宮木あや子「校閲ガール トルネード」第五話「When the World is Gone ~快走するむしず」のネタバレ解説

悦子が半年間ノースで働いていた間に、
悦子の恋人の是永は、小説家の是永是之としてではなく、
モデルのYUKITOとしての露出が増えていました。

貝塚から、槇島裕の週刊連載の初稿ゲラが出たと言われ、
それを見せるという名目で夕食に誘われました。

貝塚は編集者になった理由を悦子に話し、
デザートを食べた後、また牛の季節に連れてきてやるよ、
と言いました。

……これ、デートだと思うんですけど、
貝塚のことを恋愛対象として見ていないせいで、
悦子本人は気づいていませんね。

翌日、受付の今井から、森尾が会社を辞めると教えられました。

森尾の恋人の伊藤に訊くと、森尾は、
モード誌の『un jour(アンジュール)』に行くのだと教えてくれました。

ハワイに取材に行っていた森尾が帰ってくると、
自分の人生のことは自分で決めたいから誰にも相談しなかったのだ
という意味のことを言いました。

海外でモデルの仕事をしていた是永も帰国し、
是永が悦子の家にやってきました。
是永は、「1年契約のミラノで専属の仕事が入り、
ミラノに引っ越さなきゃいけない、と言いました。

その時、初めて是永の地毛がアフロで、
何世代か前にアフリカ系の血が混じっているのが突然出たのだろう、
ということを悦子は知りました。

小説のお仕事はもうしないの?
と悦子が訊くと、是永は、一昨年悦子が校閲した『犬っぽいっすね』の初版が、
2500部だったのだと言いました。
税抜き1600円で印税は10パーセントなので、印税収入は40万円です。

1年かけて1冊しか出版できなかったら、年収40万円ということになります。

出版不況のせいもあるのでしょうが、小説家って本当に厳しいんですね……。

しかし、是永にはモデルとしての才能がありました。
自分の夢見ていたこととは違う場所に、彼の居場所があったのでした。

悦子は是永を慰め、一緒にミラノに来て、と悦子は言われましたが、
ごめん、行けない、と断りました。

女性誌の校閲を3ヶ月担当して、悦子は自分が筋金入りの「プロ読者」であっても、
編集者が転職ではないと気づきました。
悦子も、やりたい仕事と向いている仕事が違ったのでした。

落ち込んでいると、エリンギには鰻を奢ってもらえました。
貝塚にはコーヒーを奢ってもらい、
笑った顔、可愛いんだから笑っとけよ、いつも、と言われました。


というあらすじなのですが、「やっと是永と付き合い始めたと思ったら、
もう別れちゃいましたね。展開早くて面白いです。

ただ、次の恋愛対象が貝塚になっちゃいそうなのは勘弁してほしいなあ、
と思いますw


それにしても、向いている仕事とやりたい仕事が違う、っていうのはきっついですよね。

しまうましたも本当は作家になるのが子供のころからの夢だったのですが、
その夢は叶いそうにありません……。
「プロ読者」ではあっても、小説家にも評論家にも向いてないのでしょうね……。

この巻に収録されている話は、これがラストです。

宮木あや子「校閲ガール トルネード」第四話「辞令はある朝突然に 後編」のネタバレ解説

自宅に是永を招いた悦子は、憧れの「朝チュン」を迎えました。

6月某日。
悦子はノースでの地味な裏方作業や、
モデルの我儘のせいで疲弊していました。

さらに、指輪の記事を80個書かされているところに、
榊原がやってきて、ノースとLassyの企画が被っていると、
楠城に難癖をつけにきました。

しかし、その話を森尾に愚痴ったところ、
榊原がノースのスケジュールや企画を知ったうえでモデルやロケ場所をぶつけ、
わざわざ難癖をつけているのだと言われました。

その後、森尾は悦子に向かって、あんたは、自分以外の女に興味がない、
と言いました。

家に帰ると、加奈子が待っていて、悦子の父親が倒れたと言われ、
翌朝の始発で悦子は実家のある栃木へと向かいました。

父は仕事中に頭痛を訴えて倒れ、そのまま意識を失ったのだそうです。

来週から悦子はロンドンへ行く予定になっていましたが、
当然キャンセルです。

病院に行くと母に親不孝もんとなじられました。

父は脳梗塞で、その日の深夜、病院から吉報があり、母は泣きました。

私って人と比べておかしいと思う?
と悦子が訊くと、母は、
あんたはね、昔っから人と同じものが欲しいって言ったことがなかったの、
あんたの場合は「人と比べて」ということ自体ができねえんだ、と言いました。

東京に戻った悦子はLassyのバックナンバーを調べ、
お話があるのでランチご一緒させてもらえませんか、と楠城に言いました。

悦子は2日と少し母親と過ごして、「相手に対する愛情を
『相手を怒らせるような言動をすること』でしか表現できない人がいる
事実を身をもって体験しました。

そして、榊原が編集長をしていた頃のヴァンヌッフというファッション誌を読み、
『女友達』という単語が頻出しているのに気づきました。

景凡社に入社して出会った楠城が、榊原にとって初めての女友達でした。
榊原がパリへの特派員への試験をこっそりと受けていたのも、
楠城と一緒に行きたくて、1回にひとりしか行けないことを知らず、
応募したのかもしれませんでした。

榊原は楠城に構ってもらいたくて、嫌がらせをしていたのでした。

楠城は悦子の仮説を念頭に置いて対応してみると言いました。

6ヶ月間、悦子はノースの編集部で働き、
本誌とノース合同のパリ特集が組まれ、
美しく装った榊原と楠城が女学生のように笑いながら撮影に立ち会っているのを、
悦子は目を細めて眺めました。

悦子は自分がファッション誌で使えない人材だと自覚し、
ほかの雑誌に行くくらいなら校閲部に戻りなさい、と楠城に言われました。

そして校閲部に戻ると、個人的に異動願いを出していた綿貫も配属されていました。


というあらすじなのですが、榊原の愛情表現は「めんどくさっ」と思いました。

でも、男子小学生が好きな女の子に意地悪しちゃうようなものだと思えば、
分からなくもないですね。

宮木あや子「校閲ガール トルネード」第三話「辞令はある朝突然に 前編」のネタバレ解説

6月1日付けで辞令が発せられ、
河野悦子は『Lassy noces(ノース)』編集部に異動することになりました。

ノースは悦子が憧れつづけてきた『Lassy』の、
結婚情報に特化した季刊増刊でした。

編集長の楠城(くすのき)かづ子から、
教育担当の綿貫を紹介してもらいます。

綿貫曰く、悦子はあくまでも臨時雇いなのだそうです。
元々常勤していたベテランの外部ライターが産休と育休に入ってしまい、
それを知ったフロイライン登紀子が悦子を推薦したのだそうです。

ある日、『Lassy』本誌編集長の榊原仁衣奈(さかきばら・にいな)がやってきて、
ロケの場所がどちらもロンドンで被ったから、
楠城の方に場所を変えてくれと言いました。

しかし楠城と榊原はどちらも引かず、榊原は編集部から立ち去りました。

意外なことに悦子はノースでの仕事がうまくできず、
記事もうまく書けませんでした。
土日も当然のように出勤です。

悦子は綿貫から、楠城と榊原の因縁を聞かされました。

ノース編集長の楠城とLassy編集長の榊原は同期入社でした。
楠城は職業婦人としてのキャリア、
榊原はより条件の良い伴侶を捕まえるための就職先、と別の方向を見ていました。

バブルの時代には、景凡社にはフランスのパリに提携支社があり、
3年に1度、若い世代から各ひとりを選んで派遣する制度がありました。
そんなものに興味のなかったはずの榊原がこっそりと試験を受けていて、
この制度のために入社した楠城は落ち、榊原が選ばれました。

そしてパリとの提携が切れ、フランス派遣は榊原でおしまいになってしまいました。

榊原がパリでブイブイ言わしているあいだに、楠城は開業医と結婚し、
ふたり産みました。
子供はふたりとも幼稚園から大学まで一貫教育の私立です。

一方、帰国した榊原は編集長として成功しましたが、
結婚できず独身のままでした。

楠城と榊原は、それぞれが目指していた人生が途中で入れ替わってしまいました。

しかし悦子はそんな話を聞いても「いいなー」とか「うらやましー」とか言わず、
変わっていると言われてしまいました。

その後、是永と電話した悦子は、
月額6万5000円で賃貸契約している、もと鯛焼き屋の家に是永を招きました。

この話は、4話の後編に続きます。

宮木あや子「校閲ガール トルネード」第二話「校閲ガールと恋のバカンス 後編」のネタバレ解説

是永は、モデル仲間の、男同士のカップルが予約していた切符を引き取り、
悦子と軽井沢までやってきました。

泊りがけのデートのはずだったのですが、
貸別荘を出て10分もしないうちに、
通りすがりのタクシーの中から貝塚に呼び止められ、
竜ヶ峰春臣の別荘でのランチパーティーに誘われました。

さらに、貝塚が想いを寄せる森尾まで通りがかり、
4人でパーティーに参加することになってしまいました。

竜ヶ峰春臣の孫で、景凡社の新人の伊藤保次郎(やすじろう)が、
悦子と森尾に自己紹介をします。

一方、是永は、ライバルというか目標にしている作家の、
森林木一を紹介してもらい、ちょっと話をしていました。

その夜、悦子は〇理がきてしまい、
お泊りなのに是永と経験することができなくなってしまいました。

さらに、貝塚から電話がかかってきます。
しかし悦子は是永とのキスシーンを優先して通話を切りました。

そのご、森林木一の家に招待され、
悦子の好みではない森林木一と初めて会いました。

その家には森林の内縁の妻の飯山もいましたが、
みすぼらしいというか、貧相な雰囲気の女性でした。
森林とはもう10年も付き合っているのだそうですが、
悦子は飯山が森林からDVを受けているのではないかと心配しました。

飯山は、森林の仕事部屋は二階だと言ったのに、
地下のワインセラーの隣の部屋も仕事部屋だと言いました。

悦子はお手洗いを借りるふりをして、ワインセラーの隣の部屋に入り、
宛先に「槇島裕様」と書かれた、貝塚八郎からの封筒を発見しました
(この時、貝塚の名前が初めて判明しました……)。

悦子は槇島裕という名前でネット検索し、
景凡社文芸新人賞の最終候補作にその名前を発見しました。

悦子は飯山に、「槇島さんって誰ですか? と聞きました。

実は、悦子が校閲していた連載小説を書いていたのは、
森林木一ではなく、そのゴースト作家の飯山だったのでした。

悦子は飯山と、飯山にまともな服を着せていない森林に説教し、
家を出ようとしました。

飯山に呼び止められ、ライトノベルから一般文芸に移って、
どんどん書けなくなった森林の代わりに飯山が書き始めたのですが、
『自分の名前で本を出したい』という思いが強くなり、
新人賞に応募したのだそうです。

そして連載の原稿がつらくなってきて、
連載小説に誤字・打ち間違いを装った暗号を書いたのだそうです。

ちなみに、飯山は腐女子的な意味で森林の顔が好きらしく、
別にDVを受けているわけではなかったみたいです。

家を出た悦子は、是永に改めて好きだと言われ、
本名の幸人と呼ぶことになりました。


というあらすじなのですが、面白かったです。

宮木あや子「校閲ガール トルネード」第一話「校閲ガールと恋のバカンス 前編」のネタバレ解説

校閲ガール トルネード


校閲ガール・河野悦子シリーズ第3弾です。

春。
河野悦子はどうやら今年初めて花粉症になってしまったみたいでした。

校閲部で、ティッシュで鼻に栓をしているところを、
2ヶ月前に付き合い始めたばかりの是永是之(これなが・これゆき)に
見られてしまいます。

しかし、同期の森尾登代子(もりお・とよこ)に、
ファッション誌の『Lassy』の担当営業も来る合コンがあると言われ、
参加しました。

そして翌朝、花粉症ではなく風邪だったことに気づきました。

1日休み、校閲部に出勤した悦子は、
貝塚が担当している森林木一(もりばやし・きいち)の連載小説の
校閲をします。

しかし、初回から誤字脱字や単語の重複が多くありました。

森林木一は別名で8年間ライトノベルを書いた後、
一般文芸へ転向し、一般文芸デビュー3年目で丸川賞を獲っていました。
同僚の米岡によると、男性作家の中では断トツでイケメンで、
長野在住なのだそうです。

米岡との昼食から帰ると、文芸編集部に配属される予定の新人を見かけました。
文芸界隈では文豪と呼ばれている作家・竜ヶ峰春臣(たつがみね・はるおみ)の孫で、
コネなのに入社試験をちゃんと受けて、満点近く叩き出したのだそうです。

その後、是永から、ゴールデンウィークの予定を聞かれ、
軽井沢に誘われました。

校閲作業に戻った悦子は、森林木一の連載小説の第1回から7回までの、
明らかな文字の重複や誤字・打ち間違いをつなげると、
「私は そこから 動けない 救助を ウェイティング その場所は 居住区の」
という暗号になっていることに気づきました。

この話は2話の「後編」に続きます。

(校閲ガール トルネード 1話 2話 3話 4話 5話
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