川原礫「ソードアート・オンライン9 アリシゼーション・ビギニング」のネタバレ解説

ソードアート・オンライン (9) アリシゼーション・ビギニング (電撃文庫)


この9巻から、長い長い長いアリシゼーション編が始まります。

プロローグⅠ 人界歴372年7月

12歳のユージオと、同じく12歳で幼馴染にして大親友のキリトは、
≪巨人の大杉≫を意味する≪ギガスシダー≫に、
≪竜骨の斧≫を振っていました。

……いきなりキリトが12歳に若返っていて、
しかも「人界歴」とか「ギガスシダー」とか、
専門用語が登場しますが、その説明は中盤までありません。
あまり気にせずに読み進めればいいです。

ユージオというのは、表紙の右側にいる亜麻色の髪の少年です。

去年の春、ユージオはキリトと一緒に村長の家へと連れていかれ、
≪巨樹の刻み手≫という≪天職≫を与えられました。

ギガスシダーは、ユージオとキリトが暮らす≪ルーリッドの村≫が拓かれる
遥か以前からこの地に根を張っており、
最初の入植者の時代から村人は延々と樹に斧を入れ続けていました。

初代の刻み手から数えて、ユージオとキリトが7代目であり、
ここに至るまでにすでに300年以上の時が費やされていましたが、
樹の切り目は1メル(1メートル)にも満ちませんでした。

樹を切り倒すには、あと900年、18代くらいかかる計算です。

ギガスシダーは、その巨体とありあまる生命力ゆえに、
周囲のとてつもなく広い範囲から、陽神と地神の恵みを奪い去ってしまいます。

ルーリッドの村は、≪人界≫を分割統治する4大帝国の1つ
≪ノーランガルス北帝国≫の、更に北部辺境に位置します。

村は北、東、西の3方を急峻な山脈にかこまれていて、
畑や放牧地を広げんとするなら南の森を切り拓くしかありませんが、
その森のとば口にぎがしすだーが根を張っているため、
この厄介者をなんとかしなければ、これ以上村の発展は有り得ませんでした。

キリトは前に突き出した左手の人差し指と中指をぴんと伸ばし、
残りの指を握り、そのまま空中に、這いずる蛇のような形を描き、
印を切った指先で、ギガスシダーの幹を叩きました。

この世界に存在するものは、動く、動かざるに関わらず、
生命を司る創世の神ステイシアによって与えられた≪天命(てんめい)≫
が存在します。

その天命の残量を神聖文字で記したのが≪ステイシアの窓≫です。

ギガスシダーの≪窓≫を引き出して見ると、23万5542でした。
先々月は23万5590くらいだったので、たった50しか減っていませんでした。

そこへ、ユージオ、キリトの幼馴染の少女、アリス・ツーベルクがやってきました。

アリスは村長の娘で、金髪です。
アリスは、村の子供では一番と目される神聖術の才能を伸ばすため、
シスター・アザリヤから個人教授を受けています。

しかし、ルーリッドの村は常に貧しく、アリスも勉強できるのは午前中だけで、
午後は家畜の世話や家の掃除に忙しく立ち働かなくてはなりません。
その最初の仕事が、ユージオとキリトに朝食を届けること、でした。

アリスは塩漬け肉と豆の煮込みのパイ詰め、チーズと燻製肉を挟んだ薄切り黒パン、
数種類の干し果物、朝絞ったミルク、といった料理の≪窓≫を確かめました。

天命が尽きた料理はすなわち≪傷んだ料理≫で、
食べれば、腹痛その他の症状を引き起こします。

急いで食べたキリトは、なんで暑いと弁当がすぐ悪くなっちゃうんだろうなあ、
と言いました。

冬は寒いから食べ物が長持ちするので、寒くすれば、
この時期だって弁当は長い間持つはずだ、とキリトは主張しました。

キリトは、氷がいっぱいあれば、じゅうぶんに弁当を冷やせる、と言いました。
しかし、この世界には冷凍庫はありません。

キリトは、『ベルクーリと北の白い竜』の伝説を思い出します。
ルーリッドの村の初代衛士長を務めたベルクーリは、
ある夏の盛りの日、ルール川に氷の塊が浮き沈みしているのを見つけ、
川沿いを上流へと歩き続け、≪果ての山脈≫の巨大な洞窟に辿り着きます。
洞窟に踏み込んだベルクーリは、大小無数の財宝の上で体を丸めた白竜が、
眠っているらしいと気付き、1本の美しい長剣を手に取り、
逃げ出そうとしたその途端――というのが大まかな筋です。

村の掟で【大人の付き添いなく、子供だけで北の峠を越えて遊びに行ってはならない】
となっていますが、アリスは、これは仕事のうちと解釈するべきだわ、と言いました。

王都セントリアに巨塔を構える≪公理教会(こうりきょうかい)≫が定めた、
≪禁忌目録(きんきもくろく)≫にも、
『何人(なんびと)たりとも、人界を囲む果ての山脈を越えてはならない』
と書かれています。

しかしアリスは、山を越えるっていうのは、≪登って越える≫ってことだわ、
禁忌目録のどこを探しても、『果ての山脈で氷を探してはならない』
なんて書かれてないわ、と言いました。

ユージオは嫌がりましたが、7の月3回目の休息日に、
ユージオ、キリト、アリスの3人で洞窟に氷を探しに行くことになりました。

その日の朝、3人は村はずれで待ち合わせし、村を出ました。

ユージオは≪刻み手≫の転職を与えられる前は、
衛士になりたいと思っていました。
それを知っているキリトは、仕事をやり遂げた場合、
次の天職は自分で選べるから、あの樹をあと2年で切り倒す、
という意味のことを言いました。

――とても半日歩いたくらいで≪果ての山脈≫には辿り着けないだろう
とユージオは思っていましたが、
4時間くらい歩いただけで、もう果ての山脈に辿り着いてしまいました。

≪北の峠≫も、気付かずに通り過ぎていました。

もしかしたら、村の大人たちすら、
果ての山脈がこんなにも近いということを誰ひとり知らないのではないだろうか?
何かが変だ、とユージオは感じました。

お弁当を食べ、洞窟の中に入ります。

ユージオは灯りを持ってきていないことに気づきましたが、
アリスは草穂の先端に左の掌を添え、神聖語による不思議な術式句を奏で、
複雑な員を切り、穂の先に青白い光を灯らせました。

100メルほど進むと、とても地下の洞窟とは思えない、
途方もなく巨大な空間が出現しました。

凍った湖があり、周囲の壁も、不思議な六角柱も、
何もかもが氷でできていました。

氷の湖の上を歩き、キリトは白竜の骨を見つけました。
竜の前足のものと思われる巨大な鉤爪を拾い上げ、
剣の傷があるのをユージオとアリスに見せました。

この竜を殺したのは――人間だ、とキリトは言いました。

ベルクーリが、寝てる白竜の懐から盗み出したという≪青薔薇の剣≫もありましたが、
重くて持ち上げることができませんでした。

氷だけ持って帰ることにして、藤かごに氷の欠片を詰めます。

広い氷の湖の一方に小さな出口があり、正反対の方向にも出口がありました。

どっちから入ってきたのか分からなくなってしまっていましたが、
出口からちょっと進んでみて、ユージオが踏み割った氷の張った水たまりがあれば、
当たりだということになりました。

一方の出口に入り、進むと、風の音が聞こえました。

しかし、洞窟の出口の向こうに存在するのは、
ユージオの知っている世界ではありませんでした。

空は一面真っ赤で、地上は黒い、闇の国、ダークテリトリーでした。

白い竜に乗る白銀の鎧の騎士と、黒い竜に乗る漆黒の鎧の騎士が戦っていました。
白い方が公理教会の≪整合騎士≫のようでした。

整合騎士は弓で黒騎士の胸の真ん中を射抜きました。

ユージオ達からほんの10メルほど離れた場所に、騎士が墜落し、
鎧の喉元から大量の鮮血が迸りました。

アリスは細い声を漏らし、吸い込まれるような足取りで、
よろめきながら洞窟の外に向かいます。
キリトが「だめだっ!!」と叫び、アリスは立ち止まろうとしましたが、
足がもつれ、洞窟の地面に倒れ込みました。

アリスの右手は、洞窟の青みがかった灰色の床と、
その先の消し炭色の地面の、異様にくっきりした境界を2セン(20センチ)
ほど越えて外に出ていました。
アリスの真っ白い掌が、ダークテリトリーの大地に触れていました。

ユージオとキリトはアリスの体をしっかりと摑み、
アリスを洞窟の中に引き戻しました。

洞窟の反対側に戻ろうとした時、洞窟の天井近くに、奇妙なものが出現しました。

直径50センほどの紫色の円の向こうに、
皮膚は生白く、頭には1本の毛も生えていない人の顔がありました。
謎の声が聞こえ、紫色の円はいきなり消滅しました。

ユージオ達は白竜の骨が眠る湖まで戻るとそのまま突っ切り、
長い洞窟を抜け、懸命に歩いてルーリッドの村に帰りました。

翌朝、ギガスシダーに斧を打ち込み続け、昼が近くなった頃、
ユージオとキリトは飛竜を目撃しました。

まさか、アリスを……とキリトはつぶやきました。

ルーリッドの村に戻ると、教会前の広場に飛竜と騎士がいました。

数十人の村人の中に、アリスを見つけ、
キリトは今のうちにアリスを広場から離れさせようとしました。

広場へ、アリスの父親にしてルーリッドの村長、
ガスフト・ツーベルクがやってきて、整合騎士に挨拶をします。

整合騎士は、ノーランガルス北域を統括する公理教会整合騎士、
デュソルバート・シンセシス・セブンと名乗り、
アリス・ツーベルクを、禁忌条項抵触の咎により捕縛、連行し、
審問ののち処刑する、と言いました。

どのような罪を犯したというのでしょう、とガスフトが訊ねると、
禁忌目録第1章3節11項、ダークテリトリーへの侵入だと騎士は答えました。

騎士は村人に命令し、アリスを騎士のところへ連れてこさせ、
ガスフトに輪のついた鎖を渡し、咎人を縛(いまし)めよ、と命令しました。

キリトは騎士に弁明しますが、騎士はアリスを連行しようとします。

キリトはユージオに、俺がこの斧で整合騎士に打ちかかるから、
その隙にアリスを連れて逃げるんだ、と言いました。

しかし、ユージオはアリスを助けたいと思いながらも、
動くことができませんでした。
ずきん、と右眼の奥に鋭い痛みが走ります。

キリトは斧を構えて突進しようとしますが、
騎士がキリトを一瞥したその刹那、竜骨の斧が高々と弾き飛ばされました。

ユージオ! 頼む、行ってくれ!!
とキリトは言いますが、ユージオはわずかにも動くことができませんでした。


プロローグⅡ 西暦2026年6月

大きく場面が変わり、エギルの喫茶店兼バー≪ダイシー・カフェ≫で、
シノンこと朝田詩乃はアイスコーヒーを飲んでいました。

遅れてキリトこと桐ヶ谷和人も入店します。

半年前、2025年の末に発生した≪死銃≫事件の、
3人の実行犯のひとりである新川恭二の話をします。

恭二は審判中は頑なに沈黙を貫きましたが、
ガンゲイル・オンラインの料金未払いアカウントデータ保持期限の
180日が過ぎたある日から、
カウンセラーの問いかけに応じるようになったのだそうです。

もう少ししたら、また面会に行ってみるつもり、
今度は、会ってくれそうな気がするんだ、と詩乃は言いました。

先週、第4回バレット・オブ・バレッツの個人戦で、
シノンが準優勝したことについて、和人はおめでとうと言いました。

1位だった≪サトライザー≫という名前のプレイヤーは、
優勝するのはこれで2度目でした。

サトライザーはアメリカのプレイヤーで、
武装がナイフとハンドガンだけだったのに第1回大会を圧勝しました。

第2回からはサーバーがアメリカと日本に分かれたから、
アメリカからは接続できなくなったはずなのですが、
今回は参加していたのでした。

今回、サトライザーは開始時に何の武器も持っていなくて、
持っていたのは武器の代わりに≪軍隊格闘術(アーミー・コンバティブ)≫スキル
だけでした。
最初のターゲットを不意打ちからの格闘だけで倒すと、
そいつの武器を奪って次の獲物を襲い……の繰り返しで、優勝したでした。

呼吸を停止させられたシノンのHPゲージが消滅する寸前、
サトライザーは『Your soul will be so sweet(君の魂はきっと甘いだろう)』
と囁きました。

シノンは、8巻2話「キャリバー」で、
≪エクスキャリバー≫をキリトが手に入れる手助けをした貸しを口にし、
年末の第5回BoBに向けて、キリトを予約しておこうとしました。

そこへ、アスナこと結城明日奈が来店し、
詩乃のことをシノのんというニックネームで呼びました。

詩乃はテーブルの上に置きっぱなしになっていた和人の携帯端末を覗き、
青いブリップが、喫茶店の位置にぴたりと重なったまま静止しているのを見て、
あなたたち、お互いのGPS座標をモニタリングしてるの? と訊きました。

しかし、そんな生易しいものではなく、
明日奈は和人の脈拍と体温まで、自分の携帯端末でモニタリングしていました。

和人の胸の中央に超小型センサーがインプラントされていて、
ハートレートと体温をモニタして、
無線で和人の携帯端末にデータを送っています。

和人が今のバイトを始めるときに、先方からインプラントを勧められ、
その話を明日奈にしたら、ネットを介して明日奈の端末にも、
ほぼリアルタイムで情報を渡すことになったのでした。

和人の今回のバイトもテストプレイヤーなのですが、
テストしてるのはゲームアプリじゃなくて、
新型フルダイブ・システムのBMI(ブレイン・マシン・インターフェイス)
そのものなのだうです。

RATH(ラース)という名前の会社のBMIです。

明日奈は、ラースは『鏡の国のアリス』に出てくる空想上の生き物の名前で、
豚という説と亀という説があるのだと解説しました。

中の世界はどんな感じなの? と詩乃が訪ねると、
知らないんだ、俺、と和人は答えました。

機密保持のため、そのマシンが作るVRワールド内部の記憶は、
現実世界には持ち出せないのだそうです。

驚いた詩乃に、和人はまず、≪ソウル・トランスレーション≫の
テクノロジーについて説明します。

脳細胞には≪マイクロチューブ≫という、細胞の構造を支える骨格があり、
そのチューブは中空の管です。
管の中には≪エバネッセント・フォトン≫という光子が封じ込められていて、
その光子の揺らぎこそが人間の心だ、という理論があるのだそうです。

その光の集合体を、ラースでは独自に、揺れ動く光、
≪Fluctuating Light(フラクトライト)≫と名付けました。

ソウル・トランスレーターは、フラクトライトを双方向に翻訳し、
人間の魂そのものにアクセスできる機械なのだそうです。

キリトにダイブ中の記憶がないのは、
その部分への経路を遮断しているからなのだそうです。

そのバイトの話を持ってきたのは、クリスハイトこと菊岡でした。

アミュスフィアが、ユーザーの脳にポリゴンデータを見せるように、
STL(ソウル・トランスレーター)は、
人の意識に短期的な記憶を書き込みます。
STLが作る仮想世界で見るもの、訊いて、触れるものは、
ユーザーの意識レベルに於いては本物なのです。

キリトもごく初期のテストダイブ中の記憶ならありますが、
キリトは最初、そこが仮想世界だと解りませんでした。
和人は昨日まで金土日と3日連続、夢の中でバイトしていました。
栄養と水分は点滴でした。

それだけあったら色んなことができそうだね、
ケーキ食べる直前で目が醒めずに済むし、という詩乃の言葉で、
和人は仮想世界で食べたものの味を思い出しそうになりましたが、
思い出せませんでした。

次に和人は、STLのFLA(フラクトライト・アクセラレーション)機能を使えば、
数分間のうちに何時間分もの夢を見るように、
STLの中で時間を加速させることができる、という話をします。

FLA機能は最大で3倍ちょいだと和人は聞いていました。

和人が行った六本木のビルにはSTLの実験機が1台しかないことや、
実験用仮想世界のコードネームがアンダーワールドであることなどを話しました。

それを聞いた明日奈は、それも、アリスなのかもしれないね、と言いました。
『不思議の国のアリス』の最初の私家版は、『地下の国のアリス』という名前で、
原題は『アリスズ・アドベンチャー・アンダーグラウンド』だったのだそうです。

アリス、と聞いて和人はまた何か思い出せそうな気がしました。
金曜日、STLでダイブする直前に、
スタッフがA、L、I……アーティ……レイビル……インテリジェン……
と話していたのを聞いたような気がしましたが、思い出せませんでした。

明日奈達はダイシー・カフェを出て、詩乃と別れます。


転章Ⅰ

明日奈は世田谷の家の近くまで、和人に送ってもらうことになりました。

住宅街を歩きながら、和人は明日奈に、アメリカに行くという話をしました。

サンタクララの大学で研究している≪ブレイン・インプラント・チップ≫が
やっぱり次世代フルダイブ技術の正常進化形だと思うんだ、
どうしても、見たいんだ、次の世界が生まれるところを、と和人は言いました。

そして和人は明日奈に、一緒に来てほしいと言い、
明日奈は、もちろん、行くよ、一緒に、と言い、キスをしました。

来年の夏にはアスナと一緒にアメリカに行くことや、
一度はアスナのご両親に挨拶することなどを話し合います。

そんなやり取りをしているうちに、
明日奈の自宅からほど近い小さな公園の前まで辿り着いてしまいました。
和人が送ってくれる時は、ここでお別れするのが恒例です。

背後から足音が響いてきて、駅はどっちの方ですか?
と黒っぽい服装をした小柄な男に話しかけられました。

明日奈は道案内をしようとしますが、和人は明日奈を後方へ押しやり、
お前……ダイシー・カフェのそばにいたな、誰だ、と言いました。

その正体は、≪ラフィン・コフィン≫というPKギルドに属し、
≪赤眼のザザ≫とコンビを組んで、10人を超えるプレイヤーに手をかけた、
≪ジョニー・ブラック≫でした。

ジョニー・ブラックこと金本(かねもと)は≪死銃事件≫の首謀者の1人でもあり、
現在も逃亡中だったのでした。

金本は≪デス・ガン≫をシャツの中から摑み出しました。

和人は畳んだ傘の先端を、左手で金本に向け、
明日奈を逃がし、誰か人を呼んでくるんだ! と言いました。

しかし、明日奈が助けを呼びに走ると、短く、鋭い圧搾音が耳に届きました。

振り向くと、和人の握った傘の石突が、金本の右太腿に根元まで突き刺さり、
金本の握った注射器は、和人の左肩に押し当てられていました。

2人は同時にぐらりと状態を傾けると、そのまま路上へと倒れました。

明日奈は端末で救急センターのオペレータに現在地と状況を伝えます。

和人は、「アスナ、ごめん」と短く囁きました。

救急車が到着し、和人が搬入されます。
明日奈も付き添って乗り込み、サクシニルコリン……っていう薬を注射されたんです、
左肩です、と救急隊員に伝えました。

「心停止!」と救急隊員が叫び、
明日奈の握った携帯端末モニタに表示されているピンク色のハートは、
鼓動を止めました。


第1章 アンダーワールド 人界歴378年3月

キリトは森の中に開けた小さな円形の草地で目を覚ましました。

明日奈を家まで送る途中、アメリカの大学へ行きたいと考えていることを打ち明け、
明日奈も一緒に行ってほしいと頼みごとをしたところで、記憶は途切れていました。

金本に襲われたことは覚えていませんでした。

着ているファンタジー風の服を見て、仮想世界にいるのだと判断し、
ログアウトしようとしますが、ログアウトできませんでした。

そこが既存のフルダイブマシンを遥かに超える、
超現実とでもいうべきクオリティのVRワールドだったことから、
STLの中、アンダーワールドにいるのだとキリトは判断しました。

オペレータの比嘉(ひが)に、ダイブをいったん中止してくれ!
問題が発生してるみたいだ! と言いますが、何の変化も訪れませんでした。

人の手による規則的な音が聞こえ、
川の上流に向かって歩きながら、キリトは不思議な光景を見た気がしました。

横一列に並んで歩く、黒い髪の男の子と、亜麻色の髪の男の子と、
金髪の女の子の記憶を見ました。

規則的な音に向かって歩き、
キリトはギガスシダーに斧を振るっていたユージオと出会いました。

ただし、ユージオは冒頭のプロローグでは11歳でしたが、
今のキリトの前にいるユージオは17、8歳くらいでした。

ユージオに、君は誰? どこから来たの? と日本語で話しかけられ、
自分がどこから来たかよく判らない、判るのは、名前だけで……とキリトは答えました。

ユージオはキリトのことを≪ベクタの迷子≫だと言いました。

闇の神ベクタが、悪戯で人間をさらって、
生まれの記憶を引っこ抜いてすごく遠い土地に放り出すのだそうです。

ログアウトしたいんだ、とキリトは言いましたが、
ユージオは完全にここの住人であって、≪仮想世界≫という概念は持っていなくて、
ログアウトという言葉の意味が解りませんでした。

ユージオは、今は昼休みですが、仕事が終わるまで待ってくれれば、
一緒に教会まで行ってシスター・アザリヤにキリトを泊めてくれるよう頼んであげられる、
と言い、キリトは待つことにしました。

ユージオに昼食の丸パンを分けてもらうことになります。

ユージオは≪ステイシアの窓≫こと≪ステータス・ウインドウ≫を表示させ、
≪天命≫を確認した後、丸パンを1つキリトに渡しました。

丸パンを食べたキリトに、おいしくないでしょ、これ、とユージオは言いました。

出がけに村のパン屋で買ってくるんだけど、
朝が早いから前の日の残り物しか売ってくれないんだ、
昼に、ここから村まで戻るような時間もないしね……とユージオは言いました。

ずーっと昔は、幼馴染の女の子が昼にお弁当を持ってきてくれたが、
安息日に、2人で来たの洞窟を探検しに出かけて、帰り道を間違えて、
果ての山脈を向こう側に抜けてしまい、彼女はつまづいて、
外の地面に掌を突いてしまって、村に整合騎士がやってきて、
彼女を鎖で縛り上げて央都に連れて行ってしまった、という話をユージオはしました。

その少女の名前がアリスだと知り、
キリトは魂を揺さぶらんばかりの懐かしさを感じました。

探しに行ってみたらどうなんだ? とキリトは言いましたが、
ユージオが暮らすルーリッドの村は、ノーランガルス北帝国のさらに北の端にあり、
南の端にある央都までは、早馬を使っても一週間かかるとユージオは説明します。
天職を放り出して旅に出ることなどできず、
ユージオにはアリスを探しに行くことはできませんでした。

ルーリッドの300年の歴史の中で、整合騎士が来たのは6年前の1回きりだ、
ってガリッタ爺さんが言ってた、というユージオの言葉を聞き、
キリトは驚愕しました。

そういう≪状況設定≫ではなく、実際にシミュレートしているなら、
FLA機能は数百倍、
ことによると1000倍にも達する加速を実現していなければなりません。

ユージオはギガスシダーに斧を振るのを再開しますが、
キリトは自分もやってみたくなり、
ユージオに斧を借りて振りました。

しかし、斧は刻み目の中心から5センチも離れた場所に命中しました。

ユージオの説明を見て、キリトは、この世界では恐らく、
厳密な物理法則や筋肉の収縮がシミュレートされているわけではない
と気付きました。

STLが作り出すリアルな夢なのだから、1番大切なのはイメージ力です。

ユージオの指導を受けながら斧を振りつづけ、何十回目だか忘れた頃、
ようやく斧が高く澄んだ金属音とともに切り込みの真ん中に命中しました。

それから50回ずつ交替しながら斧を振り、今日の分が終了しました。

午前と併せて1日2000回ギガスシダーを叩くのが、
ユージオの天職でした。

ユージオは貴重な≪竜骨の斧≫を無造作に物置小屋に入れ、戸を閉めました。
鍵もかけませんでしたが、きっと≪禁忌目録≫には、
盗みを働くべからずというような一節があるのだとキリトは思いました。

村に衛士がいるのは、
≪果ての山脈≫の向こう側にある闇の国の軍勢から村を守るためでした。

公理教会の言い伝えによれば、1000年に1度、
ソルス(太陽)の光が弱まった時、暗黒騎士に率いられたヤインの軍勢が、
山脈を越えて一斉に攻めてくるのだそうです。

ルーリッドの村に行き、キリトは教会に泊めてもらいます。

教会に住み込みで神聖術の勉強をしている、12歳ほどの少女、セルカに、
キリトは世話を焼いてもらいます。
セルカは、アリスの5歳年下の妹でした。

村人と交流したキリトは、村人全員が、
ユージオとまったく同じレベルのリアルな感情、自然な会話、
精妙な身体動作を表現していて、皆が皆、本物の人間としか思えない、
と判断しました。
しかし、彼らは人間ではなく、AI(人工知能)でもない、
とキリトは考えました。

翌朝5時半に、キリトはセルカに起こされました。

厳かな礼拝と朝食が終わると、キリトは中央広場でユージオを待ちました。
ユージオが現れた直後、背後の教会の鐘楼が、旋律を高らかに響かせました。

1時間ごとになる鐘が、毎回違う旋律なのにキリトは気付きました。
ユージオによると、ずっとずっと昔、
央都の真ん中には≪時刻みの神器≫、要するに普通の時計があったのですが、
人びとがそればっかり見上げて仕事をおろそかにしたから、
神様が起こって雷を落として壊してしまったのだそうです。

教会の鐘は、この村にたった1つある神器で、毎日決まった時刻に、
1秒もずれることなくひとりでに讃美歌を奏でるのだそうです。

その日の昼休みに、キリトとユージオはセルカの話をしました。

アリスは村始まって以来の天才と言われていましたが、
シスター・アザリヤは、アリスが整合騎士に連れて行かれてから気落ちして、
もう弟子は取らないと言いました。
しかし、ガスフト村長が説得して、
一昨年ようやく新しい見習としてセルカが教会に入ったのだそうです。

セルカは、アリスと違って教会に住み込みをし、1日中勉強をした上で、
3年前の流行り病で両親を失った子供達6人の世話もしていました。

また、天命の話もします。
あらゆる人や物の天命は、人の手で増やすことはできません。
たとえば人の天命は、赤ん坊から子供、大人へと育つに従って増えて、
だいたい25歳くらいで最大になります。
そのあとはゆっくり減って行って、70から80歳くらいでなくなって、
ステイシアの御許に召されるのだそうです。

病気や怪我で減った天命は、神聖術や薬で治療しますが、
回復しても決して大本の量以上には増えないのだそうです。

RPGで言うところの、最大HPと現在のHPのようなものですね。

しかし、公理教会のすごく偉い司祭だけが、人の天命に直接はたらきかけ、
天命そのものを増やすことができるのだそうです。

午後の仕事を始めようとしたユージオを見て、キリトは、
竜骨の斧よりももっと強い斧はないのかと訊ねました。

ユージオは、斧はないが、剣ならあると言い、
物置小屋から≪青薔薇の剣≫を持ってきました。

プロローグで前半だけ語られた『ベルクーリと北の白い竜』の後半を、
ユージオが説明します。

ベルクーリは寝ている白竜から白い剣を拾い上げて逃げようとしますが、
その途端に足許から青い薔薇が生えてきて、
ベルクーリをぐるぐる巻きにしてしまいます。
たまらず倒れたその音で、白竜が目を醒まします。
いろいろあってベルクーリはどうにか許してもらって、
剣を置いて命からがら村に逃げ帰ってきました。

というのが、おとぎ話の内容です。

6年前、ユージオとアリスは果ての山脈まで白竜を探しにいきましたが、
竜はいなくて、代わりに、刀傷がついた骨の山があるだけでした。

骨の下には、金貨や宝物や≪青薔薇の剣≫もありました。

おととしの夏、ユージオはもう一度北の洞窟まで行って、
安息日ごとに剣をほんの何キロルかずつ運んでは、森の中に隠して、
3ヶ月かけて物置小屋まで持ち帰ったのでした。

キリトはユージオに、今のギガスシダーの天命を調べてもらいます。
23万2315でした。

キリトは、持っているだけで両腕が抜けそうになる青薔薇の剣を下段に構え、
SAOのソードスキル≪ホリゾンタル≫を放とうとしました。

が、踏ん張りきれずに両脚が膝からふらつき、
剣は目標を遥か離れた樹皮に激突しました。
青薔薇の剣は竜骨の斧よりも攻撃力が上なので、
2センチも切り込みましたが、切り込んだ場所が悪く、
天命は1しか減っていませんでした。

キリトはユージオに剣を振らせようとしましたが、
やはり重すぎて青薔薇の剣でギガスシダーを切るのは難しそうでした。

ステータスが足りないから剣を扱えないのだとキリトは思い、
指先で例のマークを描き、右の手の甲を叩き、ウインドウを出しました。

最上段にはユニットID、その下には天命の【3280/3289】、
その下には【Object control Authority:38
System Control Authority:1】とありました。

オブジェクト・コントロール権限というのが、
アイテムの使用に関連するパラメータのようでした。

青薔薇の剣の情報を引き出すと、耐久値197700、
【Class 45 Object】とありました。

キリトのオブジェクト・コントロール権限を、
38から45以上に上昇させることができれば、青薔薇の剣を扱えそうでした。
しかし、モンスターがいないこの世界では、レベルを上げる方法が不明でした。

仕事を終え、ルーリッドの村の教会に戻り、風呂に入っていると、
セルカがやってきて、出るときにちゃんと浴槽の栓を抜いて、
ランプを消してね、と言いました。

キリトはセルカを呼び止め、ちょっと訊きたいことがあるんだけど、
今夜時間あるかな? と訊きました。

風呂から出た後、セルカがキリトの部屋にやってきます。

キリトは、ユージオに聞いたと言い、アリスのことを訊ねます。

ユージオ、忘れたわけじゃなかったんだ……アリス姉様のこと……、
とセルカは小声で言いました。
ユージオはすごくアリスのことを気にかけているとキリトが言うと、
じゃあ……ユージオが笑わなくなったのは、
やっぱりアリス姉様のせいなのね、と言いました。

誰からも愛され、次代のシスターとしてシスターとして期待されていたというアリスが
捕縛される理由を作り、また助けることもできなかったという罪の意識から、
ユージオは村人の前では笑わなくなっていたのでした。
だとすれば、ユージオの魂は単なるプログラムでは有り得ない、
彼は、俺と同じ本物の意識、魂……フラクトライトを持っているのだ、
とキリトは考えました。

セルカは……ユージオのことが好きなんだ? とキリトが言うと、
セルカは動揺し、そんなんじゃないわよ!
と首筋まで赤くしてそっぽを向きましたが、
ユージオはあたしのこと避けてるわ、あたしを見ると、
姉様を思い出すから、と言いました。

セルカは自分の部屋に戻る前に、整合騎士がアリスを連れていった理由を、
キリトに訊ねました。
セルカは、父親達やユージオから、その理由を知らされていませんでした。
キリトは躊躇を感じながらも、答えました。

翌朝5時半に、シスター・アザリヤから、セルカの姿が見えないと言われました。

今日は安息日でしたが、セルカは教会に来てからの2年間、
1度も生家に帰っていませんでしたし、シスター・アザリヤに何も言わず、
行くなどとは考えられませんでした。

キリトは8時にユージオと会い、セルカがいなくなったことを話しているうちに、
ゆうべセルカに、アリスが闇の国の土に触れた話をしたせいで、
セルカが果ての山脈に行ったのだと気付きました。

ユージオは、セルカを早く追いかけて連れ戻さないと、と言い、
キリトとユージオは果ての山脈に向かいました。

洞窟に辿り着くと、ユージオは草穂を掲げて、
「システム・コール! リット・スモール・ロット!」
と言いました。

≪システムコール≫とは、あまりにも味気ないですが、
ユージオはその意味を知らず、神様に呼びかけて、
奇跡を授けて下さるようにお願いする、式句なのだと説明しました。

ユージオは一昨年、≪青薔薇の剣≫を取りに行こうと決意した時に、
この神聖術を2ヶ月くらいかけて習得したのだうです。

洞窟の奥に進むと、焦げ臭い匂いがして、セルカの悲鳴が聞こえました。

直径50メートルほどの真円のドームに着くと、
池の周りに2つの篝り火(かがりび)があり、
30匹以上のゴブリンがいました。

ゴブリンたちもプログラムではなく、本物の魂を持っているのを、
キリトははっきりと認識しました。

ユージオやセルカたち住人はおそらく、生身の人の脳ではなく、
何らかの人造メディアに保存された、≪人工フラクトライト≫だと、
キリトは推測していました。

STLによって生まれたばかりの新生児のフラクトライトの、
≪魂の原形≫を無数にコピーし、
この世界で赤ん坊として1から成長させていたのでした。

ユージオたちはキリトとは物理的な存在次元が異なるだけで、
魂の質的にはまったく同じ≪人間≫です。

ならば、このゴブリンたちは何者なのか? とキリトは考えました。

ゴブリンたちは、キリトとユージオのことを「白イウムの餓鬼が2匹」と呼びました。
イウムというのは、闇の国の言葉で、ヒトを意味しています。

隊長ゴブリンは、男のイウムなんぞ連れて帰っても、
幾らでも売れやしねえ、面倒だ、ここで殺してしまえ、
と子分たちに命令しました。

セルカが、体を荒縄で縛られ、荷車に横たわっているのを見つけ、
キリトはユージオに、セルカを助けるぞ、動けるな、と言いました。

キリトが3つ数えたら、前の4匹を体当たりで突破し、
キリトは左、ユージオは右のかがり火を池に倒し、
火が消えたら、床から剣を拾って、後ろを守ってくれ、
とユージオと打ち合わせしました。

3つ数え、予定通りに火を消すと、
ユージオが左手に握る草穂の光を見て、ゴブリンたちは眼を覆いました。
キリトは知りませんでしたが、ゴブリンたちはその光が苦手だったのです。

キリトとユージオは剣を拾い、キリトはゴブリンの隊長、
≪蜥蜴殺しのウガチ≫と戦います。

なぜかこの世界ではSAOの≪ソードスキル≫を使うことができ、
キリトはそれで隊長を斬りつけました。

しかし、これはプレイヤーとモンスターとの戦闘などではなく、
武器を握った者同士の戦いだったことにキリトは気付かず、
反撃され、左肩を怪我をしてしまいました。
VRMMOでは有り得なかった、凄まじい痛みに襲われます。

痛みのせいで動けずにいると、
隊長に殺されそうになったキリトを助けようと、ユージオが戦おうとします。
しかし、隊長はつま先でユージオの軸足を払い、
上腹部を横一直線に斬り裂きました。
恐ろしいほど大量に血が溢れます。

ユージオ……もういい……とキリトは言いますが、ユージオは、
子供の頃……約束したろ……僕と、キリトと――アリスは、
生まれた日も、死ぬ日も一緒……今度こそ……守るんだ……僕が……と言いました。

キリトは、失われた記憶を断片的に取り戻し、再び剣を握って、
俺は……剣士キリトだ!! と叫び、
ソードスキルの片手剣突進技、≪ソニックリープ≫で隊長の首を取りました。

お前らの親玉の首は取った! まだ戦う気がある奴はかかってこい、
そうでない奴は今すぐ闇の国に帰れ! とキリトが隊長の首を掲げて言うと、
別のゴブリンが進み出て、そういうことなら、
手前ェを殺ればこのアブリ様が次の頭に……と言いかけましたが、
キリトは途中でそいつの右脇から左肩までを先と同じ技で両断しました。

他のゴブリン達が逃げていくと、キリトはユージオの天命を確認します。
【244/3425】となっていて、
現在地がおよそ2秒毎に1というペースで減少していました。

キリトはセルカを起こし、セルカの神聖術で助けてくれと頼みます。
セルカは、あたしは……姉様にはなれない……、
今のあたしに治せるのは、ほんのかすり傷で……と言います。

ユージオは、君を助けにきたんだ、セルカ!
アリスじゃない、君を助けるために、命を投げ出したんだ!
とキリトはセルカを説得し、セルカは、
失敗したら3人とも命を落とす、危険な高位神聖術を試そうとします。

セルカはキリトの左手を自分の右手で強く握り、
ユージオの右手を左手でしっかりと握り、
システム・コールから始まる呪文を唱えました。

それはキリトの天命をユージオに移す術でしたが、
キリトの天命を全て費やしても、
ユージオを助けることはできそうにありませんでした。

しかし、キリトは両肩に、誰かの手を感じました。
『キリト、ユージオ……待ってるわ、いつまでも……
セントラル・カセドラルのてっぺんで、あなたたたちをずっと待ってる……』
と懐かしい声が聞こえ、キリトの内部を圧倒的なエネルギーが満たし、
そのエネルギーのおかげでユージオは助かりました。

キリト達はゴブリンの隊長の首をルーリッドの村に持って帰り、
闇の国からの偵察隊であるゴブリンの集団が北の洞窟に野営していたことを
村長たちに伝えました。

教会の部屋でセルカに左肩の傷の手当てをしてもらい、
翌日の仕事はユージオともども免除され、眠り、
さらに翌朝には肩の痛みも全身の疲労感もすっきり抜けていました。

ギガスシダーに斧を刻む仕事を再開しますが、
ユージオは斧が軽く感じるようになったと言いました。
セルカも、先週までは失敗率の高かった神聖術が上手くいくようになっていました。

あの洞窟で、ゴブリンの大集団を撃退した――
言い換えれば高難易度のクエストをクリアしたことによって、
通常のVRMMOで言う≪レベルアップ≫的現象が発生したのでした。

キリトは重かった青薔薇の剣を持てるようになり、
≪ホリゾンタル≫をギガスシダーに当てます。
刃の幅の半分以上も、金属のように黒光りする木目に埋まっていました。

キリトがそれを≪アインクラッド流≫だとユージオに言うと、
ユージオは、≪アインクラッド流剣術≫を教えてほしいと言いました。

しかし、≪複数の天職を同時に兼務すること≫は、
最高支配者である公理教会が発布した≪禁忌目録≫、
その下部で具体的な統治を行うノーランガルス帝国の≪帝国基本法≫
で禁じられていました。

≪人工フラクトライト≫は、意識に書き込まれた上位規則には絶対に逆らえない、
という特性を有しているため、ユージオは魂の中で葛藤していましたが、
でも、僕は……強く、なりたいんだ、と言い、剣を教えてもらうことになりました。

巨大な樹を練習台として使い、≪アインクラッド流剣術≫の修業を始めてから、
わずかに5日後に鋼鉄の巨樹ギガスシダーを倒すことができました。

予定より900年ほど早くお役目を果たしてしまった≪巨樹の刻み手≫
ユージオを歓迎して、村を挙げての祭りを催しました。

天職を果たしたユージオには村長から、自ら次の天職を選ぶ権利が与えられました。

ユージオは、僕は――剣士になります、ザッカリアの街で衛兵隊に入り、
腕を磨いて、いつか央都に上ります、と宣言しました。

ガスフト村長はそれを認めましたが、
前の衛士長と、その息子で今の衛士長のジンクが意義を唱え、
ユージオがジンクと戦ってジンクより強いことを証明しなければ、
ザッカリアの衛兵隊に入れないことになってしまいました。

試合は、剣は使うけど寸止めです。
しかし、青薔薇の剣は泊まらないで当たっちゃうと、
それだけで相手を殺しかねないので、
キリトはユージオに、ジンク本人じゃなくてあいつの剣を狙え、と助言しました。

ユージオは試合で、キリトが教えていない斜め斬り、≪スラント≫で、
ジンクの剣を上から叩き、粉砕して勝利しました。

その後、セルカはキリトに、姉様の真似して、
闇の国の土に触れるためにあの洞窟に行ったわけじゃない、
これ以上は進めないってところまで行って、
そこで、アリス姉様の代わりにはなれないんだってことをちゃんと確かめたかった、
と言いました。

キリトは、君はアリスの身代わりなんかじゃない、
セルカには、セルカだけの才能があるはずだ、
ゆっくりそれを育てていけばいいんだ、と言いました。

キリトは、この桐ヶ谷和人という名の自我は、
生体脳に宿るフラクトライト、つまり≪本物の俺≫なのか、
それとも、STLによって本物の俺から読み出され、
メディアに保存された≪複製≫なのか、という疑問を感じていました。

人工フラクトライトは魂に書き込まれたルールを破れないので、
キリトは、今までの人生で堅守してきたキリト自身のルール、
つまりモラルを自分の意思で破れるかどうかを確かめようと思い、
セルカの額にキスをしました。

キリトは、それを≪剣士の誓い≫的なものだと言い、
ユージオと一緒にアリスを助け出して、
この村にアリスを連れて帰ってくることを約束しました。

翌朝、ユージオにとって先代の≪刻み手≫である、ガリッタ老人が訪ねてきて、
ギガスシダーの全ての枝のなかで、最もソルスの恵みを吸い込んだ1本の枝を、
1メートルと20センチほど下の部分で、青薔薇の剣で断ち切れと言いました。

言われた通りにすると、その枝を布で包み、
央都セントリアに到着したら、この枝を、
北七区に構えているサードレという名の細工師に預けるがいい、
とガリッタは言いました。
青薔薇の剣に勝るとも劣らぬ強力な剣に仕立ててくれるのだそうです。

そしてキリトとユージオは、未知なる世界へ向けて旅立ちました。

というあらすじなのですが、この巻は初出の専門用語が非常に多く、
あらすじを書くのが本当に大変でした……。

でも、新たなる冒険が始まり、とてもワクワクする話でしたね。

この話は10巻に続きます。

川原礫「ソードアート・オンライン4 フェアリィ・ダンス」のネタバレ解説

ソードアート・オンライン (4) フェアリィ・ダンス (電撃文庫)


3巻の続きです。

昨日の夕方にスイルベーンを出発し、
シルフ領主サクヤの一行に感謝されつつ別れたのが午前1時過ぎ。

その時点で連続ダイブも8時間に達していたので、
今日の冒険はここらで切り上げて最寄りの宿屋でログアウトしよう
ということになり、キリトとリーファとユイは森の中の小村に降下しました。

しかし、村と見えたのは、地面に埋まっていた恐ろしく巨大なミミズ型モンスターが、
口の周りの突起を変化させて作った寄せ餌でした。

キリト達は強力な吸引力によって丸呑みされ、
広大無辺の地下世界、最難度フィールドたる≪ヨツンヘイム≫に落ちてしまいました。

地下では飛ぶことができません。
また、リーファの話では、東西南北に1つずつある階段には、
そこを守護する邪神がいて、最低でも24人パーティーじゃないと、
邪神を倒すことはできないそうです。

しかし、キリトとリーファだけで地上への階段に到達できるか、
試してみることになりました。

その時、邪神の咆哮や足音が聞こえました。

ユイによると、キリト達に接近中の邪神級モンスター2匹は、
互いを攻撃しているのだそうです。

様子を見に行くと、4本腕で縦に3つの頭を持つ巨人というフォルムの邪神が、
象の頭がくっついた水母(クラゲ)のような、やや小型の邪神を、
一方的に攻撃していました。

象水母の方を助けてとリーファに言われ、
キリトはユイに、近くに水面はあるかと訊きました。

北に200メートル移動した場所に氷結した湖があるとユイに言われ、
キリトは投擲用のピックで三面巨人の頭を攻撃し、タゲをとりました。

キリト達は巨人に追いかけられながら氷結した湖まで走ります。

巨人は氷を踏み抜いて湖に落ちましたが、巨人は泳げるらしく、
キリト達に近づいてきました。

しかし、象水母も追いかけてきて、20本近い肢で巨人に巻きつきました。

象水母は本来水棲タイプの邪神だったので、
有利な水フィールドで巨人を倒すことができました。

象水母は鼻でキリトとリーファを掲げ、丸い背中の上に放り投げました。

象水母は歩き、
ヨツンヘイムの天蓋から逆円錐形の巨大な構造物、
氷柱(ツララ)型のダンジョンが垂れ下がっている場所に近づきました。

キリトは象水母にトンキーという名前をつけました。
名前の由来は、「かわいそうなぞう」という絵本に出てきた、
餓死してしまった象です。

トンキーは凍りついた川に沿ってひたすら北上し、
巨大な穴が空いた場所で停止しました。

そこへ、邪神狩りを目的とした連結パーティーのウンディーネ、
24人がやってきました。

ウンディーネ達はトンキーを攻撃しました。

キリトとリーファは我慢ができなくなり、玉砕覚悟でトンキーを助けるため、
ウンディーネ達に立ち向かいました。

キリト達は2人倒しましたが、人数差が大きいため、
50秒ほどで負けそうになりました。

しかし、その間にトンキーは殻を脱皮し、
4対8枚の翼を持つフォルムに変身しました。

変身したトンキーは強く、雷撃を降り注いでウンディーネ達を撃退しました。

キリトとリーファは再びトンキーの背中に乗せられ、
地上に向かって飛び上がります。

その時、巨大な氷柱型のダンジョンの先端に、
≪聖剣エクスキャリバー≫が封じられているのを発見しました。
ユージーン将軍の≪魔剣グラム≫を超える、たった1つの武器です。

リーファは、また来よ、仲間いっぱい連れて、と言いました。

この伏線は、8巻2話の「キャリバー」で回収されます。

トンキーは、キリト達を階段つきの根っこまで案内してくれ、
地上に脱出することができました。

階段を上ると、そこはアルヴヘイムの中心、
世界最大の都市≪アルン≫の街中でした。

今日の午前4時から午後3時まで週に一度の定期メンテナンスが行われるので、
キリト達は宿屋に泊まってログアウトしました。

場面が変わり、アスナの視点になります。

前巻のラストで黄金の鳥籠から外に出たアスナは、
オフィスの書庫のような通路を進み、案内図を見つけ、
≪実験体格納室≫と書かれている場所があるのを見ました。

アスナはエレベーターに乗って降り、
途方もなく広大な空間に、300もの柱型オブジェクトがあるのを見ました。

柱の中には人間の脳髄が浮かんでいました。

ここが実験体格納室で、須郷伸之はかつてのSAOプレイヤーをここに幽閉し、
ナーヴギアによって思考、感情、
記憶までも操作するという悪魔の研究をしていたのでした。

そこへ、巨大ナメクジのような形をした須郷の部下2人がやってきました。

アスナはナメクジに見つからないようにコンソールの前まで移動し、
スリットにカードキーをスライドさせました。
【Transport(転送)】というボタンを見つけ、指先でタッチしました。

アスナは、
【Exenute log-off sequense?(ログオフを実行しますか?)】
という一文の近くのOKボタンに触れようとしましたが、
巨大ナメクジに捕まって、高く吊り上げられてしまいました。

アスナは須郷の友達だと嘘をついてピンチを乗り切ろうとしましたが、
ナメクジ達は、須郷が世界樹の上に囲っている人物がアスナだと気付き、
須郷に確認しました。

須郷の命令で、アスナは再び鳥籠に戻されますが、
アスナは素早く右足を伸ばして、
コンソールのスリットに差し込まれたままのカードキーを指先で挟んで抜き取りました。

再び場面が変わり、
現実世界の桐ヶ谷和人(キリト)と直葉(リーファ)の視点になります。

和人は直葉に頼まれ、明日奈のいる病院に案内し、
ナーヴギアを被ったまま寝ているアスナを見せてあげました。

明日奈の寝顔に見入る和人の眼を見て、
直葉は自分の心が真に求めていたものを知り、
同時にそれが決して手の届かない所にあることを悟りました。

午後3時になり、
アルヴヘイム・オンラインにログインして≪アルン≫で目覚めたリーファは、
キリトの前で泣いてしまい、あたし、失恋しちゃった、と打ち明けました。

キリトに慰められながら、リーファは、
兄が好きなことと、この気持ちを口に出してはいけないということを考えていました。

宿屋の外に出て世界樹に近づくと、ユイが上空を見て、
ママがいます、と言いました。

それを聞いたキリトは、いきなり、背の翅を大きく広げ、
世界樹の上に向かって飛翔しました。

しかし、すぐに障壁、見えない壁に激突してしまいました。

ユイは警告モードでアスナに呼びかけます。

鳥籠に閉じ込められていたアスナはその声を聞き、
自分の存在を知らせる手段を探しました。

この鳥籠にあるオブジェクトは全て位置情報をロックされており、
何一つとして格子から外に出すことができないのは確認済みでしたが、
銀色のカード・キーを格子の外に落とすことができました。

キリトはカード・キーを受け止めました。
ユイが、それはシステム管理用のアクセス・コードだと言いました。
対応するコンソールがあればGM権限が行使できるのだそうです。

キリトはリーファに今までのお礼を言い、世界樹の根元からゲートに入りました。

ドームの天蓋の頂点にある円形の扉を目指しますが、
扉を護る守護騎士(ガーディアン)が現れます。
1対1なら勝つこともできましたが、守護騎士は何十匹も何百匹も現れ、
キリトは負けそうになりました。

しかし、リーファが飛び込んできて、キリトを両手で包み込み、
ドームの外に脱出しました。

リーファは、もうやめて、と言いますが、
キリトは、会わなきゃいけないんだ、もう一度、アスナに、と言いました。

その言葉を聞いたリーファは、初めてキリトが兄の桐ヶ谷和人だと気づきました。

リーファが、お兄ちゃん……なの?
と聞き、キリトもリーファが妹の直葉だと気づきます。

リーファはログアウトし、自室のベッドで泣きました。

追ってログアウトした和人に、直葉は告白し、
本当の兄妹ではないと知っていることを告げました。

和人は直葉に謝り、直葉を傷つけていたことを察しましたが、
アルンの北側のテラスで待ってる、とドア越しに言いました。

直葉は、数日前の夜、アスナのことを思って泣いていた和人に、
がんばれ、と言ったことを思い出し、再びログインしました。

しかし、キリトと会うのをためらっていると、そこへレコンが現れ、
リーファに告白しました。
リーファは怒りましたが、アンタのそういう所、嫌いじゃないよ、と言い、
自分も意を決してキリトの待つテラスに行きました。

試合、しよ、とリーファはキリトに言い、飛びながらバトルをします。

リーファは途中で剣から手を離しましたが、
キリトも同じタイミングで剣を手放していました。

キリトもリーファと同じように、謝る代わりに、剣を受けようと思っていたのでした。

キリトとリーファは仲直りし、レコンに協力してもらい、
再び世界樹攻略に挑むことにしました。

キリトはドームに入り、天蓋の扉に向かって飛翔します。
レコンはヒール(回復)役でしたが、途中で守護騎士からタゲをとり、
自爆魔法を使って多くの守護騎士を道連れにしました。

自爆魔法は、死ぬと同時に通常の数倍のデスペナルティを課せられる禁呪でした。

ドームの天蓋は、びっしりと守護騎士に埋められていて、リーファは諦めそうになりました。

しかし、そこへ50以上のプレイヤーと10くらいの飛竜がドームに入ってきて、
加勢してくれました。
それはシルフ領主・サクヤとケットシー領主アリシャ・ルーの合同部隊でした。

呪文を放ちながら、全員で突撃します。

キリトが防衛線を突破すると、他のプレイヤーは後退しました。

キリトはゲートに到着しましたが、扉は開きませんでした。
ユイは、この扉は、システム管理者権限でロックされていて、
プレイヤーには絶対に開けられないと言いました。

しかし、アスナが落としてくれたカードを使い、トビラを開けることができました。

通路を進み、エレベーターに乗りますが、
そこにはリーファが夢見ていた空中都市などありませんでした。

キリトとユイは鳥籠に到着し、アスナと再会します。

現実世界へ帰ろうとしましたが、いきなり空気が異常に重くなり、
体を動かそうとすると、ねっとりとした粘液の中にいるかのような、
凄まじい抵抗を感じ、倒れました。

妖精王、オベイロン陛下こと須郷伸之が現れます。

キリトはログアウトしようとしますが、できませんでした。

須郷がアスナを苦しめるのを見て、立ち上がろうとしますが、
須郷は管理者権限でキリトに苦痛を与えます。

キリトは絶望しますが、「立って剣を取れ、
という茅場晶彦(ヒースクリフ)の声が聞こえ、体を起こします。

キリトは須郷の拳を掴み、脳の奥で響いた、
『システムログイン。ID〈ヒースクリフ〉。パスワード……』
という言葉をそのまま繰り返しました。

スーパーバイザ権限を変更し、ID〈オベイロン〉をレベル1にします。

SAO開発者である茅場晶彦のIDは、須郷よりも高位のものだったので、
須郷の権限を変更することができたのでした。

キリトは≪エクスキャリバー≫を召喚し、須郷の右手を断ち割ります。

キリトは全力で剣を撃ち込み、刀身が須郷の右眼から後頭部へ抜け、
深々と貫きました。

須郷は叫びながらフェードアウトし、姿が消え去りました。

アスナは現実世界の病室で待ってると言い、ログアウトしました。

キリトが、そこにいるんだろう、ヒースクリフ、と言うと、
ヒースクリフの声が聞こえました。

それは茅場晶彦という意識のエコー、残像のようなものでした。
システムに分散保存されたこのプログラムが結合・覚醒したのは、
つい先ほど、キリトの声が聞こえた時でした。

ヒースクリフは代償として、≪世界の種子≫という卵型の結晶をキリトに渡しました。


キリトはログアウトし、待っていた直葉にお礼を言いました。

もう夜9時少し前で、面会時間はとうの昔に終了していましたし、
雪が降っていましたが、和人は明日奈の病院に向かって自転車を疾走させます。

しかし、病院のパーキングで「大ぶりのサバイバルナイフを持った須郷に襲われました。
須郷はアメリカに行く前に、キリトを殺すと言い、ナイフを振り下ろします。

キリトは反撃し、ナイフを奪いましたが、俺はもう、剣士ではない、と思い、
須郷のネクタイで両手を後ろに回して縛り上げました。

ナースステーションで須郷のことを話し、明日奈の病室に向かいます。

そして、やっと結城明日奈と桐ヶ谷和人は現実世界で会うことができました。

場面が変わり、キリトとアスナは≪学校≫でお弁当を食べていました。

この特殊な≪学校≫に通う生徒は全て、
中学、高校時代に事件に巻き込まれた旧SAOプレイヤーです。

キリトとアスナは、自由選択科目はすべて共通にしましたが、
アスナの方が1学年上なのでカリキュラムに差があり、
会えるのは週に3日でした。

2巻1話に登場したシリカこと綾野珪子(あやのけいこ)と、
2巻2話に登場したリズベットこと里香は、≪一ヶ月休戦協定≫を結び、
1ヶ月だけキリトとアスナをらぶらぶさせてあげようとしえちました。

須郷とその部下は逮捕されていました。
須郷に監禁されていた300人の未帰還者に、人体実験中の記憶はなく、
全員が十分な加療ののちに社会復帰ができそうでした。


SAO事件とALOで起こった事件のせいで、
全てのVRMMOゲームが運営中止に追い込まれそうになりましたが、
その状況を、茅場晶彦がキリトに託した≪世界の種子≫が
根こそぎひっくり返してしまいました。

茅場は2024年11月のSAO世界の崩壊と同時にやはり死亡していました。

茅場が長時間ログインしていた間の介助をしていたのは、
茅場と同じ研究をしていた大学院生の女性、神代凜子(こうじろ・りんこ)でした。

キリトは保釈された神代凜子にメールし、喫茶店で茅場の話を聞きました。

茅場はフルダイブシステムを改造したマシンで己の大脳に超高出力のスキャンを行い、
脳を焼き切って死んだのだそうです。

スキャンが成功する確率は1000分の1もありませんでしたが、
茅場の意図したとおりの結果となれば、彼は己の記憶と思考、
つまり大脳内部の電気反応を全てデジタルコードに置き換え、
ネットワーク内に存在しているはずでした。

茅場晶彦の思考模倣プログラムから託された≪世界の種子≫は、
茅場の開発した、フルダイブ・システムによる全感覚VR環境を動かすための、
その名も≪ザ・シード≫と冠せられた一連のプログラム・パッケージでした。

SAOサーバーを自立制御していた≪カーディナル≫システムを整理し、
小規模なサーバでも稼働できるようダウンサイジングし、
ゲームコンポーネントの開発支援環境もパッケージングしていました。

何を言ってるのかよく分からないと思いますが、要するに、
VRワールドを創りたいと望むものは、サーバを用意し、
≪ザ・シード≫をダウンロードして3Dオブジェクトを設計、
もしくは既存のものを配置すれば、それで世界がひとつ誕生することになる、
ということです。

ライセンス料がかからず、完全権利フリーの≪ザ・シード≫を、
キリトは「エギルに依頼して全世界のあちこちのサーバにアップロードしました。

さらに、ALOもプレイヤーでもあったいくつかのベンチャー企業の関係者が、
共同開発で新たな会社を立ち上げ、レクトからALOの全データを無料に近い低額で譲り受け、
継続することができました。

エギルの店≪ダイシー・カフェ≫を貸し切りにして、
アインクラッド攻略記念パーティーがあり、その後はALO内で二次会がありました。

光の妖精アルフや世界樹の上の空中都市は存在しませんでしたが、
新生ALOではあらゆる妖精の民に永遠に飛べる翅が与えられ、
リーファにはそれで十分でした。

キリトはリーファに、空に浮遊する城、アインクラッドを見せました。

今度こそ、1層から100層まで完璧にクリアして、あの城を征服する、
手伝ってくれよな、とキリトは言いました。

キリトとリーファは、クライン、エギル、リズベット、シリカ、サーシャ、
サクヤとアリシャ・ルー、レコン、ユージーン、アスナやユイと、
アインクラッドを目指して飛びました。


というあらすじなのですが、とても面白かったです。

ただ、茅場以外のSAOを開発したメンバーから見れば、
自分達が苦労して開発した環境を、勝手に無料配布されるなんて、
たまったもんじゃないよなー、と思いましたが。

フェアリィ・ダンス編はこれにて完結です。

次の5巻からは、ファントム・バレット編が始まります。

川原礫「ソードアート・オンライン3 フェアリィ・ダンス」のネタバレ解説

ソードアート・オンライン〈3〉フェアリィ・ダンス (電撃文庫)


今回はキリトこと桐ヶ谷和人(きりがや・かずと)の妹である、
桐ヶ谷直葉(すぐは)に焦点が当たります。

まだ和人がSAOに囚われていた頃、
兄として育てられてきた和人が正確には従兄である、
と両親から教えられました。

桐ヶ谷峰嵩・翠夫妻の実子である直葉に対して、
和人は翠の姉、つまり直葉の伯母にあたる人の子供なのです。
伯母夫妻は和人がまだ1歳にもならないうちに事故で他界し、
大怪我を負いつつも命を取り留めた和人を緑が引き取りました。

直葉が高校に上がったらすべてを教える予定だったらしいのですが、
SAO事件では発生直後の1ヶ月間に2000人の死者が出たので、
全てが終わってしまった後に、
せめて直葉が≪知らなかったこと≫を後悔しないように、
両親は考えたのでした。

2024年11月7日に、和人はSAOから生還しました。

それから2ヶ月後、
和人はSAOのソードスキルを現実でも使えないかと思い、
小さい頃から剣道を続け、剣道の大会で上位に入り、
推薦入試で高校に進学することが決まっていた15歳の直葉と、
家の中にある道場で対戦します。
ちなみに、和人も小学校に上がってすぐに、
祖父に剣道場に通わされましたが、2年で辞めてしまいました。

システムアシストなしではソードスキルは再現できず、
和人は直葉に負けてしまいました。

和人はシャワーを浴び、着替えて、
アスナこと結城明日奈が入院している高度医療機関に行きました。

和人は現実世界に帰還した後、
≪総務省SAO事件対策本部≫の人間である、
黒縁眼鏡をかけた菊岡に、明日奈の居場所を訊きました。

しかし菊岡は、明日奈を含めて300人ほどのプレイヤーは、
まだ覚醒していない、と和人に告げました。

それから2ヶ月が過ぎた現在でも、
明日奈は目を覚ましていませんでした。

明日奈の入院している病室に行き、正午になると、
明日奈の父親であり、総合電子機器メーカー≪レクト≫のCEOである、
結城彰三(しょうぞう)がやってきました。

結城彰三から、レクトの研究所で主任をしている
須郷伸之(すごうのぶゆき)という、
眼鏡をかけた30歳くらいの男を紹介されました。

彰三が病室を出て行った後、須郷は、自分が明日奈と結婚する、
という話をしました。
書類上は須郷が結城家の養子に入ることになるのだそうです。
明日奈は昔から須郷のことを嫌っていましたが、
明日奈の両親はそのことを知らないのだそうです。

SAOを開発した≪アーガス≫は事件の補償で莫大な負債を抱えて、
会社は消滅しました。
サーバーの維持を委託されたのが、
須郷の部署であるレクトのフルダイブ技術開発部門であり、
明日奈の命は今や須郷が維持していると言っていい状態なのだそうです。

今後ここには一切来ないで欲しいな、式は来月この病院で行う、
と言い、須郷は病室を出て行きました。

家に帰った和人は、直葉に弱音を吐き、直葉は和人を励ましました。

直葉はそのまま和人のベッドで眠ってしまい、
目を覚ますと顔を真っ赤にして部屋から出て行きました。

SAOでは雑貨屋店主斧使いだったエギルから、メールが届きました。
そのメールに添付されていた写真には、
アスナにそっくりな長い栗色の髪の少女が映っていました。

和人は、現実世界でエギルが経営する、
台東区御徒町の裏通りにある喫茶店兼バー、
≪Dicey Cafe(ダイシー・カフェ)≫に行きました。

エギルこと本名アンドリュー・ギルバート・ミルズは、
人種的には生粋のアフリカン・アメリカンですが、
親の代からの江戸っ子でもあります。
SAOに囚われていたときには、
店は美人の奥さんがのれんを守り抜いたのだそうです。

和人が写真のことを問い質すと、
エギルは手のひらサイズのゲームのパッケージを和人に渡しました。

和人たちがSAOに囚われている間に発売された、
ナーヴギアの後継機である、
≪AmuSphere(アミュスフィア)≫というハードの、
≪ALfheim Online(アルヴヘイム・オンライン)≫というソフトでした。

アミュスフィアは、第二のSAO事件を起こさないよう、
ナーヴギアよりも出力が弱くなっており、
ナーヴギアと違ってプレイヤーの脳を焼き切ることはできない機種です。

プレイヤーが妖精になって空を飛べるVRMMOであり、
スキル制、プレイヤースキル重視、PK推奨が特徴なのだそうです。
いわゆるレベルはなく、魔法ありのSAOというところなのだそうです。

アルヴヘイム・オンライン(以下ALO)のプレイヤーの当面の目標は、
世界樹の上のほうにある白の種族に先駆けて到着することです。
滞空時間というのがあり、無限には飛べないのですが、
体格順に5人のプレイヤーが肩車して、
他段ロケット方式で木の枝を目指し、その証拠として何枚も撮った写真に、
鳥籠に囚われたアスナに似た少女が映っていたのでした。

ALOの運営は、レクトの子会社でした。

ALOのパッケージをエギルに貰い、自宅の部屋に戻った和人は、
ナーヴギアにALOのスロットを挿入して、ベッドに横たわって被り、
「リンク・スタート!」と言いました。

キリトと名前を入力し、男性のキャラクターを選びます。
妖精をモチーフにし、それぞれに多少の得手不得手がある9種族、
サラマンダー、シルフ、ノーム、ケットシー、レプラコーン、
ウンディーネ、スプリガン、インプ、プーカなどの中から、
黒を基調とした初期装備が気に入ったので、
キリトはスプリガンを選択しました。

最初はそれぞれの種族のホームタウンから
ゲームがスタートするはずだったのですが、
いきなり全ての映像がフリーズし、ポリゴンが欠け、世界が溶け崩れて、
キリトは広い暗闇の中を果てしなく落ち、
深い森の中に出現してしまいました。

ウインドウを調べると、≪二刀流≫を始め幾つか欠損していましたが、
SAOのスキルである≪片手剣≫、≪体術≫、≪武器防御≫、
≪釣り≫などが、SAOをクリアしたステータスで表示されていました。

アイテム欄は激しく文字化けしていましたが、
≪MHCP001≫というアイテムを選択し、ボタンを押しました。

すると、2巻3話の「朝露の少女」に登場したユイが出現しました。
≪MHCP001≫は、
あの時にオブジェクト化したユイのプログラム本体だったのでした。

感動の再会の後、ユイに簡単に状況を説明すると、
ユイは、この世界はSAOサーバーのコピーであり、
基幹プログラム群やグラフィック形式は完全に同一だと言いました。

セーブデータのフォーマットが同じなので、
2つのゲームに共通するスキルの熟練度を上書きしたのでしょう、
とユイは言いました。
アイテムは破損しているので、エラー検出プログラムに引っかからないよう、
アイテムは全て破棄しました。

ALOにもプレイヤーサポート用の擬似人格プログラム、
≪ナビゲーション・ピクシー≫が用意されており、
ユイはそこに分類されているのだそうです。

ユイはピクシーとしての姿である、10センチほどの妖精の姿になりました。
前のような管理者権限はなく、
リファレンスと広域マップデータへのアクセスくらいしかできないのだそうです。

キリトは補助コントローラでの飛行方法をユイに教えてもらい、
簡単な飛び方を覚えます。
他のプレイヤーが近づいてきていて、3人が1人を追っているようだとユイが言い、
キリトはその場所に先導してもらいました。

場面が変わり、リーファというシルフの少女が、
レコンという少年と一緒に、
サラマンダーの敵の部隊から逃げているシーンになります。

しかし、敵の部隊に見つかり、リーファとレコンは闘うことにしました。
ところが、メイジ(魔法使い)の炎の魔法で、レコンは死んでしまいました。
SAOとは違うので、すぐにホームタウンで蘇生しますが、
リーファも死んでしまったら、貴重なアイテムを敵に奪われ、
死亡罰則(デスペナルティ)がついてしまいます。

ピンチでしたが、そこへ突然キリトが墜落してきました。

初期装備そのままのキリトを見て、リーファは逃げるように言いましたが、
キリトは逆にサラマンダーの3人のうち2人を倒してしまいました。

リーダーである最後の1人は、キリトには勝てないと認め、
自分の領地に帰っていきました。

キリトはリーファに、この世界のことを教えて欲しい、と頼みます。
シルフの領地のホームタウンであるスイルベーンに向かう前に、
補助コントローラなしで飛べる随意飛行をレクチャーしてもらいます。

キリトとリーファはどんどん加速しましたが、スイルベーンに着いてから、
キリトはランディングという着陸の仕方が分からないことに気づき、
風の塔の外壁に突っ込んでしまいました。

スイルベーンは、別名≪翡翠の都≫と呼ばれ、とても綺麗な街です。
リーファはレコンと再会しますが、キリトはレコンから、
スプリガンのスパイではないかと疑われてしまいました。

レコンから、リーファとパーティを組んでいたシグルドが待っている
と言われましたが、リーファは今日の狩りの稼ぎを全てレコンに預け、
キリトに一杯おごるのを優先しました。

酒場兼宿屋で、リーファは世界樹についてキリトに説明します。

このゲームで初期選択できる9種族の妖精には対空制限時間があり、
せいぜい10分しか連続して飛べませんが、
世界樹の上にある空中都市に最初に到達して、
≪妖精王オベイロン≫に謁見した種族は全員、
対空制限のない≪アルフ≫という高位種族に
生まれ変わることができるのだそうです。

世界樹の内側、根元のところにある大きなドームの頂上に入り口があり、
そこから内部を登るのですが、
そのドームを守っているNPCのガーディアン軍団が凄い強さで、
今まで色んな種族が何度も挑んでいますがあっけなく全滅していました。

それでもキリトが世界樹に行きたいと言うと、
リーファが案内してくれることになりました。
明日の午後3時に待ち合わせの約束をし、リーファはログアウトしました。
キリトも宿屋で寝落ちしてログアウトします。

現実に戻ったリーファ、桐ヶ谷直葉は、
キリトのことが気になっているのを自覚し、
胸の奥で無言の喚き声を上げました。

アニメでは、声が同じなのでバレバレでしたが、
原作小説では直葉とリーファが同一人物であることは、
この時点まで伏せられていました。

ちなみに、直葉(リーファ)は、
キリトの正体が和人であることに気づいていませんし、
和人の方もリーファの正体が直葉だとは気づいていません。

ここで回想です。
SAO事件から1年が経とうとした頃、
和人が愛した仮想世界を自分の目で見たい、と直葉は思い、
クラスで一番のゲームマニアと称されていた長田慎一に、
VRMMOのことを教えてほしいと頼みました。

勉強と剣道部の練習に割く時間を減らすわけにはいかないと直葉が言うと、
長田はALOを推薦し、直葉と一緒に始めました。
長田のキャラクターが、レコンです。

その頃、アスナは端から端まで20歩程度の円形の鳥籠に
閉じ込められていました。
SAOをクリアした後、アスナがこの場所で覚醒してから、
60日が経過しようといました。

ALOの世界では1日が16時間に設定されているため、
体内時計に従って起きても朝と夜が一致しませんでしたが、
アスナは目覚めるたびに、今日は何日め、と自分に言い聞かせていました。

妖精王オベイロンの恰好をした須郷伸之が現れ、
アスナのことをティターニアと呼びました。
須郷はアスナをこの場所に幽閉し、自分の伴侶になることを望んでいました。

須郷はフルダイブ機能を使い、人間の思考、感情、記憶までも制御する、
という研究をしており、そのための被験者として、
SAO事件の被害者300人をこの世界に拉致していました。

須郷は結城家の人間になりレクトの後継者となった後、
アメリカの某企業にレクトごと研究成果を売りつける、と言いました。
その話の途中、須郷は部下に呼ばれて鳥籠から出て行きました。

一方、学校に行った直葉は、レコンこと長田に話しかけられます。
シグルドたちが、今日の午後から海底洞窟に狩りに行こうって言ってた、
ということを長田が伝えると、直葉はしばらく参加できないと答えました。

直葉が家に帰り、ALOにログインすると、キリトは先に来ていました。

キリトはSAOで稼いだお金を大量に持っていたので、
そのお金でリーファが装備を見つくろってあげました。
キリトは巨大で重い剣を購入します。

塔の上から飛ぼうとして、エレベーターに乗ろうとすると、
そこでシグルドとその取り巻きに行く手を塞がれました。

シグルドはシルフ最強の剣士の座をいつもリーファと争う男で、
政治的にも実力者です。
現在のシルフ領主はサクヤという女性ですが、
シグルドはそのサクヤの側近としても名を馳せています。

リーファがシグルドのパーティを抜ける気だと知ったシグルドは、
自分勝手なことを言いましたが、仲間はアイテムじゃないぜ、
とキリトはシグルドに言いました。

キリト君は、あたしの新しいパートナーよ、
とリーファが言うと、シグルドは、領地を捨てる気なのか、と言いました。

解き放たれたいという欲求が急速に浮かび上がってきたリーファは、
ここを出ると言いました。
シグルドが捨て台詞を吐いて去っていくと、
リーファとキリトは塔の展望台に上がりました。

そこでレコンに声をかけられ、ちょっと気になることがあり、
少し調べたいから、レコンはしばらくシグルドのパーティに残る、
と言いました。

その頃、アスナは須郷ことオベイロンから、
桐ヶ谷和人と明日奈の病室で会った、と言われました。
キリトが生きている、と知ったアスナは、心の中でそのことを噛み締めました。

この世界の鏡は光学現象ではないので、アスナが泣くふりをしながら、
至近距離から鏡に眼を凝らすと、オベイロンが部屋を出るときに、
暗証番号を入力するのを見ることができ、その番号を暗記しました。

その頃、キリトはバーサクっぷりを見せて、
モンスターを次々と撃破していました。
午後7時になり、ここで一度、交替でログアウト休憩することになりました。

先に覚醒した直葉は、食事をとり、シャワーを浴びてALOに戻りました。
キリトもログアウトしましたが、すぐに戻ってきました。

キリトは誰かに見られたような気がした、と言いました。
トレーサーという追跡魔法がついている可能性もありましたが、
このフィールドではトレーサーを見つけることができないので、
解除は不可能でした。

≪ルグルー回廊≫という洞窟に入り、
洞窟が得意分野のスプリガンの灯りの魔法のスペルワードを唱え、
奥に進みます。

地底湖が近づいた頃、【やっぱり思った通りだった! 気をつけて、s】
というレコンからのメッセージが届きました。
また、ユイが、12人のプレイヤーが近づいている、と警告しました。

リーファは隠れる魔法を使いましたが、
サラマンダーの高位魔法のトレーシング・サーチャーを潰すと、
逃げることにしました。

しかし、土魔法の障壁が現れ、行く手を塞がれてしまいます。
サラマンダーの部隊に追いつかれたキリトは、
リーファにサポートに回ってもらい、敵と戦います。
しかし、向こうの部隊には後方にヒーラーがいるため、
このままだと勝ち目はありませんでした。

それでもキリトは諦めず攻撃し続け、ユイの提案で、
残りのマナ(MP)を全部使って、
プレイヤーの見た目をモンスターに変えるという幻影魔法を使いました。

変化する姿はプレイヤーの攻撃スキル値によってランダムに決定されます。
実ステータスの変動はないため、
普通なら実戦では全く使えない魔法なのですが、
攻撃スキル値が高いキリトは巨大な悪魔に変身し、
その見た目で敵を圧倒して、1人の男を残して敵を撃破してしまいました。

最後に生き残った1人に、キリトは、質問に答えてくれたら、
今の戦闘でゲットしたアイテムと金(ユルド)を全部あげると言いました。

男は、≪作戦≫の邪魔になるからと、サラマンダーの上の方から命令され、
キリトとリーファを狙ったことを白状しました。
すごい人数の軍隊が北に飛んでいくのも見たのだそうです。

男を解放し、ルグルーという地底都市に着いたリーファは、
レコンこと長田に連絡をとるためログアウトしました。

すぐに長田から電話がかかってきて、
シグルドは相当前からサラマンダーと内通していた、と言われました。
レコンが透明マントを被ってシグルドを尾行すると、
通行証アイテムを与えたサラマンダーと、
シルフ領内の地下水道で会っていたのだそうです。

今日、領主のサクヤはケットシーという種族と正式に同盟を調印するために、
極秘で中立城に出ているのですが、シグルドはサラマンダーの大部隊に、
その調印式を襲わせる気なのだそうです。
レコンはそこまで知ったところでサラマンダーに襲われ、
地下水道で麻痺したまま捕まっているので、
仕方なくログアウトしてリアルで直葉に電話していたのだそうです。

階段の場所を聞いた直葉は、すぐにALOに戻り、
急いで行かなきゃいけない場所がある、とキリトに言いました。

キリトは自分もリーファについていくと言い、詳しい事情を聞きます。
領主を討つのはそれだけですごいボーナスがあり、
討たれた側の領主館に蓄積されている資金の3割を無条件で入手できるし、
10日間、領内の街を占領状態にして税金を自由にかけられます。

それを知ったキリトは、リーファの手を引っ張って
猛烈なスピードで洞窟内を駆け抜けて脱出し、そのままの勢いで飛翔しました。

会談の場所が近づいてきましたが、サラマンダー軍はすでに近くにいて、
全員が逃げ切る余裕はありませんでした。

サラマンダーの1人がシルフとケットシーに攻撃しようとした瞬間、
キリトはその中央に着地し、「双方、剣を引け!」と叫びました。

サラマンダーの指揮官のユージーン将軍に向かって、キリトは、
自分はスプリガン=ウンディーネ同盟の大使だとハッタリをかましました。
会談が襲われたとなれば、
4種族で同盟を結んでサラマンダーに対抗することになる、とキリトは言いました。

ユージーンは、オレの攻撃を30秒耐え切ったら、貴様を大使と信じてやろう、
と言い、勝負を申し出ました。

サクヤによると、魔剣グラムを持つユージーンは全プレイヤー中最強の男らしく、
まずいな、とサクヤは言いました。

魔剣グラムには、≪エセリアルシフト≫という、
剣や盾で受けようとしても非実在化してすり抜けてくるエクストラ効果があり、
キリトは何度も攻撃を受けてしまいます。
30秒が経過しても、やっぱり斬りたくなった、首を取るまでに変更だ、
とユージーンはいい、戦闘を続けます。

キリトはスペルワードを詠唱し、真っ黒な煙で視界を覆うと、
リーファの剣を借り、太陽を背にしてユージーンに斬りかかります。
キリトは二刀流で魔剣グラムを打ち破り、ユージーンを殺しました。

サクヤに蘇生魔法をかけてもらったユージーンは、負けを認めました。
また、昨日リーファを襲ってキリトに返り討ちにされた、
カゲムネというサラマンダーのプレイヤーが、
その時に見逃してもらったお礼のつもりか、
キリトがウンディーネと一緒にいるのを見た、と言いました。

それを聞いたユージーンは、そういうことにしておいてやろう、と言い、
部隊を引き連れて帰って行きました。

リーファは、サクヤや、ケットシー領主の女性のアリシャ・ルー達に、
事情を説明しました。

もうすぐ導入される≪転生システム≫で、シグルドは、
サラマンダー領主のモーティマーに頼み、
サラマンダーに転生させてもらうつもりだったのだろう、
とサクヤは説明しました。

アリシャ・ルーの闇魔法≪月光鏡≫でシグルドと連絡をとったサクヤは、
シグルドをレネゲイド(追放者)としてシルフから追放しました。

キリトは、俺がこの世界に来たのは、世界樹の上に行きたいからなんだ、
と言い、世界樹攻略のため、サクヤとアリシャ・ルーに、
10万ユルドミスリル金貨という超大金を渡しました。

キリトとリーファはサクヤ達と別れ、世界樹を目指して再び飛翔しました。

というあらすじなのですが、SAOを攻略してしまった後も、
引き続き面白いですね。

3巻はここで終わり、4巻に続きます。

川原礫「ソードアート・オンライン2 アインクラッド」4話「赤鼻のトナカイ」のネタバレ解説

2023年12月、SAOに閉じ込められてから、
2度目のクリスマスが近づいたころ。

キリトは、最も効率よく経験値稼ぎができるスポットで、
他のプレイヤーから笑い者にされながら、
何時間も経験値稼ぎをしていました。

見かねたクラインが、キリトのことを心配して話しかけてきました。
クラインは、SAO以前からの友人たちと風林火山というギルドを結成し、
そのリーダーになっていました。

情報屋のアルゴから、キリトがクリスマスボスの情報を買ったことを、
クラインもアルゴから情報を買って知っていました。

12月24日夜24時ちょうど、どこかの森にある樅(もみ)の巨木の下に、
背教者ニコラスという怪物が現れ、倒すことができれば、
蘇生アイテムが手に入る、というクエストの情報が流れていました。

キリトは、半年前に自分以外全滅したギルドのことが忘れられず、
単独でクリスマスボスに挑もうとしていました。

ここで回想です。
SAOが始まってから5ヶ月ほど経過したある春の夕暮れ、
キリトは当時の前線から10層も下の迷宮区に、
武器の素材となるアイテムの収集を目的に潜っていました。

その時、ギルド≪月夜の黒猫団≫の5人のメンバーが
モンスターに追われているのを見て、助けてあげました。

敵は、キリトなら楽勝で倒せる武装ゴブリンでしたが、
自分の本当のレベルを知られてビーターと嘲られるのを恐れて、
キリトはわざと時間をかけてゴブリンを倒しました。

主街区に戻って酒場で話をします。
レベルを聞かれたキリトは、彼らの平均レベルより3ほど上で、
本当のレベルの20も下の数字を答えました。

リーダーのケイタは、月夜の黒猫団に入ってくれないか、
とキリトを勧誘しました。

月夜の黒猫団は前衛が足りず、
戦っているうちにジリ貧になってしまうことが多かったのですが、
サチという黒髪の槍使いの女の子を盾持ち片手剣士に転向させようと
ケイタは考えていて、サチをコーチしてやってくれないかなあ、
と頼まれました。

ケイタ達は、現実ではみんな同じ高校のパソコン研究会の
メンバーなのだそうです。

キリトは仲間に入れてもらい、それとなく彼らを誘導して、
最大限の効率を叩き出し続けることで、
黒猫団の平均レベルは完全にボリュームゾーンから頭ひとつ抜け出し、
キリトの加入時には10あった前線層との差は、
短期間で5にまで縮まりました。

ただし、キリトは深夜になると宿屋を抜け出し、
最前線に移動してソロでレベル上げをし、
黒猫団メンバーとのレベル差を拡大させていました。

サチの盾剣士転向計画だけは、はかばかしくありませんでした。
サチは大人しい、怖がりな性格で、前衛に向いているとは思えませんでした。

ある夜、サチの姿が消えました。

キリトは他の仲間には内緒で、
索敵スキルから派生する上位スキルの≪追跡≫を使い、
サチが主街区のはずれの水路に隠れているのを発見しました。

サチはキリトに、一緒にどっか逃げよ、死ぬの怖い、と言いました。

君は死なない、とキリトが繰り返すと、サチは少しだけ泣きました。

翌日の夜から、サチは夜が更けるとキリトの部屋にやってきて、
キリトに、君は死なない、と言ってもらってから眠るようになりました。

しかし、それからたった1ヶ月足らずの後、サチは死にました。

その日、ケイタは、目標額に達したギルド資金の全額を持って、
ギルドハウス向けの小さな一軒家を買いに行きました。

やがてメイサーのテツオが、ケイタが帰ってくるまでに、
迷宮区で金を稼ごうと言い、最前線から僅か3層下のフロアに行きました。

レベル的には安全圏内だったので、順調な狩りが続きましたが、
シーフ役のメンバーが宝箱を見つけて開け、
アラームトラップを発動させました。

アラームを聞いたモンスターが怒涛のように押し寄せてきて、
キリトは全員に転移クリスタルで緊急脱出しろと叫びましたが、
その部屋はクリスタル無効エリアに指定されていて、
全員がパニックになりました。

サチは、HPを全て失うその瞬間、キリトに向かって右手を伸ばし、
何かを言おうと口を開きました。
その瞳に浮かんでいたのは、すがり付くような痛々しいまでの信頼の光でした。

1人だけ生き残ったキリトは、宿屋に戻り、
隠していたことも含めて、ケイタに全ての事情を説明しました。

ケイタは、ビーターのお前が、僕たちに関わる資格なんてなかったんだ、
とキリトに言い、アインクラッド外周部から無限の虚空へと身を躍らせ、
自殺しました。

回想終わりです。

蘇生アイテムを手に入れるため、無謀なまでのレベル上げをしたキリトは、
35層にある迷いの森で見つけていたモミの巨木に行こうとしました。

しかし、クラインがキリトを尾行してきていました。
クラインは合同パーティーを組もうと言いましたが、
蘇生アイテムはドロップさせた人の物になってしまうので、
キリトは断りました。

さらに、クラインも尾行されていて、
30人以上の≪聖竜連合≫の連中がやってきました。

クラインが聖竜連合を喰いとめている間に、キリトはモミの巨木のところに行き、
背教者ニコラスと戦いました。

キリトのHPは初めて赤の危険域に突入しましたが、
何とかボスを倒すことができました。

蘇生アイテム≪還魂の聖晶石(かんこんのせいしょうせき)を手に入れましたが、
それは、「対象プレイヤーが死亡してからその効果光が完全に消滅するまでの間、
およそ十秒間しか効果のないものでした。

キリトは絶叫し、クラインのところに戻ると、蘇生アイテムをあげました。

宿屋に戻り、朝の7時になると、サチとのアイテム共有タブでアラームが鳴りました。
それは、タイマー起動のメッセージ録音クリスタルでした。

キリトがこれを聞いてる時、私はもう死んでると思います、
というサチの声が聞こえました。

自分が死んでもキリトのせいじゃないと伝えるために、
サチはメッセージを録音していたのでした。

サチは、キリトのベッドで目を覚ました時、キリトが開いてるウインドウを覗き、
キリトの本当のレベルを知っていました。

私が死んでも、キリトはがんばって生きてね、とサチは言い、
余った時間で≪赤鼻のトナカイ≫を歌いました。


というあらすじなのですが、今回はキリトにとってトラウマ回でしたね。

キリトはこの後もずっとサチ達のことを引き摺り続けることになります。

2巻はこれで終わりなのですが、1巻では女性プレイヤーがアスナしかいなかったのに、
2巻では怒涛の勢いで女性キャラが増えて、ハーレム状態になってしまいましたね。

3巻以降も、キリトハーレムは拡大する一方です。

川原礫「ソードアート・オンライン2 アインクラッド」3話「朝露の少女」のネタバレ解説

1巻の終盤、22層でキリトとアスナが結婚していた時のエピソードです。

2024年10月、この辺の森が深くなっているところで、
幽霊が出る、という噂をキリトは聞きました。

アスナはキリトに肩車をしてもらい、その場所に行きます。

すると、本当に白いワンピースをまとった、8歳くらいの幼い幼女がいました。
しかし、その幼女はキリト達の目の前で倒れて気絶し、実体がありました。

ただし、通常アインクラッドに存在する動的オブジェクトなら、
プレイヤーにせよモンスターにせよNPCにせよ表示されるはずの、
カラー・カーソルが出ませんでした。

幼女を家に連れて帰り、その晩は寝ました。

翌朝、幼女は目を覚まし、アスナにしか聴こえないはずの
起床アラームに合わせてハミングしていました。

幼女はユイと名乗りましたが、それ以外の記憶はなく、
精神にダメージを受けているような様子がありました。

ユイは、キリトのことをパパ、アスナのことをママ、と呼び、
アスナはそれを受け入れました。

ユイにウインドウを出してもらい、可視モードにしてもらって、
ウインドウを見ると、プレイヤーとは思えない異常な画面でした。

ユイのことを知っている人を探そうと、第1層のはじまりの街に行きます。

ここでアスナの回想があります。
厳格な両親に育てられたアスナは、兄が買ったナーヴギアとSAOを、
兄が出張に出かけた1日だけ使うつもりでSAOにログインし、
事件に巻き込まれました。

受験シーズンの中学3年生の冬であり、
パニックになったアスナは2週間宿に閉じこもった後、
周囲の人々の心を繋ぎとめておくためには、
事件を解決した英雄になるしかないと決意し、フィールドに出ました。

ここで「黒髪の剣士」と出会ったのは2年前ではなく1年前という文があり、
プログレッシブ編と矛盾していますが、
この「黒髪の剣士」はキリトのことではない可能性もあります。
まあ、プログレッシブ編は基本的に後付けなので、
その辺の細かい矛盾には目を瞑りましょう。

回想終わりです。

はじまりの街には、フィールドに出るのを恐れ、
売っても5コルにしかならない果実が落ちるのを待ち続ける男がいました。
その男から、東七区の川べりの教会に子供のプレイヤーが集まって住んでいる、
という話や、昼間はアインクラッド解放軍の徴兵部隊に出くわすかもしれないから、
みんな宿屋の部屋に閉じこもっているという話を聞きました。

その教会に行くと、大きな眼鏡をかけた20歳前後の女性と、
12歳から14歳くらいの、何人もの子供たちがいました。

子供たちの面倒をみているサーシャという女性は、
2年間ずっと、毎日1エリアずつ全ての建物を見て回って、
困っている子供がいないか調べていましたが、
ユイのことは知らないと言いました。

教会の生活費は何人かの年長の子がフィールドでモンスターを倒し、
稼いでくれているのですが、今はじまりの街に残っているプレイヤーは、
フィールドでモンスターを狩るのは自殺行為だと考えている人ばかりなので、
サーシャ達は相対的にこの街の平均プレイヤーよりお金を稼いでいることになり、
軍に目を付けられてしまっていました。

東五区の道具屋裏の空き地で、軍が10人くらいで通路をブロックしている、
と助けを求めた少年がいて、キリトとアスナは助けに行きました。

街の圏内では、犯罪防止コードのおかげで他のプレイヤーにダメージを与えたり、
無理矢理移動させたりすることはできないのですが、
それを利用して行く手を阻もうとする悪意のプレイヤーもいました。

キリトとアスナは軍メンバーの頭上を飛び越えて、
閉じ込められていた子供たちのところに駆けつけました。
アスナは≪圏内戦闘≫で、軍のメンバー達に剣撃を浴びせ、
システムカラーの発光と衝撃音で、軍のメンバー倒しました。

それを見たユイは何かを思い出した様子で、
ずっと、ひとりで、くらいところにいた、こわい、と言いました。

その夜は協会に泊めてもらいました。
翌朝、ユリエールという長身の女性プレイヤーが教会を訪ねてきました。
ユリエールも軍に所属していますが、他のメンバーとは違い、
サーシャ達に好意的でした。

軍は最初はギルドMTDという名前だったのですが、
かつてのサブリーダーで現在の実質的支配者の、
キバオウという男が実権を握ってから軍に改名した、
という事情をユリエールは話しました。

MTDは、日本最大のネットゲーム総合情報サイト≪MMOトゥデイ≫の管理人の、
シンカーという人物が作ったギルドだったのですが、
最近ではシンカーは飾り物状態で、キバオウ派のプレイヤー達は、
徴税と称して恐喝まがいの行為を始めたのでした。

資材の蓄積だけにうつつを抜かして、
ゲーム攻略をないがしろにし続けるのは本末転倒だろう、
という声が末端のプレイヤーの間で大きくなり、
キバオウは配下の中で最もハイレベルのプレイヤー十数人で、
最前線のボスを倒そうとしましたが、結果は敗退でした。

無謀さを糾弾されたキバオウをもう少しで追放できるところまで行きましたが、
キバオウはシンカーを罠にかけました。

キバオウはダンジョンの奥深くに設定してある回廊結晶を使い、
1人で突破して戻るのは不可能な状態にしました。

シンカーはもう3日もダンジョンの奥深くに閉じ込められており、
ユリエールはキリトとアスナに助けを求めたのでした。

ユリエールはうそついてない、というユイの言葉を信じ、
キリトとアスナはシンカー救出に協力することにしました。

問題のダンジョンは、上層攻略の進み具合によって解放されるタイプのもので、
はじまりの街の地下にありました。

60層クラスのモンスターを倒して、どんどん先に進み、
安全地帯に隠れているシンカーを発見しました。

ユリエールはシンカーに駆け寄りますが、
死神のようなボスモンスターはユリエールに襲いかかろうとしました。

キリトは恐ろしい速度でダッシュしてユリエールを助けた後、
アスナに、今すぐ他の3人を連れてクリスタルで脱出しろ、と言いました。

ボスの強さは90層クラスだったのです。
キリトはアスナに逃げろと言いましたが、アスナはキリトを助けるため、
残って戦うことにしました。

ボスは圧倒的な強さでしたが、そこにユイが近づいてきました。
ユイには、「 【Immortal Object】、不死的存在というシステムタグがあり、
ユイは身の丈を超える剣を出現させてボスを倒しました。

記憶を取り戻したユイは、自分は≪カーディナル≫という、
問題を抱えたプレイヤーのために試作された、
≪メンタルヘルス・カウンセリングプログラム≫、
コードネーム≪Yui≫だったのだと言いました。

つまり、ユイはAIだったのですが、SAOがですゲームとなってからは、
プレイヤーに一切干渉できなくなり、
プレイヤーの負の感情をモニタリングし続けるうちにエラーを蓄積させ、
崩壊してしまったのでした。

しかし、キリトとアスナは、
他のプレイヤーとは大きく異なるメンタルパラメータを持っていたので、
その2人の近くでシステムコンソールで実体化し、
彷徨うようになっていたのでした。

ユイは、ずっとキリトやアスナと一緒にいたいと言いました。
しかし、ユイが記憶を取り戻したのは、安全地帯にあった、
GMがシステムに緊急アクセスするために設置されていた
黒いコンソールに触れたからでした。

それのおかげでボスを倒せましたが、同時に、
今まで放置されていたユイにカーディナルが注目してしまったので、
ユイは消去されてしまうことになりました。

ユイはキリトとアスナにお別れを言いますが、
キリトは黒いコンソールに飛びつき、ホロキーボードを叩いて、
GMアカウントでシステムに割り込み、
ユイのプログラム本体をシステムから切り離してオブジェクト化しました。
ゲームがクリアされたら、キリトのナーヴギアのクライアントプログラムの
環境データの一部としてローカルメモリに保存されるようになっていました。


救出されたシンカーは、キバオウと彼の配下を除名し、
蓄積した資材をこの街の住民に均等に分配してから、
軍自体を解散すると言いました。

というあらすじなのですが、今回、
キリトさんにはシステムエンジニア的才能もあることが発覚しましたね。

これでモテないわけがないです。
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