九頭竜正志「さとり世代探偵のゆるやかな日常」6話「郵便受けの中に」のネタバレ解説

5話の後、坂本は大学に来なくなり、
坂本から文集の原稿を貰うことができなかったので、
灯影院は文化祭で文集を出すのを諦めました。

しかし、綾高は坂本と話がしたいと言い、
坂本の近所に住んでいて住所を知っているはずの、
4話に登場した広瀬に会いに日本文化研究会の部室に行きました。

広瀬と初めて会って話をした灯影院は、
広瀬が「坂本の彼氏だったのだろうと言いました。

広瀬は坂本との結婚を許してもらおうと流麗島に行きましたが、
蒔生に反対され、別れた、という話をしました。


広瀬に教えてもらった坂本のマンションに行きますが、
坂本はすでに部屋を引き払っていました。

5話の事件を捜査している刑事に相談すると、
坂本は実家に閉じ込められていたが、脱走した、と教えられました。

坂本が大学に来ないまま何日も経過し、
文化祭1日目の10月12日になりました。

綾高と灯影院は臨時探偵事務所を開き、
そこに柔道をやっている大柄な男がやってきて、
ストーカーされてると相談しました。

最近男が引っ越したマンションの郵便受けに、
女性の上着や下.着、黒い鞄、飲みかけのジュースのペットボトルなど、
変なものが入っているのだそうです。

その話を聞いた灯影院は、「男が住んでいるマンションは、
元々は坂本が住んでいた部屋だったのだろうと言いました。

坂本は引き払ったマンションの郵便受けをコインロッカー代わりに使い、
近所に住む広瀬の様子を見ていたのだろう、と灯影院は言いました。

しかし、坂本家の男が広瀬を尾行していたため、
坂本は広瀬に話しかけることができなかったのでした。

灯影院は広瀬にそのことを伝え、体当たりして尾行の男を足止めし、
広瀬が坂本に会いに行けるようにしてあげました。

ストーカーされていると相談していた男、黒崎大吉(だいきち)が、
新たに探偵同好会に入部することになり、
灯影院は『佐々木灯影院です』とフルネームを名乗りました。
それ以前は苗字が灯影院であるかのように描写されていましたが、
叙述トリックだったのでした。

黒崎大吉がいなくなった後、綾高は灯影院に、
実際の事件をもとにして書いた小説の原稿を見せました。
灯影院が、綾高の目にはこんなに名探偵っぽく映っていたんだな、
これからもお前の期待に応えられるように頑張るよ、
と言ったのを聞き、綾高は、
灯影院が綾高の期待に応えるためだけに推理し、
推理を捻じ曲げていたことに気づきました。

しかし、綾高はゆるやかな日常を護るために、何も言いませんでした。


というあらすじなのですが、面白かったです。
この短編集に収録されている話は、これで終わりです。

九頭竜正志「さとり世代探偵のゆるやかな日常」5話「流霊島事件」のネタバレ解説

この短編集の中で、この第5話が一番長く、
全体の半分近いページ数があります。

9月13日、金曜日に、綾高と灯影院とカナの3人は、
坂本久生の実家がある流麗島へ合宿に行くことになりました。

電車で行く途中、綾高は坂本の鞄を持たされました。

港で坂本の分家の男、敦が運転する船に乗りました。

坂本の父親の蒔生(まきお)という男が坂本家の当主であり、
蒔生が坂本にお見合いさせようとしていることや、
15日に村長選挙と村会議員選挙がある、
ということを敦は話しました。

坂本家には、戸張家というライバルがいて、
いつも選挙で争っているのだそうです。

流麗島は昔は流霊島と呼ばれていたが、
蒔生が島の名前を変えさせた、と敦(あつし)は言いました。

人口200人ほどの小さな島にある坂本家に到着し、
綾高たちは部屋に案内されました。
60歳過ぎの蒔生に挨拶に行き、部屋に戻ると、
なぜか綾高の荷物が荒らされた形跡がありました。

綾高、灯影院、カナ、坂本の4人は散歩に出かけ、
そこで坂本と蒔生の確執について聞かされました。

翌日、坂本がお見合いに行っている間に、
綾高、灯影院、カナの3人は、
坂本の弟の幸生(ゆきお)と話をしました。
幸生は車椅子に乗っており、まだ中学生でした。

幸生と散歩に出かけると、
幸生は綾高たちに、皆さんは、何かに利用されようとしている、
悪いことは言わないからすぐに帰った方がいい、と言いました。

坂本家と対立している戸張家の男、
戸張辰巳が幸生を怒鳴りつけました。

しばらく前に、坂道で幸生の車椅子のブレーキがきかなくなり、
辰巳が飼っていた犬を轢き殺してしまった事件があり、
それ以来辰巳は、
追加の慰謝料目当てで幸生に因縁をつけているのだそうです。

夕方、綾高が1人で部屋にいると、幸生がやってきて、
すぐに帰った方がいい、って言ったでしょう、と言いました。

幸生は、父親の蒔生と戸張家の当主に頼まれて、
放し飼いにされていた凶暴な、辰巳の犬を処分させられた、
ということを仄めかしました。

綾高は幸生のことが心配になりましたが、
幸生はすぐに帰った方がいいと繰り返すばかりでした。

選挙前日に島に戻ってきた坂本家の親戚のために、
宴会が開かれ、綾高、灯影院、カナも参加させられました。
幸生は体調が悪いと言って途中で自分の部屋に戻っていきました。

綾高がトイレに行くと、なぜか蒔生や他の男達もついてきました。

しばらくして、幸生の姿が見えない、
と家政婦の常(つね)が騒ぎ始めました。

カナを宴会場に残し、綾高と灯影院と坂本は幸生を捜しに行きました。

やがて、島の反対側にある戸張岬で幸生の死体を発見しました。
幸生は刃物で胸を刺されていましたが、凶器はなくなっていました。

坂本家から戸張岬まで往復35分以上かかりますが、
35分以上姿の見えなかった人は坂本家とその親戚にはいなくて、
アリバイが成立しました。

蒔生は、戸張辰巳が幸生を殺したに違いない、と騒ぎました。

台風が近づいているため、翌日の朝に綾高と灯影院とカナは、
島から出ていくことになりました。

船で島を出るとき、敦は、辰巳の家から凶器の包丁が見つかり、
辰巳が逮捕されたことを綾高たちに伝えました。

しかし、あまりにも怪しすぎる辰巳が犯人である納得できなかった綾高は、
事件の真相を知りたいと灯影院に頼みました。

9月20日の金曜日、綾高と灯影院は、大学で坂本久生と待ち合わせました。

灯影院は、幸生は「自分の胸に包丁を刺して自殺したと推理していました。

その包丁には糸が結びつけてあり、その糸は海岸の岩礁の上に置かれた、
重りのついた浮き輪に繋がっていました。
満潮が近づき、浮き輪が波に攫われると、
死体から包丁が抜ける仕掛けになっていたのでした。

辰巳の家から見つかった包丁は、予め幸生の血をつけてあった、
偽の凶器でした。

坂本家の親戚全員にアリバイが成立したのは、
その時間に幸生が他殺に見せかけて自殺することを
親戚全員が知っていたからでした。

しかし、身内の証言は警察に通用しないので、アリバイを証言してもらい、
トイレに同行してもらうために、
綾高や灯影院やカナは島に呼ばれたのでした。

幸生がそんな方法で自殺したのは、戸張家の人間に罪を着せ、
選挙で勝つためでした。
幸生は20歳まで生きられないだろうと宣告されており、
自分で動けるうちに坂本家のために自殺したのでした。


また、「叙述トリックでこれまで男性だと思われていた坂本が、
実は女性で、妊娠していたことも発覚しました。
坂本は蒔生に結婚を反対され、交際相手の男性を秘密にするため、
綾高を交際相手と思わせようとしていたことも明らかになりました。

坂本は島に行く前に、母親の遺品である鞄を綾高に持たせており、
蒔生に挨拶をしているうちに誰かが綾高の荷物を探り、
その鞄を見つけていたのでした。

坂本も事件の共犯者の1人であるはずなのですが、
証拠はないため、坂本は罪を認めず、帰っていきました。

残された綾高は、幸生が生前、何度も綾高たちに、
今すぐに帰った方がいいと言っていたのを思い出しました。
綾高たちが帰れば、アリバイを証言する人がいなくなるため、
計画は中止されて幸生は助かっていたかもしれない、
と綾高が気づいたところで、この話は終わります。


というあらすじなのですが、
うわあああああああああっ、
と叫んで頭を抱えたくなるようなオチでした。

九頭竜正志「さとり世代探偵のゆるやかな日常」4話「七夕伝説と、坂本先輩の推理」のネタバレ解説

7月1日、月曜日。
灯影院が夏風邪を引いて休んでしまったため、
綾高は1人で大学の図書館に行きレポートを書くことにしました。

すると、図書館前の広場で日本文化研究会の男から、
短冊に願い事を書いて笹に吊るすイベントに誘われました。

その日本文化研究会の男は、3年生の坂本のクラスメートで、
広瀬という苗字でした。

それから数時間後、再び図書館前の広場に行くと、
坂本と広瀬が、白紙の短冊が何枚も吊るされていた、
という日常の謎について話し合っていました。

綾高は七夕について広瀬から講釈を受け、推理しますが、
なかなかいいアイデアが思いつきませんでした。
炙り出しではないか、と綾高は思いましたが、違いました。

坂本は短冊の正体に気付いたと言い、
綾高と広瀬に推理を聞かせました。

坂本は、まず、「白紙の短冊についている6本の紐の色がバラバラで、
紐の断面が引きちぎられたようになっているのを指摘しました。

その紐は元々は1本の太いミサンガでしたが、
ミサンガの持ち主は自然と切れたミサンガの処分に困り、
ミサンガを解いて6本の紐にしてから短冊に通したのでした。

そのとき短冊に願い事を書かなかったのは、
既にミサンガに願掛けしていたからだったのでした。


というあらすじなのですが、探偵役の灯影院が不在でも、
ちゃんと短編として成立していましたね。

九頭竜正志「さとり世代探偵のゆるやかな日常」3話「買ったばかりの弁当を捨てる女」のネタバレ解説

探偵同好会は文化祭で文集を出すことになりましたが、
会長になった3年生の坂本久生は、
高校時代文芸部だった時とは違い、
小説ではなく評論を書くと言いました。

また、夏休みに合宿に行こうという話が出て、
坂本は、綾高の中学生の妹の彼方(かなた)も誘ってほしいと言いました。

その後、綾高がコンビニでバイトをしていると、
彼方がやってきて、入れ違いにコンビニから出て行った女が、
買ったばかりのお弁当をゴミ箱に捨てて行くのを目撃した、
と言いました。

外のゴミ箱を確かめると、その通りでした。

綾高が合宿の話をすると、彼方は私も行くと言いました。

そこへ、灯影院がコンビニに来店します。

女はなぜ買ったばかりの弁当を捨てたのか、
という謎を灯影院に話すと、灯影院は、
女はホームレスを陰ながら支援するために弁当を捨てたのだろう、
と言いました。
その日は、ホームレスがいつもゴミを漁っている、
近所にあるラーメン屋が休みだったのでした。


というあらすじなのですが、
この話は短編集の中で一番短く、20ページほどしかありません。

一方、一番長い第5話の「流霊島事件」は160ページくらいあります。

九頭竜正志「さとり世代探偵のゆるやかな日常」2話「車は急に」のネタバレ解説

綾高と灯影院は、自動車の運転免許をとるため、
教習所のバスに乗っていました。

そのバスに、不正乗車しているおばさんがいました。
おばさんも教習所に通っているのですが、
その教習所の近くにあるスーパーに行く時も、
そのバスを無料の路線バスの代わりとして使っていたのです。

仮免許をとった綾高は、酒井という教官の指示で、
初めて公道を運転しました。

市内を一周し、教習所の近くに戻ってくると、
例のおばさんが横断歩道を渡っていました。

そのおばさんの手前で、綾高がゆっくりとブレーキを踏もうとすると、
突然、けたたましいクラクションの音が聞こえ、
綾高は急ブレーキを踏んで停車しました。

クラクションを鳴らした灯影院が、教習所の車から降りてきて、
綾高は今、このおばさんを撥ねるところだったのだと言いました。

灯影院によると、「綾高が運転している間、
酒井はずっと助手席にあるブレーキを軽く踏んで、
綾高のブレーキに関する感覚を狂わせていました。

そして、おばさんの前に自動車が差し掛かったタイミングで、
酒井はブレーキを離し、おばさんを撥ねさせようとしたのでした。

ブレーキランプが点けっぱなしになっていたので、
灯影院はそのことに気づきました。

おばさんは、酒井の別れた妻で、酒井に嫌がらせをするために、
授業のない日も教習所のバスに乗っていたでした。


というあらすじなのですが、しまうましたも昔、
教習所に通っていたことがありますが、
この発想はなかったわー、と思いました。
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