後、場面が変わり、
黒いマントの怪人が≪燃えないゴミ≫を回収しようとしている場面になりましたが、
それを予想していた有紗、良太、直次郎が正体を暴きます。

黒いマントの怪人は、有島美幸で、ゴミ捨て場から回収しようとしていたのは、
秘伝のタレが入っていた壺で、それは備前焼の逸品でした。

中年女性の有島美幸というのは変装で、素顔は美貌の女性、怪盗ウェハースでした。

良太は怪盗ウェハースを捕まえようとしましたが、逃げられ、
怪盗ウェハースを蹴る予定だった有紗の蹴りを顔面にくらい気絶してしまいました。

目を覚ました後、良太の高校時代の同級生で現在は刑事の長峰勇作に、
事情聴取されました。
壺は確かに怪盗に奪われましたが、直次郎が事前に秘伝のタレの贋物を用意していて、
壺も贋物だったことから、被害額は数千円ですみました。


というあらすじなのですが、漫画っぽいけどよくできた話だったと思いました。
漫画っぽいというか、懐かしの古典ミステリっぽいと言った方がいいかもしれませんが。

まず、怪盗ウェハースという少女趣味っぽい感じの名前の怪盗が、
焼き鳥屋の秘伝のタレを盗もうとするというシチュエーション自体が、
ギャグっぽいですよね。

東川篤哉「探偵少女アリサの事件簿 今回は泣かずにやってます」第1話「名探偵、夏休みに浮かれる」のネタバレ解説

探偵少女アリサの事件簿 今回は泣かずにやってます


探偵少女アリサシリーズ第2弾です。

『なんでも屋タチバナ』の橘良太は、綾羅木孝三郎に呼ばれて、
溝ノ口の屋敷に行きました。

孝三郎は今日から明日にかけて、
川崎市に住む高橋さん一家と一泊二日の小旅行を計画していましたが、
孝三郎に探偵の仕事が入り、良太が有紗と旅行に行くことになりました。

高橋さん一家は、川崎市内で貿易会社を切り盛りする経営者の高橋栄一、
その妻で専業主婦の芳江、ひとり娘で女子大生の愛美、
栄一のいとこの宮元秀行でした。

高橋さん一家がキャンピングトレーラーで綾羅木邸に迎えに来ます。

栄一と宮元は、交替でキャンピングトレーラーを運転していて、
ここから次の休憩所までは宮元が運転することになりました。

中央自動車道の石川パーキングエリアで休憩することになり、
キャンピングトレーラーを牽引するSUVは
駐車スペースに頭から突っ込む形で停車しました。

ここから奥多摩のキャンピング場までは栄一が運転することになりましたが、
車は出口とは逆の方向へと向かいました。

有紗がそれを不思議がっていると、栄一も間違いに気付いたらしく、
車は駐車場を半周して進行方向を変えると、正規の出口へと向かいました。

一般道へ降りると、栄一から芳江の携帯に電話があり、
トレーラーの様子を聞きました。

キャンプ場まで、あと10分程度のところで、車は路上で急停止しました。

運転席のドアの開閉音が響き、栄一がやってきて、
どうやら道を間違えたらしい、さっきの三叉路で違う道に入ったんだな、と言いました。

道幅が狭くUターンは難しいため、宮元が助手席から降りて、バックの誘導をしました。

『奥多摩キャンプ村』に着き、
オーナーの篠塚貞男から渡された『村民カード』に必要事項を記載しました。

キャンプ村はなんだかあわただしい雰囲気でしたが、
スタッフのひとり、若林寛治という中年男が見当たらなくなっているそうでした。

バーベキューの後、有紗と愛美が川遊びをし、良太が愛美を双眼鏡で見ていると、
キャンプ場のスタッフの富沢幸雄に注意されました。

変.質者と間違えられた(間違いじゃない?)良太は必死に逃走し、
遊泳禁止区域に入り込み、水面に転落してしまい、
そこで首を絞められて殺された若林寛治の死体を発見しました。

奥多摩所の南郷という刑事がやってきて、事情を聞くと、
第一発見者の良太が疑われました。

しかし、そこに有紗がやってきて、
有紗のママは世界的に有名な名探偵のケイコ・アヤラギであることを説明し、
良太はね、有紗のボディガードなの、と有紗が説明すると、誤解(?)は解けました。

南郷は午前11時半前後のアリバイを問いましたが、
午前11時半前後ならば、まだキャンプ村に向かう途中ですね、
と良太達が答え、容疑者から抜け出しました。

殺人事件の謎を解き明かしたがる有紗をなだめて、帰ることになりましたが、
中央自動車道の石川パーキングエリアでタンクローリーのミニカーを見つけた有紗は、
そのミニカーを良太に買わせ、有紗はテーブルの上でミニカーを押したり、
バックさせたりして遊んでいました。

綾羅木邸に帰り着き、高橋一家と別れた後、
良太、これから急いで『奥多摩キャンプ村』に戻るよ、と有紗は言いました。

『奥多摩キャンプ村』まで10分の、お昼前に栄一が道を間違えた三叉路に着くと、
有紗は三叉路をキャンプ村とは逆の方向に車を曲がらせました。

その先の崖にある洞窟の奥で、「良太と有紗は大型バイクを発見しました。

そこへ宮元秀行が現れ、殺人事件の犯人だとバレタと思い込み、
ナイフで良太と有紗を殺そうとしました。

良太は宮元の右腕に噛みつき、地面の上で我慢比べになりましたが、
有紗がバイクの側面を思いっきり蹴飛ばし、宮元はバイクに押し潰され、気を失いました。

犯行があったとされる午前11時半前後は、
宮元はSUVの車内にいたはずですが、栄一が共犯だったのでした。

タンクローリーのミニカーを動かした有紗は、
トレーラーを他の車で引っ張るような運転は、特別な技術が必要になり、
特に難しいのはバックしながらカーブすることだと気づきました。

バックするときはハンドル操作が普通の車とは逆になるからでした。

午前に石川パーキングエリアで車が奇妙な動きをしたのは、
運転手がハンドル操作を間違えたからでした。

このとき運転席でハンドルを握っていたのは、栄一のはずでしたが、
栄一はキャンピングトレーラーの持ち主で、そんな初歩的なミスをするわけがなく、
あのとき運転席にいたのは宮元のほうだったのでした。

その間、栄一はバイクでキャンプ場に向かって若林寛治を殺していて、
三叉路でSUVに戻ったのでした。

途中、芳江にかかってきた電話の宮元の声は、録音した声だったのでした。

栄一は浮気していて、その光景を若林寛治に見られて強請られていたのでした。

宮元は良太が謎を解いたと勘違いし、またしても有紗は、
大人ってズルイ、と大人に幻滅したのでした。


というあらすじなのですが、トリックそのものは古典的というか、
手垢のついたものなのですが、そのトリックを解き明かす過程が意外で面白かったです。

しまうましたは、「トレーラーを他の車で引っ張るような運転をしていて、
バックするときはハンドル操作が普通の車とは逆になること
」を知らなかったから、
そう思うだけかもしれませんが。

東川篤哉「ライオンは仔猫に夢中 ~平塚おんな探偵の事件簿3~」第4話「あの夏の面影」のネタバレ解説

4月後半、平塚にある『湘南スターモール』というアーケード街の喫茶店で、
依頼人の大原詩織という可愛いお嬢様と会います。

詩織は『平塚市民銀行』の頭取のご令嬢で、
イケメンの英会話講師の寺山英輔、30歳と付き合っていましたが、
寺山は最近、態度がよそよそしくて、浮気しているかもしれないと詩織は考えていました。

スマートフォンで撮影された寺山の写真を見せてもらいますが、
1枚だけ、バイクのヘルメットを持ち、
夜の駐車場いる寺山を隠し撮りしたような写真が混ざっていました。

エルザと美伽は浮気調査の依頼を引き受け、
寺山の勤務する『東堂英会話スクール』で聞き込みをし、寺山を尾行します。

寺山は西洋風居酒屋『ジローズ・バー』で一杯引っかけ、
美伽はべろんべろんになりました。

さらに寺山の尾行を続けますが、途中で寺山に気づかれて、
迷惑ですから、二度とこんな真似はしないでくださいね、と注意されてしまいました。

その翌日、尾行を諦めたエルザと美伽は再び『ジローズ・バー』に行き、
美伽が寺山を好きだということにして、寺山のことをバーテンダーの杉本次郎から聞きます。

寺山は昨年の7月後半、英会話教室の関係者で大磯まで車で出掛けて、
大磯の海辺で一泊したことがあったのだそうです。
杉本次郎も英会話教室の生徒で、その集まりに参加していました。

そのとき海の家『松むら』の看板娘のことを、
寺山は最近やけに気にしているようだったのだそうです。

『松むら』は地元の喫茶店『松村珈琲店』が夏季限定でオープンする海の家でした。

翌朝、エルザと平塚の隣町、大磯の『松村珈琲店』に行き、
杉本次郎から写真で見せてもらったウエイトレスを見つけます。

本当はそのウエイトレス本人が寺山と付き合っているのか知りたかったのですが、
写真に写っていたもう1人の、ぽっちゃりした女の子を捜しているということにして、
ウエイトレスに探りを入れます。

ぽっちゃりした女の子は、一週間ほど短期のアルバイトで働いていた人で、
先月、寺山もそのぽっちゃりした女の子を捜しに来たのだそうです。

翌日の夕方、エルザは依頼人の大原詩織を探偵事務所に呼び出し、
ぽっちゃりした女の子は、寺山にふさわしい女性になるために、
ダイエットをして痩せる前の詩織本人だったことを告白させました。

『あんたの彼氏の意中の女性は、昨年のあんた自身』――それが結論ってことさ、
とエルザは言いました。

そうと判れば、もう我慢はいたしません! と詩織は言い、ケーキを平らげ、去っていきました。

そこへ詩織と入れ違いに宮前刑事が現れ、あの娘は誰だ? と聞きました。

東堂英会話スクールの生徒だと言うと、昨年の7月22日、
東堂英会話スクールの社長が所有する平塚市下島にあるビルが放火されて全焼していました。
多額の保険金がかかっていて、宮前は東堂社長を保険金詐欺の疑いで調べていましたが、
東堂社長にはシンガポールにいたというアリバイがありました。

講師4人には、車内で酒を酌み交わしていたというアリバイがあったのだそうです。

4人が口裏を合わせているのではないかと思ったエルザは、急に慌て始め、
詩織に電話しますがつながらなくて、美伽と宮前を連れて寺山の家に向かいます。

その車の中で、エルザは、「詩織のスマートフォンに入っていた、
寺山を隠し撮り写真は去年の7月に撮影されたものだったという推理をします。
妙に軽い服装で、夏に撮影されたものだったからです。

講師4人は東堂社長の手先になっていて、
寺山は他の3人の講師に口裏を合わせてもらってアリバイを作り、
バイクで平塚に戻って放火していたのでした。

その行きか帰りに、当時海の家でバイトしていて、
ぽっちゃり女子だった詩織が寺山を隠し撮りしていて、
寺山は口封じをするためにぽっちゃり女子を捜していたのでした。

しかし、エルザの間違った推理を聞き、詩織は寺山にそのことを教えに行き、
殺されそうになっていたのでした。
寺山の家に詩織を助けに行きますが、宮前は寺山にスタンガンで気絶させられてしまいます。

後ろ手に縛られた状態だった詩織が人質に取られますが、寺山が『デ〇』と言うと、
デ〇って、いうなあぁ――ッ! 太ってて何が悪いってのよおぉ――ッ!
と詩織が叫び、捨て身の頭突きをして、寺山を捕まえることができました。

寺山が最近になってからぽっちゃり女子を捜すようになっていたのは、
写真を撮られた時はそれが『松むら』でバイトしているぽっちゃり女子だと気づかなかったけど、
痩せて別人になったけど同一人物である詩織と付き合い始め、記憶が喚起されたからなのでした。

その後、詩織はダイエットをやめ、再び太り始めたのでした……。


というあらすじなのですが、放火事件のトリックそのものは単純でしたね。
単純というか、素人でも思いつくレベルで、警察がその可能性に気づかなかったのはどうなんだ、
という感じです。

でも、短編としては、物語の構造がよくできていて、面白かったです。

単純なトリックでも、味付け次第で美味しくなるということでしょう。

この短編集に収録されている話は、これで終わりです。

東川篤哉「ライオンは仔猫に夢中 ~平塚おんな探偵の事件簿3~」第3話「おしゃべり鸚鵡を追いかけて」のネタバレ解説

探偵事務所に中年女性の専業主婦、大塚雅美という依頼人がやってきました。

雅美は、2話から飼い始めた白猫を『ミーコ』と勝手な名前で呼び、
エルザも話を合わせたため、この瞬間から、
白猫の名前は『ミーコ』ということになってしまいましたw

雅美は同じように、75歳の伯父の梶間修三の飼っていた鸚鵡(おうむ)に、
オーちゃんという名前を付けていました。

梶間雄三は、雅美から見て死んだ母親の弟に当たる人で、
定年後に奥さんを亡くして、ひとり暮らしをしていましたが、
先日、自宅の階段で足を滑らせて転落、床で頭を強打して亡くなりました。

3日前の午前に、修三のひとり娘である吉本春江が発見しましたが、
亡くなったのは4日前の夜の出来事だったのだそうです。

春江が玄関の戸を開けた瞬間、オーちゃんは家の外へと出てしまったのだそうです。

梶間修三が以前、「自分に万が一のことがあったら、オーちゃんを頼む」と雅美に言っていて、
雅美はその約束を守るために、オーちゃんを捜して捕まえることをエルザに頼みました。

ひとり娘の春江じゃなくて、姪の雅美のほうに託そうとした理由については、
春江は結婚していて、旦那や大学生の息子がいるもの、
その点、私は生涯独身だから問題ない、と雅美は答えました。

コナン君「あれれー? おっかしいぞー?」

雅美は自己紹介の時に「専業主婦よ」と言っていたのに、
このシーンでは生涯独身と言っていますね。

エルザと美伽もスルーしているので、設定ミスだと思いますが、
本筋には関係ないので、このままあらすじを続けます。

その翌日、エルザと美伽はオーちゃんを発見しますが、捕まえようとして逃げられてしまいます。

オーちゃんが逃げ去った方向に梶間修三の家があったので、そこで待ち伏せをしていると、
春江の息子の吉本克己に話しかけられ、逃げた鸚鵡を捜しているとエルザは教えました。

捜索3日目には、エサに惹かれて鳥がカゴに入ると、
自動的に入口が閉まるワナを取り付けましたが、その後、
大木の太い枝の先に止まっているオーちゃんを発見しました。

エルザは大木を登り始めますが、何者かにクロスボウで右肩を射られて、樹上から落下しました。

エルザが入院した病院で、宮前刑事から、修三が死んだ時の状況を教えてもらいます。

修三はオーちゃんの鳥カゴの傍で息絶えていていたのだそうです。

その後、美伽は1人で梶間邸の傍に行った時、小さな灯籠の上に立っていたオーちゃんを見つけ、
捕獲しました。

オーちゃん、犯人は誰なの? 修三さんを殺したのは誰?
と美伽は問い掛けましたが、オーちゃんはその質問を鸚鵡返しするだけでした。

その後、病院に戻った美伽は、そのことをエルザに話し、爆笑されました。

修三は最期の力でオーちゃんに犯人の名前を伝えたのではないか、
と美伽は考えていたのですが、修三が鳥カゴの傍で息絶えていたのは、
オーちゃんを逃がして、餓死させたくなかったのだということを、エルザは話しました。

エルザと美伽が逃げた鸚鵡を捜し回っていることを知った犯人も、
美伽と同じ勘違いをしていて、オーちゃんを捕まえようとしていたエルザに矢を射ったのでした。

その夜、美伽は「ワナのカゴの中に白い鷺(さぎ)の剥製を入れて置きました。

犯人がその鷺をオーちゃんと間違えて、ナイフで刺しましたが、宮前刑事が現れ、
吉本春江の夫の吉本伸介を捕まえました。

春江は夫の経営する飲食店の資金繰りのことで、父親の援助を求めていて、
事件の夜もその件で、梶間邸を訪れていましたが、父親にあしらわれ、階段でもみ合いになり、
父親のほうが階段から転落し、現場を立ち去り、自宅に戻り、伸介に全てを打ち明けたのだそうです。

伸介の知恵で、翌日春江が第一発見者のフリをして、
指紋やら痕跡やらが残っていても不自然じゃないようにしたのでした。

美伽はミーコと同じようにオーちゃんも飼いたがりましたが、
鸚鵡の寿命は50年、長けりゃ80年と聞き、雅美に渡すことにしました。


というあらすじなのですが、鸚鵡って長生きなんですね……。

鶴は千年、亀は万年と言いますが、自分よりも寿命が長いペットを飼うのって、
自分が死んだ後のことまで考えないといけないから、大変そうですね。

ところで、しまうましたも、
美伽や犯人と同じ勘違い(オーちゃんが犯人の名前を知っていると思っていた)
をしていたので、エルザに爆笑された時は傷つきましたw

東川篤哉「ライオンは仔猫に夢中 ~平塚おんな探偵の事件簿3~」第2話「密室から逃げてきた男」のネタバレ解説

松崎英二は、体重が98キロで、就職が決まったばかりの太った大学4年生です。

美人の女子大生、山野夏希と同じ湘南大学の文芸部に所属するサークル仲間で、
英二は夏希に憧れています。

その夏希に侮蔑の言葉を投げられる夢を見て、白い子猫に起こされました。

時間は午前8時に差し掛かるところで、山野夏希のワンルーム・アパートの一室でした。

昨夜はサークルの飲み会でしたが、英二は飲みすぎて、その後の記憶を失っていました。

フローリングの床の上に倒れている女性を発見し、うつ伏せだった女性を反転させます。
山野夏希が後頭部に深い傷を負って、すでに絶命していました。

するとそのとき、チャイムの音色が鳴り響き、
文芸部の仲間たちで4年生の佐藤一之と甲本豊、3年生の間島早苗がいて、
チェーンロックがかかっていました。

英二が息を潜めていると、間島早苗がいつの間にかベランダに立って、
部屋の中を覗き込み、悲鳴を上げました。

夏希の部屋は1階にあり、甲本豊がベランダに上がってきて、
窓を開こうとしましたが、中からクレセント錠がかかっていて、窓は開きませんでした。

ベランダに向いたサッシ窓と玄関しか出入り口がない、
角部屋ではないワンルーム・アパートで、窓には鍵がかかっていて、
玄関にはチェーンロックが掛かっていて、完全な密室でした。

英二はその状況を見て、玄関から逃げ出し、佐藤一之に体当たりして、
スナック『紅』に逃げてきました。

『紅』は、1巻2話「彼女の爪痕のバラード」や、
2巻2話「轢き逃げは珈琲の香り」にも登場している、エルザと美伽の行きつけの店です。

『紅』のママは、英二の遠縁で、英二はママを頼って『紅』に逃げてきたのですが、
ママは英二のために、エルザと美伽に密室の謎を解き明かして、
英二の無実を証明してもらおうとしました。

エルザは、ツケをチャラにしてもらう条件で、その事件を調べます。

翌日、エルザと美伽は湘南大学の文芸部の部室に行き、間島早苗と甲本豊と会いました。

訳あって、松崎英二って男の行方を捜している、とエルザは嘘をつき、
本当にクレセント錠がかかっていたのか確認しました。

英二に逃げられた後、間島早苗と甲本豊は山野夏希の部屋に入っていて、
サッシ窓にクレセント錠がかかっているのを確認していました。

密室の中には白い猫がいたはずだよな、とエルザが言うと、
自宅でも2匹飼っている猫好きの間島早苗は、行方不明になっている白い仔猫を心配していました。

その後、英二に体当たりされて怪我をして入院している佐藤一之のお見舞いに行きました。

もうひとりの誰かが開いた扉から密かに脱出した――なんてことは?
とエルザは聞きましたが、それは有り得ないと佐藤一之は言いました。

また、夏希がVサインのダイイング・メッセージを残していたことを、佐藤一之は証言しました。

『紅』でそのことを話し、探偵事務所に戻ると、宮前が待っていました。

山野夏希が松崎英二に対して好意を持っていたと、夏希本人が一部の女友達に漏らしていたことを、
宮前は教えてくれました。
バレンタインデーの時期なので宮前はチョコレートを欲しがっていましたが、
美伽もエルザも宮前への義理チョコは買っていなくて、宮前は事務所を出て行きました。

翌日の午前、美伽は義理チョコを購入し、エルザと事件現場の山野夏希のアパートに行きました。
そのアパートの前で白い仔猫を見つけましたが、仔猫は下痢をしていて、顔色が悪い状態でした。

松崎英二の居場所を教えるのを条件に、宮前に夏希の部屋を見せてもらいます。

エルザは冷蔵庫に生チョコと海苔の佃煮があるのを見つけ、
クレセント錠に海苔の佃煮を塗りました。

エルザがクレセント錠のレバーを90度倒し、
レバーの前に箱を置いてベランダに出て、仔猫を呼ぶと、
仔猫はレバーに塗られた海苔の佃煮を舐め、上を向きました。

現場には箱はありませんでしたが、松崎英二の突き出たお腹が台の代わりでした。

エルザは海苔の佃煮を使いましたが、犯人はクリーム状の生チョコをレバーに塗りつけていました。
犬や猫はチョコを食べると中毒症状を起こし、下痢をします。
また、夏希がVサインをしていたのは、≪チ・ヨ・コ・レ・イ・ト≫を示していたのでした。

密室の謎が解けたと、『紅』に電話すると、争うような激しい物音と、絶叫が轟きました。
犯人の甲本豊が、変に捕まって、いろいろ喋られたら、そっちのほうが恐いと思い、
松崎英二を殺そうとして、返り討ちにあったのでした。

事件の夜、文芸部の飲み会で飲みすぎた英二は、夏希を口説き、
夏希のアパートに行きましたが、夏希を自分の女ぐらいに思っていた自信家の甲本豊は、
夏希と口論になり、思いきり突き飛ばして夏希を殺してしまいました。
ミステリ好きの甲本豊は、小説のネタとして温めていたトリックで密室を作ったのでした。

美伽は宮前に義理チョコを、エルザに友チョコを渡し、この話は終わります。


というあらすじなのですが、意外な密室トリックでしたね。

仔猫がトリックに関係しているのは予想がつきましたが、
英二が太っていることや、バレンタイン・デーの時期であることまでトリックに関係している

とは思わなかったので、そこが面白かったです。

この後、仔猫は探偵事務所で飼われることになったのでした。
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