東川篤哉「ライオンの歌が聞こえる ~平塚おんな探偵の事件簿2~」第4話「消えたフィアットを捜して」のネタバレ解説

飯田孝平はクリスマス間近の金曜日に課長から無理やり仕事を押しつけられ、
深夜零時にアパートに帰還しました。
むしゃくしゃした飯田孝平は赤いランドクルーザーに乗り、ドライブへ行き、
平塚の砂浜の上でアクセルを踏んで楽しみます。

丘の上に乗り上げると、目の前に黒い四輪駆動車のヘッドライトが見え、
ハンドルを右に切りました。

相手の運転手もハンドルを右に切りましたが、
その後ろにいた茶色いフィアット五〇〇にぶつかり、
エアバッグの激しい衝撃で飯田孝平は気絶しました。

1時間後に目を覚ますと、フィアットも運転手も消えていて、
事故の痕跡がありませんでした。

その3日後、飯田孝平は大学のテニス部の先輩、
生野エルザと川島美伽に相談し、謎を解いてもらうよう依頼しました。

実際にその砂浜に行くと、何もありませんでした。

エルザは何かを見つけ、飯田孝平を先にタクシーで帰らせます。

エルザが見つけたのは、自宅で通夜を執り行う家と、
門の前に停まった、宮前刑事の乗った覆面パトカーでした。

宮前に話しかけると、高級老舗ホテル『太平楼(たいへいろう)』の会長、
大平香苗(おおひら・かなえ)が金曜日の夜に、
フィアット五〇〇に乗って上吉沢の溜池に落ち、
自殺したらしいということを教えてくれました。

死因は溺死で、体内からは睡眠薬が検出されましたが、
大平香苗は不眠症で悩んでいたのだそうです。

大平香苗には、2年ほど前に再婚した大平真治という夫がいて、
最重要容疑者なのだそうです。

翌日、エルザと美伽は上吉沢の溜池に行き、
大平香苗の娘、大平美里という美大生と出会います。

母は自殺じゃありません、母は、あの人に殺されたんです!
と大平美里は言いました。

でも、大平真治にはアリバイがあるのだそうです。
大平香苗が亡くなった金曜日の夜、
大平真治と飲み仲間は夜の9時ごろに大平家に集まり、
歩いてスナックへ行き、午前零時ごろまで過ごしたのだそうです。

午後9時の時点では、
ガレージにフィアットがあったと大平真治の飲み仲間は証言していて、
大平香苗は午後11時ごろまでの間になくなったので、
アリバイが成立していました。

大平真治は、溜池の水をバケツに汲んで、大平家のどこかに隠しておき、
金曜の午後9時になる少し前に大平香苗の頭をバケツに突っ込み死なせた、
とエルザは推理しましたが、宮前に電話で聞くと、
大平香苗は溜池に転落した際、胸をハンドルで強打し、
頭をフロントガラスにぶつけていて、2つの打撲傷には生体反応があり、
エルザの推理は間違っているということを言われました。

再び砂浜に行ったエルザと美伽は、ホームレスの男、大沢剛史(たけし)と出会います。
大沢剛史に酢湯麵をご馳走してあげると、
黒い四輪駆動車とフィアット五〇〇が走っているのを目撃していて、
飯田孝平が事故を起こした音や、黒い四輪駆動車が走り去っていくところも目撃した、
ということを証言しました。

それから数日後、大平家のガレージでエルザは、
セダンに乗ろうとした大平真治に話しかけます。

大平真司はエルザの胸ぐらを摑み、エルザは大平真治に頭突きします。

大平真治はセダンのボンネットの上に「深くめり込みました。
そのセダンは、エルザと美伽と大平美里が砂で作った車だったのでした。

事件の夜に大平真治の飲み仲間が見たフィアット五〇〇も砂の車で、
大平真治はその前に大平香苗の乗ったフィアットを溜池に落としていたのでした。

スナックから戻ってきた大平真治は、砂の車を砂浜で処分しようとして、
飯田孝平のランドクルーザーとぶつかりそうになったのでした。

大平真治はエルザを口封じしようとしましたが、
美伽が後ろから一斗缶で大平真治を殴り、気を失わせました。


この話にはエピローグがあり、正月4日に平塚八幡宮へと初詣に参じたエルザと美伽は、
屋台でイカの姿焼きを売るテキ屋の組長、岩元和江と再会します。

岩本和江は、2話に登場した人物です。

また、大沢剛史から事務所に年賀状がきていて、
川崎の知り合いの女の家に転がり込んで社会復帰しているのだそうです。

1話のカミツキガメのミツキちゃんは、『平塚水族店』で飼われているのを、
美伽が見たのだそうです。

また、3話に登場した湘南文化大学登山部の新しい部長になった、
杉下健太と再会しました。

エルザは『今年も平塚でいっぱい事件が起こりますように』とお祈りし、
美伽は『商売が繁盛しますように』とお祈りしたのでした。

というあらすじなのですが、最後にどどっと過去の話のゲストキャラクターが登場し、
シリーズの最終回っぽい終わり方でしたが、シリーズはこの後も続きます。

飯田孝平が遭遇した消えたフィアットの話と、
同じ夜に起こった大平香苗が溺死した事件が、
意外な形で鮮やかに繋がり、面白かったです。

エルザが途中推理ミスをした「バケツでアリバイ」は、
烏賊川市シリーズの「探偵さえいなければ」1話「倉持和哉の二つのアリバイ」
でも題材にされています。

岩本和江がイカの姿焼きを売っていたのが、その伏線だったのでしょう(冗談です)

この短編集に収録されている話は、これで終わりです。

シリーズ3巻「ライオンは仔猫に夢中」に続きます。

東川篤哉「ライオンの歌が聞こえる ~平塚おんな探偵の事件簿2~」第3話「首吊り死体と南京錠の謎」のネタバレ解説

11月初旬の営業時間終了間際、生野エルザ探偵事務所に、
鍵のない南京錠を開けてほしいという依頼をする湘南文化大学3年生の松原美咲がやってきて、

カップルが湘南平のテレビ塔の展望台の金網に2人で南京錠をぶら下げて永遠の愛を誓う、
という意味不明の行為が流行していました。

そのテレビ塔に行き、
本体から突き出ているUの字を逆さまにしたような金具が異常に長い南京錠を、
エルザは開けようとしますが、なかなか開けられません。

松原美咲と美伽が休憩所に行くと、あの南京錠は、
今年の松原美咲の誕生日の7月3日に、彼とつけたものだという話をしました。

その彼、木戸雅人(きど・まさと)は、
2か月前、山登りの最中に崖から落ちて死んだのだそうです。

南京錠は外れ、それから10日後、探偵事務所に宮前がやってきて、
この写真に見覚えがあるか、と尋ねました。

10日ほど前にここにきた依頼人とよく似ているな、とエルザは答えました。

松原美咲が大学の登山部の部室の出入り口に、エルザが10日前に外した南京錠をかけ、
首を吊って死んでいたことを宮前は教えます。

大学はちょうど学園祭で、エルザと美伽は湘南文化大学に行き、
登山部の『山カフェ』で、第一発見者3人のうち2人、
岩崎円夏(まどか)や杉下健太と話をします。
第一発見者は、他にも森山祐樹部長がいました。

また、桑島瑞穂という部員がエルザや美伽たちの話に聞き耳を立てていました。

杉下健太に部室に入れてもらい、廊下側にいる人間が、
南京錠の隙間から中に手を差し入れて、
内側から南京錠を施錠することができないか確かめますが、不可能でした。

でも、エルザは、「現場にあった南京錠が最初はU字型の金具が長い別物で、
森山祐樹が窓を破って入ったときに、
金具が5センチほどしかない南京錠にすり替えたのではないかと推理します。

話を立ち聞きしていた森山祐樹に挑発され、エルザは帰り道に推理します。

松原美咲はたぶん自殺じゃないのに、
なぜ湘南平での彼女はあんなに思い詰めた表情で、
死んだ恋人の話なんかしていたのかと考え、エルザは湘南平へ行き、
〈雅人&美咲〉と書かれた、本物の南京錠を苦労して発見しました。

あの南京錠は密室を装うために、森山祐樹とその恋人の桑島瑞穂が用意した偽物で、
依頼人の松原美咲は桑島瑞穂の変装だったのでした。

動機は、森山祐樹が木戸雅人の背中を押して、崖の下へと突き落としたのを、
松原美咲が目撃していて、森山祐樹を強請っていたから殺したのでした。


というあらすじなのですが、密室トリックそのものより、
犯人を追い詰める証拠を探す過程が面白かったです。

この話の元ネタとなった、湘南平の南京錠は本当に流行していたらしく、
調べてみたら、1991年ごろから始まったそうですが、
公園側が撤去作業を続けたため、南京錠が付けられる箇所が江ノ島に移ったのだそうです。

なんにせよ、南京錠は金属ですから、撤去するのは手間もお金もかかって、
鍵を付けられる場所の管理者にしてみれば迷惑な話ですよね。

神社のおみくじや絵馬みたいに、南京錠の形をした紙や木を売れば、
南京錠より仕入れ値も安いでしょうし、撤去も簡単ですし、
それを取りつけるカップルも白い目で見られませんし、
販売業者と管理人とカップル、
全員が得をしてWin-Winの関係を築けるのではないかと思います。

販売業者さん、このアイデアはどうでしょうか?

東川篤哉「ライオンの歌が聞こえる ~平塚おんな探偵の事件簿2~」第2話「轢き逃げは珈琲の香り」のネタバレ解説

10月某日、エルザと美伽は平塚競輪場へ出かけ、
岩本和江という73歳の老婦人と出会います。

メイン競走で、エルザと岩本和江の賭けた番号のどちらが1着になるかで争いますが、
美伽がビギナーズラックで当てました。

スナック『紅』で、和江は20年前に旦那と死別し、
3人の子供たちはそれぞれに幸せな家庭を築き、
いまではひとり暮らしをしている、ということを話しました。

エルザと美伽は、住宅地の大通りまで岩本和江を送りましたが、
すぐに人間の悲鳴と車のブレーキ音が聞こえ、駆けつけます。

交差点には1台の白いセダンが停車中で、和江が地面に横たわっていました。

セダンは逃げ、エルザと美伽は和江に近づきます。
和江はなぜか珈琲まみれでした。

一夜が明け、エルザと美伽は、和江が運ばれた平塚市内の総合病院に行きます。
轢き逃げ事件ということで、宮前刑事がいました。

丁字路で、車がウインカーを出さずに、和江がいる脇道に左折してきて、
撥ねられた、ということを和江は話しました。

珈琲の謎について話し合っていると、宮前に電話があり、
残念ながら犯人は死亡したもようです……、
と宮前は和江に言いました。

その現場に、宮前とエルザと美伽は行きます。

花水川橋という大きな橋を渡ったところに、
路肩に乗り上げる恰好で1台のセダンが停車中でした。
フロントバンパーには珈琲の飛沫が残っていました。

死体は、川の水面にプカプカ浮いているのを、警官が発見したのだそうです。

宮前は、犯人が自殺したと考えていましたが、エルザは違う考えを持っていました。

花水川の河口で溺死した男性の名は下村洋介(しもむら・ようすけ)、35歳で、
『三星(みつぼし)貿易』の会社員でした。

翌日、エルザと美伽が再び和江の病室に行くと、下村洋介の上司の梨岡と、
下村洋介の同僚の南郷(なんごう)と花田がお見舞いに来ていました。

事件の夜、下村洋介は梨岡達と酒を飲んでいて、
自分の車に乗って自宅に向かう途中で和江を撥ねたのだそうです。
エルザは梨岡達を追いかけ、探偵と名乗って話を聞きました。

その日の夕暮れ、エルザと美伽はコンビニに寄り珈琲を買いました。

その時、美伽はエルザの珈琲を「エルザの愛車、シトロエンの屋根の上に置きました。

エルザはそれを見て、事件の夜、下村洋介は、
セダンの屋根の上に珈琲の紙コップを載せながら走り、
交差点の事故で急ブレーキを踏み、
屋根の上の紙コップが地面に落ちたのだと推理しました。

車が左にカーブしながら急停止するということは、
屋根の上の紙コップは右方向に遠心力が働き、右斜め前方に吹っ飛んだはずです。
しかし、和江は車の正面に倒れていたので、
紙コップの位置が運転席側なら和江の身体にはほとんどかかりません。

紙コップの位置は助手席側の屋根の上にあったのでした。

助手席に誰かが乗っていたことになりますが、
事件の夜、エルザと美伽は、助手席には誰も乗っていないのを目撃していました。

助手席側の後部座席に誰かが乗っていたことになり、
梨岡が怪しいとエルザは推理します。
飲酒運転は、一緒に乗っていた人物も罪に問われることがあり、
梨岡は口封じのために下村洋介を殺害していたのでした。

梨岡は、和江が探偵のエルザを雇ったと考え、和江に危害を加えるかもしれません。

そう考え、エルザと美伽が和江の家に行くと、梨岡がいました。
しかし、じつは岩本組の4代目だった和江には、気の荒い部下が20人ほどいて、
梨岡は捕まり、逮捕されました。


というあらすじなのですが、
轢き逃げ犯はなぜ、被害者に珈琲をかけたのか?
という謎から、鮮やかに推理を組み立て、
殺人事件の犯人に辿り着く過程が面白かったです。

結局、下村洋介が事故を起こしたのは飲酒運転が原因だったのでしょうが、
酒を飲むと注意力や判断能力が下がるので、絶対に運転してはいけませんね。

でも、飲酒すると気が大きくなってしまい、
ちょっとぐらいなら大丈夫だろうと思い、
正常な判断ができなくなってしまうものなので、
お酒を飲むとわかっているなら車で行かないようにするか、
お酒を飲む前に代行運転を頼んだ方がいいですね。

東川篤哉「探偵さえいなければ」5話「被害者によく似た男」のネタバレ解説

34歳の北山雅人はバーで見かけた女に話しかけました。

田中直美と名乗った女を、雅人はホ.テルに連れて行きます。

でも、そこで直美は正体を現し、
雅人の腹違いの兄、姉小路一彦を殺したいと打ち明けました。

動機は復讐です。

姉小路一彦、36歳は独身時代、直美の親友をもて.あそんで捨て、
その親友は電車に身を投げていました。

一彦は直美が働くバーの常連で、いまの雅人は一彦と瓜二つでした。

直美は雅人を替え玉にして、贋のアリバイを作ろうとしていました。

ただし、直美は一彦と雅人では毛髪の量が違っていて、
雅人の方が薄いということを言いました。

直美は田代直美と本名を明かし、それから1週間が経過します。

直美は真っ黒な魔法の黒い粉を雅人の頭にふりかけ、
雅人の髪の毛の隙間から覗いていた地肌を隠しました。

雅人は、一彦が常連の喫茶店『二刀流』に行き、
一彦に成りすまして午後10時まで文庫本を読んで過ごしました。

午後10時半に、友人の川島俊樹のいるファミレスに行き、
朝まで自分のアリバイを作りました。

一方、直美は9時に盆蔵山で事が終わって、すぐに街に戻り、
友達がやっている深夜営業のスナックで朝まで居座ります。

烏賊川市の街中から盆蔵山の現場まで、
どんなに車を飛ばしても1時間は掛かるので、
『二刀流』で午後10時まで過ごした一彦が、
その後盆蔵山で転落死したとするなら、午後11時以降となります。

午後10時半から街中のファミレスやスナックにいて、
朝まで居座り続ける2人のアリバイは完全なものになります。

翌日、砂川警部と志木刑事がやってきて、
一彦が山で転落死した事件について、雅人に質問しました。

その際、『二刀流』のマスターは、
事件の夜の一彦は普段と印象が違った、と証言したことを話しました。

雅人は直美に電話で泣き付きます。

雅人は直美に指示された通り、警察に行き、
『二刀流』に現れたグレーのスーツの男は、兄を装った僕なんです、
と『自白』しました。

でも、雅人は何も知らず、
一彦に身代りを頼まれたのだ嘘の証言をしました。

砂川警部は取調室で雅人と直美に、
一彦は密かに田代直美を殺害しようとしていたのだよ、
典型的な返り討ち殺人なんだよ、と言いました。

直美は、現場の崖の上で一彦に殺されそうになり、
逆に一彦が崖の下に落ちた、ということを証言しました。

しかし志木刑事は、「じゃあ、
なぜ一彦は北山雅人にカツラを被せたんですか、
そんなことしなくたって、姉小路一彦と北山雅人は、
頭のハ○具合までそっくりよく似た兄弟だっていうのに――、
と言いました。

一彦がカツラだったことを、直美も知らなかったのでした。

姉小路一彦が北山雅人に身代わりを頼んだのなら、
弟の薄毛を隠すはずはない、
これは返り討ち殺人じゃありません、
返り討ち殺人を装った、普通の殺人です、と志木刑事は言ったのでした。


というあらすじなのですが、まさかそんなところで破綻するとは、
と驚きました。

バラエティ番組でよくある、脱毛症の人を笑うようなギャグは、
見ていて不愉快だから嫌いなのですが、今回は必然性があったので、
ギリギリセーフかもしれないと思いました。
人によってはアウトでしょうが。

それにしても、「誰が探偵役になるかわからない」という、
「犯人当て」ならぬ「探偵当て」も烏賊川市シリーズの醍醐味ですが、
志木刑事が探偵役になるのは珍しいですね。

外見がよく似た異母兄弟を使ってアリバイを作る、
というのは「魔法使いと偽りのドライブ」でもやったネタですが、
ベクトルの方向が全く違うので、新鮮で面白かったです。

今回の短編集に収録されている話は、これで終わりです。

東川篤哉「探偵さえいなければ」4話「とある密室の始まりと終わり」のネタバレ解説

8月某日、鵜飼の探偵事務所に70歳の塚田京子がやってきました。

京子のひとり息子の塚田政彦は40歳で、妻の広美は35歳です。

京子は、広美がお洒落なカフェで男と会っているのを見かけ、
広美の不倫相手を捜して欲しいと鵜飼に依頼しました。

10日間調査し、相手の男性が富沢芳樹、35歳だと突き止め、
鵜飼と戸村流平は京子に報告しました。

(ちなみに、今回の短編集の中で流平が登場するのは、
この話だけです。最近、出番が少ないです)

京子は、数日前に政彦の口から、
政彦と広美がお互いを受取人にした5000万円の生命保険に加入した、
ということを聞いていました。

また、3日前には広美が金物屋でノコギリを購入しているのを、
鵜飼と流平は目撃していました。

広美は実家に帰っていて、保険金殺人を企む悪党には都合がいいので、
心配になった京子と鵜飼と流平は、塚田政彦と広美の家に行きました。

午後8時過ぎに呼び鈴を押しても反応がなく、
流平は窓から室内を覗きました。

この家で飼っていた柴犬の『ホタテ』が、流平をコソ泥と間違えて、
流平の足首に噛み付きました。

政彦の携帯電話に電話しても、電話に出ません。

ダイニング・キッチンの窓を覗くと、血の付いたナイフが見えました。

鵜飼と流平と京子は窓ガラスを割って家の中に入ります。

死体を引きずった跡があり、ホタテが風呂場に向かって吠えました。

風呂場は血だらけで、ベッタリと血糊の付いた大きなノコギリもありました。

流平が湯船の蓋を開けると、バラバラ死体が入っていて、
目を閉じた塚田政彦の顔が見えました。

京子はショックで気を失います。

流平は警察に通報しようとしましたが、鵜飼は止めました。

湯船に蓋をして、ガラスを割ったサッシ窓を調べます。
鵜飼は予め丸めたティッシュを挟んでおいたので、
誰も開け閉めしていないとわかりました。

塚田邸のすべての部屋をあっと見て回りましたが、
犯人はいなくて、すべての窓という窓は、内側から施錠されていました。

まさに完全な密室でした。

第一発見者の鵜飼や流平が疑われるといけないので、
迂闊に警察を呼べなくなります。

鵜飼は、「風呂場の窓の格子の隙間から、切断した死体を入れたのではないか、
という推理をします。
それを確かめるため、流平が湯船の蓋を開け、
塚田政彦の首を持ち上げようとしましたが、
全てのパーツがすべて揃った政彦が姿を現しました。

政彦は富沢芳樹の首を流平に投げ、流平は気絶して病院で目を覚ましました。
その間のことを、鵜飼に説明してもらいます。

富沢芳樹は政彦を殺そうとしましたが、政彦は返り討ちにして、
富沢芳樹を殺してしまいます。

政彦は死体をノコギリでバラバラに解体して捨てに行こうとしましたが、
解体が終わったそのとき、塚田邸に鵜飼と流平と京子がやってきて、
湯船に隠れたのでした。

湯船に男の顔が2つ浮かんでいたら変なので、
頭部を腕に抱えて水中に身を沈めたのでした。

鵜飼と流平が風呂場を離れるとき、湯船に蓋をしましたが、
その蓋の上にホタテが寝そべってしまったので、
出られなくなってしまったのでした。


というあらすじなのですが、ゾッとする話ですね。

犯人が置かれた境遇を想像すると、正気を失いそうになります。

短編集のタイトル「探偵さえいなければ」というフレーズを、
1番恨みがましく考えたのは、この話の犯人なのではないかと思います。
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