三上延「ビブリア古書堂の事件手帖5 ~栞子さんと繋がりの時~」エピローグ「リチャード・ブローティガン『愛のゆくえ』(新潮文庫)」のネタバレ解説

大輔が『愛のゆくえ』の値付けをしていると、栞子さんが帰ってきました。

栞子さんは大輔のことを「大輔くん」と名前で呼び、
わたしとお付き合いしてください、わたしも大輔くんが好きです、
と告白の返事をしました。

自分もいつか母みたいに大輔を置いて
どこかへ行ってしまうんじゃないかと怖くて、
返事をするのに時間がかかってしまった、と栞子さんは言います。

しかし大輔は、そのときは自分も一緒に行くと答えました。

キスをしそうな雰囲気になりますが、
そのときガラス戸に石か何かをぶつけられました。

均一台の上に置かれた紙を見ると、
『晩年』をすり替えた猿芝居を知っている、連絡しろ、
と書かれており、田中敏雄という署名がありました。


5巻はこれで終わりです。

三上延「ビブリア古書堂の事件手帖5 ~栞子さんと繋がりの時~」断章Ⅲ「木津豊太郎『詩集 普通の鶏』(書肆季節社)」のネタバレ解説

栞子さんはモノレールに乗りながら、
大輔と恋人としてお付き合いすると智恵子に報告し、
両親と同じような結果を招かないために、
両親の過去について知りたいと言いました。

30年前、桜の時期に、智恵子は交際と結婚を同時に申し込まれました。
智恵子は5月の末まで返事を待ってもらい、
新潮文庫版の『愛のゆくえ』の値付けをしていた栞子さんの父に、
いつかわたしはあなたの前から突然いなくなるかもしれない、
それでもよければ結婚しましょう、と言いました。

栞子さんの父は、智恵子がいなくなったらずっとここで君を待つ、
と言ったのだそうです。

プロローグに登場する『俺』は、大輔ではなく栞子さんの父親だったわけです。
叙述トリックですね。


過去を語り終えた智恵子は、再度、栞子さんを旅に誘います。

しかし栞子さんは、10年ぶりに「お母さん」と呼び、
最後には大輔を傷つけてしまったとしても、
その前になにかを変えられるよう努力したい、と言い、旅の誘いを断りました。

三上延「ビブリア古書堂の事件手帖5 ~栞子さんと繋がりの時~」第3話「寺山修司『われに五月を』(作品社)」のネタバレ解説

大輔のミスで残業になった後、電話がかかってきます。

田中敏雄の弁護士が保釈申請したことを伝える、
検察からの電話でした。

文香が顔を出し、母屋に客が来て夕食を食べている、
と言いました。

何かの間違いではないかと思いながら、
大輔と栞子さんが母屋に行くと、そこにいたのは、
門野澄夫という30代後半の男でした。

澄夫は、一昨年、栞子さんが店への出入りを禁止した男でした。

澄夫は智恵子(当時の旧姓は三浦)の幼馴染だったのです。

澄夫は最近智恵子と偶然会っており、
寺山修司の『われに五月を』の初版本の問題を相談したら、
栞子さんに相談するといいと言われてやってきたのでした。

澄夫がトイレに行った隙に、澄夫が何をやったのか、
大輔は栞子さんに訊きます。

当時、父を亡くし、
バイトに逃げられて困っていた栞子さんのところに、
澄夫がやってきて、寺山の初版本を含む本を
毎日のように売りに来てくれるようになりました。

しかし、澄夫の1番目の兄の勝巳が店にやってきて、
寺山の初版本は全部自分の本だと驚いた様子で言いました。

澄夫は兄の勝巳の本を盗み、さらによそのお店で万引きした本を、
ビブリア古書堂に売っていたのでした。

警察沙汰になりましたが、勝巳が被害に遭ったお店を回り、
謝罪金を渡したおかげで不起訴処分になりました。

それ以来、門野は実家と絶縁状態になりましたが、
勝巳が亡くなる一週間ほど前に勝巳から電話がかかってきて、
寺山修司の『われに五月を』の初版本を譲りたいと言われたのだそうです。

しかし、四十九日のときに持って帰ろうとしたら勝巳の遺族に止められます。
当然ですが。

澄夫は既に、『われに五月を』を売り払う約束をしており、
金を受け取っているので困っていました。

栞子さんは不本意でしたが、これが母親の智恵子が用意した「依頼」なので、
断るわけにはいかず、とりあえず事実関係を調べることにしました。

後日、深沢にある澄夫の実家へ行きます。
門野澄夫の2番目の兄、門野幸作と、
1番目の兄の勝巳の妻の門野久枝が出迎えてくれました。

幸作によると、澄夫は子供の頃から嘘ばかりついており、
手癖も悪かったのだそうです。

澄夫が5歳、幸作が13歳、勝己が20歳のときに、
旅行先の火事に巻き込まれて、澄夫の両親は亡くなったのだそうです。

勝己の書庫を見せてもらい、「われに五月を」を開くと、
中から一枚の写真が出てきました。

当時5、6歳だった澄夫が、
足を怪我してギプスをした状態で絵を描いている写真です。
撮影者は、当時から澄夫の面倒をみていた久枝で、
最近になってネガからプリントされた写真でした。

澄夫が色鉛筆で絵を描いている紙は、
寺山修司の下書きや覚え書きの文字を消しゴムで消したものでした。
絵を描いている途中で画用紙がなくなり、
澄夫は書庫の中にあった紙を、その価値を知らずに使ったのでした。

その頃から、その頃から、勝己は書庫に鍵をかけるようになり、
澄夫に厳しく当たるようになったのだそうです。

翌日、久枝がビブリア古書堂にやってきて、
澄夫にお金を渡してほしいと言いました。
澄夫が落書きをした日、久枝は自分になつかない澄夫に腹を立て、
澄夫を書庫に閉じこめたことで責任を感じていたのでした。

しかし、店にやってきた澄夫は、お金はいらないから本が欲しいと言い、
久枝の申し出を断りました。
勝己が「われに五月を」をくれると言った電話のとき、
勝己は『作家の自伝40 寺山修司』という本を読んでいた、
という話を聞きます。

その翌日、再度、大輔と栞子さんは澄夫の実家に行き、久枝と対面します。

栞子さんは、『作家の自伝40 寺山修司』の表紙に消しゴムが映っているのを見て、
消しゴムを持っていなかった澄夫には、
寺山の下書きや覚え書きを消すことはできなかった、と気付きました。

消しゴムで消したのは、澄夫ではなく久枝だったのです。
久枝は、勝己が智恵子に心を奪われているのに嫉妬し、
勝己が大切にしていたものを台無しにしようとしたのでした。

しかし、勝己は澄夫の犯行だと誤解し、ひどく怒ったため、
言い出せなくなってしまい、そのまま30年が過ぎたのでした。

それを廊下で立ち聞きしていた澄夫は、
われに五月を」は本当に寺山の本を大事に読んでくれるファンが読むべきだと言い、
それを手に取りました。
久枝は、もう二度とここへは来ないで、と澄夫に言いました。


モノレールの駅に行くと、智恵子がいて、一応は合格だと言いました。

大輔は智恵子を残し、大橋駅に行きました。
そこに澄夫がいて、「寺山の大ファンだという大学院生の女の子の友達に、
たった千円で『われに五月を』を売ってしまいました。
澄夫は本当に、大事に読んでくれるファンにあげたかったのです。

澄夫は寺山の文を引用し、誤解を愛しているから、
このことは久枝や栞子に言わないでほしいと言い、沖縄へ引っ越していきました。

三上延「ビブリア古書堂の事件手帖5 ~栞子さんと繋がりの時~」断章Ⅱ「小沼舟『黒いハンカチ』(創元推理文庫)」のネタバレ解説

栞子さんから今日飲みに行こうと誘われた滝野リュウは、
喫茶店で待ち合わせするときに小沼舟の「黒いハンカチ」を
読んで待っていました。

栞子さんはやってくると、
『わたしの母と連絡取ってるでしょう』
と話を始めました。

震災のちょっと後に、智恵子がリュウに会いに来て、
様子を見に行って欲しいと頼まれていたのでした。
本の相談を持ちこめばいいとアドバイスをしたのも智恵子でした。

智恵子の目的は、栞子さんの様子を知ることではなく、
栞子さんに謎解きをさせて頭の出来を試すことだと気付き、
リュウは連絡を取るのはやめました。
最後に会ったときに智恵子から渡されたのが『黒いハンカチ』でした。

今日も、栞子さんの方から切り出さなかったら
自分から言うつもりでした。

ところが栞子さんは、智恵子と連絡をとり、
栞子さんが会いたがっているのを伝えて欲しいと言います。
大輔に告白の返事をする前に知りたいことがあるのだそうです。

しかし、智恵子の方も栞子さんが連絡を取りたがっていることに
気付いていました。
もし会いたければ本の問題を用意するからそれを解いてみろ、
という伝言をリュウは栞子さんに伝えます。

智恵子にはメールしておくが、くれぐれも気をつけるように、
とリュウは栞子さんに言いました。


というあらすじなのですが、「タイミング的に、
智恵子は志田が内通者を辞退した後、
すぐにリュウを内通者として使い始めたみたいですね。

本についての謎を持ってきた人物が内通者ということになるので、
まあ、リュウが内通者だというのは栞子さんじゃなくても気付きますね。

三上延「ビブリア古書堂の事件手帖5 ~栞子さんと繋がりの時~」第2話「手塚治虫『ブラック・ジャック』」のネタバレ解説

2011年5月。

ビブリア古書堂に、滝野リュウという栞子さんの友人がやってきます。

滝野ブックスの滝野蓮杖の妹なのですが、
大輔とは今回が初対面でした。

リュウの部活の後輩で、現在大学2年生の女の子が、
本に詳しい人に相談に乗って欲しがっており、
栞子さんに白羽の矢が立ったのでした。

手塚治虫の「ブラック・ジャック」が何冊かなくなったという話だけ聞いた後、
3日後に依頼人と滝野ブックスで会います。
滝野ブックスの2階はマンションになっており、その201号室で会いました。

依頼人の名前は真壁菜名子と言います。
菜名子には父と、不登校になっている高校1年生の弟がいて、
母親とは5年前に癌で死別しています。

菜名子は父の部屋の本棚に並んでいたはずの「ブラック・ジャック」が
何冊かなくなっていることに気付いたのですが、
犯人は弟らしく、大ごとにはしたくなく、
できれば父が出張から帰ってきて気付く前に取り戻したいと考えていました。

「ブラック・ジャック」は何度も版を変えて出版されており、
多くの場合、収録順が掲載順とは異なっており、収録内容も微妙に違います。

チャンピオンコミックス版の4巻には「植物人間」という話が収録されていたのですが、
ロボトミー手術を連想させる内容があったため、
初版から1、2年経ってから別の話に差し替えられていました。

そのため、古い版の4巻には価値があり、それが狙い撃ちされたのだろう、
と栞子さんは推理したのですが、その推理は間違っていました。
菜名子によると、彼女の父親は「ブラック・ジャック」の4巻を5冊も持っており、
そのうちの3冊がなくなったのでした。
実は彼女の父親は、4巻ほどではないにせよ、
「ブラック・ジャック」の他の巻も重複して所有しているのだそうです。

ここにきて、新たな謎が提示されてしまいました。

リュウと別れ、栞子さんと大輔は菜名子の家へ行き、
父親の部屋の本棚を見せてもらいました。

「ブラック・ジャック」は4巻と25巻以外、全部パラフィン紙がかかっているものと、
かかっていないものの2種類ずつありました。
25巻はパラフィン紙がかかっていないものが1冊だけです。

その棚には1983年発行のファンクラブ会報もありました。

その後、栞子さんは菜名子の弟の慎也を紹介してもらいましたが、
慎也はかなり反抗的で扱いにくい性格の持ち主でした。

栞子さんはひとまず、「ブラック・ジャック」が2冊ずつあるのは、
片方は母親の所有物だったからだと言い、
証拠としてファンクラブの会報に投稿されていた母親の投稿を見せます。

25巻が1冊しかないのも、24巻の発売から10年以上間が空いていたため、
両親は結婚しており、1冊しか買わなかったからなのです。

4巻の場合は2人で2種類ずつ揃えたので、数が増えてしまったのですが、
それでも4冊にしかなりません。

慎也によると、5冊目は、母親の容態が急変したからと父親が慎也を学校に迎えに行き、
母親の入院している病院へ向かう途中、父親が古本屋で購入したものだったのだそうです。
病院に着いたときには、既に脳死状態でした。

慎也が第一志望の高校に落ち、二次募集していた高校へ進学したものの、
不登校になってしまったとき、
父親は慎也に「寄り道している時間なんかない」と説教をしました。
が、それに対して慎也が「5年前、母さんが死ぬって大事な時に、
古本屋に寄り道したあんたはなんなんだ」と訊ねたところ、
石みたいに固まっていたのだそうです。

その本も含めて慎也は「植物人間」が収録されている「ブラック・ジャック」4巻を3冊、
滝野ブックスに売ったのだそうです。

30分後、栞子さんと大輔は滝野ブックスへ戻り、
滝野兄妹と菜名子を交えて話をします。

慎也が売った3冊中2冊はまだ店の棚にあり、確保できました。

慎也は滝野が店にいないときに本を売りに来たのですが、
5年前に菜名子の父親が買ったという5冊目のブラック・ジャックはボロボロだったため、
値段をつけず、慎也が持ち帰ったのだそうです。

慎也の父親がボロボロの4巻を買ったという、
磯子の浜マーケットの傍の古本屋の正体について話し合いますが、
栞子さんも滝野兄妹も、そんなところに古本屋があった憶えはないと、
不思議そうにしていました。

次の休日、栞子さんと大輔は、奈名子の母方の祖母、相川波江に会いに行きました。
慎也は滝野ブックスに本を売る際、祖母に承諾書を書いていてもらったので、
その確認をしに行ったのです。

慎也は値段がつかなかったボロボロの4巻を、相川家のゴミ箱に捨てており、
波江はそれを後で拾っておいたのだそうです。

うん、おばあちゃんってこういうことやりますよねー。分かります。

保存状態は最悪で、値札の値段は60円でした。
値札には「鶉(うずら)書房」という店名も入っており、
住所は慎也の言っていたものと一致していました。

菜名子の母方の祖父母は、最初、自分の娘が菜名子の父親と結婚することに反対しており、
3年くらいは駆け落ち同然の生活をしていたのですが、
波江はそのことを後悔していました。

真壁家へ行き、慎也にボロボロの4巻を見せます。

実はこの本は、「貸本屋に置いてあった本であり、
60円はレンタル料、ボロボロだったのは何度もレンタルされたからなのでした。

そしてその本は菜名子の両親にとって思い出の1冊であり、
閉店セールで貸本が売られているのを発見した菜名子の父親は、
冷静でいられなくなってしまったのです。

この4巻に収録されている『植物人間』は、
海難事故で意識不明の重体に陥った母親とその息子の話だったこともあり、
菜名子の父親は、脳死状態の母親の枕元へその本を届けようとしていたのでした。


というあらすじなのですが、「そうか、貸本屋の本かー、という感じですね。

しまうましたは世代じゃないので、昔ながらの貸本屋は実際には見たことないですね。
『ゲゲゲの女房』に出てくるのをチラッと見たことがあるくらいです。

ただ、ここ数年でツタヤとかゲオのレンタルコミックサービスが急増しているので、
そういうのは見たことがありますが。
プロフィール
Author:しまうました
見やすい記事一覧はこちらです。
スポンサードリンク

十二大戦

さとり世代探偵のゆるやかな日常 (新潮文庫nex)

祈りの幕が下りる時 (講談社文庫)

このブログについて
見やすい記事一覧はこちらです。
このブログの記事は管理人「しまうました」の独自の解釈によるものなので、制作者の意図したものや一般に考えられているものとは異なる場合があります。
個人の趣味でやっているブログなので、解説してほしい本のリクエストは受け付けていません。
重要なネタバレ箇所は白字にしてあるので、反転してお読みください。
現在、荒らしをした人物のコメントを拒否しており、巻き添え規制される場合があります。詳細はこちらに書いてあります。
承認したコメントに対しても、管理人は基本的には返信しません。また、後日予告なく削除する場合があります。ご了承ください。
今月の人気ページ
人気ページの集計期間は30日間です。2017年8月9日リセット。
スポンサードリンク
カテゴリ
最新記事
検索フォーム
月別アーカイブ
最新コメント
FC2カウンター
スポンサードリンク

ソードアート・オンライン プログレッシブ (4) (電撃文庫)

業物語 (講談社BOX)

キノの旅XX the Beautiful World (電撃文庫)

悪の教典 上 (文春文庫)

                amazon人気本ランキング  楽天ランキング
RSSリンクの表示
リンク
最新トラックバック
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
記事一覧
見やすい記事一覧はこちらです。