星新一「うらめしや」のネタバレ解説

主人公が発明家の叔父に電話で呼ばれ、叔父の家に行くと、
うらめしや……と言う幽霊がいました。

叔父が死んだのかと思いこんだ主人公は混乱しますが、
その幽霊はものさびしそうな顔をした女でした。

叔父は実験に使った薬を、大きなカメ(瓶)の中に捨てることにしているのですが、
それがいつのまにか複雑に反応して、人工幽霊ができあがってしまったのだそうです。

どう話しかけても、うらめしや、と答えるだけですが、陰気な顔つきで、
いい気分ではありませんでした。

なにひとつ役に立たないと叔父が言うと、主人公は試しに、
そばにあった週刊誌を幽霊にむかって投げてみましたが、
それは幽霊のからだを突き抜け、床の上に落っこちました。

近所の人が立ち寄った時などに幽霊が出たら、よからぬうわさがひろまってしまう、
と叔父は考え、困っていました。

幽霊を成仏させようとしても、何をしても無駄でした。

いっそのこと逆手にとって、幽霊を見世物にしたらいいかもしれませんよ、
と主人公が言い、叔父は思い切ってやることにし、そのうわさをあたりにひろめました。

つぎの朝からたちまち、押すな押すなの人の波になり、入場を待つ長い列ができました。

準備をした主人公と叔父は、玄関をあけ、ぞろぞろと見物人が入ってきました。

とたんに「幽霊はこのさわぎに驚いたのか、カメの底に隠れてしまいました。

幽霊はカメの底に小さくへばりついて出てこず、見物人はいきり立ち、
主人公と叔父はカメのなかにむかって、泣きべそをかきながら世にも哀れな声で、
うらめしや……と言ったのでした。


というあらすじなのですが、おあとがよろしいようで。

今回は、主人公も叔父も、その他の登場人物もみんな楽天的な性格で、
喋る時もいちいちボケるせいか、落語っぽい話になっていました。

オチも落語っぽくて、幽霊を題材とした話とは思えないくらい悪ふざけです。

ところで、「うらめしや」は、「恨(うら)めしい」で、恨みたくなる気持ちだという意味です。
「恨めしい」という言葉自体も、今の人はあまり使いませんね。

昔の人の幽霊なら「うらめしや」でいいですが、現代人の幽霊は何と言うのでしょうね。
その人が生前に使っていた言葉を言うのでしょうか?

だったら、1990年代後半に死んだ人の幽霊は、「チョベリバ」とか言っていたのでしょうか。

2010年代後半の幽霊だと、「やばたにえん」とか「つらたにえんの無理茶漬け」?

……情緒もへったくれもないですねw

星新一「女の効用」のネタバレ解説

主人公の「私」は部下の警官2名を連れて、町はずれの小屋に近づきました。

小屋のなかには宝石店をおそい、店員を傷つけ、
札束を強奪して逃走した犯人の青年がひそんでいて、
主人公は青年を逮捕しに来たのでした。

青年はバーにつとめている年上の女に熱をあげ、金が必要だったのだそうです。

主人公は青年に出てこいと大声でどなりますが、犯人は弾丸で返事をします。

主人公は、青年が熱をあげていた女を部下に連れてこさせました。

女が顔をしかめると、美人でもない顔がますます変な顔になり、
やつはどうしてこんな女に夢中になったのだろうと主人公は考えました。

女が青年に、あたしのためにこれ以上、罪を重ねないでちょうだい、
と言うと、青年が小屋から出てきて銃を投げ捨て、彼女と抱きあいました。

その時、「青年がナイフを彼女の首すじにつきつけ、
主人公と部下の2人に拳銃を捨てさせました。

青年は拳銃を拾いあつめ、その1つを手に構え、彼女に命令して、
主人公と部下の手足をしばらせ、手の拳銃で女の頭をなぐりつけました。

どういうつもりだ、おまえはその女に夢中になって、強盗を働いたのだろう、
と主人公が言うと、
金があると、人間、冷静になるものです、冷静になってその女を見なおしたら、
どう考えてもたいした女じゃなかったですね、と青年は言い、
部下のポケットから自動車のキーを引っぱりだし、遠ざかってゆきました。


というあらすじで、ひどいオチですが、現実の事件でもありそうな話ですね……。

タイトルの「女の効用」は、「男を冷静じゃなくさせる」で、
「金の効用」は、「人間を冷静にさせる」ということでしょうか。

また、「犯罪の陰に女あり」という格言もあります。
多くの場合、犯罪を犯すのは大半が男だが、
その陰には何らかのかたちで女が介在し関与している、という意味です。

星新一「運命のまばたき」のネタバレ解説

刑務所に3人の囚人がいて、そのなかの1人である主人公の「おれ」は、
うまい計画を立てたのだが、まばたき一つする時間のために、つかまってしまった、
とほかの2人の囚人に話しました。

主人公はアパートの2階の1室に住んでいました。
昼間は時計工場に勤めていましたが、借金をして買った株が値下がりし、
給料の大部分は借金をかえすのに回さなければなりませんでした。

主人公は時計工場に忍びこんで金を盗むことにしましたが、主人公に疑いがかかってくるため、
カメラを利用したアリバイトリックを考えつきました。

泥棒に入っている時刻に、アパートの窓からそとの薬屋を写していたことにするため、
時計とシャッターでカメラに時限装置をとりつけました。

計画を実行にうつすことにし、アパートに帰り、夜になるのを待って、
窓のそとにカメラを向けて2、3回シャッターを押し、
薬屋に向けてカメラを固定しました。

工場から金を盗み出し、アパートに戻り、カメラをみると、
うまくシャッターが押されてありました。

主人公はもう1回シャッターを押し、手製の時限シャッターをはずして近くの川に投げこみ、
札束は空き缶に詰めて川岸の石垣のあいだにかくしました。

つぎの日、主人公は証拠としてカメラごと警官に渡しました。

主人公が30分以上は部屋をあけなかったことがはっきりし、
往復に1時間もかかる工場へは、出かけなかったことがわかるはずでしたが、
警察が現像したフィルムには、「大きな鏡をつんでいた家具屋の配達用のトラックが、
たまたま道ばたで停車していて、そこに主人公の部屋の窓が映っていました。

部屋には、だれもいないことばかりか、自動シャッターつきのカメラまでわかってしまいました。

カメラが、とんでもない時にまばたきをしたからだ、と主人公は2人の囚人に言ったのでした。


というあらすじなのですが、フィルムって何? と思った人もいるのではないでしょうか。

デジタルでなかった頃のカメラは、フィルムというものに写真を記録していて、
それを専門の業者が現像というか印刷をしないと、写真を見ることができなかったのです。

そのため、主人公は盗みをして帰ったその場で写真を確認することができず、
警察にそのままカメラを渡してしまったのでした。

ところで、何のために自分の部屋の窓のそとにある薬屋の写真を撮っていたのか?
と警官に聞かれていたら、どう答えるつもりだったのか、気になります。

アリバイトリックが成功していたとしても、凄く怪しい行動ですよねw

星新一「危険な年代」のネタバレ解説

50をちょっと過ぎた年齢の、社会評論家のアール氏は、
原稿を書く時のなにかの参考になるだろう、と裁判を傍聴してみることにしました。

小さな法廷でしたが、異様な空気がただよっているように感じられて、
アール氏は椅子に腰をおろしました。

判事も検事も、弁護士までいずれも相当な年配であり、それにひきかえ、
被告の席の男は、ちょうどアール氏の息子ぐらいの年齢の、あどけなさが残る青年でした。

しばらくまえの夜、街なかの盛り場で、非行少年のグループどうしが乱闘し、
そのあげく、けが人がひとり発生した事件の裁判でした。

おれじゃない、おれは、なにもしていない、と青年は叫び声をあげましたが、
判事と弁護人は青年を黙らせました。

勤続25年の相当な年配の警官が証人で、
倒れた被害者から被告人の青年がナイフを引き抜いたことを証言しました。

弁護人は弁論をはじめ、被告は少年のころに両親を失い、親類の手で育てられたことにも言及し、
被告は自分の罪をみとめ、心から反省しております、なにとぞ寛大な判決を、と言いました。

判事は、求刑よりは軽くなっていましたが、猶予のつかない懲役刑の宣告をしました。

おれじゃない、おれはなにもしていないんだ、と青年は絶叫しました。

いまの青年は本当に罪をおかしたのでしょうか、とアール氏は弁護士に話しかけました。

青年の言い分によると、自分もさわぎに参加したが、傷つけはしない、
血まみれのナイフを拾い、驚いてぼんやりとしていた自分だけがつかまった、というのだそうです。
被害者はうしろから刺されて前に倒れたため、相手の顔を目撃していないのだそうです。

どこかまちがっている、どこかに悪がひそんでいるようだ、正体は不明だが、
なにかの力が法廷を支配していたようだ、と思ったアール氏は、家に帰って筆をとりました。
筆を進めている時、「アール氏の息子が帰宅して、
事件の夜に息子はどこへいっていたか尋ねると、息子の顔色は、少し変ったようでした。

アール氏はそれ以上、なにも言わず机の上の書きかけの原稿を破り捨てました。

息子を動きのとれないような立場に追いこむかもしれない可能性を少しでも含んだ作業など、
つづける気になれなかったのでした。

アール氏は、弁護士、検事、証人の警官たちに、親しさを感じはじめていて、
みな、同じように息子を持ち、それを心から愛し、なにをしても許し、
まもってやる、やさしく善良な父親たちなのだ、自分たちののような立場の者を、
危険な年代と呼ぶのだろうか、と思ったのでした。


というあらすじなのですが、被告の青年が少年のころに両親を失った、
というのが伏線だったのですね。

青年には「危険な年代である両親がいないから、無実の罪で逮捕され、
投獄されてしまったのでした……。

胸糞悪い話です。

しまうましたには、アール氏たちのどこがやさしく善良な父親たちなのか、1ミリも理解できません。


こんな事件が現実では起こってほしくないです。

しかし、残念ながらこれと同じような事件が実際に起こっているような気がしてなりません。

たまに、どう見ても他殺なのに、自殺として処理されて捜査が打ち切られた事件が発生しますよね。
警察が被疑者に自白を強要させていて、冤罪だと判明した事件も後を絶ちません。

それらの真相も、この話と同じようなものなのかもしれません……。

しまうましたが被告の青年のような立場に立たされたらと考えると、下手なホラーより怖いです。

星新一「車内の事件」のネタバレ解説

主人公の「あたし」は、若くて美しい女性です。

主人公は列車のなかで、隣りの30歳ぐらいの男が無意識なのか時どき胸を押えるのを見て、
内ポケットになにか大切なものが入っていると見きわめました。

主人公はうつむきながら、苦しそうな声を出し、男に話しかけてもらい、
少しぐあいが悪いことを打ちあけました。

上の棚の旅行バッグに薬びんが入っていて、その錠剤を出し、
水にとかして飲ませてもらうことを男に頼みました。

男が鞄をおろすのに気をとられているすきに、主人公は内ポケットの封筒を盗み、
封筒の中身が札束なのを確認し、用意してあった同じ大きさの紙片を代りに入れました。

薬と言ったのはただの砂糖で、薬を飲んで徐々によくなったようなふりをして、
次の駅で下車しました。

主人公はその駅のビルのなかの商店街の宝石店で、
いま手に入れたばかりのお金で支払いをしましたが、
これはみな、にせ札でございます……と店員は言い、警察を呼びました。

いまの列車のなかで、隣りの席の男から包みを渡されたの、
改札口で待っている緑のネクタイの男に渡してほしいって、
ところがそんな人はいないし、あけてみるとお金で、借用したくなって……、
と主人公は警官に嘘をつきました。

その男の座席の場所と人相を伝えると、警官は電話で連絡をとりましたが、
その男はにせ札犯人ではありません、
にせ札に関する裁判の証拠品を持って旅行中の検事だったのです……、と言ったのでした。


というあらすじなのですが、皆さんもスリには気をつけましょうね。

相手が若くて美しい女性であっても、油断してはいけません。

人がごった返しているイベント会場に行く時や、旅行で遠出する時などには、
ほとんどお金が入っていないダミー用の財布を、
目立つ場所のポケットに入れておくといいらしいですよ。
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