赤川次郎「綱わたりの花嫁」のネタバレ解説

綱わたりの花嫁 (ジョイ・ノベルス)


花嫁シリーズ第30弾です。
いつもは短編が2つ収録される形式になっていましたが、
今回は長編です。

披露宴の最中に、覆面をした3人の男たちが飛び込んできて、
天井へ向けて拳銃を撃ち、花嫁の腕をつかんで会場から連れ出す、
という事件が起こりました。

場面が変わり、21歳の酒戸美亜(さかと・みあ)は、
やはり21歳のの八田圭治(はった・けいじ)と、
新幹線に乗って駆け落ちしようとしていました。

待ち合わせしていたカフェのTVで、
冒頭の花嫁が連れ去られるというニュースを報道していました。

花嫁は酒戸美亜21歳で、父親の酒戸雄太郎は大手パチンコ店のチェーンを経営、
1代で莫大な財産を手にしたことで有名だと報道していました。

警視庁で酒戸雄太郎が殿永部長刑事に怒鳴り散らしていると、
塚川亜由美がやってきました。

亜由美は殿永に、大学の後輩で、内山久美子という子がいると話をします。
久美子の父親がお金を使い込んで逮捕され、母親と2人、家も失ってしまいました。
久美子はともかく必死でバイトをして、母との暮らしを支えています。

そんな久美子が、昨日、
『明日はお金になるバイトがある』と嬉しげに言ったのだそうです。
酒戸美亜は、久美子に花嫁の身替りをさせ、
少しでも時間を稼いで駆け落ちするつもりだったのでした。

その頃、八田圭治は酒戸美亜と旅館に泊まっていました。
圭治は美亜と知り合って、まだひと月余りで、
私と駆け落ちして、と美亜に言われ、うん、いいよ、
と言って駆け落ちすることになったのでした。

高そうな旅館なのが心配になり、圭治が美亜のボストンバッグの口を開けると、
4000万円くらい入っているようでした。

一方、酒戸雄太郎は、誘拐されたのが美亜ではないと知ると、
身代金は払わないと亜由美に言い、報道陣の前で、
誘拐されたのは身代りのアルバイトだったと暴露してしまいました。

誘拐犯の3人、ミツル、ケン、そしてリーダーらしい中年の男の笹井は、
10億は身代金を要求すると言いました。

ミツルとケンがお弁当を買いに行っている間、笹井は、
俺には夢があるんだ、外国へ行く、そこで農場を始めるんだ、と言いました。

笹井の家はもともと農家でしたが、笹井の両親が、
不動産屋とグルになった市の職員に追い立てを食らい、
土地と家を騙し取られてしまいました。
すべてが済んでから話を聞いて、頭に来た笹井は、職員をぶん殴り、
傷害罪で刑務所へ1年くらい入れられ、出て来たら、
父親は死んでしまっていたのだそうです。

ミツルとケンが戻ってきて、酒戸雄太郎に身代金を要求する電話をかけると、
TVを見てないのか? 身代金など一円も出せん、と酒戸雄太郎は言い、
大笑いして、電話を切ってしまいました。

笹井はTV局に電話し、酒戸美亜の身替りになった内山久美子を無事に返すため、
身代金3000万円を支払うよう、酒戸雄太郎に要求しました。

しかし、酒戸雄太郎を追いかけていたカメラの前で、酒戸雄太郎は、
他人の娘がどうなろうと、知ったことか! と言いました。

久美子の母親の内山充子が、酒戸雄太郎に土下座して、
もしお金が戻らなかったら、一生かかってでもお返しします、
と言って身代金を出してもらおうとしますが、
酒戸雄太郎は断り、内山充子を蹴飛ばしました。

もともと具合が悪かった内山充子は、心臓の発作で亡くなってしまいました。

怒った久美子は、本当に酒戸美亜を誘拐して、十億円、もぎ取ってやる!
と笹井達に宣言しました。

一方、旅館にいた圭治は、昔アルバイトに行っていた芸能事務所の人間、
仲根紘一と再会しました。
圭治は、安美(あみ)というアイドルに会いたくてバイトに行っていましたが、
安美は今は開店休業状態でした。

(……ところで、亜由美(あゆみ)と美亜(みあ)だけでもややこしいのに、
その上、安美(あみ)という名前のキャラを出すのは勘弁してほしいですね)

圭治は、今は大川ユミカという22歳のアイドルのファンだと、仲根に言いました。
仲根に酒を飲まされて酔った圭治は、駆け落ちした女が、札束をごっそり持っていた、
ということを喋ってしまいました。

仲根の連れの大川ユミカから、駅まで迎えに来てくれと電話がありましたが、
フロントの従業員は迎えに行ってくれませんでした。
車は貸してくれることになりましたが、仲根は酒を飲んでいました。
そこへ通りがかった酒戸美亜が、大川ユミカを迎えに行くことになりました。

翌日の昼に起きた亜由美のケータイに、久美子からメールが届いていました。
メールには犯人に殺されるということが書かれていて、
亜由美は大粒の涙をこぼしましたが、ドン・ファンが唸りました。
このメールは久美子のケータイから送られて来ていましたが、
誘拐された時、久美子はケータイなんか持ってなかったと亜由美は気づきました。

披露宴のホテルのカメラを調べてもらおうと、ジーンズにジャンパー姿の久美子が、
見張りなしでホテルに預けていたバッグを持ち歩いているところが映っていました。
久美子が自宅のアパートに戻ってくるかもしれないと思った亜由美は、
聡子とアパートを見張ることにしました。

その頃、旅館のティールームにいた圭治、美亜、仲根、大川ユミカは、
落ち目のアイドル、安美がそこでウエイトレスのアルバイトをしているのを知りました。

その後、圭治は新聞を読んで、美亜の身替りに久美子が誘拐されていた事件を知りました。

仲根は、大川ユミカを連れて独立するために、
億単位のお金を酒戸雄太郎からいただく、と圭治に言いました。

その話を安美も盗み聞きしていて、仲間にしてほしいと仲根に言いました。

一方、久美子のアパートを見張っていた亜由美と聡子は、
笹井の母親だという老婦人、笹井糸代(いとよ)に話しかけられました。
糸代は、TV局にかかってきた電話を聞いて、笹井が誘拐犯だと気づいたのでした。
また、〈N山温泉〉にいると笹井から糸代にメールが届いていて、
亜由美、ドン・ファン、聡子は〈N山温泉〉に向かうことになりました。

〈N山温泉〉の最寄駅に着くと、〈豪華荘〉から迎えのワゴン車が来ていました。
〈豪華荘〉が〈N山温泉〉そのものなので、笹井達がいる旅館を捜さなくても済みました。

ワゴン車に乗ろうとすると、同じ列車に乗っていたのに、黙っていた、
亜由美の両親、塚川清美と塚川貞夫に呼び止められました。

道山という32歳のTV局のリポーターの男が、その様子を見ていました。
道山は、久美子の友人の亜由美を知っていて、亜由美を尾行していたのでした。

亜由美達が〈豪華荘〉に行くと、名門女子高校の女の子達が騒いでいました。
ドン・ファンは女の子達に大人気でした。

その中の1人、西方百合子(にしかた・ゆりこ)という利発そうな女の子に、
亜由美は久美子の写真を見せ、捜すのを手伝ってほしいと頼みました。

久美子は亜由美を見つけて隠れていました。
また、酒戸美亜が大浴場に行くのを見つけ、追いかけました。

一方その頃、大雨で困っていた道山は、相沢というビジネスマン風の男の車に乗せてもらい、
〈豪華荘〉へ行く途中でした。
相沢は、人を殺すのを商売にしていて、
仕事をするときは他人に親切にすることでバランスを取っていました。

仲根は、酒戸美亜が大浴場へ行っている間に、
美亜のバッグから札束を2つ3つちょうだいしようとしていましたが、
バッグには札束は入っていませんでした。
そこへ、美亜がやってきて、鉢合わせしましたが、
美亜は仲根のことなど気にも留めていませんでした。

一方、亜由美は大浴場で美亜を見つけましたが、そこに女子高生の集団が入ってきて、
見失ってしまいました。

西方百合子は真夜中のロビーで、母親とケータイで話をしていました。
話が終わると、美亜に話しかけられました。
百合子の母親は病気で、自殺しかけて、入院していて、夜中に友利子に電話してくる、
という事情を百合子は説明しました。
百合子の父親は女ぐせが悪く、秘書の人に子供ができて、
母親はノイローゼになってしまったのだそうです。

自分を責めたりしちゃだめよ、間違ってるのはお父さんの方よ、と美亜は言いました。

百合子は美亜をTVで見て知っていて、ふと思い付いて、久美子の写真を見せました。
久美子と亜由美がこの旅館にいると知り、美亜は唖然としていました。

百合子と美亜は仲良くなり、大浴場へ行きました。
それを、ドン・ファンに起こされた亜由美が見ていました。
亜由美はロビーのソファで、2人が戻ってくるのを待つことにしました。

大浴場に行く途中、仲根とすれ違った美亜は、仲根がお金を盗もうとしていた、
ということを百合子に話しました。
しかし、お金はこの旅館のセーフティボックスに預けてあったので盗まれませんでした。

一方、久美子はロビーで亜由美のソファが寝ているのを見つけ、
美亜が大浴場に入っていて、待っているのかもしれないと気づきました。

久美子はミツルとケンに頼み、亜由美の両手両足を縛らせ、
〈リネン室〉に運び込ませました。

そのリネン室の中には、浴衣姿の男の死体がありました。
亜由美はドアを思い切り20回、30回と蹴飛ばし、旅館の男に気づいてもらいました。

亜由美は聡子、ドン・ファンと合流し、大浴場へ行きますが、
美亜がさらわれたと百合子に言われました。

殿永も旅館にやってきてくれ、リネン室の死体の顔を見て、
暴.力団の会計係をつとめていた朝倉純一だと言いました。
朝倉は、病気の妻に、できる限り好きなことをさせてやりたくて、
組のお金を盗んでいました。
妻は先月亡くなり、自分1人が殺されるだけで済むように、ここへやってきたのでした。

亜由美は、美亜は旅館の車で誘拐されたはずだと気づき、
調べてもらうと、その通りでした。

その頃、酒戸雄太郎は愛.人と一緒にいましたが、
美亜が誘拐されたと妻から電話があっても、呑気に愛.人と遊んでいました。

翌日の昼前に、崖の下で旅館の車が見つかりました。
その車の落ちた場所へ行くと、崖の上で聡子が滑り、そこの土が崩れ、
崖から落ちそうになってしまいました。

それを、相沢という男が助けてくれました。

誘拐事件や、大川ユミカが仲根と一緒にいることを知った道山は、
ロビーでそのことを上司に報告していましたが、
それを殿永に見つかり、捜査の邪魔だとどこかへ閉じ込められてしまいました。

美亜が誘拐されてしまったことを知り、仲根や圭治は途方にくれていました。

しかし、安美が仲根を連れ、旅館の裏庭のプレハブの倉庫へ案内しました。
プレハブの中には、手足を縛られた美亜が横たわっていました。

久美子が笹井たちと美亜をさらって逃げようとしましたが、
安美はバイクで追いかけたのだそうです。
車は崖から落ちそうになり、美亜と久美子と笹井は車から抜け出しましたが、
ケンとミツルは車ごと落ちてしまったのだそうです。

安美は、助かった久美子と笹井が、
意識の無い美亜を抱えて呆然としていたところへ声をかけ、
ここまで運び込ませたのだでした。

その後、久美子と笹井を、古井戸に案内して、突き落としたのだと、安美は言いました。

酒戸雄太郎のところに、縛られている酒戸美亜の写真が添えられ、
身代金要求のメールが入った、という知らせを殿永は受けました。

その写真を見たドン・ファンは、
卓球のピンポン台が置かれている場所に亜由美を連れていきました。

亜由美は、写真の隅に、ピンポン台の角と同じものが映っているのに気づき、
ピンポン台の古いのを、どこかへ片付けなかったかと旅館の従業員に訊ねました。

裏庭のプレハブの倉庫の中へ片付けたと言われ、そこへ案内してもらいます。

その頃、仲根はユミカへ、俺たちは娘を助け出す、
安美が誘拐と殺人を1人でやったことにする、という内容のメールを送りました。

亜由美はプレハブの倉庫で美亜を見つけましたが、美亜は、
私……倉庫に戻っていましょうか、そうすれば犯人も油断するでしょ、と言いました。

しかし、亜由美が美亜の身代りに、倉庫にいることになりました。

聡子は百合子を連れてロビーに戻り、相沢と再会しました。
崖で落ちそうになってくれたのを助けてくれたお礼に、聡子がコーヒーを頼みに行きます。
その間に、百合子は、相沢のことを相沢先生と呼びました。
相沢は昔、百合子の学校で教師をやっていましたが、
人の奥さんと駆け落ちしてしまい、突然いなくなったのだそうです。

聡子を助けたことを知った百合子は、やっぱり相沢先生だ!
人助けに命をかけるのが、立派な人間のすることだって言ってたものね、と言いました。

相沢は、忘れた、と言い、足早に立ち去りました。

夜になり、仲根は安美に連れ出され、プレハブの倉庫まで行きました。
縛られている娘を見た後、例の久美子と笹井を突き落とした井戸へ案内してもらいます。
圭治に先回りしてもらっているはずでしたが、圭治は現れませんでした。

そこで安美は、「笹井が持っていた拳銃を仲根に向け、ここであんたは死ぬのよ、
私が酒戸美亜を救い出すの、そして礼金をもらう、話題になって、スターに戻れるわ、
と言いました。
仲根はユミカへメールを送ったつもりで、間違えて安美にメールしていたのでした。

銃声が響きましたが、仲根ではなく美亜が倒れました。
そこへ、殿永と亜由美がやってきました。

拳銃を持った相沢が現れ、浅倉純一を殺したことを認めました。
安美を撃ったのは、人を殺した分、他で人助けをしたかったからでした。

西川百合子に伝えてくれ、俺は最後に人助けをして死んだと、と相沢は言い、
自らのこめかみを撃ち、自殺してしまいました。

また、井戸に落ちていた久美子と笹井は、足を骨折していましたが、生きていました。

場面が変わり、ロビーで、ユミカと仲根が怒鳴り合っていました。
道山は、やっぱりスクープしそこないか、と力なく立っていました。
圭治は安美に頭を殴られて入院していました。
百合子は、美亜に誘われ、2人で生活してみることにしました。


というあらすじなのですが、結局、
酒戸雄太郎が全く痛い目を見ないまま終わってしまったのが、
ちょっと不完全燃焼ですね……。
それ以外は良かったのですが。

赤川次郎「招待状 赤川次郎ショートショート王国」4話「久しぶりの里帰り」のネタバレ解説

主人公の村井恵子は、毎年、必ずお盆と正月には帰るから、
と約束して町を出ましたが、都会での生活は甘くなく、
必死で仕事を探し、働き続ける内、お盆も正月も、くり返し過ぎて行きました。

そして、恵子は久々に故郷への「里帰り」を果たしました。

しかし、以前は、個人の商店が並んでいるだけだった駅前が、
今は都心の駅と少しも変らない風景に様変わりしていました。

両親の家は、農家だったから町から大分離れていました。

しかし、我が家の玄関前に立った恵子は、
家の向うに、畑の代わりに二階建てのアパートらしいものが
2棟も建っているのを見て、当惑しました。

玄関の戸を開け、茶の間を覗いてみましたが、両親はいませんでした。

7、8歳くらいの女の子が恵子を見て、30代半ばの母親を連れて戻ってきました。

母親は久子と名乗り、ここは主人と私の家です、と言いました。
恵子は、私は村井恵子です、ここの娘の、と名乗りましたが、
この家は山田ですけど、と久子は言いました。

久子は、お茶でも……と言い立ちましたが、
夫にケータイで電話し、警察へ連絡してと言っていました。

この夫婦は、私の方がおかしい、と警察へ突き出すつもりだ、
年老いた両親を騙して、この家を手に入れたのではないか、
と思い、逃げ出そうとしました。

しかし、玄関の戸が開き、久子の夫が帰ってきました。

恵子はバッグを久子の夫へ投げつけ、廊下の奥へと駆けて行きました。

廊下の奥に、恵子の母が立っているのを見て、
母に駆け寄りますが、「それは鏡にうつった恵子本人でした。

やせ形の男が映り、母さん、帰ろう、ここはもう母さんの家じゃないんだよ、と言いました。

どうして? 私、やっと里帰りしたのに……、と、鏡の中で老女が泣いていました。


というあらすじなのですが、要するに恵子は、
認知症になってしまっていたのですね。

認知症になった高齢者が、昔住んでいた家に帰ろうとする、
という話はよく聞きますが、悲しいですね……。

赤川次郎「招待状 赤川次郎ショートショート王国」3話「眠れぬ熱帯夜」のネタバレ解説

「私」の友人は、「私」と待ち合わせをしていた店に来ると、
三十何年か生きてるけど、憶えてる限りで、
こんな暑い夏は初めてだと言いました。

毎夜、熱帯夜が続いていましたが、そのおかげで、
めったにできない経験をしたんだ、と友人は言い、
その夜のことを話し始めました。

友人が暑くて起き出して、汗でべたついた体をタオルで拭いていたとき、
アパートの玄関のドアの外で、何かが倒れるような音がしました。

ドアを開けてみると、奥の部屋で一人暮しをしている女性が倒れていました。

部屋で解放すると、女性は友人の写真を見て、
山本……もしかして、良介とおっしゃいます?
と言いました。

その女性は、友人が高校生のころ、
付合っていた吉原(よしわら)みどりだったのでした。

あなたはどれくらい向うに行ってたの?
アフリカに行って、難民の救済のために働いてたんでしょ?
と吉原みどりは訊きましたが、
僕は日本から全然出てないよ、誰か、他の男と間違えてるんじゃないの?
と友人は答えました。

吉原みどりは一度友人の部屋を出た後、
鋭く尖った包丁を持って戻ってきました。

大学を選ぶとき、友人はアフリカで人の役に立ちたいと言い、
吉原みどりに別れを告げ、吉原みどりは友人と初めての経験をした、
ということを吉原みどりは言いました。

あのとき、吉原みどりは友人の子を〇ごもりましたが、
良心はショックで老け込んで早死にし、生まれた子供は里子に出した、
という話を吉原みどりはしました。

あなたは私たち一家の生活をめちゃくちゃにして、
しかも私のことなんかケロッと忘れてるのね!
と吉原みどりは叫び、包丁で友人を刺そうとしました。

という話を、友人は「私」に話し、「そこで目がさめたんだ、
と言ったのでした。


というあらすじなのですが、「夢オチかよ……、という感じですね。
いくら何でも、これはクオリティが低すぎるのではないでしょうか。
オチの直前までは面白かったのに、残念です。

赤川次郎「招待状 赤川次郎ショートショート王国」2話「封印された贈りもの」のネタバレ解説

由紀の夫の上条一郎は、酔って帰宅すると大声で怒鳴りました。

由紀はテーブルの上の書類を取り上げ、銀行も、
これ以上の貸し付けはできない、という話をしました。

軽井沢の別荘、ゴルフの会員権、上条一郎のポルシェを売り払って、
出費をおさえるしかない、と由紀は言います。

この家はもう抵当に入ってる、
あなたがマンションを借りてやってる彼女とも別れてもらいます、
もう20年も結婚してるのよ、分らないと思ってたの?
と由紀は言いました。

今の会社を女手一つで始めた由紀の母親は、
死に臨んで、厳重に封印した金属の箱を娘夫婦に見せて、
本当に困ったとき、これを開けなさいと言い遺していました。

母の死後、会社の実権を握った上条一郎は、
次々に新しい事業を始めては失敗し、
会社を危うくして行きました。

例の箱を開けたいと言う上条一郎に、
由紀は離婚届を出してテーブルに置き、
これに印を押してちょうだい、と言いました。

上条一郎は謝り、もう一度、ゼロから2人でやり直そう、
と言ってワインで乾杯しました。

しかし、上条一郎は由紀のグラスに睡眠薬を入れていて、
由紀は眠ってしまいました。

上条一郎は、由紀のスカートのポケットからキーホルダーを取り出し、
2階へあがり、例の金属の箱を開けました。

中身は、小袋に入った粉薬らしいものと、手紙が入っていました。

手紙には、これは東洋の秘薬で、飲んでしばらくしてから、
フッと眠るように死ねる、ということが書かれていました。

手紙には〈入っているのは粉薬2袋〉と書かれていましたが、
1つしか入っていませんでした。

上条一郎は、突然胸が苦しくなり、息絶えました。

由紀がやって来て、「発作かしら、と言いました。
由紀は粉薬を一袋取り出していましたが、使う必要もなくなりました。

自然死だから、生命保険がおりる、それで会社は救われるかもしれない、
と由紀は思いました。
それが、夫からもらった、初めての贈りものなのかもしれませんでした。

というあらすじなのですが、結局、上条一郎は、
由紀がワインに粉薬を入れたと思い込み、
そのショックで心臓発作を起こして死んでしまった、

というオチですね。

赤川次郎「招待状 赤川次郎ショートショート王国」1話「再出発」のネタバレ解説

招待状 赤川次郎ショートショート王国


この本には、赤川次郎ファンクラブ会誌で、会員の方から募集したタイトルに、
赤川次郎さんが書き下ろしたショートショートが27篇収録されています。

短距離走選手の宮本は30代半ばになり、今回の大会で引退することになりました。

高校時代からのライバル、近江とのトップ争いも、今日で決着がつきます。

現役引退とはいえ、今も宮本と近江は百メートルの世界でトップにいて、
今日も、1位が宮本か近江のどちらかに違いありませんでした。

スタートラインに並び、「用意」と言われた後、視界の隅で、
隣のコースの近江がチラッと動いたのが見えました。

反射的に、宮本の体は前に出ていて、フライングで失格になりました。

しかし、近江はほとんど走っていなくて、
宮本だけが失格になりました。

すれ違うときい、2人の目が合いましたが、近江がスッと目をそらし、
ライバルを取り除くための作戦だったのだと、宮本は悟りました。

近江は一着になり、「有終の美」を飾ったと、TVや新聞でほめられましたが、
ひと言、言って、一発殴ろうと、宮本は近江のマンションに行きました。

一階ロビーに行くと、近江の妻が現れ、ごめんなさい!
と頭を下げました。

近江の妻は、かつて宮本の恋人でした。
その彼女に怒りをぶつけることはできませんでした。

近江の妻は、近江の勤め先の社長が、「今度の大会で一着にならなかったら、
もう会社には置いておけない、と言われていた、
ということを宮本に言いました。

宮本の勤め先では考えられないことで、あいつもこれから大変だな、
そんな会社で何をやるんだ? と宮本は言いました。

あいつに伝えてくれ、百メートルは一回で失格だが、人生は再スタートできる、
俺も再出発だ、と近江の妻に言い、足早にマンションを出ました。


というあらすじなのですが、元カノをとられ、
引退する大会でフライングの汚名を着せられたのに、
宮本がいい人すぎるな、と思いました。
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個人の趣味でやっているブログなので、解説してほしい本のリクエストは受け付けていません。
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