赤川次郎「杉原爽香44歳の春 牡丹色のウエストポーチ」のネタバレ解説

牡丹色のウエストポーチ: 杉原爽香〈44歳の春〉 (光文社文庫)


杉原爽香シリーズ第30弾です。

1年に1冊を30年間。凄いです。

杉原爽香を苦しめるために、その子供の杉原珠美を殺して、
ということを夜明け前の公園で、女が誰かに頼みました。

場面が変わり、5月9日に、爽香が中華料理店の個室を借りて、
バースデーパーティーを開いてもらっていました。
爽香の一家、真江や綾香、瞳、涼、涼の彼女の岩元なごみ、
河村布子などが集まっていました。

河村太郎と早川志乃の間に生まれた早川あかねも呼ばれていました。

場面が変わり、仕事中に珠実の担任の大月加也子から電話があり、
集中豪雨があって土日の遠足をキャンプから旅館に変更する、
ということを知らされました。

爽香と打ち合わせをしていた〈K照明〉の根津雄一は、
娘の根津詩織が珠実と同じ小学校の4年生だということを言いました。

その頃、根津雄一の妻、
根津麻衣子は買い物に行くため小型車に乗っていましたが、
工事で通行止になっていて、脇道に入り、
自転車に乗っていた老人をはねて死なせてしまい、逃げてしまいました。

再び場面が変わり、〈消息屋〉の松下が、
前巻「栗色のスカーフ」に登場した〈カルメン・レミ〉の件について爽香に話します。

カルメン・レミの本名は如月マリアで、女優の如月姫香の娘です。
如月姫香は栗崎英子のせいで映画界を追われたという噂を信じ込み、
栗崎英子とそのお気に入りの爽香を恨んでいました。

根津雄一の家に警官と刑事がやってきて、
国枝修介(くにえだ・しゅうすけ)という70歳の老人がひき逃げされ、
亡くなったということを話しました。
雄一が車をガレージに入れていなかったので、
もう1台麻衣子の車があることには気づかず、警官と刑事は行ってしまいました。

国枝修介の娘、国枝佐和は、8歳の娘と通夜の席に出ていました。
修介とよく囲碁を打っていた知人、相良(さがら)が、
あんたのお父さんに貸しがあるんだ、と言いました。

また、修介の仕事で付合のあった会社の宗方健治(むねかた・けんじ)が、
佐和に自己紹介をして、告別式の手伝いをするということを言いました。

その数日後、相良は〈借用書〉を見せ、修介に貸していた300万円を返せ、
ということを言いましたが、父を信じていた佐和は、宗方に相談しました。

一方その頃、根津雄一は麻衣子の車を見て、麻衣子がひき逃げ犯だと気づきました。
雄一の部下で、愛人でもある水谷弥生は、雄一が出かける支度をしている間に、
車体の傷の写真を撮りました。

爽香が遠足で旅館に行くと、栗崎英子もロケをしていて、
珠美達小学生もロケを見学させてもらうことになりました。

物語冒頭で女に頼まれ、珠実を狙っていた人物は、まずい、と思いました。
今の状況では、珠実1人を、他の人間から切り離すことは容易でなさそうだ、
とその人物は重い、東京へ帰ってから珠実を殺すことにしました。

一方、麻衣子は旅館で、大学生だったころ、
付合っていた野々村修(ののむら・おさむ)と再会します。

野々村修は、たっぷりと金を持った年上の未亡人とここで落ち合うはずでしたが、
野々村がその未亡人の若い秘書に手を出していたことがばれてしまい、
10万円単位になっている旅館の宿泊費を払えずにいました。

野々村は、麻衣子宛のメモを仲居の安田亜里(やすだ・あり)に渡しましたが、
その前に麻衣子と再会しました。

野々村は事情を隠さずに話し、金を貸してくれ! と頭を下げました。
麻衣子はカードで払うと言い、2人は不倫関係になりました。

旅館をチェックアウトする時に、安田亜里が珠実の担任の大月加代子に、
生徒さんのお部屋の出口の所にこれが、と言って牡丹色のウエストポーチを渡しました。
しかし、バスの中で持ち主を探しましたが、誰も手を上げませんでした。

サービスエリアで休憩中、野々村が麻衣子に話しかけ、また会おうと言いました。

爽香はその様子を見ていました。
麻衣子が野々村の宿泊費をカードで払っているところも見ていましたが、
他人のプライバシーに立ち入るのはやめた方がいい、と思いました。

学校で解散する際に、牡丹色のウエストポーチを手にして困っていた加代子に、
よかったら私、預かりますよ、と麻衣子は言い、ウエストポーチを受け取りました。

雄一が麻衣子の車で迎えに来て、レストランに行くと、
駐車場に置いてあった麻衣子の車を別の客がこすってしまった、
ということをオーナーに言われました。
見に行くと、ひき逃げの傷を隠すように、新しい傷がついていました。

場面が変わり、高校2年生になった杉原瞳が、合唱部で1年生に指導をしていると、
真江から電話があり、充夫が様子がおかしくて救急車を呼んだと言われました。

瞳に知らされ、爽香が病院に行くと、医師は、もっと節制していれば、
こう悪くならなかったでしょうが……と言い、
朝までもてば、と思いますが、と告げました。

充夫は脳卒中で車椅子の生活になり、アルコール中毒に近い状態になっていましたが、
自分の体に気を付ける努力もしていませんでした。

真夜中の12時を少し回ってから、評論家、高須雄太郎の秘書として働き、
生活を支えていた綾香が病院に着きました。

54歳の充夫は、見たところ70近いかと思えました。
1時半を過ぎて少しだけ目を覚ました充夫は、爽香に向かって、
お前に……謝っとかないとな……、後を頼む、と言いました。

午前2時過ぎに、医師が臨終を告げました。

しばらくしてから、真江が、畑山ゆき子さんに知らせてあげた方が、と言いました。

畑山ゆき子は昔、充夫の不倫相手だった人物で、
中学2年生になった充夫の娘、泉を育てていました。

充夫の納骨の時、畑山ゆき子は離れたところで見ていました。

瞳が爽香に、おばちゃん、今度コーラスの発表があるの、よかったら来て、
と言った後、お父さんにも聞いてほしかったな……と呟くように言いました。

一方、麻衣子は野々村の友達の車で旅行に行きましたが、帰りが遅くなってしまい、
野々村に腹を立てていました。
お腹を空かせていた詩織をピザの店に連れていくと、詩織がトイレに行っている時に、
水谷弥生が話しかけてきました。
弥生は、雄一の不倫相手であることを告げ、
ホテルから出てくる麻衣子と野々村の写真を見せ、ひき逃げは罪が重いですよ、奥さん、
と言いました。

もう1度、車をこすることは弥生のアイデアでしたが、
前の傷の写真を持っていることを、弥生は麻衣子に告げました。

後日、麻衣子は再び野々村とレストランで会い、
ひき逃げのことは隠して水谷弥生のことを教え、この女を脅かして、と言いました。
野々村は見返りとして、ギャンブルで作った借金300万円を要求しますが、
分ったわと麻衣子は言いました。

そのレストランには爽香と田端将夫もいました。
麻衣子が野々村と会っているのを見た爽香は、
田端に頼んで野々村の写真を撮ってもらいました。
その後、消息屋の松下に、野々村の写真を見せて、調べてもらうことにしました。

場面が変わり、相良は国枝佐和の自宅を訪れました。
佐和は、宗方を紹介し、父はあなたから借金などしていません、と言いました。
宗方は、借用書の〈国枝修介〉の署名と印鑑が偽物だと言いました。
宗方の知り合いの刑事が現れ、相良のことを西野と呼び、
相良が詐欺の常習犯だということを言い、相良と名乗っていた男を連行して行きました。

これをきっかけに、佐和と宗方は付き合うようになりました。

再び場面が変わり、野々村はイサミという30前後の前科持ちの男に、
弥生を脅かすのを頼みました。
イサミは電車に乗っていた弥生に話しかけ、ナンパを装って一緒に電車を下りました。

学校の都合でいつもより遅い時間に1人で下校していた珠実は、
これ、あなたが落とさなかった?
と布製の手下げ袋を持ったおばさんに話しかけられました。

おばさんは珠実に交番への案内を頼み、ねえ、珠実ちゃん――と言いかけましたが、
早川志乃の娘、早川あかねが珠実に話しかけると、
おばさんは交番には行かずに立ち去りました。

私の名前、知ってた、それに……どこかで会ったこともあるみたいな……
と珠実は言いました。
あかねは珠実を送り届けて爽香にそのことを相談した後、
爽香に学校で〈非行防止〉というテーマの講師をやってもらうことをお願いしました。

場面が変わり、麻衣子は野々村に300万円の小切手を渡しました。
仲居の安田亜里から電話があり、
あのウエストポーチは杉原珠実のものではないかと言いました。
安田亜里は東京へ来ていて、
夕方5時過ぎに麻衣子の家にウエストポーチを取りに来ると言いました。

野々村はスナックで300万円の小切手を借金取りに渡しました。
その後、イサミがやってきて、2、3日の内には金を用意しろと言いました。

その頃、会社を無断欠勤した水谷弥生が心配になり、
根津雄一は弥生のマンションへ行きましたが、弥生はいませんでした。
警察がやってきて、この駅前の工事現場の裏手で、乱.暴されて、
首を絞められて殺された女性の死体が見つかったことを話しました。
近くの川から見つかったバッグの身分証から、警察はこのマンションを訪れていて、
死体を確認していただけますか、と雄一に言いました。

帰宅した雄一は、不倫相手の弥生が殺されたことを、麻衣子に告白しました。

麻衣子は野々村に電話し、そのことを伝え、私は一切関係ありませんからね!
と言いました。

なじみのバーのホステス、咲枝と一緒にいた野々村は、イサミに電話しました。

イサミは、好みのタイプの弥生を誘いましたが、
断られ、力ずくで脇道へ引きずり込んで殺したのでした。

金を作れ、俺が早く東京を離れられるようにな、とイサミは松下に命令しました。

イサミと弥生を乗せたタクシーの運転手の証言から、イサミは警察に追われました。

イサミは麻衣子の車に乗り込み、詩織を人質にして、銀行で金を下ろせと言いました。
麻衣子は銀行で定期を解約し、200万円引き下ろしました。

一方、松下は咲枝と会い、
野々村が水谷弥生殺しと係っているかもしれないことを咲枝に伝えました。
松下は咲枝に野々村を呼び出させ、松下が待ち合わせ場所に行くことになりました。

その頃、栗崎英子は知り合いの俳優の老人、長崎宏三から、
如月姫香が生きていることを教えられ、爽香に伝えました。

イサミは200万円を渡した後も麻衣子の家に居座りました。
イサミは詩織を人質にしていましたが、詩織にはその自覚がなく、
イサミになついてしまっていました。

野々村から咲枝がお金を貸してくれると電話をもらったイサミは、
麻衣子に留守番をさせ、詩織を連れて公園に行きました。

それを見た松下は、詩織の写真を爽香のケータイへ送りました。

詩織がトイレに行きたいと言い、イサミが連れて行くのを、野々村は見送りました。

フラフラしてイサミが戻ってくると、背中から血を流していて、死にました。

30分後、公園に駆けつけた爽香は、麻衣子に電話し、状況を説明しました。

麻衣子の家に、安田亜里が現れ、詩織を預かっていることを伝え、
麻衣子を連れて爽香の家に行きました。

爽香は、イサミが女子トイレの前で詩織を待っていて、
もし「女がトイレに入ろうとするか、それとも中から出て来たとしても、
イサミは用心しなかったでしょう、ということを松下に言いました。

その後、爽香は中華の店で珠実と明男と松下と食事をしました。
その時、珠実は着物の人を見て、珠実に交番に案内させた不審な女が、
旅館の人だったことを思い出し、爽香に伝えました。
旅館に電話すると、安田亜里は辞めたと言われました。

麻衣子から爽香に電話があり、今お宅にいるんでしょ? と訊かれました。
爽香が、家で夕食の途中だと嘘をつくと、
家の外で15分後に麻衣子と待ち合わせすることになりました。

麻衣子を脅していた安田亜里は、麻衣子を冷たい地面に腹ばいにさせ、
爽香の家を訪れましたが、家で待ち伏せしていた松下に取り押さえられました。

安田亜里が言ったホテルの部屋で、薬で眠らされている詩織が見つかりました。


後日、詩織と車で出かけた麻衣子は、ひき逃げのときと同じ場所が工事中で、
同じ迂回路に入りました。

細い迂回路の正面から、小型トラックが入ってきて、
麻衣子は急ブレーキを踏んだつもりで、アクセルを踏み込み、ぶつかりました。

フロントガラスが砕け、詩織の額が切れて、血が流れ落ちました。

国枝佐和がやってきて、詩織を家に案内して、手当てをしてくれました。
佐和は、国枝修介がひき逃げされたことを話し、8歳の娘、希のことを話しました。

その話を聞いた麻衣子は泣き出し、ひき逃げのことを佐和に告白しました。

それを麻衣子からの電話で知らされた爽香は、珠実に本当のことを話しました。

逃げたくなる気持も分る、誰だって、人に見られてなかったら、
知られずに済むかもしれないと思ってしまうんだ、しかし、そうじゃない、
自分だけは知っている、一生忘れることはない、と明男は珠実に言いました。

これはおそらく、
「暗黒のスタートライン」のことを思い出しながら言ったのだろうと思います。

場面が変わり、爽香、明男、珠実、涼、岩元なごみは、瞳が所属してる合唱部の、
他の学校との合同発表会に行きました。

松下から涼のケータイに電話があり、爽香はロビーへ出て松下に電話しました。
如月姫香のアパートを突き止めたが留守で、
合唱のチラシがくず入れに捨ててあったことを松下は言いました。

如月姫香は瞳を狙うかもしれないと思い、楽屋に行くと、
殺し屋の中川が老女の如月姫香を薬で眠らせて、刃物を取り上げていました。

お前のことなら、たいてい知ってる、あんまり物騒なことばっかりするなよ、またな、
と中川は言って姿を消しました。


というあらすじなのですが、珠実も8歳になり、
珠実の視点で物語が描写されることもあるようになったのが新鮮で良かったです。

麻衣子と佐和は、どちらもトラブルに巻き込まれた時に男(野々村と宗方)を
頼っているのですが、その結果が全然違っていて、対比されているのが面白かったです。

今回はあまりイライラせずに読めたのですが、その理由を考えてみたら、
今回は久しぶりに明男の不倫描写が全くなかったからでしたw

おそらく珠実は、
明男が「暗黒のスタートライン」でやったことをまだ知らないと思いますが、
いつかは知る時が来るのでしょうね……。

それを思うと、心が沈みます。

赤川次郎「綱わたりの花嫁」のネタバレ解説

綱わたりの花嫁 (ジョイ・ノベルス)


花嫁シリーズ第30弾です。
いつもは短編が2つ収録される形式になっていましたが、
今回は長編です。

披露宴の最中に、覆面をした3人の男たちが飛び込んできて、
天井へ向けて拳銃を撃ち、花嫁の腕をつかんで会場から連れ出す、
という事件が起こりました。

場面が変わり、21歳の酒戸美亜(さかと・みあ)は、
やはり21歳のの八田圭治(はった・けいじ)と、
新幹線に乗って駆け落ちしようとしていました。

待ち合わせしていたカフェのTVで、
冒頭の花嫁が連れ去られるというニュースを報道していました。

花嫁は酒戸美亜21歳で、父親の酒戸雄太郎は大手パチンコ店のチェーンを経営、
1代で莫大な財産を手にしたことで有名だと報道していました。

警視庁で酒戸雄太郎が殿永部長刑事に怒鳴り散らしていると、
塚川亜由美がやってきました。

亜由美は殿永に、大学の後輩で、内山久美子という子がいると話をします。
久美子の父親がお金を使い込んで逮捕され、母親と2人、家も失ってしまいました。
久美子はともかく必死でバイトをして、母との暮らしを支えています。

そんな久美子が、昨日、
『明日はお金になるバイトがある』と嬉しげに言ったのだそうです。
酒戸美亜は、久美子に花嫁の身替りをさせ、
少しでも時間を稼いで駆け落ちするつもりだったのでした。

その頃、八田圭治は酒戸美亜と旅館に泊まっていました。
圭治は美亜と知り合って、まだひと月余りで、
私と駆け落ちして、と美亜に言われ、うん、いいよ、
と言って駆け落ちすることになったのでした。

高そうな旅館なのが心配になり、圭治が美亜のボストンバッグの口を開けると、
4000万円くらい入っているようでした。

一方、酒戸雄太郎は、誘拐されたのが美亜ではないと知ると、
身代金は払わないと亜由美に言い、報道陣の前で、
誘拐されたのは身代りのアルバイトだったと暴露してしまいました。

誘拐犯の3人、ミツル、ケン、そしてリーダーらしい中年の男の笹井は、
10億は身代金を要求すると言いました。

ミツルとケンがお弁当を買いに行っている間、笹井は、
俺には夢があるんだ、外国へ行く、そこで農場を始めるんだ、と言いました。

笹井の家はもともと農家でしたが、笹井の両親が、
不動産屋とグルになった市の職員に追い立てを食らい、
土地と家を騙し取られてしまいました。
すべてが済んでから話を聞いて、頭に来た笹井は、職員をぶん殴り、
傷害罪で刑務所へ1年くらい入れられ、出て来たら、
父親は死んでしまっていたのだそうです。

ミツルとケンが戻ってきて、酒戸雄太郎に身代金を要求する電話をかけると、
TVを見てないのか? 身代金など一円も出せん、と酒戸雄太郎は言い、
大笑いして、電話を切ってしまいました。

笹井はTV局に電話し、酒戸美亜の身替りになった内山久美子を無事に返すため、
身代金3000万円を支払うよう、酒戸雄太郎に要求しました。

しかし、酒戸雄太郎を追いかけていたカメラの前で、酒戸雄太郎は、
他人の娘がどうなろうと、知ったことか! と言いました。

久美子の母親の内山充子が、酒戸雄太郎に土下座して、
もしお金が戻らなかったら、一生かかってでもお返しします、
と言って身代金を出してもらおうとしますが、
酒戸雄太郎は断り、内山充子を蹴飛ばしました。

もともと具合が悪かった内山充子は、心臓の発作で亡くなってしまいました。

怒った久美子は、本当に酒戸美亜を誘拐して、十億円、もぎ取ってやる!
と笹井達に宣言しました。

一方、旅館にいた圭治は、昔アルバイトに行っていた芸能事務所の人間、
仲根紘一と再会しました。
圭治は、安美(あみ)というアイドルに会いたくてバイトに行っていましたが、
安美は今は開店休業状態でした。

(……ところで、亜由美(あゆみ)と美亜(みあ)だけでもややこしいのに、
その上、安美(あみ)という名前のキャラを出すのは勘弁してほしいですね)

圭治は、今は大川ユミカという22歳のアイドルのファンだと、仲根に言いました。
仲根に酒を飲まされて酔った圭治は、駆け落ちした女が、札束をごっそり持っていた、
ということを喋ってしまいました。

仲根の連れの大川ユミカから、駅まで迎えに来てくれと電話がありましたが、
フロントの従業員は迎えに行ってくれませんでした。
車は貸してくれることになりましたが、仲根は酒を飲んでいました。
そこへ通りがかった酒戸美亜が、大川ユミカを迎えに行くことになりました。

翌日の昼に起きた亜由美のケータイに、久美子からメールが届いていました。
メールには犯人に殺されるということが書かれていて、
亜由美は大粒の涙をこぼしましたが、ドン・ファンが唸りました。
このメールは久美子のケータイから送られて来ていましたが、
誘拐された時、久美子はケータイなんか持ってなかったと亜由美は気づきました。

披露宴のホテルのカメラを調べてもらおうと、ジーンズにジャンパー姿の久美子が、
見張りなしでホテルに預けていたバッグを持ち歩いているところが映っていました。
久美子が自宅のアパートに戻ってくるかもしれないと思った亜由美は、
聡子とアパートを見張ることにしました。

その頃、旅館のティールームにいた圭治、美亜、仲根、大川ユミカは、
落ち目のアイドル、安美がそこでウエイトレスのアルバイトをしているのを知りました。

その後、圭治は新聞を読んで、美亜の身替りに久美子が誘拐されていた事件を知りました。

仲根は、大川ユミカを連れて独立するために、
億単位のお金を酒戸雄太郎からいただく、と圭治に言いました。

その話を安美も盗み聞きしていて、仲間にしてほしいと仲根に言いました。

一方、久美子のアパートを見張っていた亜由美と聡子は、
笹井の母親だという老婦人、笹井糸代(いとよ)に話しかけられました。
糸代は、TV局にかかってきた電話を聞いて、笹井が誘拐犯だと気づいたのでした。
また、〈N山温泉〉にいると笹井から糸代にメールが届いていて、
亜由美、ドン・ファン、聡子は〈N山温泉〉に向かうことになりました。

〈N山温泉〉の最寄駅に着くと、〈豪華荘〉から迎えのワゴン車が来ていました。
〈豪華荘〉が〈N山温泉〉そのものなので、笹井達がいる旅館を捜さなくても済みました。

ワゴン車に乗ろうとすると、同じ列車に乗っていたのに、黙っていた、
亜由美の両親、塚川清美と塚川貞夫に呼び止められました。

道山という32歳のTV局のリポーターの男が、その様子を見ていました。
道山は、久美子の友人の亜由美を知っていて、亜由美を尾行していたのでした。

亜由美達が〈豪華荘〉に行くと、名門女子高校の女の子達が騒いでいました。
ドン・ファンは女の子達に大人気でした。

その中の1人、西方百合子(にしかた・ゆりこ)という利発そうな女の子に、
亜由美は久美子の写真を見せ、捜すのを手伝ってほしいと頼みました。

久美子は亜由美を見つけて隠れていました。
また、酒戸美亜が大浴場に行くのを見つけ、追いかけました。

一方その頃、大雨で困っていた道山は、相沢というビジネスマン風の男の車に乗せてもらい、
〈豪華荘〉へ行く途中でした。
相沢は、人を殺すのを商売にしていて、
仕事をするときは他人に親切にすることでバランスを取っていました。

仲根は、酒戸美亜が大浴場へ行っている間に、
美亜のバッグから札束を2つ3つちょうだいしようとしていましたが、
バッグには札束は入っていませんでした。
そこへ、美亜がやってきて、鉢合わせしましたが、
美亜は仲根のことなど気にも留めていませんでした。

一方、亜由美は大浴場で美亜を見つけましたが、そこに女子高生の集団が入ってきて、
見失ってしまいました。

西方百合子は真夜中のロビーで、母親とケータイで話をしていました。
話が終わると、美亜に話しかけられました。
百合子の母親は病気で、自殺しかけて、入院していて、夜中に友利子に電話してくる、
という事情を百合子は説明しました。
百合子の父親は女ぐせが悪く、秘書の人に子供ができて、
母親はノイローゼになってしまったのだそうです。

自分を責めたりしちゃだめよ、間違ってるのはお父さんの方よ、と美亜は言いました。

百合子は美亜をTVで見て知っていて、ふと思い付いて、久美子の写真を見せました。
久美子と亜由美がこの旅館にいると知り、美亜は唖然としていました。

百合子と美亜は仲良くなり、大浴場へ行きました。
それを、ドン・ファンに起こされた亜由美が見ていました。
亜由美はロビーのソファで、2人が戻ってくるのを待つことにしました。

大浴場に行く途中、仲根とすれ違った美亜は、仲根がお金を盗もうとしていた、
ということを百合子に話しました。
しかし、お金はこの旅館のセーフティボックスに預けてあったので盗まれませんでした。

一方、久美子はロビーで亜由美のソファが寝ているのを見つけ、
美亜が大浴場に入っていて、待っているのかもしれないと気づきました。

久美子はミツルとケンに頼み、亜由美の両手両足を縛らせ、
〈リネン室〉に運び込ませました。

そのリネン室の中には、浴衣姿の男の死体がありました。
亜由美はドアを思い切り20回、30回と蹴飛ばし、旅館の男に気づいてもらいました。

亜由美は聡子、ドン・ファンと合流し、大浴場へ行きますが、
美亜がさらわれたと百合子に言われました。

殿永も旅館にやってきてくれ、リネン室の死体の顔を見て、
暴.力団の会計係をつとめていた朝倉純一だと言いました。
朝倉は、病気の妻に、できる限り好きなことをさせてやりたくて、
組のお金を盗んでいました。
妻は先月亡くなり、自分1人が殺されるだけで済むように、ここへやってきたのでした。

亜由美は、美亜は旅館の車で誘拐されたはずだと気づき、
調べてもらうと、その通りでした。

その頃、酒戸雄太郎は愛.人と一緒にいましたが、
美亜が誘拐されたと妻から電話があっても、呑気に愛.人と遊んでいました。

翌日の昼前に、崖の下で旅館の車が見つかりました。
その車の落ちた場所へ行くと、崖の上で聡子が滑り、そこの土が崩れ、
崖から落ちそうになってしまいました。

それを、相沢という男が助けてくれました。

誘拐事件や、大川ユミカが仲根と一緒にいることを知った道山は、
ロビーでそのことを上司に報告していましたが、
それを殿永に見つかり、捜査の邪魔だとどこかへ閉じ込められてしまいました。

美亜が誘拐されてしまったことを知り、仲根や圭治は途方にくれていました。

しかし、安美が仲根を連れ、旅館の裏庭のプレハブの倉庫へ案内しました。
プレハブの中には、手足を縛られた美亜が横たわっていました。

久美子が笹井たちと美亜をさらって逃げようとしましたが、
安美はバイクで追いかけたのだそうです。
車は崖から落ちそうになり、美亜と久美子と笹井は車から抜け出しましたが、
ケンとミツルは車ごと落ちてしまったのだそうです。

安美は、助かった久美子と笹井が、
意識の無い美亜を抱えて呆然としていたところへ声をかけ、
ここまで運び込ませたのだでした。

その後、久美子と笹井を、古井戸に案内して、突き落としたのだと、安美は言いました。

酒戸雄太郎のところに、縛られている酒戸美亜の写真が添えられ、
身代金要求のメールが入った、という知らせを殿永は受けました。

その写真を見たドン・ファンは、
卓球のピンポン台が置かれている場所に亜由美を連れていきました。

亜由美は、写真の隅に、ピンポン台の角と同じものが映っているのに気づき、
ピンポン台の古いのを、どこかへ片付けなかったかと旅館の従業員に訊ねました。

裏庭のプレハブの倉庫の中へ片付けたと言われ、そこへ案内してもらいます。

その頃、仲根はユミカへ、俺たちは娘を助け出す、
安美が誘拐と殺人を1人でやったことにする、という内容のメールを送りました。

亜由美はプレハブの倉庫で美亜を見つけましたが、美亜は、
私……倉庫に戻っていましょうか、そうすれば犯人も油断するでしょ、と言いました。

しかし、亜由美が美亜の身代りに、倉庫にいることになりました。

聡子は百合子を連れてロビーに戻り、相沢と再会しました。
崖で落ちそうになってくれたのを助けてくれたお礼に、聡子がコーヒーを頼みに行きます。
その間に、百合子は、相沢のことを相沢先生と呼びました。
相沢は昔、百合子の学校で教師をやっていましたが、
人の奥さんと駆け落ちしてしまい、突然いなくなったのだそうです。

聡子を助けたことを知った百合子は、やっぱり相沢先生だ!
人助けに命をかけるのが、立派な人間のすることだって言ってたものね、と言いました。

相沢は、忘れた、と言い、足早に立ち去りました。

夜になり、仲根は安美に連れ出され、プレハブの倉庫まで行きました。
縛られている娘を見た後、例の久美子と笹井を突き落とした井戸へ案内してもらいます。
圭治に先回りしてもらっているはずでしたが、圭治は現れませんでした。

そこで安美は、「笹井が持っていた拳銃を仲根に向け、ここであんたは死ぬのよ、
私が酒戸美亜を救い出すの、そして礼金をもらう、話題になって、スターに戻れるわ、
と言いました。
仲根はユミカへメールを送ったつもりで、間違えて安美にメールしていたのでした。

銃声が響きましたが、仲根ではなく美亜が倒れました。
そこへ、殿永と亜由美がやってきました。

拳銃を持った相沢が現れ、浅倉純一を殺したことを認めました。
安美を撃ったのは、人を殺した分、他で人助けをしたかったからでした。

西川百合子に伝えてくれ、俺は最後に人助けをして死んだと、と相沢は言い、
自らのこめかみを撃ち、自殺してしまいました。

また、井戸に落ちていた久美子と笹井は、足を骨折していましたが、生きていました。

場面が変わり、ロビーで、ユミカと仲根が怒鳴り合っていました。
道山は、やっぱりスクープしそこないか、と力なく立っていました。
圭治は安美に頭を殴られて入院していました。
百合子は、美亜に誘われ、2人で生活してみることにしました。


というあらすじなのですが、結局、
酒戸雄太郎が全く痛い目を見ないまま終わってしまったのが、
ちょっと不完全燃焼ですね……。
それ以外は良かったのですが。

赤川次郎「招待状 赤川次郎ショートショート王国」4話「久しぶりの里帰り」のネタバレ解説

主人公の村井恵子は、毎年、必ずお盆と正月には帰るから、
と約束して町を出ましたが、都会での生活は甘くなく、
必死で仕事を探し、働き続ける内、お盆も正月も、くり返し過ぎて行きました。

そして、恵子は久々に故郷への「里帰り」を果たしました。

しかし、以前は、個人の商店が並んでいるだけだった駅前が、
今は都心の駅と少しも変らない風景に様変わりしていました。

両親の家は、農家だったから町から大分離れていました。

しかし、我が家の玄関前に立った恵子は、
家の向うに、畑の代わりに二階建てのアパートらしいものが
2棟も建っているのを見て、当惑しました。

玄関の戸を開け、茶の間を覗いてみましたが、両親はいませんでした。

7、8歳くらいの女の子が恵子を見て、30代半ばの母親を連れて戻ってきました。

母親は久子と名乗り、ここは主人と私の家です、と言いました。
恵子は、私は村井恵子です、ここの娘の、と名乗りましたが、
この家は山田ですけど、と久子は言いました。

久子は、お茶でも……と言い立ちましたが、
夫にケータイで電話し、警察へ連絡してと言っていました。

この夫婦は、私の方がおかしい、と警察へ突き出すつもりだ、
年老いた両親を騙して、この家を手に入れたのではないか、
と思い、逃げ出そうとしました。

しかし、玄関の戸が開き、久子の夫が帰ってきました。

恵子はバッグを久子の夫へ投げつけ、廊下の奥へと駆けて行きました。

廊下の奥に、恵子の母が立っているのを見て、
母に駆け寄りますが、「それは鏡にうつった恵子本人でした。

やせ形の男が映り、母さん、帰ろう、ここはもう母さんの家じゃないんだよ、と言いました。

どうして? 私、やっと里帰りしたのに……、と、鏡の中で老女が泣いていました。


というあらすじなのですが、要するに恵子は、
認知症になってしまっていたのですね。

認知症になった高齢者が、昔住んでいた家に帰ろうとする、
という話はよく聞きますが、悲しいですね……。

赤川次郎「招待状 赤川次郎ショートショート王国」3話「眠れぬ熱帯夜」のネタバレ解説

「私」の友人は、「私」と待ち合わせをしていた店に来ると、
三十何年か生きてるけど、憶えてる限りで、
こんな暑い夏は初めてだと言いました。

毎夜、熱帯夜が続いていましたが、そのおかげで、
めったにできない経験をしたんだ、と友人は言い、
その夜のことを話し始めました。

友人が暑くて起き出して、汗でべたついた体をタオルで拭いていたとき、
アパートの玄関のドアの外で、何かが倒れるような音がしました。

ドアを開けてみると、奥の部屋で一人暮しをしている女性が倒れていました。

部屋で解放すると、女性は友人の写真を見て、
山本……もしかして、良介とおっしゃいます?
と言いました。

その女性は、友人が高校生のころ、
付合っていた吉原(よしわら)みどりだったのでした。

あなたはどれくらい向うに行ってたの?
アフリカに行って、難民の救済のために働いてたんでしょ?
と吉原みどりは訊きましたが、
僕は日本から全然出てないよ、誰か、他の男と間違えてるんじゃないの?
と友人は答えました。

吉原みどりは一度友人の部屋を出た後、
鋭く尖った包丁を持って戻ってきました。

大学を選ぶとき、友人はアフリカで人の役に立ちたいと言い、
吉原みどりに別れを告げ、吉原みどりは友人と初めての経験をした、
ということを吉原みどりは言いました。

あのとき、吉原みどりは友人の子を〇ごもりましたが、
良心はショックで老け込んで早死にし、生まれた子供は里子に出した、
という話を吉原みどりはしました。

あなたは私たち一家の生活をめちゃくちゃにして、
しかも私のことなんかケロッと忘れてるのね!
と吉原みどりは叫び、包丁で友人を刺そうとしました。

という話を、友人は「私」に話し、「そこで目がさめたんだ、
と言ったのでした。


というあらすじなのですが、「夢オチかよ……、という感じですね。
いくら何でも、これはクオリティが低すぎるのではないでしょうか。
オチの直前までは面白かったのに、残念です。

赤川次郎「招待状 赤川次郎ショートショート王国」2話「封印された贈りもの」のネタバレ解説

由紀の夫の上条一郎は、酔って帰宅すると大声で怒鳴りました。

由紀はテーブルの上の書類を取り上げ、銀行も、
これ以上の貸し付けはできない、という話をしました。

軽井沢の別荘、ゴルフの会員権、上条一郎のポルシェを売り払って、
出費をおさえるしかない、と由紀は言います。

この家はもう抵当に入ってる、
あなたがマンションを借りてやってる彼女とも別れてもらいます、
もう20年も結婚してるのよ、分らないと思ってたの?
と由紀は言いました。

今の会社を女手一つで始めた由紀の母親は、
死に臨んで、厳重に封印した金属の箱を娘夫婦に見せて、
本当に困ったとき、これを開けなさいと言い遺していました。

母の死後、会社の実権を握った上条一郎は、
次々に新しい事業を始めては失敗し、
会社を危うくして行きました。

例の箱を開けたいと言う上条一郎に、
由紀は離婚届を出してテーブルに置き、
これに印を押してちょうだい、と言いました。

上条一郎は謝り、もう一度、ゼロから2人でやり直そう、
と言ってワインで乾杯しました。

しかし、上条一郎は由紀のグラスに睡眠薬を入れていて、
由紀は眠ってしまいました。

上条一郎は、由紀のスカートのポケットからキーホルダーを取り出し、
2階へあがり、例の金属の箱を開けました。

中身は、小袋に入った粉薬らしいものと、手紙が入っていました。

手紙には、これは東洋の秘薬で、飲んでしばらくしてから、
フッと眠るように死ねる、ということが書かれていました。

手紙には〈入っているのは粉薬2袋〉と書かれていましたが、
1つしか入っていませんでした。

上条一郎は、突然胸が苦しくなり、息絶えました。

由紀がやって来て、「発作かしら、と言いました。
由紀は粉薬を一袋取り出していましたが、使う必要もなくなりました。

自然死だから、生命保険がおりる、それで会社は救われるかもしれない、
と由紀は思いました。
それが、夫からもらった、初めての贈りものなのかもしれませんでした。

というあらすじなのですが、結局、上条一郎は、
由紀がワインに粉薬を入れたと思い込み、
そのショックで心臓発作を起こして死んでしまった、

というオチですね。
プロフィール
Author:しまうました
見やすい記事一覧はこちらです。
スポンサードリンク

十二大戦対十二大戦 (JUMP j BOOKS)

さとり世代探偵のゆるやかな日常 (新潮文庫nex)

キノの旅XXI the Beautiful World (電撃文庫)

このブログについて
見やすい記事一覧はこちらです。
このブログの記事は管理人「しまうました」の独自の解釈によるものなので、制作者の意図したものや一般に考えられているものとは異なる場合があります。
個人の趣味でやっているブログなので、解説してほしい本のリクエストは受け付けていません。
ネタバレ部分は白字にしてあるので反転してお読みください。
荒らし対策のため、コメントを承認制に変更しました。承認したコメントに対しても、管理人は基本的には返信しません。また、後日予告なく削除する場合があります。ご了承ください。
今月の人気ページ
人気ページの集計期間は30日間です。2018年2月12日リセット。
スポンサードリンク
カテゴリ
検索フォーム
最新記事
月別アーカイブ(タブ)
最新コメント
FC2カウンター
スポンサードリンク

ソードアート・オンライン プログレッシブ (4) (電撃文庫)

業物語 (講談社BOX)

キノの旅XX the Beautiful World (電撃文庫)

悪の教典 上 (文春文庫)

                amazon人気本ランキング  楽天ランキング
RSSリンクの表示
QRコード
QR
記事一覧
見やすい記事一覧はこちらです。