星新一「宇宙のキツネ」のネタバレ解説

宇宙研究所にキツネを連れた男があらわれました。

その男が持ってきたのは、
化ける(変身する)ことができるキツネでした。
キツネはカラフト犬に化けてソリをひっぱったり、
馬に化け、人をのせては走りまわったり、
ブタに化けたりすることができました。

ブタに化けたのは、食料が欠乏したら、
食べればいいというわけでした。
ブタのきらいな人なら、ウシやトリに化けさせることもできます。

キツネは最後に絶世の美女に化け、
所員たちの驚嘆は最高潮に達しました。

船内の限られた広さに積めて、これだけ役に立つ動物はいませんが、
念のために本格的な検討が行われることになり、
操縦士がひとりえらばれ、そのキツネを連れて、
宇宙船で飛び立ちました。

一週間たって、宇宙船が帰還し、
出迎えた人びとがキツネの味はどうだったかと訊くと、
操縦士は、なんとか食える、といったところだね、と答えました。

しかし、人びとのひとりが、
宇宙船のなかから出てきた操縦士の尻のあたりを指さして、
尻につけている変なものはなんだい……と訊きました。


というあらすじなのですが、「キツネは化けたとき、
しっぽだけは化けることができないと言われています。

つまり、本物の操縦士は宇宙にいる一週間のうちに、
キツネに食べられてしまい、キツネが操縦士に化けていた、
というオチだったのでした。

ライオンやトラに化けられたら、ひとたまりもなかったでしょうね。

星新一「無重力犯罪」のネタバレ解説

広い空港で宇宙船が発射されるのを、
人びとが見まもっていましたが、
そのなかに、いつまでも立ち去ろうとせず、
空を見上げて薄気味わるい笑いを浮かべている男がいました。

不審に思った警官がその男に呼びかけると、
男は、宇宙船に乗っていた探検隊員の連中が、
焼け死んだとしても、わたしをつかまえることなどできませんよ、
と言いました。

警官は男を警察に連行し、取り調べをします。

男もあの宇宙船に乗りたくて志願したのに、
人選でまっ先にはねられ、面白くないからやったのだと言いました。

荷物室にある書類箱に、無重力になると押えてあるおもりがバネじかけで、
しぜんにはなれ、火がつくようなライターをかくした、と男は言いました。

乗務員室のほうの連中が気づいた時には火の海になっている、
証拠は宇宙に飛び散ってしまうから有罪にはできない、
と男は言いましたが、「無電で宇宙船と連絡がつき、
証拠物件が手に入った、と刑事は言いました。

無重力ではすべての物の重さがなくなります。
空気も重さがなくなり、温められた空気と冷たい空気の重さも同じで、
対流が起こらないため、せっかくついたライターの火も、
まわりの酸素を使ってしまうと、それ以上は燃えることができず、
すぐ消えてしまったのでした。


というあらすじなのですが、男が人選でまっ先にはねられるのは、
当然ですねー。

こんな性格の人物が狭い宇宙船の中で他の隊員と強調できるわけがないですし、
無重力についても無知なのですから。

星新一「天国」のネタバレ解説

中年の男の主人公である「私」は、
生活の気力がおとろえ、どなる上役や、うるさいワイフ、
感心しない仲間とつきあいはじめた息子が嫌になり、
いっそ死んでしまいたくなった、とバーでつぶやきました。

それを聞いたバーテンは、
棚の片すみから見なれぬ形のびんをおろして、
どうぞ、と言いました。

楽に死ねる薬が入っていると思った主人公は、
それを一気に飲みましたが、いくら待っても、
苦しくもなんともなりませんでした。

主人公は怒りますが、
それは本気で自殺したいのか判断するテストだったようで、
バーテンは、生きたまま天国へご案内します、と言いました。

バーテンはエンジェル協会と書かれたカードを出し、
そこに書かれた場所へおいで下さいと言いました。

翌日、主人公がそこに行くと、社員は何枚か写真を撮られました。

4日後、ふたたびそこを訪れると、
写真をもとに作らせた、主人公にそっくりなロボットがありました。

とつぜん社員は主人公の手をねじりあげ、
わあ、助けてくれ、と主人公は大声を上げました。
社員はその声を録音していました。

このロボットの機能は少し歩けることと、
いまの録音を叫ぶことだけでした。
滝壺、海、噴火口に落ちるといった、死体が残らない方法で、
ロボットが衆人環視のなかで派手に死ねば、
世の中に対しては、主人公が死んだことになります。

その前に生命保険に入ります。
保険金はすべてエンジェル協会が受け取りますが、
天国での生活は保証してくれました。

数日後、主人公の身代わりのロボットは水力発電所のダムに落ちて死に、
主人公は船で、南の島の楽園に移住しました。

欲しいものはなんでももらえ、不満はありませんでしたが、
主人公はなぜか、あのどなる上役と、面白くもないワイフと、
出来そこないの息子との生活が、なつかしくてたまらなくなり、
ボートを作り始めました。

それを見つけた管理員は、天国からもどれるはずが、ないじゃないか、
どうしてもあの世に行きたいなら、泳いで行けば、
途中でおぼれて、生まれ変わることができるかもしれない、
と言いました。

主人公が、それをやってみるとしよう、と思ったところで、
この話は終わります。


というあらすじなのですが、自業自得とはいえ、主人公が可哀相だな、
と思いました。

親孝行したいときには親はなし、という言葉もありますが、
近くにいる時は不満しか感じないものなのでしょう。
失ってみて初めて、その貴重さが分かるのでしょうね。

この主人公が本当に望んでいたのは死ぬことではなく、
思い切り休むことだったのではないか、と思いました。

星新一「調査」のネタバレ解説

ある平和な夜に、赤い炎の尾が空から降ってきて、
町はずれの丘の向こうに消え、轟音と地響きが発生しました。

警官たちが丘に向かうと、暗い野原の中に、
長さ20メートル、直径5メートルくらいの大きさの、
銀色に光るスマートな形の物体がありました。

翌朝、学者と同僚と助手がやってきて調査を開始します。

まず、物体に電波をあて、金属らしいことと、
宇宙のどこからか飛んできた物だと分かりました。

物体の尾部あたりから変な電波が発信されているのを、
助手が学者に報告しました。

どこかの星のやつが宇宙旅行に出かけ、
途中で事故をおこし、不時着し、
救助を求める電波を出したのでしょう、と助手は言いました。

学者たちが物体の周囲をぐるぐるとまわっていると、
物体の外側をおおっていた銀色の金属らしいものがはがれ、
うまそうなにおいのするピンク色のゼリー状の物質があらわれました。

ゼリーを食べたがる人たちを学者は止めましたが、
人びとの間から犬がかけ出し、そのゼリーをかじってしまいました。

学者の指示でゼリー状物質を回収すると、
その下に茶色のプラスチックのようなかたい物がありました。

ナイフでプラスチック様の物質をけずると、
その下にさらにかたい物がありました。

アルコールランプやバーナーでとかしますが、
いくら高温にしてもとけなくなりました。

こんどは冷やしてみると、冷却した部分にひびが入り、
ひびが入った層がつぎつぎとはげおちました。

まだ先があったので、今度は放射線発生装置を使うことにしました。
電波はまだ発信されつづけていました。

場面が変わり、「巨大で青白い色の太陽を持つ惑星で、
その電波を受信していました。

ほうぼうの星へ送った無人の小型宇宙船からの報告で、
ゼリー状の物質を食べたことから動物はたしかにいて、
刃物を使う文明、火の発見の段階も越していると分かりました。

また、高温、低温を作る技術も発達していました。

放射線を発生させる技術については、これから受信するところでした。

放射線でこわれる層の下から出る猛毒ガスを防ぐことができるほど
文明の進んだ星だったら、宇宙に進出して暴れる前に、
処置をしにでかけよう、とその惑星の人達は話していました。


というあらすじなのですが、タイトルの「調査」は、
地球の人達が宇宙からの物質を調査している、という意味と、
宇宙人が地球人の文明の進み具合を調査している、
という2つの意味があったのでした。

星新一「合理主義者」のネタバレ解説

金属学者のエフ博士は、月の光をあび、
ひとりで海岸の波打ちぎわにたたずんでいました。

砂に含まれている微量元素を研究するため、資料を採取しにきたのでした。

そのうち、見たこともない異国的な印象を与える壺が、
海岸にあるのを見つけました。

骨董品には全く関心のないエフ博士は、
その壺を足の先で軽くけとばしました。

壺はころがり、栓がはずれ、中から異様な服装をした男があらわれ、
歩き続けるエフ博士を呼びとめました。

男は古代アラビアの魔神で、その壺に押しこめられていたのだと言います。

壺から出してくれたお礼に、どんな望みでも、3つだけかなえてさしあげる、
と魔神は言いました。

しかし、徹底した合理主義者のエフ博士は魔神の言葉を信じず、
いますぐ、一トンの金を自動車の形にして、ここに置いてみろ、できまい、
と言いました。

魔神が片手を振ると、すぐに自動車の形をした一トンの金があらわれました。

どうせ、なにか種があるのだろう、こんどはこれを消してみろ、
とエフ博士が言うと、魔新はすぐに金を消しました。

エフ博士は、「じつに恐るべき不合理だ、
わたしは、こんな経験などしたくなかった、と言いました。

きみはわたしのこの記憶を消し、その壺にもどって、どこかに行ってしまえ、
とエフ博士は言い、魔神は悲しそうな表情で姿を消しました。

不合理なことなど、なにひとつ頭に入っていないエフ博士は、
なにごともなかったかのように歩き去り、
壺は波にもてあそばれて、海の中に引き込まれていきました。


というあらすじなのですが、優秀な学者というのは、未知の現象に遭遇したら、
喜んでその現象を解明しようとするものなんですけどね。

このエフ博士は、単なる堅物であって、優秀な学者ではなかった、
ということなのでしょう。

星新一さんは「悪魔」「華やかな三つの願い」など、
「願いごと」をテーマにしたショート・ショートをいくつも書いています。

その中でも、この話は一番願いを無駄遣いしているな、と思いました。
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