知念実希人「天久鷹央の推理カルテⅤ 神秘のセラピスト」Karte.03「聖者の刻印」のネタバレ解説

深夜、神父の森下則夫が一人で回している
『田無保谷(たなしほうや)カトリック教会』に、
50歳は超えているずぶ濡れの男がやってきました。

男は紅い涙を流し、
何の変哲もなかった左手に十字架の赤い模様が浮かび上がってきました。

場面が変わり、Karte.02「永遠に美しく」の続きのシーンになります。

患者は羽村里奈(はむら・りな)ちゃん、9歳、
3年前に急性リンパ性白血病と診断された、と熊川は説明しました。

その頃、研修医として小児科を回っていた鷹央と一緒に治療に当たり、
化学療法により寛解になりましたが、去年再発し、もう1度、
化学療法を行って寛解しましたが、今年になって再発し、入院中なのだそうです。

羽村里奈の状況は、『病室の天使事件』の三木健太に似ていました。

この状態になったら、同種造血幹細胞移植、『骨髄移植』しか治療法はありませんが、
3日前、里奈の唯一の家族である母親の羽村佐智(さち)が移植を拒否しました。

再来週の月曜までに骨髄バンクに連絡しないと、移植はできなくなるのだそうです。

このままだと、間違いなく命を落としますが、
これまで、2回再発したことで、羽村佐智はかなりの医療不信になっていて、
奇蹟を起こす預言者から『骨髄移植を受けなくても、娘は完治する』
という神のお告げを受けたのだそうです。

里奈に会いに行くと、佐智は帰っていて、黒縁眼鏡の長身の女がいました。

久しぶりだな、こんなところで何をしているんだ、この詐欺師が、
と鷹央が言うと、女は逃げ、捕まえようとした小鳥遊の股間を蹴り上げましたが、
鴻ノ池が合気道で女の手を捻り上げて捕まえました。

女は『恋人の呪い事件』のときに、
会っていた佐山香織、自称『霊能者』の詐欺師でした。

こいつこそ預言者だ、と鷹央は言いましたが、
これは除霊とかで治せる病気じゃないから、しっかり病院で治療を受けるべきだって、
佐智さんにはちゃんと言ったわよ、と香織は言いました。

佐智は香織の『次』、不思議な力で娘の白血病を治してくれる人を探し、
見つけたのでした。

神父の森下則夫が個人的に心酔していて、
『預言者』に自分の教会でパフォーマンスをさせていて、
正式に総本山に認めてもらおうとしているのだそうです。

香織は羽村親子に情が移り、金にもならないのに里奈に会い、
預言者の『奇蹟』まで見学に行っていました。

里奈を助けるために、香織は鷹央に協力することになり、
奇蹟というのは血の涙、そして掌に現れる十字架、『聖痕』だと鷹央に教えました。

週に2回、水曜と土曜に預言者は教会の礼拝堂に姿を現すということで、
3日後の土曜日、鷹央と香織は変装して教会の会合に潜入しました。
小鳥遊は顔を知られていないので変装していないみたいです。

預言者、天草炎命(あまくさ・えんめい)先生です、
と森下則夫が漆黒のローブを着た男に恭しく頭を垂れました。

炎命の両目、そこには血のように真っ赤な涙が溢れていました。
左手を突き出し、拳に変化が生じはじめ、
皮膚に赤く刻まれた十字架が浮かび上がりました。

悔い、改めよ、……神の、国は近い、と炎命は言いました。

歓声が消えない中、セーラー服姿の鷹央が立ち上がり、
その男が起こしたのが本当の奇蹟かどうか、科学的に調べたい、と言いました。

袋叩きにされそうになり、小鳥遊は鷹央を引きずって礼拝堂をあとにしました。

佐智も礼拝堂から出てきて、鷹央の正体を見破り、
骨髄移植はしません、医学なんて関係ないの!
絶対に炎命先生なら治せるはずなの……、
これ以上、私たちに構わないでください、……迷惑だから、と言いました。

病院に戻り、鴻ノ池や熊川と話し合った後、
小鳥遊と鷹央は屋上の“家”にたどり着きました。

もし羽村里奈に刻辻移植を受けさせることができて、その結果、
白血病が治せたら、健太への弔いになる気がしたんだ、と鷹央は言いました。

小鳥遊が“家”を出た後、香織から電話があり、
炎命の熱烈な信奉者である田山という大男は、
元暴力.団員で長期の服役経験ありで、格闘技もやっているということを言いました。

あの男は、絶対にあなたの上司を襲う、
小さな先生をどこか安全なところに避難させなさい、
教会を出たあと田山に尾けられていたわよ、と香織は言いました。

“家”に戻ると、サバイバルナイフを持った田山がいて、戦闘になりますが、
小鳥遊は倒されてしまいます。
田山の手が寝室のドアノブを摑んだ瞬間、田山の全身が硬直しました。

小鳥遊がスタンガンをドアノブに当てていたのでした。

翌日、弱気になった鷹央を、小鳥遊は羽村里奈の病室に連れていきました。

将来はケーキ屋さんになりたい、治療を頑張れるということ里奈は言いました。

病室を出た鷹央は、あの詐欺師の化けの皮を剥いで、里奈の命を助けるぞ!
と言い、“家”に鴻ノ池と香織を呼びました。

金曜日に、佐智は、
明後日、バチカンから奇蹟調査官が来ることになったんですよ! と言いました。

月曜日には骨髄バンクに移植キャンセルの連絡をすることになっていましたが、
日曜の正午に炎命の化けの皮を剥ぎに行くことになりました。

日曜の昼に礼拝が終わったあと、小鳥遊と鷹央は裏口からこの礼拝堂に忍び込みました。

バチカンから来たというコスタ神父と、
通訳のルッソという女性を森下則夫が参加者に紹介します。

炎命が前回と同じことをしますが、鷹央は、そいつは偽者だ! と言いました。

ルッソは鷹央に、トリックだと証明してくださいと言い、
手袋をはめた右手を差し出し、炎命と握手しました。
ルッソの指示で、鷹央は炎命の左手を両手で摑み、聖痕を観察します。

1分以上黙り込み、もう1度左手の聖痕を見せてもらうと、
カタカナの『ホ』にみえました。
右手には『ア』と赤い文字が浮かんでいました。

接触性皮膚炎だ、刺激物や抗原などが原因で、皮膚に湿疹性の炎症反応を起こす疾患だ、
今回の場合は金属アレルギーだな、と鷹央は言いました。

激しい雨が降る夜、この教会の正面玄関にやってきた炎命は、
玄関わきにあるプレートの十字部分に手をついて待っていて、
汗がニッケルと反応し、十字架の形の皮膚炎が起きたのでした。

鷹央は手袋にニッケルのメッキ液でコーティングをし、
炎命の両手に『ア.ホ』と浮かび上がらせたのでした。

血の涙は、結核の薬のリファンピシンという薬の副作用で、
代謝産物が赤みを帯びていたのでした。

鷹央は鴻ノ池に似顔絵を持たせて、結核の専門病棟を持っている病院を回らせ、
炎命の本名が天野康明(あまの・こうめい)で、
54歳のホームレスだと正体を暴きました。

天野は20年前にマルチ商法の主宰者や覚.醒剤の所持で逮捕されていました。

コスタ神父の判定、下りました、天草炎命の聖痕と血の涙、トリックです、
その男、預言者ちがう、たんなる詐欺師です、とルッソは言いました。

小鳥遊は鷹央の指示で保健所と成瀬に電話しました。

駐車場で、ルッソとコスタ神父が小鳥遊に正体を明かします。
ルッソは香織の変装で、コスタ神父はKarte.01『雑踏の腐敗』に登場した
家族性地中海熱のイタリア人の男でした。

鷹央は礼拝堂に戻り、信仰というのは疑うことではなく、
信じることからはじまるものだ、と森下則夫に言いました。

あの男にだまされた方々に、謝罪しないといけませんね、
皆さんに赦してもらえたら、そのときは、自分の信仰に向き合ってみます、
と森下則夫は言いました。

里奈とよく話をするべきだ、神に祈るのは悪いことじゃない、
けれど、娘のそばでも祈ることはできるはずだ、と鷹央は佐智に言いました。

病院に戻り、体を治して学校の友達と遊ぶ、大人になったらケーキ屋で働く、
という里奈の言葉を聞き、佐智は里奈の骨髄移植を開始することにしました。

エピローグでは、成瀬から、覚.醒剤の所持で天野が逮捕されたことや、
結核の検査を受けたが、結核菌の排出は確認されず、
集会者たちが感染している可能性はほとんどないことが語られました。

健太君はきっとどこかで、鷹央の頑張りを見ていてくれた、
鷹央も今回の件で、また一歩前に進めるはずだ、
と小鳥遊が信じたところで、この短編集は終わります。


というあらすじなのですが、面白かったです。

昔は、医学と宗教はほとんど同一のものでした。

医学を信じるのも、宗教を信じるのも、
それを信じる人にとっては違いはないのかもしれません。

インターネットで検索すれば、
「医学と宗教」というテーマで書かれた論文がいくつもヒットします。

医学にも限界はありますし、医療行為のせいで逆に健康が損なわれることもあります。

たとえば、煙草は昔、薬として用いられていた時代があります。
覚.醒剤が薬として日本の薬局で売られていた時代もあります。

注射器を使い回すのが当たり前で、患者を感染症にさせていた時代もありました。

医者が死体を解剖した後、
手を洗ったり着替えたりせずに患者の治療をするのが当たり前で、
患者を死なせていた時代もありました。

必要のないロボトミー手術で患者を廃.人にしていた時代もありました。

歯医者で歯の詰め物に使われていたアマルガムのように、
昨日まで有効とされていた医療行為が、
今日には有害だとされることも珍しくありません。

宗教家が勧める、何の効果もない高額な壺のほうが、無害で良いかもしれません。

それでもしまうましたは、統計的に見て、
宗教的な民間療法よりは、医学の方が患者が助かる確率が高いと思います。

今回は、佐山香織が再登場したり、三木健太のことが再び話題に上がったりして、
シリーズ最終巻っぽい雰囲気でしたが、最終巻ではありません。

天久鷹央シリーズは続くので安心してください。

知念実希人「天久鷹央の推理カルテⅤ 神秘のセラピスト」Karte.02「永遠に美しく」のネタバレ解説

四月下旬の金曜日、統括診断部外来診察室に、
島崎美奈子という中年女性がやってきて、母に恋人ができたんです、
と言いました。

美奈子の母、南原松子(なんばら・まつこ)は今年で72歳です。
5年前には美奈子の父を亡くし、半年ぐらい前から恋人ができましたが、
その相手は近所で鍼灸院みたいなものを開業しているけど、
最近は大金を取って、『若返り治療』をやっているのだそうです。

1年前の松子の写真と、先週撮影した松子の写真を見せてもらうと、
本当に若返っていて、50歳より若く見えました。

『気』を使って全身の細胞を活性化させ、若返らせるらしいです。

松子は知り合いにその鍼灸師を紹介していて、
鍼灸師が法に触れるようなことをやっていた場合、
松子が共犯者になるかもしれないと美奈子は心配していました。

次の日、小鳥遊と鷹央は南原松子の家に行き、
鍼灸師の神尾秋源(かみお・しゅうげん)の『若返り治療』の話を聞きました。

1回の治療につき3万円で、最初の1ヶ月は週3回通うので30万円から40万円、
そのあとは月に6万円くらいかかるのだそうですが、
松子は秋源の恋人になったから、治療代は払っていないのだそうです。

鍼灸院で松子の知り合いの『若返り治療』を見学させてもらいます。

50代にしか見えない73歳の春江という女性は、
更年期障害がよくなったと言いました。

治療の下準備として、秋源は手にローションを何度かつけながら、
30分近く使って入念にマッサージをし、春江の手を取り、
『気』を送ったと言いました。

次は私にやってくれないか、と鷹央は言いましたが、
中学生と間違われて断られ、腹を立てます。
小鳥遊は鷹央の体を小脇に抱え、鍼灸院を出ました。

2週間ほど経った土曜の昼下がり、田無署の刑事課に勤める、
成瀬と鍼灸院の前で待ち合わせます。

鷹央は成瀬に頼んで家宅捜索令状を取ってもらっていたのでした。

鷹央は鍼灸院に入り、正体と『若返り治療』の秘密を明かします。

マッサージする時に使っていたローションに、
高濃度のエ.ストロゲンという女性ホルモンが入っていて、
大量に肌にすり込んで『若返らせて』いたのでした。

薬を使っていたからなんだって言うの!
松源先生を犯罪者みたいに言って、と松子は言いましたが、
れっきとした犯罪者だと鷹央は言いました。

経皮的にエ.ストロゲンを吸収させるような薬は
医師の処方によってはじめて使える医薬品で、
医師免許をもっていない者がそれを他人にしようすれば、医師法違反となります。
また、副作用として癌などの悪性腫瘍、
心筋梗塞や脳卒中などの発生率が上昇します。

3日後の昼下がり、成瀬が鷹央の『家』に報告に来ました。
松源は、南原松子に対してだけは、
女性ホルモンは投与していないと言い張っているのだそうです。

成瀬が帰った後、美奈子から電話があり、
1ヶ月ぐらい前から松子のお腹が大きくなっていて、
15分ぐらい前から、急にお腹が痛いと言い出して悪くなっていると言われました。

鷹央は救急車を呼ばせ、産婦人科の小田原に連絡します。

その後の手術で、卵.巣腫瘍が発見されました。
卵.巣腫瘍の中には、エストロゲンを大量に生産する腫瘍があり、
茎捻転(けいねんてん)を起こしたせいで強い腹痛が起きているのでした。

腫瘍を取れば、お前は以前の姿に戻る、と鷹央が言うと、
そんなの嫌……、せっかく美しくなったのに……、と松子は唇を噛みました。

女の美しさは若さだけから生じてくるものじゃないはずだ、
失った若さに囚われるのではなく、現在の自分なりの美を求めるべきだ、
と鷹央は説得し、松子は手術を受けました。


翌日、小児科の熊川が、鷹央ちゃんに、……神様の正体を暴いてほしいんだ、
と言ったところで、この話は終わります。

というあらすじなのですが、タイトルの「永遠(とわ)に美しく」は、
1992年のアメリカ映画『永遠に美しく…』からとったものですね。

ブラック・コメディ映画ということになっていますが、
意外とグロいシーンが多いので、耐性がない人は観ない方が無難です。

あの映画も若さの代償として大変なものを差し出さないといけませんでしたが、
この小説も大変な副作用がありましたね。

誰でも長生きすれば年をとるのだから、それを受け入れないといけませんね。
とか言いながら、しまうましたも、できればこれ以上年をとりたくないですが……。

最後の神様の正体については、次の「Karte.03 聖者の刻印」で語られます。

知念実希人「天久鷹央の推理カルテⅤ 神秘のセラピスト」Karte.01「雑踏の腐敗」のネタバレ解説

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短編集としては5冊目ですが、天久鷹央シリーズとしては7冊目です。

宮城辰馬(みやぎ・たつま)はエレキギターの専門学校に通い、
仲間を見つけてバンドを組んで、いつかはメジャーデビューをする夢を抱き、
年明けて数週間が経った日に、東京へやってきました。

渋谷のスクランブル交差点を目の当たりにした辰馬は、
そこから徒歩で20分ほどの姉の住んでいるマンションへ行こうとします。

右手の指先に痛みが走り、どす黒く変色していました。

10本の指は、赤錆に覆われたような色になっていて、
腐っている、この人混みが俺の体を腐らせている、と辰馬は思い、
喉から悲鳴がほとばしりました。

場面が変わり、2月中旬の木曜日の午前、
小鳥遊優は天医会総合病院の10階にある統括総合診断部外来診察室にいました。

金髪の白人男性は、数ヶ月間原因不明の高熱をくり返していましたが、
日本語も英語も話せないため統括診断部の外来に送られてきました。

イタリア語が喋れる天久鷹央が、そのミラノ出身のイタリア人の診察をし、
家族性地中海熱という遺伝性の疾患だと診断をくだしました。

そのイタリア人の次に、宮城辰馬の姉の、
宮城椿という20代半ばの整った顔をした女性が診察室に入ってきました。

辰馬は人混みの中に入ると体が腐る、ということを3回くり返していて、
外に出るのが怖いから椿だけ来たのだそうです。

自宅に戻れば、腐りはじめていた部分も元に戻るのだそうです。

面白い! と鷹央は言いました。

土曜日に、小鳥遊と鷹央は椿の住む渋谷のマンションに行きました。

人混みに入ってからある程度の時間が経つと、
手の指の先から青黒くなっていくのだと辰馬は言いました。
実家の近くでは、あんなに人が多く集まることなどなく、
そういう症状が起きたことはないのだそうです。

この近くなら、スーパーに行っても、病院に行っても体が腐ったりしないのだそうです。

けれど、自分以外にそれを目撃した者がいないから、幻覚だと思われていました。

実験のため、辰馬を渋谷駅に連れていきます。

すると、人混みが苦手な鷹央は吐きそうになりました。

鷹央が人の群に押し流されていった後、小鳥遊と椿は、
辰馬の指や耳の辺縁(へんえん)から内側へと、青黒く変色していくのを目撃しました。

椿の自宅に戻った鷹央は、辰馬たちを屋上に連れていき、温かいココアの缶を買い、
戻ってきました。

辰馬の指先が青黒く変色すると、鷹央は小鳥遊に辰馬の採決をさせました。

しかし、血管に針は刺さっているはずなのに、抵抗があり、
血液を引き込めませんでした。

鷹央が、針が刺さっている部分のすぐそばに、ココアの缶を押し当てると、
抵抗がなくなって注射器内に血液が流れ込んできました。

鷹央は、お前の体が『腐った』原因が分かったぞ、お前は「寒冷凝集素症だ、
と診断をくだしました。

部屋に戻った鷹央は、慣例凝集素症は自己免疫による溶血疾患の一種だ、
温度が下がると赤血球に結合して、血液を凝集させる抗体が存在しているんだ、
血液による酸素供給が途絶えた場所は、酸素不足に陥り青黒く変色する、
と説明しました。

温めることで抗体は赤血球との結合を保てなくなり、血液がもとの状態に戻ります。

渋谷駅で出た症状が、走ってこの部屋まで戻って来たら消えていたのは、
運動によって体が温まったからでした。

宮城という苗字から、椿と辰馬は沖縄の離島出身だと鷹央は見抜いていました。
暖かい沖縄の機構では、寒冷凝集素症が反応するほど体温が下がらず、
症状が出ないのでした。

体を冷やさないようにすれば、東京で音楽をやる夢を諦めなくてもいいのでした。

また、小鳥遊は椿に惚れていましたが、椿は沖縄で結婚するため、
またしても小鳥遊の恋は終わったのでした。


というあらすじなのですが、面白かったです。

しまうましたも渋谷のスクランブル交差点には何度も行ったことがありますが、
初めて行った時は、
それが世界的に有名なスクランブル交差点だと気づきませんでした。

実際に訪れると、映像や写真で見るよりしょぼく小さく感じたので。

すでに実物を見て歩いていたのに、そうと気づかずに、
あのスクランブル交差点はどこだろうとしばらく探していたのは内緒ですw

東京版の「札幌市時計台」みたいなものかもしれませんね。

(天久鷹央の推理カルテⅤ 神秘のセラピスト Karte.01 Karte.02 Karte.03

知念実希人「あなたのための誘拐」のネタバレ解説

あなたのための誘拐


平成23年、ゲームマスターと名乗る誘拐犯が
高輪台(たかなわだい)で女子中学生を誘拐し、
警察に通報するように女子中学生の家族に指示しました。

ゲームマスターは、
40歳の刑事の、上原真悟(うえはら・しんご)に身代金を持たせると、
制限時間を区切って東京中を走りまわらせました。
しかし、午前10時から午前0時まで、
14時間も走り続けた上原は体力の限界に達し、
代々木公園で12秒間に合いませんでした。

そして、翌日、人質だった中学生は荒川の河川敷で、遺体で発見されました。

遺体を見た真悟は自分のせいだと己を責め、
警察を退職して独自にゲームマスターを追いました。

事件が起こる半年ほど前から、
真悟は部下の加山楓(かやま・かえで)と不倫関係にありました。
しかし、事件のせいで楓との関係が悪くなり、事件から半年後に、
真悟は一方的に別れを告げました。

容疑者として浮上したのは、
荒川区に住んでいた桃井一太(ももい・いちた)という22歳の無職の男でした。

桃井一太は事件の1ヶ月ほど前、裏で流れているプリペイド携帯電話を
20個ほどまとめ買いしていました。

桃井一太は高校卒業後に警察の採用試験を受け続けましたが、
ことごとく不採用となりました。
夢に破れた桃井一太は親が所有するアパートの一室に籠もり、
インターネットの掲示板などに警察に対する逆恨みを
書き連ねる生活を送っていました。

真悟は桃井一太の部屋の向かい側のアパートを借り、
桃井一太の部屋を見張っていました。

それから2週間後、桃井一太は自室で首吊り自殺をしました。

真悟は生ける屍のような状態になり、半年後には妻と離婚しました。

誘拐事件から4年後の、平成27年10月31日、
警視庁本部庁舎6階にある、刑事部捜査一課特殊班係に、
高輪署管轄内で誘拐事件が発生したという電話がきました。

その電話を取った加山楓(かやま・かえで)は、
オペレーターから詳細を聞きます。

佐和奈々子(さわ・ななこ)という白金(しろかね)高輪に住む
17歳の高校3年生が誘拐されました。

マル被(犯人)から、娘を返してほしければ5000万円用意しろと
奈々子の母親に電話があったのだそうです。

マル被が通報を指示し、2時間以内にまた連絡する、
捜査員と家で連絡を待つように指示したのだそうです。

また、マル被は、自分は“ゲームマスター”だと名乗っていました。

加山は、我那覇(がなは)、若林という男性刑事と一緒に、
佐和奈々子の自宅へ行き被害者対策をすることになりました。

自宅に行くと、佐和奈々子の母親の真奈美はいましたが、
真奈美の夫は名古屋に出張中でこちらに戻っているところでした。

やがて犯人から電話があり、ゲームマスターの指示で楓は電話に出ました。

ゲームマスターは、君も僕を偽者だと思ってるでしょ? と言いました。

ゲームマスターは、僕こそがゲームマスターだと言い、
桃井一太はスケープゴートだと主張しました。

ゲームマスターは、4年前の事件のときも、
楓が被害者の家にいたということを知っていました。

ゲームマスターは最初の要求として、正午までに上原真悟を呼べと言いました。
真悟はもう警察を辞め、警備員をやっていましたが、
ゲームマスターはそのことも知っていました。

場面が変わり、上原真悟は大学2年生の娘の水田優衣(ゆい)と
表参道のカフェで会っていました。

苗字が違うのは、離婚して優衣が元妻に引き取られたからでした。

毎月1回、真悟は優衣と面会していて、今日がその日でした。
優衣は真悟のことを“お父さん”ではなく“真悟さん”
と呼ぶようになっていて、よそよそしい態度でした。

真悟は優衣に、ちょっと聞いてほしいことがあるんだ、と言いましたが、
そのとき、楓から電話があり、ゲームマスターが誘拐事件を起こしたと知らされ、
優衣に1万円札を渡して佐和奈々子の家に行きました。

奈々子の父親の佐和好嗣はもう帰宅していました。

真悟は奈々子の母親の真奈美に頼み、奈々子の部屋を見せてもらいます。

その際、最後に娘と会ったのはいつかと訊ねると、
昨日の夕方、午後5時ごろだと真奈美は答えました。
今日が創立記念日で、奈々子は友達の家に泊まって、
勉強すると言って出かけたのだそうです。

真奈美に出て行ってもらい、1人で奈々子の部屋を調べると、
“ユメキス”というロックバンドのポスターが貼ってありました。

ゲームマスターからボイスチェンジャーで声を変えた電話があり、
本物だという証拠を見せると言い、電話が切れました。

続いて、真悟のスマートフォンに非通知でゲームマスターから電話があり、
『ミッション・インコンプリート』という、
4年前にゲームマスターが最後に言った言葉を言われました。

報告書にも書かなかったので、それを知っているのは、
真悟とゲームマスターだけでした。

真悟は、いま話している相手がゲームマスターだと確信しました。

ゲームマスターは、14時までに池袋のジュンク堂書店に、
身代金をリュックに入れて真悟が持ってきて、と最初の指示を出しました。

しかし、指揮本部は、刑事を辞めた真悟に重要任務を任せられるわけがない、
と揉めていて、本部からの指示が遅れていました。

特殊班の担当管理官の近衛司(このえ・つかさ)警視は、
5年近く真悟と働いたことがあり、他の幕僚たちを説得し、
身代金の搬送を上原真悟に任せると結論を出させました。

池袋のジュンク堂書店で待っていると、ゲームマスターから電話があり、
ルール説明がありました。
真悟がゲームマスターの指示を最後までクリアーできたら、
真悟は一番欲しいものを手に入れるのだそうです。

最初のゲームの制限時間は、この通話を切ってから5分後です。

その書店の中を走らせると言い、ゲームマスターは、
私の靴は走るのには適していない、走ったら簡単に脱げちゃうかもしれないし、
それ以前にバラバラに砕けちゃうかも、
午前零時までに見つけてね、そうじゃないと、
あなたはもう私が私だって分からなくなってしまう、
零時までが魔法の時間、とヒントを出しました。

真悟はそのヒントが『シンデレラ』を意味していると判断し、
8階の児童書のコーナーに行きました。

電子音が聞こえていて、『シンデレラ』の本を引き抜くと、
携帯電話が鳴っていました。

その通話ボタンを押すと、ゲームマスターは、
ミッション・コンプリートだと言いました。

ゲームマスターは、2020年にはこの東京でオリンピックがあるね、
たのしみでしかたなくて、頭の中が未来にタイムスリップしちゃっているんだ、
と言った後、15時半までに、この東京で一番魚が集まるところに行ってもらおうかな、
と言いました。

真悟は築地に行きましたが、そのことをゲームマスターに伝えると、
カジキはサメに食べられちゃったからね、年寄りが一人で漁に出たりするからだよ、
もし少年が一人乗っていたら、大物を水揚げできたのにねぇ、
ゲームマスターはヒントを出しました。

さらに、カーンという音が聞こえ、質問は「誰の?」だよ、
「タメ」はひらながじゃなくて漢字だ、とゲームマスターは言いました。

そこに隠してある別の携帯電話に、15分後に連絡を入れる、と言いました。

東京オリンピックがある2020年には、築地の魚河岸は豊洲に移転しているはずで、
ゲームマスターが行けと指示していた場所は豊洲だと真悟は気付きました。

それを聞いた近衛はオートバイ追跡部隊の「トカゲ」に、
真悟を豊洲に運ぶよう指示しました。

また、カジキマグロはサメに食われて水揚げできなかった、
というのは「老人と海」という小説の内容だと近衛は真悟に伝えました。

「老人と海」の作者はアーネスト・ヘミングウェイで、
ヘミングウェイが書いた「誰がために鐘は鳴る」が、
ゲームマスターの指示した場所だと真悟は判断しました。

豊洲にある一番規模が大きい「ららぽーと豊洲」の3階にある紀伊国屋書店に向かいますが、
「タメ」が漢字だというゲームマスターの言葉を思い出し、
映画の「誰が為に鐘は鳴る」だと真悟は気付きました。

「誰が為に鐘は鳴る」を上映している映画館に行くと、
背もたれのそこで携帯電話が鳴っていました。

指示はそこに封筒が貼ってあるから、中の便箋を見て、とゲームマスターは言いました。

封筒の中には便箋が1枚と携帯電話の電池、
コインロッカーのものらしき小さな鍵が入っていました。

便箋には定規を使って書かれたカクカクとした文字で、
18時までに代々木八幡にある喫茶「ケイト」に水田優衣を呼べ、
という内容がカタカナで書かれていました。

場面が変わり、午後5時48分に、
真悟は代々木公園のそばにある“ケイト”という名の喫茶店で優衣と待ち合わせました。

優衣が来ると、ゲームマスターから電話があり、
真悟が娘に隠していることを10分以内に全部娘に告白すればゲームクリア―、
という内容を言われました。

真悟は優衣に、膵臓癌(すいぞうがん)が見つかったと告白しました。

去年の9月に、このまま治療を受けなければ余命は半年ほどだが、
化学療法を受ければさらに半年ほど延命が可能だと説明されていました。

抗癌剤を投与することで背中の疼痛が弱くなる可能性があると説明され、
真悟は化学療法を選択しました。

現在も週に1回は抗癌剤の点滴を受けに通院していますが、
癌は大きくなってきていて、残された時間は半年はないだろうと主治医は告げました。

しかし、ゲームマスターは、まだ隠していることがあると言います。

楓から、特殊班の刑事として、するべきことをしてください、
というメールが届き、真悟は楓と不倫していたことを優衣に告白しました。

誰と付き合っていたのよ! と優衣に言われ、ゲームマスターからも全部告白しろ、
と言われ、楓の名前を口にしました。

優衣は、14歳の誕生日に真悟がプレゼントした星型のペンダントを胸元から引き抜き、
真悟に投げつけ、さよなら、二度と会いたくない、もう連絡しないで、
と言い、気茶店から出て行きました。

ゲームマスターは最後の大勝負だと言い、東京のてっぺん、
日本史上最高の剣豪がいる場所に午後8時までに行ってね、と言いました。
封筒に入っていた鍵はそこの地下にあるコインロッカーの鍵なのだそうです。

日本史上最強の剣豪と言えば、宮本武蔵で、
高さ634(ムサシ)メートルを誇る日本最大の建築物、
東京スカイツリーに行けという指示なのでした。

コインロッカーには『20時00分』と入場時間が記された
展望デッキの予約入場券が入っていました。

スカイツリーでは、ハロウィンナイトというイベントが開催中で、
仮想すれば展望台への入場料が無料になるとポスターに書かれていました。

時刻はまだ午後7時前でしたが、ゲームマスターから予定変更の電話があり、
4年前に女子中学生の遺体が発見された、荒川にかかる千住新橋に行って、
北千住側の欄干下に隠してあるスーツケースに5000万円を入れて、
午後9時ちょうどに橋の真ん中から荒川に落とせ、
という内容を言われました。

真悟はそれを指揮本部に伝えましたが、荒川はダミーであり、
スカイツリーから捜査員を減らすためだと言いました。
真悟は、スカイツリーにも捜査員を残してくれと頼みました。

8時になると、再びゲームマスターから電話があり、
ゲームマスターは荒川の指示はダミーだと認めました。

20分以内にスカイツリーの最上階、
450メートルフロアまで上がってきてくれるかな?
とゲームマスターは指示を出しました。

その通りにすると、午後8時25分までにソラカラポイントで記念写真を撮影し、
身代金の入ったリュックをカボチャの後ろに置いて、とメールが入りました。

ソラカラポイントというのは、スカイツリー展望台の最高点のことで、
ハロウィンらしく、ジャック・オー・ランタンの顔が彫られた
巨大なカボチャのオブジェが置かれていました。

指示通りにすると、僕を見つけて、真ん中にある五角形、その中に僕はいるよ、
僕を見つけられなかったら、人質は殺す、
僕を見つけられたら、一番欲しいものをあげる、とメールがきました。

そのとき、煙が上がりました。
その場所に行くと、窓際の見つかりにくい位置に発煙筒が何個も置かれていました。

多機能トイレから、警備員の制服を着た若い細身の男が出てきました。
そのトイレの隙間から、もうもうと煙が溢れはじめました。

その男を捕まえると、ネットで誰だかわからない奴から依頼され、
今日、午後8時半にここで発煙筒を10本以上焚けば、
金をくれると言われたのだと男は言いました。

カボチャの後ろからも煙が上がり、5000万円は奪われてしまいました。

真悟は五角形を探し、星型の形をした公式キャラクターの、
バンパイアの着ぐるみを見つけました。
その後頭部は緩やかな五角形に見えなくもなく、真悟は着ぐるみに声をかけました。

着ぐるみは逃げましたが、真悟は着ぐるみを捕まえ、チャックを開けました。

しかし、その男もネットで依頼されただけで、
警備員の制服を着て発煙筒を炊いた男の友達なのだと言いました。

ゲームマスターから電話があり、今日一日の行動を思い出してみなよ、
手がかりはそろっている、と言いました。

真悟はスカイツリーから東京の夜景を見下ろし、皇居だ! と叫びました。

池袋、豊洲、代々木、このスカイツリー、この四ヶ所の真ん中にして、
東京の中心にあるのが、五角形の皇居でした。

しかし、ゲームマスターはそれが正解なのか言わず、
なんの変哲もない白いワンボックスカーの写真と、
誘拐された子はこの車の中にいるよ、という文面のメールが送られてきました。

真悟はゲームマスターの指示で佐和奈々子の家に戻った後、
今日真悟がやった4つのゲーム、
シンデレラ、誰が為に鐘は鳴る、ケイト、バンパイア、
の最初の文字を入れ替えると「竹橋」になると気付きました。
竹橋は、皇居の堀にかかっている橋のことです。

その近くにある東京国立近代美術館の駐車場でバンが発見されましたが、
バンの中には首元を大きく切られて大量に出血し、
死亡した佐和奈々子の遺体がありました。

ゲームマスターから電話があり、上原さんは本当の答えを見つけられなかった、
これで前半戦はお終い、これから後半戦といこうじゃないか、
そのゲームに勝てば、君が本当に欲しかった僕が手に入る、
実は僕、上原さんと会ったことがあるんだよ、という内容を言われました。

それから13日後、真悟のことを昔から毛嫌いしている、
警視庁捜査一課殺人犯捜査第四係の刑事である重野竜三(しげの・りゅうぞう)が、
真悟が抗癌剤を投与しに来た病院へやってきました。

真悟は最後のゲームマスターの電話の内容を警察に教えていませんでしたが、
重野は真悟が何か隠していると考えていました。

重野がトイレへ行っている間に、重野に同行していた新人刑事の佐藤に話しかけ、
重野がいる四係のほかに六係が捜査をしていると情報を引き出しました。

真悟は、六係にいる刑事の阿久津和弘(あくつ・かずひろ)とバーで会い、
捜査本部の情報を流してもらう代わりに、
1ヶ月後、真悟が知っている情報を全部阿久津に渡す、と取引をしました。

佐和奈々子の死亡推定時刻は10月31日の午後7時から9時の間で、
バンは盗まれたもので、ナンバープレートが付け替えられていたため、
Nシステムにも引っかかっていませんでした。

また、事件前日の佐和奈々子の足取りがおかしく、
友達のところに泊まるというのは嘘で、渋谷に行っていました。
ゲームマスターは佐和奈々子の恋人でだったのかもしれない、
と本部は考えていました。

阿久津から情報提供を受けた3日後の昼下がり、
真悟は佐和奈々子が通っていたという品川の塾の応接室に行き、
堂本駿平(しゅんぺい)という若い男性の塾講師と話をしましたが、
あまり有力な情報は得られませんでした。

今度は、奈々子の友人の猪原(いのはら)美香に、路地で話しかけますが、
話をするのを拒否されました。
しかし、美香の鞄に5人組男性アイドルグループの写真がついたキーホルダーを見て、
翌日、そのアイドルグループのコンサートのチケットと引き換えに、
話を聞かせてもらうことにしました。

ちなみに、そのプラチナチケットは80万円も情報屋に払って手に入れました。
真悟は癌の診断によって3000万円の保険金を手に入れていたので、
お金には余裕がありました。

奈々子には恋人がいて、その恋人から洗脳されたせいで人が変わった、
と美香は言いました。

奈々子は“ユメキス”というバンドが好きで、
そのライブ会場で声をかけて、自分もあのバンドのファンだとか言えば、
奈々子と仲よくなるのは簡単だ、と美香は言いました。

インターネットカフェで調べ、
“ユメキス”は、現在は“MASK”と名乗っていると判明しました。
次のライブが3日後に渋谷であることを確認し、帰る途中、
真悟は男に尾行されているのに気付きました。

しかし、癌の疼痛が起きてしまい、男を逃がしてしまいます。

自宅に帰ると、『マダ ボクヲ ミツケラレナイノ?』という手紙がありました。

3日後、全員がマスクをして演奏する女性4人組バンド“MASK”のライブが終った後、
出演者控室に行き、“メイ”“スズ”“アカネ”“キッコ”たちに話しかけます。

1枚2000円のCDを300枚買い取り、佐和奈々子の話を聞きます。

今はマイナーなバンドの“MASK”ですが、
1年前まで“ユメキス”と名乗っていた頃は熱烈なファンがいっぱいいて、
佐和奈々子もその中の1人でした。

ファンはほとんどが若い女の子で、ライブに男が来たらかなり目立って、
覚えていますが、奈々子が男と一緒にいたことはなかったはずだ、
とメンバーたちは答えました。

家に帰ろうとすると、ゲームマスターから、
今夜午前2時に指定する場所に来て、と電話がありました。

東京湾野鳥公園の近くにある倉庫行くと、サングラスをかけた男に殴られ、
床に倒れてしまいました。

サングラスの男は、倉庫の奥にいる目出し帽の男に話しかけました。
腕ひしぎ十字固めでサングラスの男の肘を折ります。

サングラスの男に見覚えがあり、バーで真悟を監視していた男でした。

真悟が目出し帽の男の目出し帽を取ると、そこから現れたのは佐和好嗣でした。

サングラスの男は佐和好嗣に雇われた探偵で、
真悟のせいで奈々子が殺されたと考えた佐和好嗣は、
真悟を呼び出して2、3発殴ろうとしたのでした。

探偵が逃げた後、佐和好嗣は何度も真悟を殴りましたが、
真悟は何も言わず、謝罪しました。

慟哭する佐和好嗣に、真悟は、協力を仰ぎました。

佐和好嗣を自宅に招き、奈々子との親子関係について質問します。
1年前までは、奈々子は佐和好嗣を慕っていましたが、
いつの間にか、両親を憎むようになっていました。

3ヶ月前、奈々子が男とホテルに入るところを取った写真が送られてきて、
娘を問いつめましたが、奈々子は最後まで相手についてはなにも言いませんでした。

週に3回は塾に行かせ、他の日は門限を午後6時にし、
土日や休日などは、誰とどこに行くか説明させてから外出させ、
さっき逃げた探偵に尾行させていました。

しかし、事件当日は、奈々子が外出することを佐和好嗣は知らず、
尾行がついていませんでした。
夫がやり過ぎだと思っていた妻の真奈美は、
夫に知らせずに奈々子に外泊を許可しました。

誘拐事件の後、真奈美は責任を感じて、大量の睡眠薬を飲んで自殺未遂をし、
今も入院中でした。

奈々子の机の抽斗に、4年前の誘拐事件に関して記された本が何冊もあった、
と佐和好嗣は言いました。
本に混ざって、桃井一太の母親の家の写真も入っていました。

また、佐和好嗣は探偵に真悟を監視させ、
ボイスチェンジャーを使って呼び出させましたが、脅迫状は出していないと言いました。

家に帰ると、新しい脅迫状が入っていて、
10年以上君を見続けている、という内容が書かれていました。

翌日、真悟は桃井一太の母親の桃井初子に会いに行き、
偽名でジャーナリストを名乗り、息子さんは冤罪です!
と言って、初子から話を聞くことに成功しました。

初子に奈々子の写真を見せると、初子は破顔して、ナオコちゃん、と言いました。

奈々子は初子にナオコという偽名で大学生を名乗って、
桃井一太について調べていたのでした。

3ヶ月前までは、月に2回くらいは来ていたのだそうです。

桃井一太の無実を証明するためだと言い、
地下室にあった桃井一太の遺品を見せてもらいます。

警察について書かれたノートが大量にありましたが、
『特殊班捜査係』についてまとめられているノートだけが見つかりませんでした。

また、エメラルドグリーンの錠剤が入ったピルケースを発見しました。

桃井初子の家を出ると、重野に公務執行妨害で捕まりそうになります。

しかし、そのとき、真悟は吐血し、重野は救急車を呼びました。

もうすぐ死ぬと思った真悟は、桃井初子の家に隠されていたノートの存在や、
10年前に真悟が壊滅させた組織が売りさばいていた合成麻.薬、
『グリーングリーン』を見つけたことについて話しました。

真悟はその後、一命をとりとめましたが、吐血は鎮静剤の飲み過ぎが原因で、
今後は麻.薬によって痛みをコントロールすることを条件に、
退院が許可されました。

退院し、駅に向かう途中、“罰ゲーム”をした、
とゲームマスターから電話がありました。

真悟がグリーングリーンについて話すと、ゲームマスターは数十秒沈黙し、
回線を遮断させました。

自宅に帰る途中、阿久津から電話があり、今日発売の週刊誌に、
事件の責任は全部真悟にあるという論調で真悟のことが書かれている、
と言われました。

その直後、マスコミに囲まれましたが、フルフェイスヘルメットを被り、
バイクに乗った楓が助けに来てくれ、真悟たちはファミリーレストランに入りました。

楓は有給をとっていましたが、近衛から連絡があり、
真悟を助けに行ったのだと言いました。

奈々子は恋人に、駆け落ちして新しい人生を始めようとそそのかされ、
狂言誘拐をしようとしたのではないか、と楓は推理していました。

しかし、恋人は最初から奈々子を利用するつもりで、
ホテルに入る写真も恋人が送ったのだと、楓は考えていました。

その後、真悟は楓のマンションに行き、関係を再開しました。

翌朝、真悟がマンションから出て行った後、楓はシャワーを浴び、地図を見ました。

そして、なんでゲームマスターは真悟をスカイツリーから佐和奈々子の家に戻したのか、
と考え、地図を見つめました。

楓はゲームの本当の答えに気付き、スマートフォンで真悟に伝えようとしましたが、
そこへゲームマスターが現れ、「楓はナイフで刺されて殺されてしまいました。

一方、ビジネスホテルにいた真悟に、阿久津から電話があり、
重要参考人が浮かび上がったと言われました。

10年前、真悟はグリーングリーンの事件で服部(はっとり)駿平という
医学部の学生を逮捕していました。

服部駿平は母親の姓に苗字を変え、進学塾の英語講師となりました。

奈々子が通っていた塾の講師、堂本駿平と服部駿平は同一人物でした。

ちょっと会って話したい、と阿久津は言い、いつものバーで待ち合わせすることにしました。

しかし、バーに向かう途中、公衆電話から電話がありました。
電話の相手は近衛で、楓が遺体で発見されたことを告げました。

防犯カメラには、楓のマンションから出て行く真悟の姿が映っていたのだそうです。

通話を切ると、阿久津が現れましたが、阿久津は楓を殺した犯人が真悟だと考えていて、
真悟を重要参考人として署に連れて行こうとしました。

しかし、真悟は阿久津の仲間の刑事を倒し、逃げました。


その後、ゲームマスターから電話があり、真悟の宝物を預かっていると言いました。

電話から、助けて、という優衣の声が聞こえてきました。

ゲームマスターは優衣を預かっていると言い、
狛江市の住宅街から外れた場所にある4階建てのビルの廃墟に行くよう、
真悟に指示しました。

真悟がその廃墟に入ると、2階から4階までの床が半分ほど取り壊され、
吹き抜けになっていて、そこに猿轡を噛まされ、
後ろ手に縛られた優衣が椅子に座らされていました。

そこへ「堂本駿平が現れ、真悟が武器を隠していないことを確認した後、
4階まで上がらせました。

堂本駿平は真悟に恨み言を並べ、暗視ゴーグルを握ると、
光源のランタンを消しました。

真悟は闇の中で一方的に殴られます。
その間、俺は奈々子を愛していたんだ、それなのにお前のせいで奈々子は死んだんだ!
と、堂本駿平は正気ではないことを口にしました。

堂本駿平は再びランタンに光を灯すと、優衣の喉元にナイフを当て、立たせました。

優衣の猿轡を外すと、優衣は、
久しぶりに『真悟さん』ではなく『お父さん』と真悟のことを呼びました。

そのとき、無数のパトカーのサイレンが聞こえました。
廃墟に入る寸前、真悟は近衛にメールしていたのでした。

真悟は4階に上がる途中に靴下の中に隠していた、
鋭いガラス片を武器に、堂本を切りつけます。

致命傷ではありませんでしたが、優衣が堂本の背中を押し、バランスを崩します。

さらに、真悟が堂本の踵を思い切り払い、堂本は吹き抜けから落下し、
首を折って死亡しました。

優衣は真悟に抱きつき、お父さん、ありがとう、と何度も言いました。


それから2週間後、真悟は元妻の亜紀と電話で話していました。

2年半前、亜紀が真悟に離婚を切り出したのは、
あのときなら、優衣が真悟に失望していて、
優衣の親権を真悟に取られないと思ったからなのだそうです。

優衣にとって真悟はずっとヒーローだったのだと亜紀は言います。

優衣は中学生くらいからカリスマ的な存在で、歌も上手く、
女の子からもよくラブレターをもらっていた、という話を亜紀はしました。

真悟が刑事時代みたいにかっこよくなって、いまの優衣は本当に幸せそうだ、
と亜紀は言いました。

その後、近衛がやってきて、「堂本が真悟を切りつけたナイフが、
楓を刺した凶器だと証明された、と言いました。

しかし、4年前の女子中学生誘拐殺人事件のときには、
堂本はその頃に勤めていた塾の勉強合宿で北海道にいたという
完璧なアリバイがありました。

真悟は、刺された楓のそばには、地図があったという話や、
奈々子が誘拐された事件の最後に真悟が奈々子の家に戻された理由について
楓が気にしていたのを思い出し、地図を広げました。

赤いボールペンで、白金高輪から池袋、豊洲、代々木八幡、スカイツリー、
白金高輪、の順に線を引きました。

すると、五芒星が現れ、その中心にはきれいな五角形が浮かび上がりました。

また、“MASK”はバンドメンバーのメイ、アカネ、スズ、キッコの名前を、
ローマ字で記した際の頭文字を並べて、“MASK”と名乗っていたのだろう、
と推理しました。
1年ほど前に“ユメキス”からバンドの名前が変わり、人気が急に落ちたのは、
熱狂的なファンを惹きつけていたカリスマメンバーがバンドを脱退したからでした。

1年前に脱退したそのメンバーの名は“ユ”から始まるものでした。
そのメンバーは若い女性で、奈々子はそのメンバーに心酔していました。

真悟は、代々木八幡の喫茶店で優衣に突き返された、
五芒星のペンダントを取り出し、真ん中の五角形に埋め込まれた琥珀を外しました。

そこに小さく折り畳まれた紙片が入っていて、電話番号が書かれていました。

その番号に電話すると、ゲームマスターが出ました。

4年前の女子中学生誘拐殺人事件は桃井一太の単独犯でした。
しかし、ゲームマスターは真悟が金庫に隠していたノートを読み、
その詳細や、真悟とゲームマスターしか知らないはずの
『ミッション・インコンプリート』という言葉なども知ったのでした。

堂本もゲームマスターの駒で、
家庭教師のアルバイトをして堂本に近づいたゲームマスターは、
堂本をコントロールしていたのでした。

そして、堂本と奈々子を会わせて、お互いに運命の相手だと暗示をかけました。

事件当日、真悟にかかってきた電話の中には、奈々子が掛けていたものもありました。
どうしてもゲームマスターが電話を掛けられないときには、
奈々子が代わりにゲームマスター役を引き受けていたのです。

マスコミに情報を流したのは、楓の居場所を見つけるためでした。

真悟のスマートフォンは優衣に設定してもらったものでしたが、
その中には、真悟がどこにいるのか、誰と電話やメールをしたのか、
全部ゲームマスターのスマートフォンに情報が送ららてくる
スパイアプリが仕込まれていました。

楓を殺したのは、優衣から真悟を奪ったからでした。
桃井一太の家にグリーングリーンを置いたのもゲームマスターでした。

ゲームマスターは、刑事時代の自信に溢れて、輝いていた真悟に会いたかったから、
こんな事件を起こしたのだと言いました。

ゲームマスターこと優衣は、本当の“最後のゲーム”をしようよ、と言いました。
私を捕まえてよ、そうしたら、真悟さんが一番欲しいものをあげる、
と優衣は言った後、愛しているよ、……お父さん、と言って通話を切りました。


というあらすじなのですが、面白かったです。

ゲームマスターの正体に関しては、タイトルの「あなたのための誘拐」が大ヒント過ぎて、
中盤で気付いてしまいましたが。

タイトルでネタバレしちゃってますね。

でも、それを差し引いても、話がめまぐるしく動き、
終盤には怒涛の伏線回収があり、凄く面白かったです。

そんな理由で2人(実質3人)も殺すなよ、とは思いましたが。

知念実希人「神酒クリニックで乾杯を 淡雪の記憶」のネタバレ解説

神酒クリニックで乾杯を 淡雪の記憶 (角川文庫)


神酒クリニックシリーズ、第2弾です。

午後11時40分ごろ。
茅場町ビジネスパレスの警備員の真鍋信二が、夜の当直をしていると、
電話がかかってきて、午前0時に爆発する爆弾を仕掛けた、
と言われました。

先輩警備員の猪原史郎にそのことを伝え、
真鍋信二と猪原史郎はビルの中を探し、
旅行代理店の給湯室で爆弾を発見しました。

1度はビルを脱出した真鍋信二と猪原史郎でしたが、
信二は警備員室で飼っていたインコが取り残されていることに気づき、
インコを逃がし、外に出ました。

その直後、本当に爆弾が爆発しました。

場面が変わり、主人公の九十九勝巳が、
患者の家から脱走した飼い猫の龍之介を捕まえる際に、
龍之介に引っかかれました。

その患者は現在ハワイに行っているため、
夜はビルの5階にある神酒章一郎と一之瀬真美の部屋で龍之介を飼い、
昼間は喫茶店に置いておくことになりました。

梅沢化粧品の社長の梅沢に呼び出され、
勝巳、神酒、真美、夕月ゆかり、天久翼、黒宮智人の6人は、
北区赤羽にある梅沢の豪邸に行きました。

そこには、30歳前後の女性がずぶ濡れで倒れており、
血を流していました。

女性を治療しながら事情を聞くと、妻には出張に行っていることにして、
愛人といちゃついているときに、
怪我を負った女性が庭に入ってきたのだそうです。
警察に通報すると、不倫を妻に知られてしまうかもしれないので、
神酒にこっそりと治療してほしい、と梅沢は頼んだのでした。

また、怪我をした女性本人も、意識を失う前に、
警察は嫌だと言ったのだそうです。

意識を取り戻した女性は、記憶喪失になっており、
翼は彼女に『赤羽』という仮の名前をつけました。

翼が診察すると、赤羽は、
暗い部屋の中で男たちに4つの爆弾を作らされていた、
という断片的な記憶を思い出しました。

午前零時を過ぎていると訊くと、私が作った爆弾が爆発する、
と赤羽は口走りました。
赤羽が冒頭のビルの爆破事件に関与している可能性が高くなりました。

その夜は翼がつきっきりで看病しました。
翌日の夜、赤羽の希望で、巽ビルの3階の病室で、
翼が赤羽に催眠をかけました。

赤羽は、窓から2棟のビルと川が見えるマンションにいる、
と思い出しましたが、家族というキーワードに反応し、
パニック状態になりました。

その翌日、マスコミ各社に、爆弾犯から犯行声明文が送られてきた、
というニュースが流れていました。

赤羽が思い出したマンションを探しに行くと、
そのマンションの前に10台を超える警察車両が停まっており、
警官が規制線を張っていました。

知らんふりをして通り過ぎようとしますが、
謎の男に尾行されていることに、黒宮が気づきました。

真美が運転するミニに乗って逃げようとしますが、
車で尾行されていることに気づき、真美はすさまじいスピードで運転し、
尾行を振り切りました。

クリニックに戻った赤羽は、尾行していた男は刑事ではなく、
赤羽を監禁していた男たちだと言いました。
他にも、土砂降りの夜、あの男から全力で逃げていたことや、
津田美鈴という自分の名前を思い出していました。

津田美鈴について調べ、31歳という年齢や、
関東電機大学の大学院卒業後、四葉電機に入社した、
優秀な技術者であることなどが分かりました。

刑事の桜井に、爆弾事件の情報を一部流し、見返りとして、
黒宮が暗記していた尾行の車のナンバーを調べてもらいました。

埼玉県に3ヶ所営業所があるレンタカーショップの車だと分かり、
その営業所の前で、勝巳たちが手分けして、
尾行の男が車を返しに来るのを張り込むことにしました。

勝巳とペアになった真美は、人の心を読めてしまう翼は、
記憶を読み取ることができない美鈴に惚れたのだろう、
という話をしました。

やがて、尾行していた男、2人がやってきて、勝巳は2人を尾行しました。

しかし、尾行に気づかれ、公民館の裏手に誘いこまれてしまいました。

ボクシングの経験がある角刈りの男と戦闘になりますが、
風邪気味だった勝巳はやられてしまいます。
角刈りの男の手下の男が、角刈りの男のことを「マサさん」と呼びました。

勝巳は誘拐されそうになりましたが、
ゆかりがパトカーのサイレンの声帯模写をして、男たちを追い払ってくれ、
助かりました。

クリニックに戻った勝巳は、黒宮に診断され、風邪ではなく、
猫の龍之介に引っかかれたことが原因の、猫ひっかき病だと言われました。

勝巳と戦闘になった男の特徴を伝えると、
神酒が黒宮に、プロボクサーについてリストアップしろと言いました。

その時、第二の爆発が起こったことが判明しました。

黒宮は、「マサさん」はタイガー雅次(まさつぐ)だと特定し、
2日後、神酒と勝巳はタイガー雅次が所属していたジムに行きました。

神酒はジムの会長に、ジム生の誰かとスパークリングをして勝ったら、
タイガー雅次の情報を教えてもらう、という条件を受け入れさせました。

神酒は、一番強い、80キロはあるジム生とスパークリングをし、
吹き飛ばして勝利しました。

約束通り、会長からタイガー雅次の情報を聞きます。

雅次は試合で網膜剥離になり、引退に追い込まれ、
荒れて傷害事件を起こしたが示談になり、警備会社に就職しました。
しかし、その警備会社が日本セキュリティ保障という大手警備会社に買収され、
リストラされ、ヤク.ザみたいな奴らの用心棒をやるようになり、
雅次は再び傷害事件を起こして逮捕され、会長は雅次と縁を切りました。

また、雅次の本名は成田雅次で、会長の一人息子でした。

勝巳と神酒が喫茶巽に戻ると、黒宮が、
「先々月、美鈴の夫と2歳の娘が、橋から河川敷に落下して、
車ごと炎上して死亡した」というニュースを見つけていました。

神酒は黒宮に、次に爆破が起こる場所と時間を予測してほしい、と言いました。

3日後、黒宮は、成田雅次の友人らしき人物の一人が、
恋人へ宛てたメッセージの中で、深夜、
東陽町に近づかないように警告するものがあった、という情報を掴みました。
その男は、深夜にそこで爆破事件が起こるって噂を、ネットで見た、
と恋人に言っていましたが、ネットにはそんな噂はありませんでした。

また、次の爆破が起こるのは今日でした。

これまでの2回では、13階建てのビルの最上階に爆弾が仕掛けられていたので、
今回も東陽町にある13階建ての山田ビルが怪しい、という話になりました。

ゆかりと勝巳は山田ビルに行き、ゆかりが警備員の気を引いている隙に、
勝巳が警備員の制服のポケットから鍵をくすねました。

神酒が防犯カメラのレンズに黒いスプレーを吹きかけ、
勝巳や神酒やゆかりや翼や美鈴は、山田ビルに侵入しました。

午後11時18分に、勝巳は爆弾を発見しました。
神酒が爆弾を解体しようとしますが、解体は難しそうでした。

しかし、美鈴は爆弾の構造を思い出し、コードを引き抜いて爆弾を無効化しました。

警備員が巡回する気配を感じ、真美が待機している車に戻ります。

ところが、爆破予告がなく、犯人は爆弾を持ち去られたことに気づいていました。

美鈴が口元を押さえて苦しそうにしているのを見て、
ゆかりは何かに気づいた様子でした。

ゆかりのアドバイスもあり、勝巳が真美に、
美術館で開催される大印象派展に行かないかと誘うと、真美は嬉しそうにしました。

公園のトイレに行っていた美鈴が、目出し帽を被った男に拉致され、
バンに乗せられてしまいます。
そこへ、トイレに駆け込んだバイクの男がやってきたので、
真美はそのバイクを拝借し、勝巳は真美の後ろに乗り、バンを追いかけました。

真美は車に急接近してバンの運転手を驚かせ、スピンさせました。

勝巳が、バンから出てきた成田雅次と闘っている隙に、
真美がバイクで他の男を弾き飛ばして、美鈴を助け出しました。

バイクには2人しか乗れないので、真美に美鈴を乗せて出発してもらい、
勝巳は時間稼ぎに成田雅次との戦闘を続けます。
しかし、パトカーのサイレンが聞こえてきて、成田たちは逃げていきました。
その時、勝巳は、後部ドアの隙間から見えるバンの車内に、
古そうな大きな絵がいくつも積み込まれているのを目撃しました。

真美がキャンピングカーで戻ってきて、
勝巳がパトカーから逃げる手伝いをしてくれました。

午前零時過ぎ、勝巳たちはバー神酒に戻りました。
神酒は、C4爆薬を酒瓶の下に煉瓦のように並べ、隠しました。

真美もバンの中にあった絵を目撃していましたが、
その絵は駄作で、全く価値はないと言いました。

山田ビルの警備員が13階にやってきたのは、
見回りではなく爆弾のスイッチを入れるためだったのかもしれない、
という話になりました。

山田ビルと、1、2回目に爆破されたビルの警備を請け負っているのは、
全部同じ日本セキュリティ保障でした。

勝巳とゆかりと翼は、最初の爆破事件で警備をしていた、
真鍋信二が入院する病院に、その病院の医療関係者の恰好をして潜入しました。

翼が真鍋信二に催眠術をかけ、事件当時のことを思い出してもらいます。
怪しい動きをしていた先輩警備員の猪原史郎は、
日本セキュリティ保障に吸収されたユニバーサル警備に勤めていた、
と真鍋信二は言いました。

巽ビルに戻ると、黒宮が、ユニバーサル警備は10年前、
鴨志田(かもしだ)亮介と猿渡恒彦(さわたり・つねひこ)が開設した会社で、
5年前に日本セキュリティ保障に吸収された、と調べました。

翌日、美鈴が姿を消してしまい、津田美鈴を預かった、
という内容の脅迫状がカウンターに置かれていました。

場面が変わり、日本セキュリティ保障社長の東海盛定(もりさだ)は、
鴨志田と猿渡と一緒に、東京都羽村市にある営業所にいました。
その地下にある金庫に、『大印象派展』の美術品を搬入しました。

日本橋の本社と新宿支社にも金庫室はあったのですが、
それらの金庫室は13階建てのビルの最上階にあったので、
爆破事件を考慮して羽山市の営業所の金庫室に保管することになりました。

5年前、日本セキュリティ保障に吸収された後、
鴨志田は常務に就任し、そこから這い上がり牛耳るつもりだったのですが、
4年前に新社長に就任した東海は鴨志田を冷遇し、
反社会的組織との関係についても調べられていました。

美術品を搬入すると、爆弾を仕掛けたという脅迫電話がかかってきました。

鴨志田は美術品を避難させようと東海に言い、
金庫室へ戻ると、共犯者である子飼いの部下たちに指示を出しました。

東海が網膜スキャンと暗証番号で、金庫室の扉を開けると、
鴨志田は正体を現し、拳銃を東海に向けました。
隣では、猿渡がキュレーター(学芸員)たちに銃口を向けていました。

ダミーの美術品と一緒に、東海たちを爆弾で粉々にし、
鴨志田は他の国に行って、新しい名前で生活を始める、という作戦でした。

しかし、鴨志田が金庫室に入ると、中に作動した爆弾があり、
インターホンからは猿渡が裏切ったという声が聞こえてきました。

鴨志田が猿渡を説得して扉を開けさせると、
拘束された猿渡や警備員がいました。

猿渡の声は、ゆかりの声帯模写だったのです。
中にあった爆弾は、美鈴に頼んで作ってもらった偽物でした。

神酒は残りの警備員や鴨志田を倒し、拘束します。

勝巳はそこを抜け出し、外で成田雅次と決闘しました。
勝巳は成田雅次を倒すと、テンカウントをとり、
罪を償ったら、父親のジムでトレーナーでもやったらどうだ、と説得しました。

ゆかりから電話がかかってきて、翼と連絡がとれないと言われました。
また、成田は、美鈴を拉致などしていない、
美鈴は自分からすすんで装置を作ったのだと言いました。

美鈴は、飲酒運転の車に追突されて夫と娘を亡くしており、
その運転手である梅沢化粧品の社長に復讐しようとして、
鴨志田たちに近づいたのでした。

場面が変わり、梅沢の別荘で、美鈴は梅沢の膝の上に、
動いたら爆発する時限爆弾を載せていました。


しかし、「爆弾にはGPSを内蔵した龍之介の首輪が入っており、
その信号を辿って、翼が梅沢の別荘にやってきました。
まだ美鈴は部分的に記憶を失った状態であり、
自分が催眠術で残りの記憶を思い出させる、と翼は言いました。

さらに、梅沢の秘書に聞いて、神酒や勝巳や真美や黒宮やゆかりも、
別荘に駆けつけてきました。

美鈴は逃げ出しましたが、翼が追いかけました。
美鈴は現在妊娠しており、だから復讐の計画を途中で中止しようとしたのだ、
と翼は言いました。

美鈴は翼の催眠術で妊娠の記憶を取り戻してもらうと、
爆弾のコードの番号は、娘の誕生日の12月8日にちなんだ、
1、2、8だと告白しました。

美鈴は桜井に伴われて自首しましたが、最後に、
翼に自分の顔を見てもらいました。
顔を見ただけで心が読める翼は、
どうやら美鈴が出所するのを待つみたいでした。


というあらすじなのですが、詰め込み過ぎじゃないかと思うくらい、
次から次へと事件が起こり、相変わらず面白かったです。

ただ、翼と黒宮が同性愛的な関係にあるのではないか、
と、ゆかりが翼をからかうシーンが何度も何度も出てくるのは、
LGBTの人達に対してとても失礼なことであり、
差別的な行為なので、良くないと思います。

先に翼がゆかりに対して失礼なことを言っているという前提はありますが、
黒宮はゆかりに対して何もしていないのに、一方的にセクハラされています。

セクシャル・ハラスメントを肯定するような描写は、
読んでいて不愉快でした。
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