星新一「三年目の生活」のネタバレ解説

夫が古ぼけたアパートの部屋に入ってきました。

妻は、Rという人から、
夫に仕事を頼みたいという電話があったことを伝えました。

夫は3年前に妻と会うまで、殺し屋をやっていました。

しかし、心から愛した妻が、
これからもそんなことをやるのなら、あなたから離れるわ、
と言い、夫は殺し屋をやめました。

夫がまともな仕事をしてくれたら、
どんなに貧しい生活でもがまんすると妻は言い、
夫は小さな町工場の守衛の職につき、それから3年がたちました。

ある男の人に、このあいだからつきまとわれているのよ、
と妻が夫に話すと、夫はその男の住所と名前を聞きだし、
二度とそんなことができないようにしてやる、
と言って靴をはき、ドアから出ていきました。

しばらくして、妻も外へ出て、公衆電話のボックスに入り、
Rに電話しました。

妻は、殺し屋の仕事を夫にやらせたことをRに話し、
報酬を夫ではなく妻に渡すように言いました。

妻の美しさや若さは3年前とほとんど変っていませんでしたが、
心のなかのほうは、だいぶおとなになっていたのでした。


というあらすじなのですが、
妻が「男の人につきまとわれているというのは嘘で、
夫に伝えた住所と名前が、
Rに頼まれていた殺しのターゲットの住所と名前だった、
というオチですね。

妻は3年間の貧しい生活で、美しく若い心を失い、
かつて夫にやめろと言った殺し屋の仕事を受け入れるようになり、
夫を操るようになってしまったのでした。


貧すれば鈍する(暮しが貧しくなれば、心までも貧しくなる)、
ということわざもありますが、何だか悲しい話ですね……。

星新一「夜の召使い」のネタバレ解説

ニオ夫人がちょっとした病気で3週間入院することになりました。

ニオ氏はR万能サービス会社に電話し、家に来てもらいました。

食器洗いや、草花の水やり、小鳥のえさやり、
掃除などをするのが大変だということを、
ニオ氏はR万能サービス会社の社員の青年に相談しました。

しかし、現在では、召使いをやとうには、政府の許可がいり、
からだが不自由ではないニオ氏は召使いをやとうことができません。

妖精の召使いを当社から派遣いたします、と社員は言い、
妖精を呼び出す金色の錠剤の入ったビンを取り出しました。

ニオ氏が寝る前に錠剤を飲み、用事を言いつけると、
朝までにそのとおりになっているのだそうです。

ニオ氏は3週間、毎晩妖精の召使いに命令しました。

社員に薬の残りと、召使いの給料を渡し、社員はニオ氏の家を出ました。

この薬は「夢遊病をおこさせる新薬でした。

自分自身に催眠術をかけ、眠る前に口にした暗示どおりに働いて、
あとかたづけをして、ふたたびベッドにもどり、
それから本当に眠る、という作用を持っている薬なのでした。

ニオ氏は架空の召使いに給料を支払っていたのでした。


というあらすじなのですが、
『ドラえもん』にこれと同じようなひみつ道具が登場していたせいで、
しまうましたはこの話のオチが読めてしまいました。

そのひみつ道具とは、
てんとう虫コミックス38巻に登場する『寝ながらケース』です。

やりたいことを紙に書いてケースに入れ、枕の下に入れて寝ると、
寝たまま実行しますが、起きたときにはそれを実行した記憶がない、
という道具です。


「ドラえもん」の連載が始まったのは1969年で、
この「夜の召使い」が発表されたのは1962年なので、
この話の方が先に発表されています。

星新一「午後の出来事」のネタバレ解説

ある暑い夏の日の午後、神経科の医者の診察室に、
1人の青年が入ってきました。

青年は大学生で、いまは夏休みなので、きのうの午後も、
いつものように自分の部屋で勉強をしていたと言いました。

このあいだから来日していて、
評判のいい音楽家の演奏会がきのうの夕方にあり、
青年はその入場券を本にはさんで、机のはじにおいてありました。

しかし、気がついてみると、入場券がずたずたに破れていたのだそうです。

会場に出かけてみましたが、入れてくれなかったのだそうです。

部屋はドアの内側からカギをかけていて、窓はあけてありましたが、
2階なのでだれもそこから入れないのだそうです。

時計を見ると、いつのまにか30分たっていました。

記憶を喪失なさったようですね、と医者は言い、
催眠術によって、きのうの午後おこったことを、再現してみました。

きのうの午後、黒い服を着て、やせた背の高い男はポケットからトランプを出し、
一勝負やりませんか、とさそってきいました。

青年のほうが少しだけ勝ち、黒い服の男はそれを認めると、
わたしが負けたのですから、それはもらって帰りますよ、
と言って机の本のあいだから入場券を抜きとり、
ずたずたに破いてしまったのでした。

催眠術が終り、医者は青年にきのうの午後おこったことを伝えましたが、
信じられませんね、と青年はふしぎがりました。

医者は目のやり場に困り、新聞をのぞきこみ、
昨夜「青年が行くはずだった演奏会の途中、とつぜん、
劇場の天井から照明装置が落ちてきたという事故の記事を見つけました。

会場は満員でしたが、たまたま、落下地点の客席だけが、
なぜか空席になっていて、死傷者は1人も出なかったのだそうです。

その空席は、青年が座るはずだった席でした。

あの黒い服の男は死神だったのでした。


というあらすじなのですが、もしも青年がトランプで負けていたら、
死神に入場券を破られることはなく、青年は事故で死んでいたのでしょうね。

青年が記憶喪失になったり、
部屋にとつぜん黒い服の男が現れても疑問に思わなかったり、
トランプの勝負に乗ってしまったのは、
死神の術がかけられていたせいなのだろうと思います。

ゾッとする話ですが、どうして死神はトランプなんかで勝負して、
青年に生きるチャンスを与えたのだろう、と思いました。

星新一「ささやき」のネタバレ解説

2030年7月1日、
主人公の「私」はクラス会のパーティーに出席することになっていました。

主人公は学校を出るとすぐ、火星の開拓地に働きに出かけ、
5年ぶりに地球に帰ってきて、同級生たちがパーティーを開いてくれるのでした。

主人公はR万能サービス会社に電話をし、
パーティーの作法などを、すっかり忘れてしまった、
なにかいい方法はないものだろうか、と相談しました。

配達パイプで、超小型イヤホーン(イヤホン)が届けられました。

イヤホーンを耳にはめ、指示のささやきに従うことによって、
万事スムーズにいきました。

つぎの日、熱心に支持を送ってくれた係に合って、直接お礼を言うために、
主人公はR万能サービス会社への支払いを持参しました。

指示を送ってくれた本人に会わせてもらおうとすると、
録音テープを指さされました。

(今は死語になってしまったので念のために説明しておくと、
録音テープというのは、音声を録音・再生できる装置のことです。)

主人公だけではなく、ほかのパーティー出席者も、
火星帰りの人を迎えるパーティー用の指示を受け取っていたので、
すべてが一糸乱れずに進行したのでした。

主人公が社員に代金を手渡し、社員が頭を下げると、
主人公が昨夜使ったイヤホーンと同じようなものが、
社員の耳から落ち、床の上をころがっていったのでした。


というあらすじなのですが、「主人公やパーティーの出席者だけではなく、
社員までもがイヤホーンのささやきに操られていた、
」というオチですね。

人間がマニュアルを利用しているつもりで、
いつの間にか人間がマニュアルに操られるようになってしまった、
今の時代を予言しているような話だと思います。

でも、すべてをマニュアル通りに過ごすのなら、
パーティーの意味がないですよね。
仕事ならいいですが。

失敗してもいいから自由に行動した方が楽しいと思います。

ところで、この話の冒頭には、
昼寝をしていた主人公が覚〇剤を含んだ霧を吸いこむシーンがあるのですが、
これは睡眠薬の対義語の「起床剤」くらいの意味合いだと思います。

半世紀が過ぎるうちに、言葉の意味が変わってしまったのですね。

星新一「無表情な女」のネタバレ解説

列車の席にひとりの若い女が腰かけていました。
駅で青年が乗り込んできて、女の隣の席に腰をおろし、
女に話しかけますが、青年が何を言っても女は「さあ……」
としか言いませんでした。

青年は新聞社につとめていて、出張の帰りで、
話し相手になっていただけませんか、ということを話しますが、
女は「さあ……」としか言いません。

場面が変わり、女の住んでいた港町とT市とのあいだでかわされた、
密輸のダイヤモンドを港町からT市に輸送する方法について、
男たちが話し合っていました。

旅行の大好きな女の子に催眠術を使い、催眠状態にして、
このカバンを持って行け、なかをあけるな、手から放すな、
他人から話しかけられても、あまり答えるな、T駅で下車しろ、
と命令を与えると港町の男は言いました。

T市の男がカバンを受け取ることができるように、
このま.ぬけ野郎、と合言葉をいわれたとき、
女が反射的にカバンを渡すよう、暗示をかけておくことにしました。

場面が列車に戻ります。

女はとつぜん、青年に、T駅はまだでしょうか、と話しかけました。

眠いところを不意に起こされた青年は、一段ときげんが悪く、
このま.ぬけ野郎、とつぶやくように言いました。

女はカバンを青年に押しつけ、ハンドバッグだけを持って、
べつな車両に歩いていってしまいました。

青年はT駅で下車したらすぐに警察に届けることにしよう、
と考えたのでした。


というあらすじなのですが、どうせ催眠術をかけるのだったら、
パプラピチポンテとか、ペネロプパラントプとか、
絶対に日本人が喋らないような合言葉にしておくべきだったな、
としまうましたは思いました。

ちなみに、パプラピチポンテとかペネロプパラントプは、
たった今しまうましたが5秒ででっち上げた意味のない言葉です。

日本語にはパ行が使われる言葉が少ないので、
それを多めに使ってみただけです。
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