加納朋子「我ら荒野の七重奏」「七重奏(セプテット)」のネタバレ解説

陽子が部数検討会議をしていると、
陽介が病院に運ばれたと連絡がありました。

今の今までやり合っていた福山に声をかけられ、陽子は病院に行きました。

軽い熱中症で、陽介を含めて4人の部員が熱中症になったのだそうです。

昨年秋頃、中学のすぐ隣にマンションが建ち、
朝から夕方まで、楽器演奏の音がうるさすぎる、とクレームが寄せられ、
夏休みだというのに窓を閉め切って練習をしていたのだそうです。

親の会は、即日行動を起こし、扇風機を確保しましたが、
安全にしのげるとは到底思えません。

陽子は、冷房が効いている職員室を、猛暑時間帯限定で使わせてもらいます。

市長に直談判し、モデルケースとして、音楽室だけ冷房設置してもらえました。

コンクール当日も続々と問題が発生しますが、
陽子は粗雑極まりないが即効性の高い対処法をしました。

コンクールの結果は、「〈ダメ金〉でした。
金賞だけど、県大会には行けないという意味です。

陽介は、管楽器のリペアマン(楽器修理の専門家)になりたいと思っていました。

市民音楽コンクールはめでたく金賞でした。

アンサンブルコンテストは、
江賀が娘の江賀明日香をメンバーに入れようと画策しましたが、
香具谷は、Aチーム選抜には実力者の金管八重奏を選びました。
Bの編成は、アンコン参加を希望した7人で、
木管七重奏に決まりました。

現役員の子+江賀の子という木管七重奏で、江賀は全国を目指そうとしました。

陽介は、私立高校の見学会に行き、
ファゴット男子が吹奏楽部部長をしているのを知り、その高校を受験しました。

また、現役時代、公立中学校の音楽教師だった赤西老人が作曲していた、
『荒野の七重奏(セブテット)』を木管七重奏は演奏しました。

A、B共、見事に県大会への出場権を得ました。
赤西老人も、娘と和解することができました。

その後、短いエピローグもあり、陽介が今度こそ受験に成功し、
卒業式のシーンが描かれました。


というあらすじなのですが、ハッピーエンドで終わって、本当に良かったです。
ちょっと駆け足気味ではありましたが、
ハッピーエンドにするためにこれまでの伏線を全部回収しようとすると、
こうなりますよね。

1話の時点では泣き虫だった陽介が、立派に成長したのも良かったです。

加納朋子「我ら荒野の七重奏」「六重奏(セクステット)」のネタバレ解説

年度末の定期演奏会の役割分担表と、当日のタイムスケジュール表を見て、
陽子は初めて役員の実態を知ります。

役員とお手伝いの人は、子供たちの演奏を見られないのでした。

私たちは主催者側なんですよ? スタッフがお客さんとして席に座れるわけ、
ないじゃないですか、と京子は肩をすくめました。

陽子は京子には、開園後にホール内にいられる仕事を割り振ろうと思いますが、
せっかくですが会長は通常、フリーで全体を監督します、と京子は辞退しました。

衣装は保護者が自作した方がいいのではないかという話になると、
……それは、私にも作れるようなものですか?
と赤西老人はひどく不安げな声で言いました。

仕事にかまけて、家のことは全部妻任せで、挙句の果て、
妻を病気で死なせてしまい、娘から恨まれていて、
孫のために罪滅ぼしをしようとしている、という赤西老人の打ち明け話に、
教えます……うちにミシンもありますし……と京子は嗚咽混じりに言いました。

香具谷からは、役員の皆さん六名と僕は、合わせて一つのチームです、
僕ら七名で呼吸を合わせ、七重奏を奏でるつもりで、どうぞよろしくお願いします、
と言われていました。

定期演奏会当日は、陽子は忙しくしていました。
去年、暢気にお客さんしていたときには見えなかった苦労が山ほどあり、
陽子もしおらしい気持ちになりました。

陽介が好きな新谷先輩も、名門私立高校の制服姿で、
小さな花束を持って来てくれました。

すべてのプログラムが終わり、陽介が新谷先輩を追いかけて外に出ると、
新谷先輩を含む女の子のグループが、
軽薄そのものみたいな男たちにナンパされ、困っていました。

陽介が止めに入り、さらに赤西老人が止めに入ると、
チャラ男たちは去って行きました。

定期演奏会は終わりました。
陽子が省力化、効率化を叫び続けた結果、仕事量が減り、
京子は今期の方がやりやすいと思っていました。

4月末頃、京子の次女の美也子(みやこ)が学校でいじめられるゆおになり、
学校に行けなくなってしまいました。

京子が落ち込んでいると、陽子が会社の昼休みに役員仕事の電話を寄越してきて、
京子は藁をつかむ思いで陽子に相談しました。

普通体型の美也子に“また太った?”と言って美也子に嫌がらせをしていた、
いじめ首謀者は、西崎萌花だと山田陽子はプロファイリングしました。

パートリーダーが西崎萌花ではなく美也子に決定してしまったことで、
萌香は美也子を逆恨みしていたのでした。

次に嫌な手紙をもらったら、読まなくていいから、これに保管しときなさいな、
指紋はついてるでしょ、立派ないじめの証拠になるわ、
と京子は美也子にファスナー付きポリ袋を手渡しました。
陽子のアドバイスでした。

相談という名の言いふらしもします。

こどもの日、市民祭の野外特設ステージでの演奏では、
五十嵐礼子が萌香の悪口を大声で言いました。
あの子だって同じことしてるわけじゃない? 人にやったことはさー、
そのまんま自分に返って来ても仕方がないんだって教えるのも、
大人の役目でしょ、と五十嵐礼子は京子に言いました。

女子の一角で、玉野遥の娘の玉野鈴香が怪談話を始めます。
五十嵐礼子の息子の五十嵐連音が、
中学校での女生徒同士のいじめにまつわる怪談を言います。

中学を卒業した頃、いじめっ子の周辺で不幸な出来事が次々に起こり、
結婚しても子どもが生まれても、
人の恨みは千年続く、されたことには千倍返し、と書かれた葉書が届きます。

いじめっ子は奇怪な事故で夫と赤ん坊を一度に失い、
葬儀にいじめた相手が葉書を直接いじめっ子に手渡しました。

いじめっ子は絶望し、かつて通っていた中学校の屋上から身を投げて死んでしまい、
幽霊になった、という怪談を五十嵐連音は言いました。

すべて陽子の画策したことで、
その日を境に萌花の嫌がらせはなりをひそめたのでした。

というあらすじなのですが、今回は定期演奏会と、
京子の娘の話の2本立てで、贅沢な内容で面白かったです。

主催者側の保護者は、自分の子供の演奏を生で見られないというのは、
しまうましたにとっても盲点でした。

普通に考えれば当たり前のことなのですが、
お客さんをしているときには思いつきませんよね。

加納朋子「我ら荒野の七重奏」「五重奏(クインテット)」のネタバレ解説

営業部の福山は、文芸編集部の山田さんが怖い、と内心考えていました。

福山は入社初年度に学童保育からの電話に応対して、山田陽子さんをお願いします、
と言われたのですが、旧姓のまま仕事を続けていた小原陽子だと気づかず、
そんな人はいませんよと告げて電話を切ってしまいました。

子供が熱を出したのに連絡がつかず、大いに揉めたと聞き、福山は謝罪しました。

1週間ほどして、陽子は仕事上の名前を本名に変え、
福山のところに名刺を持参したのでした。

場面が変わります。
9月の終わり、玉野遥から陽子に電話があり、
吹奏楽部の保護者会に参加せよと言われました。

クラリネットの新しい指導者は、香具谷の妹で、江賀としては面白くないのだそうです。

また、江賀は自分の娘をアンサンブルコンテストに出場させたいのですが、
実力的には微妙で、江賀はクラリネットパートの保護者だけで
役員を固めようとしているのだそうです。

そうなるとアンコンのエントリーはクラリネット六重奏と金管編成になり、
ファゴットを演奏している陽介はアンコンに出場できなくなってしまいます。

役員は、会長、副会長、書記、会計、平役員2人の計6人で構成されていますが、
山田一派は陽子、玉野遥、五十嵐礼子、村辺千香を入れても4人です。

保護者会では江賀の取り巻きが役員に立候補し、
取り巻きが会長を江賀に推薦します。

しかし陽子は、江賀に幾ばくかのお金が親の会から出ていることを指摘した後、
前述の4人の他に、「二重奏」に登場した赤西老人を加え、立候補しました。

1人足りませんが、陽子は東京子に会長をお願いします。

あなたたち、役員を舐めすぎですよ、何もやらない人ほど、
文句ばっかり言ってきて、と京子は号泣しながら言い、
それでも引き受けてくれました。

その後、陽子は改革に次ぐ改革を断行し、凄まじいブーイングが起きました。

しかし、役員の定員を取っ払うつもりでいます、
ですから今から一緒に役員しましょうよ、と言うと、相手は逃げ出しました。

3月末の定期演奏会のスポンサー探しに、陽子は苦労していました。

営業の真似事をした陽子は、うちの社の営業さんのありがたさが身に沁みるわね、
と思い、冒頭に登場した営業の福山とエレベーターで出くわした時に、
営業という大変な仕事をしてくれていることへのお礼を言いました。

でも、福山は逆に戦慄してしまったのでした。


というあらすじなのですが、何もやらない人ほど、文句ばっかり言ってきて、
という京子の発言に、しまうましたも気まずい思いをしました。

昔、ある仕事をやる前は、その仕事をやっている人への不満が少しあったのですが、
実際にその仕事をやらされたら目が回るほどの忙しさで、
こんなに頑張っているのに、何もやらない人から文句を言われる理不尽さに、
怒りを覚えた、ということがありました。

加納朋子「我ら荒野の七重奏」「四重奏(カルテット)」のネタバレ解説

吹奏楽部親の会役員の東(あずま)京子は来年の定期演奏会の会場である
市民ホールの予約計画のため、保護者に電話していました。

完全なボランティアで、普通の会社員なみの時間拘束されていました。

香具谷(かぐや)という新卒で新任の音楽の先生が吹奏楽部の顧問になりましたが、
楽しくなければ音楽じゃないという考えの持ち主で、
コンクール至上主義の江賀との間で、京子は板挟みになっていました。

京子が学校に行くと、校長先生に話しかけられました。

山田陽子が市長に直接交渉し、
保護者が何日も徹夜で並ぶシステムを変更することに決めた、
ということを知らされました。

陽子が担当作家を伴い、地元の市役所に取材に行くと、
市民として何かお困りのことがありましたら、直接私がお聞きしますよ、
と市長は言いました。

市民ホールの予約システムの話を作家が市長に話すと、
すぐにもシステムを変えさせますと請け合ってくれたのでした。

こうして京子が3ヵ月以上かけて作成した、
夜並びスケジュールはゴミになってしまいました。

それを相談してもらえなかった京子は、陽子に電話し、泣きながら抗議しました。

夏のコンクール地区予選の開催日に会場に行くと、
混んでいましたが、五十嵐礼子は2階席が空いているということを言い、
陽子と礼子は審査委員の後の席に座りました。

数時間後、陽介と会った陽子は、小銭を陽介に渡して、飲み物を買わせようとしました。

しかし、校外活動中の生徒は、買い物を禁じられているんです、
と通りがかった京子は言いました。

その日、京子は4時に起床し、生徒達を苦労して引率したり雑用をしたりしました。
忙しくて、自分の子供の面倒を見ることもできません。
凄く苦労していたのですが、その苦労は役員ではない保護者には伝わりません。

審査結果は銀賞となりました。

打ち上げのときには、役員をしていないのに打ち上げに参加した江賀と、
香具谷が音楽の方向性の違いでバトルをします。

金賞を目指すべきだということを江賀が言うと、
香具谷は、賞のために技量を上げなければならず、
パート毎の指導者を一新し、
クラリネットパートの指導をしていた江賀をクビにして、
新しい優秀な指導者にするということを言ったのでした。

というあらすじなのですが、京子は役員として凄く苦労しているのに、
それが陽子や五十嵐礼子や江賀には全然伝わらず、
読んでいて可哀想になってしまいました。

加納朋子「我ら荒野の七重奏」「三重奏(トリオ)」のネタバレ解説

夏休みが終わり、ファゴットをやっていた3年の先輩が仮退部してしまい、
ファゴットが上達しない陽介は静かに苛立ち、苦悩していました。

吹奏楽部顧問の大塚先生は、専門が声楽で楽器はピアノしか演奏できず、
普段は若いサックス奏者が主に指導をしていますが、
オーボエとファゴットは放置状態なのだそうです。

その3年の先輩、シンヤ先輩から電話がかかってきて、
陽子はシンヤ先輩が新谷(しんや)という苗字の女子だと知ります。

陽介は新谷先輩に恋をしていました。
陽介は新谷先輩に勧められて楽器教室に通うことになり、
陽子は快くお金を出してあげました。

10月の初めに音楽発表会があり、陽子は人生で初めて、
音楽を聴いて大号泣しました。

役員決めがある保護者会に出なさいと玉野遥に捕まります。

楽器を親の会有志で、自家用車で運んでいることや、
衣装作りがあることを玉野遥に知らされ、保護者会に顔を出しました。

江賀(エガ)さんという人と数人の保護者が、旧会計を吊し上げたり、
サックスの指導をしている岸先生のことで文句を言ったりしていて、
陽子は反論してしまいました。

江賀は女帝エガテリーナと呼ばれている人物で、
クラリネットの指導をしているのですが、
玉野遥の子供は2人ともクラリネットで、
現状を打開したくて最終兵器山田陽子を投入したのでした。

3月、定期演奏会の当日、陽子は涙を流し、プログラムは順調に進みました。

最後に顧問の大塚先生と、外部講師の岸先生が結婚し、
アメリカに留学することが発表され、
陽介が2年生になったとき、吹奏楽部はどうなっちゃうの?
と陽子は思ったのでした。

というあらすじなのですが、ラスボスの江賀の存在が明かされ、
波乱の展開を予想させたところで、「三重奏」は終わります。
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