乾くるみ「物件探偵」6話「池袋5分1DKの謎」のネタバレ解説

2011年11月。

35歳の興水巳起也(おきみず・みきや)は、
8階建てのビルの7・8階部分の2つのフロアを螺旋階段で繋いだ、
メゾネットタイプの1200万円の中古マンションをネットで見つけました。

興水が理想とする物件でしたが、≪心理的瑕疵あり≫と備考がありました。

セイウチ不動産に電話して確認すると、
5ヶ月前に入居者が首吊り自殺をしていると言われました。

11月11日にセイウチ不動産の清内毅郎(せいうち・たけろう)
と待ち合わせをします。

しかし、大日向(おおひなた)という他の購入希望者の、
50年配の男性もいました。

優先権は興水にあるので、興水は大日向の同行を許可し、
間口の幅が狭くて高さのあるペンシルビル、
ラトールド西池袋に行きました。

ワンフロアに1戸という贅沢な空間の使い方をしていて、
興水は気に入りました。

玄関は7階にあり、螺旋階段を昇って8階に昇ります。

8階にも外のホールに通じるドアがあり、内側には銀色の取っ手があり、
押してホールに出られるようになっていました。

しかし、ホールの方から見るとドアノブの類もないので、
外からは開けられない構造になっていました。

興水は即決でマンションを購入し、引っ越しました。

12月19日水曜日に、興水が部屋にいると、
玄関のドアノブがガチャガチャと揺さぶられる音がし、
呼び鈴が鳴らされました。

ドアを開けると20代前半くらいの女性がいて、
ここで自殺した女性の腹違いの妹の、落合飛鳥(あすか)と名乗りました。
姉が死んだ後、飛鳥は合鍵を使って時々この部屋に入っていたのだそうです。

飛鳥はこの部屋に姉の魂を感じると言い、8階の部屋を見たがりました。

飛鳥と8階にいるときにケトルの音がして7階に戻りました。

飛鳥は、姉の死体は螺旋階段にぶら下がっていたと言い、帰っていきました。

その翌日から、興水は帰宅すると肉が腐ったような臭いを感じるようになりました。
また、螺旋階段を支える銀色の棒に縄目のような汚れがあるのを見つけました。

そこへ、不動尊子がやってきて、興水は事情を説明しました。

不動尊子は外のホールに出て、興水の部屋のドアを見るようにと言いました。
すると、「ドアの下の隙間とドアスコープから光が漏れていて、
空室だと思ってこの部屋に侵入しようとしたという飛鳥の説明は
嘘だったと判明しました。

興水に合鍵を使えないとアピールするのが目的の演技で、
それ以降は合鍵を使ってこの部屋に入り、
霊障としか思えない出来事を演出して興水を部屋から追い出そうとしていた、
と不動尊子は言いました。

しかし、8階から大日向が降りてきて、詰めが甘いと言いました。

不動尊子は大日向のことを師匠と呼びました。

大日向は清内に頼まれて、
サクラとして購入希望者のふりをしていたのだそうです。

大日向は、飛鳥はここで亡くなった女性の妹ではなく、
単にこの部屋が気に入って、ここに住みたいと思っている馬.鹿女だと言いました。

大日向が8階から現れたり、飛鳥が部屋に侵入できたりしたのは、
8階のドアを外のホールから吸盤を使って引っ張り、
開けていたからなのだそうです。
ドアのラックには、興水がケトルの火を止めに行く間に、
テープを貼っていたのでした。


というあらすじなのですが、最終話にきて、
まさかの不動尊子の師匠が登場しましたね。

不動尊子以外にも物件探偵がいたのには笑ってしまいました。

乾くるみ「物件探偵」5話「表参道5分1Kの謎」のネタバレ解説

2011年8月24日。
60歳の吉田敦也は神宮球場に近い中古物件を探していました。

吉田には妻と、大学3年生、高校3年生、
高校1年生の娘3人がいましたが、
定年退職後は同じ家で過ごすのが辛いと感じていました。

どうでもいいですが、60歳で高校1年生の娘がいるのなら、
普通に考えると45歳くらいの時の子供ですよね……。
孫でもおかしくないくらいの年齢差です。

吉田の趣味は野球観戦で、ヤクルトスワローズの大ファンで、
もっと神宮球場に頻繁に通いたいと考えていました。

さらに、球場から徒歩圏内にセカンドハウスが欲しいと思い、
中古物件を探していたのでした。

熊野見不動産を訪れ、≪エターナル神宮前≫という
1580万円の中古マンションが最終候補となりました。

しかし、その物件は前の持ち主が管理費と修繕積立金を滞納していて、
それを今回の不動産売却の代金で完済するため、
≪現状有姿、瑕疵担保面積≫という備考がありました。

今あるがままの状態で引き渡し、
売買契約が成立した後に何か問題点が見つかったとしても、
売主側はもう応じません、ということでした。

さらに、この部屋には売主の残留物があるのだそうです。

実際にその≪エターナル神宮前≫の部屋に行くと、
新幹線の座席などの鉄道グッズや、競馬グッズ、
キン肉マン消しゴムや怪獣人形や超合金ロボなど、
ガラクタがたくさんありました。

吉田は家に帰り、そのガラクタについて調べると、
それなりに高く売れそうなことが分かりました。

また、妻や娘たちも購入に賛同してくれました。

そしてその≪エターナル神宮前≫を買ったのですが、
部屋にあったはずの残留物、ガラクタの山が消えていました。

そこへ不動尊子がやってきて、部屋を調べ、
管理組合の朝永(ともなが)義之の部屋に行くことになりました。

朝永の部屋に行くと、あの新幹線の座席が見つかりました。
あのガラクタの山は、マンションの他の住人たちが一致協力して、
吉田が買った部屋に集めたものだったのでした。

積立金の滞納額を返済させた上で、
前の持ち主に出て行ってもらいたいと思った朝永たちは、
残置物の中に≪お宝≫を混ぜることで、
それが目当ての人に買わせようとしていたのでした。

しかし、今回、吉田はそんな下心なしに、
あの部屋の購入を決断したので、クリーンな売買契約だけが残ったのでした。


というあらすじなのですが、
下心がある買い手が新しい住人になってしまっていたら、
やっぱり後々トラブルになったんじゃないかな、としまうましたは思いました。

騙されていたと気づいて逆恨みする、とかじゃなくて、下心のある人は、
騒音やゴミ出し関係のご近所トラブルを起こしやすい気がしますからね。

乾くるみ「物件探偵」4話「北千住3分1Kアパートの謎」のネタバレ解説

60歳の山田タツ子は自営業で観音堂書店を開いていました。

2011年6月1日、金曜日に大田原仁志(おおたわら・ひとし)という
浜栗(はまぐり)不動産の社員がやってきました。

今年の4月から、東京電機がここ北千住駅東口のキャンパスに移転して、
大勢の学生たちが通うようになり、この街は活気づいていました。

タツ子が所有するアパートの住人が今月末に退去するので、
その機会に家賃を5万円から7万5000円に値上げしましょう、
と大田原は提案しました。

しかしタツ子はできれば値上げしたくないと思っていて、
今月末に部屋の明け渡しが済んだ段階で、部屋を見てみて、
改善して見栄えがよくなったら値上げに反対しない、と言いました。

大田原は帰っていきましたが、その日の午後9時に大田原から電話がかかってきて、
二〇二の渡会に続いて一〇三の三島も退去すると言われました。

大田原は再度家賃を値上げした方がいいと言い、
タツ子はとりあえず7万円で1戸募集してみることにしました。

6月4日、月曜日には、一〇三の三島から、
もうすでに引越しを済ませたという連絡があり、
翌6月5日にタツ子は大田原と、
自らの経営するアパート≪ことぶき荘≫の一〇三号室に行きました。
結局、大きな手直しをすることなく
7万円の家賃で次の入居者を募集することになりました。

6月24日に、アパートの二〇一号室の辻堂さくらから電話がかかってきて、
≪ことぶき荘≫で話があると言われ、タツ子は≪ことぶき荘≫に行きました。

辻堂さくらは、大田原から、都内の他のアパートに≪引き抜き≫の話を
持ち掛けられたと言われました。

タツ子が大田原の狙いを考えていると、不動尊子が現れました。
タツ子は不動尊子に、大田原についての疑いを話しました。

そこへ、大田原から電話がかかってきて、
一〇三号室に7万円で入居者が決まったと言われました。

≪引き抜き≫の件についてすでに知っていると伝えると、
大田原は、観音堂書店のような≪町の本屋さん≫が好きで、
観音堂書店の経営をより盤石にして欲しかった、という内容を話しました。

それを聞いた不動尊子の左目から、一粒の涙がこぼれ落ちました。


というあらすじです。

ちょっと信じがたいというか、納得しにくい動機ですが、≪引き抜き≫をしても、
大田原が得することは殆どないので、それが本当の動機なのだと思います。

町の小さな本屋さんは、大型書店やコンビニに押され、
今現在も次々と閉店に追い込まれています。

その大型書店ですら、オンライン書店によって潰されようとしています。

オンライン書店の代表格のア○○○は、日本に法人税を納めず、
宅配業者をブラック企業化していることで有名ですし、
時代遅れと言われようとも、実店舗の書店もある程度は生き残ってくれないと、
何かあったときに困るんじゃないかな、としまうましたは思います。

乾くるみ「物件探偵」3話「浅草橋5分ワンルームの謎」のネタバレ解説

2012年3月、ニューシップ浅草橋の9階に住む
会社員の谷俊弥(たに・としや)は、
真上の10階の部屋が980万円で売りに出されているのを
インターネットで発見しました。

谷は、斉藤善実(よしみ)という男性の同僚から、
9階の部屋を2年前に購入しましたが、
10階の部屋の持ち主の足音がうるさく、悩まされていました。
管理会社を通して苦情を言っても、騒音は改善されませんでした。

回想です。
一週間前の2月25日、谷のケータイに、
塚本という老人から電話がかかってきました。

谷は12年前に元妻の亜津子と離婚していました。
亜津子は当時9歳の銀河という一人息子を連れて、実家へ帰り、
塚本哲哉という男と再婚していました。

しかし、1ヵ月以上前に火事があり、
亜津子と哲哉は亡くなってしまいました。
出火原因は隣家の漏電でした。

塚本にとっては血の繋がっていない銀河を谷に引き取って欲しい、
という電話でした。

谷は、塚本に会いに行きましたが、
銀河が受け取るはうだった亜津子と哲哉の生命保険金、
3000万円を塚本が着服しようとしていたことが発覚しました。

塚本は知りませんでしたが、亜津子から谷のところへ、
定期的に報告書が届いていて、そのことが書かれていたのでした。

銀河はコミュニケーションに難があり、引き籠り状態になっていましたが、
塚本家は銀河のそうした弱点を利用して、
彼が受け取るはずだった3000万円をうまいこと掠め取ったうえで、
銀河を谷に引き取らせようと画策していたのでした。

谷は銀河を引き取り自宅に帰りましたが、
プライバシーの問題があるので、
谷は銀河に独り暮らしをしてほしいと思っていました。
しかし、銀河は独り暮らしはしたくないと言っていました。

回想終わりです。

谷が住んでいる部屋の真上の10階の部屋を購入すれば、
足音の問題は解決します。
銀河も、すぐ近くに谷がいれば、安心して独り暮らしができます。

不動産屋へ行き、購入希望書を提出しましたが、
その頃から問題が発生しました。

バルコニーに鳩の死骸が落ちていることが相次ぎ、
誰かに嫌がらせをされているようでした。

3月30日の金曜日、
10階に住んでいた新山という30代の半ばの青年が、
引っ越すという挨拶に来ましたが、
新山は16年前に事故に遭い、両脚とも義足でした。
これからは田舎で、自然に囲まれた生活をしていきます、
と言い、新山は引っ越していきました。

翌日、銀河は10階に引越しましたが、そこへ不動尊子がやってきて、
「とても気持ちのいい部屋ですね」と言いました。

バルコニーに鳩の死骸が落とされている嫌がらせが何度もあった、
ということを不動に相談すると、
これだけ爽やかな部屋の声を残して行かれた方です、
新山さんに疑いの目を向けるのは、おそらく間違っています、
と言われました。

自分の部屋に戻った谷は、「銀河がドスドスドスという歩き方をしていて、
うるさいことに気付きました。

3月の間は、階下の8階に住んでいる人が、
このドスドスドスを聞かされていたと、谷は気付きました。

8階に住んでいる瀬戸という管理組合の理事夫妻は、保健所の職員で、
鳩の死骸を持ち帰り、8階から9階のバルコニーに、
鳩の死骸を投げ入れていたのでした。

ここは地獄でしかない、と思った谷は、
中古マンションの物件情報を検索し始めていました。


というあらすじなのですが、今回は不動尊子が何もしていませんでしたね。
推理をしなかったら、不動尊子はただのアブない人です……。

でも、意外な真相で面白かったです。

乾くるみ「物件探偵」2話「小岩20分一棟売りアパートの謎」のネタバレ解説

2月3日、27歳の独身教師の寺川万記子(まきこ)は、
インターネットで≪物件所在地=江戸川区≫という条件で検索し、
東京都江戸川区にある木造2階建のアパート1棟が、
4040万円で売りに出されているのを発見しました。

そしてそのアパートは、万記子が現在205号室に住んでいるアパート、
≪北西コーポ≫でした。

しかし、ネットでは空き室が1部屋あることになっていましたが、
万記子には覚えがありませんでした。

万記子はそのウインドウをプリントアウトし、、
ベッドの脇のコルクボードにピン留めしておきました。

翌土曜日の午前10時過ぎ、万記子は買物のために部屋を出ましたが、
外から見ても空室らしき部屋はありませんでした。

2月6日、月曜日の夜、窓のカーテンに小さな隙間があり、
午後2時17分から19分の2分間だけ、
なぜか予約録画されていたことが判明しました。

2月9日、木曜日の午後6時に帰宅した万記子は、
ダイニングキッチンの床に、
生きているダンゴムシが3匹転がっているのを発見しました。

2月12日には、集合ポストにウミウシ興産不動産事業部が扱っている、
4万円から5万円の家賃の賃貸物件のチラシが入っていました。
≪北西コーポ≫を管理しているのもウミウシ興産不動産なので、
おかしな話でした。

また、このチラシが入れられているのは万記子のポストだけでした。

2月15日には、エアコンの暖房が効かなくなっていて、
ウミウシ興産不動産に電話すると、担当の西本は、
エアコンを買い換えると万記子の負担が非常に大きくなり、損だ、
という意味のことを言いました。

万記子は、このアパートに新しく入居した人物が、
万記子の生活音を不快に感じ、
彼女に嫌がらせを行っている犯人ではないかと思っていました。

しかし、2月17日から二泊三日で、
高校2年生の社会見学旅行があり、
万記子は他の先生たちと一緒に引率の役を果たさなければならなくなり、
アパートを留守にしました。

2月19日は同僚の家に泊めさせてもらい、
2月20日に帰宅しました。

すると、本棚の本や、香辛料の瓶など、部屋の中の物が、
すべて微妙に動かされた痕跡がありました。

万記子が外に出ると、不動尊子がいて、
「このアパートは、悲鳴を上げています」と言いました。

万記子が尊子に事情を説明すると、
不動は角の駄菓子屋の店番をしていたおばちゃんに、
土日に≪北西コーポ≫に引越しのトラックが停まっていたのを
見掛けませんでした? と聞きました。

おばちゃんは、土曜日の午前中には荷物を運び出し、
日曜日の午後には荷物を運び込んでいた、と証言しました。

その部屋は、「万記子が住む205号室でした。

不動は、万記子の隣の部屋に住む淡口という女性に賃貸借契約書を見せてもらい、
北西コーポのオーナーはウミウシ興産不動産ではなく、
熊本に住む≪真栄田重雄≫となっていました。

しかし、万記子の賃貸借契約書では、
口座名義欄は≪西本和夫≫となっていました。

ウミウシ興産不動産の西本は、本来なら熊本のオーナーの手に渡るべきだった、
万記子が払っていた家賃を、着服していたのでした。

万記子の部屋はオーナーにとっては空室だったので、
ネットの物件情報にはそう書かれていたのです。

このアパートが売りに出されると、家賃を着服していたのが発覚してしまうので、
西本は万記子を追い出そうと嫌がらせを繰り返し、
万記子が引率で留守にしている間に買主に内覧させたのでした。

こんな素敵な部屋を、そんな酷い犯罪に利用していたなんて、
と不動は言い、左の目から一粒の涙を流したのでした。


というあらすじなのですが、文句なしに面白かったです。

このシリーズは、探偵役の不動尊子があくまでも善意で推理し、
事件を解決するのがいいですね。
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