東野圭吾「マスカレード・ナイト」のネタバレ解説

マスカレード・ナイト


新田浩介シリーズ第3弾です。

匿名通報ダイヤルから、練馬区にあるマンション『ネオルーム練馬』の604号室を調べてほしい、
女性の死体があるかもしれない、と情報がありました。

警察官が出向いたところ、その部屋の居住者である28歳の和泉春菜の遺体が発見されました。

何者かが和泉春菜に睡眠薬を飲ませて眠らせた後、2本に裂いた電気コードの1本を胸に、
もう1本を背中に貼り付け、心臓に電気を流すことで感電死させていました。

和泉春菜の職業はペットの美容師、トリマーで、彼女は妊娠4週目に入ったところでした。

また、警視庁に1通の密告状が届き、ネオルーム練馬で起きた殺人事件の犯人が、
12月31日午後11時にホテル・コンテルシア東京のカウントダウン・パーティ会場に現れる、
という内容でした。
密告状には2人の男女を隠し撮りした写真が同封されていて、
女性の顔は和泉春菜でしたが、男性の頭部にはモザイクがかけられていました。

シリーズ第1弾「マスカレード・ホテル」で潜入していたことがある新田浩介が、
再び上司に指名され、潜入捜査をすることになりました。

新田が、先に捜査をしていた能勢から情報を聞きます。
いつもの和泉春菜はボーイッシュな服を着ていましたが、
クロゼットの中にロリータ服が吊るされていたのだそうです。

一方、前回新田とコンビを組んでいた、ホテルコンテルシア東京に勤める山田尚美は、
コンシェルジュという、ホテルの客の様々な要望を聞く係に抜擢されていました。

12月28日から新田はフロントクラークに化けて1階のフロントに立つことになり、
新田の補佐は氏原祐作(うじはら・ゆうさく)という男が務めることになりましたが、
氏原は新田を毛嫌いして、次々に駄目出しをし、新田にはフロント業務はやらせませんでした。

カウントダウン・パーティは予約制の仮装パーティで、定員は500人ということを、
新田は山田尚美から聞き、上司の本宮たちに報告しました。

12月29日、日下部篤哉(くさかべ・とくや)という40歳前後で二枚目の宿泊客が、
山田尚美に話しかけ、今夜19時から予約しているフレンチレストランを
貸し切りにしたいということを頼みました。
ディナーの相手にプロポーズするため、レッドカーペットを敷いて、
その両側にずらりと108本の薔薇の花を並べ、
その花束の中央に指輪を仕込んであるという演出です。

レストランには他の予約客もいて、貸し切りは無理でしたが、尚美は代替案として、
食事の時間を1時間ほど遅らせ、さらに日下部たちの食事が終わる頃には、
ほかの客がすべて帰っているよう料理を出すタイミングを調整してもらい、
デザートが出る頃には貸し切りと同様になるようにしました。

日下部が去ると、今度は日下部と付き合っているという狩野妙子(かのう・たえこ)が現れ、
彼に恥をかかせず、気まずくこともなく、プロポーズにノーと答える方法を考えてほしい、
ということを頼まれました。

結婚したらアメリカに行かないといけませんが、狩野妙子は特別支援学校に勤務していて、
仕事を辞めたくないので断りたいということでした。

狩野妙子が帰った後、尚美は困っていましたが、新田が話しかけます。
能勢から電話がかかってきて、能勢の話になり、
あの人には大きな武器があるんです、誠意です、
俺なんか、つい駆け引きをしてしまうんですけど、
それでは人の心を動かせないと知っているんだろうなあ、と新田は尚美に言いました。

それがヒントになり、尚美は答えを見つけ、狩野妙子に、
日下部と同じもの――道を用意するということを言いました。

一方、フロントに彫りの深い美人、仲根緑(なかね・みどり)と名乗る客がやってきました。
予約の名前は仲根伸一郎でしたが、
緑が出したクレジットカードに印字されている名字はマキムラでした。

レストランでは日下部が狩野妙子にプロポーズをしますが、
あたしたちがこれから歩むべき道は、残念だけど薔薇の道じゃない、と狩野妙子は言いました。

レッドカーペットの脇に並べられた花は薔薇じゃなくてスイートピーで、
その花言葉は門出、優しい思い出、でした。

場面が変わり、新田は能勢と情報交換をします。
能勢は和泉春菜の中学時代の友人、早川という女性研修医から聞いた話をします。

和泉春菜の母親は老舗和菓子屋の跡継ぎで、春菜の父親の浮気が原因で離婚していて、
新しい交際相手の男性は番頭でした。

春菜は早川に、番頭の愚痴をこぼし、また夏休みのある夜、
突然春菜が早川の家に訪ねてきて、泊めてあげたことがあったのだそうです。

その次に会った時には、春菜は髪を男の子のように短くし、
服装もボーイッシュになっていたのだそうです。

番頭に悪.戯されたのだと新田と能勢は推測しました。

また、過去に起きた未解決事件の中に、3年半前、
睡眠薬を飲まされて眠った後、感電死させられていて、
クロゼットの中にロリータ趣味のものが何着もあった26歳の女性の事件がありました。

12月30日、常連客のジョージ・ホワイトが尚美に、
何だか妙な緊迫感があると言い、エスカレータのそばに立っている男性が、
ずっと周りに目を光らせ、インターカムを付けていることを指摘しました。

また、一昨日チェックインした30より少し前の関西弁のカップルが尚美のところにやってきて、
女性が、バッグの中を誰かに漁られている、ホテルの掃除係の人が触ったかどうか、
確かめてくださいっ、と言いました。

尚美はハウスキーパーと話し、ハウスキーピングに立ち会った捜査員が荷物に触れたと考え、
客室係がバッグを移動させようとして落してしまったそうで、
その際にバッグの内部が乱れたかもしれないと女性に説明し、お詫びしました。

その後、尚美は総支配人の藤木に相談し、藤木は総支配人室に、
警視庁捜査一課の稲垣と本宮、新田を呼び出しました。

尚美が関わった件以外にもトラブルが起きていて、総務部からの連絡で、
結婚披露宴会場の下見に訪れた客から電話があり、
ホテルかを出て、地下鉄のホームに向かおうとした時、
警察官を名乗る男性から職務質問を受け、
おたくのホテルでは客の行動を警察に監視させているのか、と問われていました。

インカムを付けてホテルの内外を張り込むのも、不審者を尾行して職務質問を行うのも、
ホテルを利用するお客様にとっては極めて非日常的、迷惑で不愉快だと藤木は言いました。

インカムの使用は控え、客の荷物には触れないようにということを藤木は稲垣たちに言います。

稲垣は代わりに、個人情報を渡してもらい、チェックインする客がパーティに申しこんでいる場合、
フロント係がそのチケットを客に渡す際、顔の高さまで持ち上げ、
ロビーで張り込んでいる刑事が即座に確認できるようにしてほしいということを頼みました。

刑事たちがいなくなった後、藤木は尚美に、コンテルシア・ロサンゼルスがリニューアルし、
日本人スタッフ、それもフロントオフィスを任せられるような優秀な人材として、
尚美を推薦したいということを話しました。

尚美がコンシェルジュ・デスクに戻ると、仲根緑を見かけた日下部が尚美に話しかけ、
彼女に一目惚れをしたから彼女との会食をセッティングしてくれということを頼みました。

尚美はそれは断りましたが、代替案として、日下部がこのホテルを発つまでの間に、
仲根緑と2人きりで話ができる場を用意することになりました。

同席していた新田は、あの女性には連れが――と、口を滑らせ、客の個人情報を話してしまい、
尚美に制止されました。

仲根緑に連れがいると知っても、日下部は構わないと言いました。

仲根緑の部屋をハウスキーピングすると知り、新田と尚美も一緒に仲根緑の部屋に入ることにしました。

仲根緑の部屋を見た後、新田は稲垣に報告に行き、
2人連れで泊まっているように見せかけていますが、
相手の男はいないのではないかと思われます、と言いました。

出かける時には持っていくものなのに、部屋に煙草とライターが置いてあり、
灰皿が綺麗なままで、ゴミに吸い殻1本見つからず、
シェービングクリームとカミソリは手つかずで、
ベルボーイに化けてルームサービスを運んだ刑事の関根も男の姿は見ていませんでした。

防犯カメラをチェックすると、仲根緑以外誰もあの部屋には入っていませんでした。

その後、フロントに浦辺幹夫と名乗る人物がやってきて、泊まろうとしますが、
クレジットカードを使わず、現金の持ち合わせも少なく、
ゴルフバッグを持っていますがキャディバッグに名札が付いていなくて、
住所が群馬県のアパートになっていて、
群馬県の人間がゴルフ旅行の前後に、1人で東京のホテルで2泊するのは不自然だと、
新田は浦辺幹夫を怪しみました。

また、50歳前後の曽野昌明という、普段はコンテルシア東京を愛人と利用している男が、
妻と息子と一緒にやってきました。
新田は、いつもご利用ありがとうございます、と言いそうになりましたが、
氏原に足を踏まれました。

氏原は、初めての客として曽野昌明に接しました。

一方、尚美は日下部に『あしながおじさん作戦』を提案し、日下部は了承しました。

仲根緑に特別サービスをしてあげ、明日仲根緑が1人でいる時を見計らい、
昨夜からのサービスは、じつは仲根緑と2人きりで会いたいという方からのご依頼でした、
もしその方に会ってもよいということでしたら機会を設けさせていただきます、
という作戦です。

作戦の第一段階として、尚美は仲根緑にフラワーアレジメントを差し出しました。

ベルボーイの制服を着た刑事の関根は、ディナーにシャンパンをサービスしました。

次に新田は、仲根緑の部屋に行き、ホテルからの特別イベントについてお知らせがあり、
伺った次第です、と言い、部屋に入れてもらい、
目の前のビルの壁面に、特別映像ショーが投影されているのを見せました。

本来、新田は部屋の入り口で用件を伝えるだけの予定で、
すぐに戻ってこないことを不審に思った氏原が、尚美を連れ、仲根緑の部屋に行き、
新田を連れ帰りました。

新田は少々、細工をして、ディナーを2人分注文しておきながら、
フォークとナイフが1組、全くの手つかずだったのを尚美に見せ、
連れの男性はいないことを教えました。

また、映像ショーを見ている時、仲根緑の頬に涙が一筋あったことを伝えました。

尚美は、お客様との距離を見誤らないよう気を付けろという内容のことを言った後、
ここ数十年で時計は飛躍的正確に時を刻むようになり、その結果、
約束の時間に遅れる人が増えた、そういう人には、あまり信頼の置けない時計を持たせ、
常に余裕を持って行動させるというエピソードを話しました。

時計に頼り過ぎてはいけないのと同様、御自分の感覚だけを頼りにするのは危険です、
時間と同様、心の距離感にも余裕が必要だ、といいたいのです、と尚美は言いました。

その後、匿名通報ダイヤルに再び、
和泉春菜を殺した犯人はコンテルシア東京のカウントダウン・パーティに仮装して現れる、
刑事たちを待機させて、絶対に逮捕してほしい、という内容の密告がありました。

新田が能勢と3年半前の事件について話しているところに尚美も同席することになり、
新田はこれまでの経緯を説明しました。

被害者の名前は室瀬亜美、(むろせ・あみ)、26歳で、
岐阜県の出身で、税理士事務所で働きながら、絵本作家を目指して修行中でした。

被害者には野上陽太という交際を始めたばかりの男性がいて、よく行く画材店の店員でしたが、
野上陽太は被害者が住んでいる場所を知らなかったのだそうです。
マンションの防犯カメラにも野上陽太は映っていませんでした。

二.股をかけていたんじゃないですか?
ほかの男性の痕跡を見られたくなかったんじゃないですか、
つまり女性が二.股をかけていた、と尚美が言いました。

被害者がロリータ・ファッションの服を集めていたことについては、
儀式という言葉を尚美は使いました。

翌日、尚美のところに例の関西弁のカップルがやってきて、
カウントダウン・パーティ『マスカレード・ナイト』に行く仮装の服がないと相談しました。

尚美はパーティ用のコスプレ衣装を取り揃えているカラオケ店でレンタルできることを教えました。

正午を過ぎ、浦辺幹夫に「書籍」と書かれた宅配便が届きましたが、
住所は東京都千代田区になっていて、新田はますます浦辺を怪しみます。

捜査会議で、新田は能勢と極秘で調査していた3年半前の事件や、
浦辺幹夫について報告しました。

尚美のところに仲根緑がやってきて、誕生日ケーキの写真を見せ、
ふつうのケーキではなく模型で、今夜の夕食までに用意してほしいということを頼みました。

ふだんならそれほど大変な依頼ではありませんが、今日は大晦日で、
食品サンプルを作ってくれる工房には電話さえつながらず、尚美は困っていました。

そこへ新田が現れ事情を知ると、新田は上島に電話し、
仲根伸一郎名義の運転免許証の誕生日は12月31日になっていることを確認しました。

フロントには、曽野昌明の愛人の貝塚由里がやってきてチェックインしました。

尚美は後輩で休みだった土屋麻穂(まほ)に頼み、食品サンプルを買い集めてきてもらい、
誕生日ケーキの模型を自作することにしました。

木彫りの龍の彫刻に見えるチョコレートは、
地下1階にある中国料理レストランの副調理課長の藤沢に頼み、
発泡スチロールの欠片で作ってもらいました。

仲根緑はケーキの模型の出来栄えに大満足しました。
尚美は昨日からのサービスは、ロイヤル・スイートにお泊りの日下部からの依頼で、
仲根夫妻と話をしたいということを尚美は伝えました。

浦辺幹夫は12月5日に、和泉春菜が働いていたペットサロンの防犯カメラで、
ガラス越しに中の様子を窺っていたことが判明しました。

午後6時を過ぎて、仮装をした客が次々と現れはじめました。

日下部は仲根緑と話すことができましたが、日下部は尚美を呼び出し、
君は僕のことを、御夫妻に会いたがっている人物と説明したそうだね、
彼女と二人きりではなく、と尚美に言いました。

一方、新田は愛知県警からの追加情報で、
仲根伸一郎が今年の3月に肺癌で亡くなっていることを知りました。

その後、新田は尚美に呼び出されて仲根緑の部屋に行きました。

仲根緑は新田と尚美と日下部に事情を説明します。

仲根緑の夫になるはずだった人は今年の3月に肺癌で亡くなりましたが、
入院前、彼の誕生日である大晦日を、
コンテルシア東京の『マスカレード・ナイト』で祝おうと約束していて、
彼が亡くなった跡も、そのことが頭から離れず、実際に彼の誕生日が近づいてくると、
じっとしていられなくなったということを説明しました。

昨夜の映像ショーを眺めながら、
これを彼にも見せてやりたかったと考えていたら泣いてしまったということを説明します。

誕生日ケーキは昨年の今日、知り合いのケーキ屋さんに作ってもらったものだったのだそうです。

仲根緑は日下部と部屋でディナーを食べることになりました。

その後、密告者から新たな連絡があり、刑事が現場で待機しているなら、午後10時までに、
『マスカレード・ナイト』が行われる宴会場の前にある仮面人形『マダム・マスカレード』が
手にしている黄金のワイングラスに花を挿しておくようにと指示がありました。

まもなく午後8時になろうとしていて、尚美がその花を用意することになりました。

対策会議では捜査員たちも仮装することになりました。
能勢は月光仮面の仮装をすることになりました。

会議室を出た新田は、ダイニング・レストランから曽野昌明たちが出てくるところを見ました。
曽野と息子の後に2人の女性が続きましたが、1人は曽野の妻で、
彼女と楽しそうに話しているのは、曽野の愛人の貝塚由里でした。

その後、新田は能勢と話し合い、和泉春菜の死後に浦辺幹夫が和泉春菜の職場を訪れていたのは、
浦辺が春菜の自宅を知らなかったからで、3年半前の野上陽太と同じだという結論に達しました。

浦辺は犯人ではないし、犯人が誰かも知らない、つまり密告者でもない、
ということになりますが、それなのに今夜、ここにいるのは、
呼び出されたからだと新田と能勢は推理しました。

また、密告者は犯人に対し、警察に通報しないことを条件に金銭を要求していて、
仮装カーティで取引をしようとしていましたが、
密告者のほうに約束を守る気はなく、裏切ることを考えていて、
それが警察への密告だったのだと推理しました。

浦辺幹夫は取引き絡みで犯人か密告者に呼び出されていると推理し、
新田と能勢は上司の稲垣と矢口に推理を話し、浦辺に直接当たることにしました。

新田と能勢と本宮は浦辺幹夫の部屋に押し入り、警察のバッジを示して、
浦辺幹夫身分証明書の提示を求めました。

浦辺幹夫の本名は内山幹夫といい、東京都練馬区在住だと判明します。

内山幹夫は和泉春菜と男と女の関係があり、
和泉春菜との関係を世間に公表されたくなかったら、指示に従えとメールが届き、
その指示に従っていたのだということを内山幹夫は言いました。

今日、届いた荷物にはカウントダウン・パーティのチケット、
ペンギンの被り物と燕尾服、大きなバッグがあり、
『午後十一時までに着替えて部屋で待機のこと』とメモが添えられていました。

尚美が『マダム・マスカレード』のワイングラスに花を挿すと、
日下部のプロポーズ作戦で世話になった、フレンチレストランのマネージャー、
大木と遭遇しました。

大木のところのスタッフが、昨日、
日下部と狩野妙子を汐留のカフェにいるのを見たという話を大木はしました。

尚美はその話が引っ掛かり、狩野妙子の名刺に書かれた学校をパソコンで検索しましたが、
その学校に関する情報が何ひとつ出てきませんでした。
名刺に印刷されていた学校の住所の地点は、
20年以上も前からショッピングセンターがあり、
狩野妙子は嘘をついていたとしか考えられませんでした。

新田がフロントに戻ると、氏原は中根緑がチェックアウトしたことを伝え、
話を聞いてもらえただけでもありがたかった、
寂しい大晦日になるはずが素敵な思い出ができました、
という中根緑からのメッセージを新田にいいました。

曽野昌明が1人でチェックアウトしようとしました。

マンションの管理会社から連絡があって、駐車場に駐めてある曽野昌明の車に、
かなり悪質な悪戯がされていると呼び出されたのだそうです。

午後11時ちょうどに、『マスカレード・ナイト』が始まりました。

尚美は新田に、狩野妙子について相談しようとしましたが、
その時、尚美に日下部から電話があり、
カウントダウン・パーティの後、そのままホテルに残ってもらえないだろうか、
君に話しておきたいことがある、と言われました。

電話が終わると新田の姿はなく、今度は関西弁のカップルに話しかけられます。

カップルの女性はウエディングドレス姿で、男性はタキシードに身を包んでいました。
きちんとした結婚式はしていないということを尚美に話した後、
チャペルで記念写真を何枚か撮らせてもらいたいということを頼みました。

そんな使用方法はホテルでは認められていませんが、
外出中に刑事が荷物を勝手に調べたことを、嘘をついてごまかした負い目があり、
何か方法を考えてみます、と尚美は言いました。

一方、燕尾服を着たペンギンの仮装をした内山幹夫は、脅迫者の指示で、
2階のブライダルコーナーに行きました。

新田は稲垣の指示で、2階に行き、内山幹夫を見張ります。

内山幹夫はスマートフォンで通話している脅迫者の指示で、
ブライダルコーナーのソファの上にバッグを置き、
そこを出て、3階のパーティ会場に入りました。

内山幹夫は会場の右端の除夜の鐘の前まで移動して、右手を上げさせられます。
さらに、会場の奥にあるシャンパングラス・タワーを向いて、左手を上げさせられました。
待機しろ、と脅迫者は言い、電話は切れました。

尚美は関西弁のカップルのために4階のチャペルの様子を見に行きましたが、
薄闇の中、とってつもない衝撃が全身を貫き、身体中の力が抜けてしまい、
床に倒れてしまいました。

口にガムテープを貼られ、頭から何かを被せられ、手足を動かそうとした時、
もう1度衝撃が襲ってきました。

尚美は音で、自分と同じような目に遭っている人物がもう1人いるのだと察しました。

襲撃者は、尚美の胸と背中に何かを貼り付け、
尚美の左手を摑み、腕時計の時刻を確認しているようでした。

頭から被せられている袋を、不意に外されました。

カウントダウン、と仮面を付けた人物はいい、尚美の前に時計を置きました。
その針はあと10分少々で午前0時を指そうとしていました。
よく見ると時計はタイマーで、そこから電気コードが伸び、
尚美の胸と、もう1人倒れている人の身体に繋がっていました。

仮面の人物の服装は、このホテルの制服でした。

一方、木乃伊男と書き、キノヨシオと名乗っている、ミイラの恰好をした客が、
ブライダルコーナーに入っていき、バッグを提げて出てくるのが防犯カメラで確認され、
新田にインカムで知らされました。

ミイラ男は0905室に入り、間もなく出てきて、その手からはバッグは消えていたのだそうです。

時計を睨み、カウントダウンまで、あと何分もないことを知った新田は、
待てよ――俺たちは操られているんじゃないか――と考えました。

ミイラ男が囮なら、実際に何かが起きたのは正反対の場所だろう、と新田は考え、
階段に向かいました。
その時、階段のほうから宴会部の制服の男性従業員が現れ、手にはバッグを提げていました。
男性従業員が、そばのトイレに入っていくのを見て、新田はインカムで、
従業員に化けた不審者がトイレに入ったことを報告しました。

間もなくトイレの中から1人の人物が出てきて、先程とは格好が全く違っていて、
サングラスをかけたマイケル・ジャクソンでした。

新田は、会場を出ようとしていたマイケル・ジャクソンに、せっかくですから、踊りませんかと声をかけ、
引き止めました。

カウントダウンがゼロになると、仮装で顔を隠していた客たちが、一斉にマスクや仮面を外し始めました。

新田はマイケル・ジャクソンのマスクを摑み、そのまま引き上げ、
人間の目というものは不思議ですね、
こうして仮面を付けるとあなたの目と口元しか見えなくなる、
すると不思議なことに、あの化粧が頭に浮かんでくるんです、
目元に施された派手なメイクが、仲根緑さんの顔が、と言いました。

カウントダウンはゼロになった、私の勝ちだ、と仲根緑は中性的な声で言いました。

あの男は4階のチャペルから出てきましたっ、という報告をインカムで聞き、
新田がチャペルに行くと、尚美と、貝塚由里が倒れていました。

新田がプラグを抜くと、タイマーは止まりましたが、
その針は午前零時にはなっていなくて、あと10秒ほど残っていました。

仲根緑は尚美の時計で時間を合わせましたが、
尚美の時計は祖母の形見で、よく狂い、4分ほど遅れていたのでした。

時間が正確すぎると余裕を持とうとしない……、
あなたがプロフェッショナルで本当によかった、
」と新田は言いました。

その後、「曽野昌明の息子の曽野英太、愛人の貝塚由里、妻の曽野万智子の証言があります。

英太は超望遠のカメラで和泉春菜の部屋を覗いていて、
男の人が出入りしていること、和泉春菜と男が降りた車の助手席に、
医療法人の『礼信会』と印刷されていた封筒があったこと、
覗きと盗撮をしていたことを母の万智子に知られ、
匿名通報ダイヤルで通報したこと、部屋に出入りしていた男を調べて、
『礼信会』の『モリサワ・クリニック』の院長だと知ったことなどを証言しました。

貝塚由里は、万智子とは同級生で、
近所のマンションで起きた殺人事件の犯人の身元を摑んでいることを相談され、
犯人は医療法人を経営する一族の御曹司で森沢光留(ひかる)といい、
『マスカレード・ナイト』を利用して取引をしようとしていたことを証言しました。

お互いに仮装してパーティに参加し、森沢光留は1億円を入れたバッグをどこかに隠し、
貝塚由里と万智子は2人組で参加し、電話して仮装した彼を判別し、
バッグの鍵を渡してもらい、貝塚由里はバッグの隠し場所に移動し、
1億円が入っていることを確認したら、会場に戻り、
カウントダウンを待って、お互いに仮面を取り、
貝塚由里と万智子が森沢に運転免許証を示したら取引完了というわけでした。

この計画には裏があり、お金を確認したら警察に犯人を知らせ、
身元を森沢光留に知られる前に警察に森沢光留を捕まえてもらう予定でした。

貝塚由里は万智子が主犯格のように証言していましたが、
万智子の証言は違っていて、由里が主犯格だといいました。

2年前に万智子は貝塚由里に、夫の曽野昌明を会わせていて、
今年の秋に、万智子は曽野昌明が浮気していることに気づきました。

そういう状態の時、英太が盗撮写真を撮っていることを知り、
貝塚由里に相談すると、由里は、昌明が浮気するのに使っているホテル、
コンテルシア東京の『マスカレード・ナイト』を利用する計画を立てました。

昌明のスマートフォンに入っていた浮気相手の番号を英太に電話させると、
由里が出ました。

万智子は後悔し、森沢光留に電話をかけ、自分が取引相手の共犯者であることを明かした上で、
取引は罠だといい、主犯の人物を殺してほしい、
もし殺してくれるなら、その人物の身元を教える、
お金など一銭もいらないし、例の画像データはすべて破棄する、
」といいました。

3人の証言はこれで終りです。

その後、新田は内山幹夫に会いに行きました。
内山幹夫は、和泉春菜とはペットの犬をきっかけに公園で知り合い、
関係を持つようになったのだそうです。
和泉春菜が殺されたことを知っても、内山幹夫は妻帯者であることから、
警察には行きませんでした。

和泉春菜のスマートフォンから、春菜との関係を公表されたくないならば指示に従え、
とメールが届き、言いなりになったのだそうです。
和泉春菜が妊娠していて、検査薬が保管されていたことから、
その妊娠を喜んでいたと思われることを、新田は内山幹夫に伝えました。

一方、尚美は総支配人室に呼ばれ、藤木から「日下部篤哉を紹介されます。

日下部は名刺を出し、『ホテルコンテルシア 北米支部担当局 人事第二部長
香坂太一(こうさか・たいち)』という本当の身分を明かしました。

香坂(日下部)がアシスタントの狩野妙子にプロポーズをしたり、
仲根緑に一目ぼれしたことにしたりしていたのは、
コンテルシア・ロサンゼルスに尚美を異動させるかのテストであり、
尚美はテストに合格しました。

また、新田はコンテルシア東京のラウンジで、森沢光留が2年前にやりとりしていた、
笠木美緒と会いました。

森沢光留は黙秘を続けていて、2人の被害者、室瀬亜美と和泉春菜は、
もうこの世にはいないことを新田は伝え、
笠木美緒に森沢の動機を説明してもらおうとします。

笠木美緒は男性恐怖症で、男性恐怖症が講演のテーマの講演会場で、
女装をしていた森沢に話しかけられ、付き合いが始まったのだそうです。

森沢は牧村緑と名乗っていて、会ってから1か月後ぐらいに、
森沢は正体を明かしたのだそうです。

性同一性障害という言葉を森沢は嫌っていて、自分はどちらでもないのだ、
男性でもなく女性でもなく、双方を超越した存在だ、とよくいっていたのだそうです。

森沢には世羅(せら)という双子の妹がいて、世羅は光留に化粧をして、
2人で密かに『姉妹ごっこ』をしていたのだそうです。

世羅は21歳の時に、レ○○されて、自殺していました。

笠木美緒は森沢に洗脳されて、世羅が好きだったロリータ服を着せられ、
姉妹ごっこをしていましたが、笠木美緒は森沢に秘密で、ある男性と交際を始め、
その男性と逃げたのでした。
その男性とはそろそろ結婚するつもりで、その男性もコンテルシア東京のラウンジに、
こっそりと来ていました。

1月10日に、新田は森沢に指名されて取り調べに行きました。

仲根緑として2日も前から滞在していた理由は、警備状況の偵察で、
牧村緑というクレジットカードや他人名義の携帯電話は、
昔の闇サイトで買ったものだということを森沢は供述しました。

牧村緑の悲しきラブストーリーを作ったのは、
怪しんで怪しんで、最後に疑問が解けた時、人は一切疑わなくなるからで、
牧村緑がチェックアウトした後に殺人事件が起きても、
誰も彼女について深く調べようとはしないだろうと考えたからでした。

新田がフロントクラークの仕事をしていないことや、
ルームサービスなんかしないベルボーイの関根がルームサービスをしたことから、
森沢は新田と関根が刑事だと気づいていました。

攪乱係には、内山幹夫のほかに、金で雇ったミイラ男も使いました。

由里とその道連れになった尚美を感電死させようとしたのは、
女性を醜い死体にしたくなかったからなのだそうです。

森沢は、和泉春菜と村瀬亜美を殺した動機については黙秘しようとしましたが、
新田は笠木美緒から話を聞いたことを伝え、
結局あなたは彼女たちに、妹さんの面影を求めていたんだ、
ところがせっかく見つけ、洗脳したはずの妹の代役が、あろうことか男に心を許した、
それはあなたにとって、絶対に看過できない裏切り行為だった、と新田はいいました。

森沢は反論として、今回の事件の動機を話しました。

共犯だという女から、主犯格の女を殺してほしいと頼まれた時、
気持が奮い立つのを感じたということを森沢は話しました。

復讐を果たせる時が来たと思ったからだ、おまえたち、警察への復讐だ、
と森沢はいいました。

世羅は卑劣なレ○○犯に地獄に落とされ、その地獄のなかで、
さらに世羅は警察に取り調べで蹂躙されましたが、
警察は結局、犯人を見つけられず、
お嬢さん、犬に咬まれたと思って早く忘れることだ――といい、
世羅は自殺したということを森沢は話しました。

後日、新田は客としてコンテルシア東京に行きました。
デラックス・ダブルの予約でしたが、氏原の計らいで、
仲根緑が泊まっていたコーナー・スイートの部屋にアップグレードされました。

新田は尚美を食事に誘い、ロサンゼルスでも、がんばってきてください、
といったのでした。


というあらすじなのですが、「犯人の森沢が、
妹の世羅をレ○○した犯人に対しては卑劣といいながら、
自分は2人の女性を殺しているのは、ダブルスタンダードの極みだと思いました。

警察が世羅をセカンド・レ○○したことは許されないことだと思います。

しかし、警察がレ○○犯を捕まえられなかった件については、
和泉春菜と村瀬亜美の件も同じで、彼女たちの遺族も地獄に落されたはずです。

森沢は、妹をレ〇〇した犯人と同じか、それ以上のことをしているわけで、
結局、森沢は他人に厳しく自分に甘い人間でしかなかったのだと思います。

ところで、笠木美緒と会ったことを新田が森沢に話してしまったのは、
絶対にやってはいけないことだったのではないかと思います。

もしも新田が死刑にならなかった場合、出所した森沢が、
金に物を言わせて笠木美緒の居場所を突き止め、
笠木美緒に報復する危険があるからです。

それと、香坂(日下部)が尚美をテストしていた件については、
時と場合を考えろよ、と思いました。

ただえさえコンテルシア東京に刑事が潜入して大変なことになっているのに、
なぜ同じ大変な時期に尚美をテストしないといけないのか、理解に苦しみます。

尚美をテストする時期を2日ほどずらし、正月明けからにすれば、
尚美も新田たち警察も、振り回されて捜査を攪乱されずにすんだはずです。

パーティの直前、狩野妙子の勤務先が出鱈目だと尚美が気づいた後、
新田に知らせていたら、本宮や稲垣は部下の刑事に日下部をマークし、
狩野妙子について調べるようにと命令していたでしょう。

そうなっていたら、貴重な人員を割かれて、新田が尚美を助けに行くのが間に合わなくなり、
尚美や貝塚由里が死んでいた可能性すらあります。

それと、本筋とは関係ありませんが、チャペルが犯行現場になってしまった影響なしに、
関西弁のカップルがチャペルで記念写真を撮ることができたのか気になりました。
これに関しては完全に放置されていました。


と、重箱の隅をつつくようなことを書きましたが、犯人はとても意外で、
全体としては面白かったです。

東野圭吾「素敵な日本人 東野圭吾短編集」9話「水晶の数珠」のネタバレ解説

主人公の度会(わたらい)直樹は、地元の国立大学を卒業後、
父の真一郎が会長を務める地元の電子部品製造会社に就職しましたが、
役者になりたいという夢を叶えるため、会社を辞めました。

真一郎と喧嘩になり、直樹は家を出て、渡米し、
鉄板焼きレストランでアルバイトをしながら演技の勉強をしました。

7年間インディーズの作品やCMなどに出ているうちに、
端役ばかりではありますが大手の制作会社からも声がかかるようになりました。

今回、全世界に配給される予定の大作映画が作られることになり、
物語のキーパーソンの日本人役のオーディションを受けるつもりでした。

直樹の姉の貴美子から電話があり、来週の14日、
真一郎の誕生日に帰ってこられないか聞かれました。

これまで直樹には知らされていませんでしたが真一郎は末期癌でした。

直樹は帰国し、誕生日パーティの翌日の早い便で日本を発ち、
オーディションを受けることにしました。

しかし成田空港から東京駅に行った時に真一郎から電話がかかってきて、
直樹の夢を大法螺(おおぼら)だと言ったり舌打ちしたり、
おまえみたいな者が受かるわけがないと言ったりして、直樹を怒らせました。

直樹はすぐにアメリカに戻り、オーディションを受け、
最終候補の手前で落とされてしまいました。

3週間後、真一郎が亡くなり、直樹は帰国しました。

直樹の母の聡代や貴美子は、どうしてお父さん、直樹が帰ってくることを知っていたのかしら、
どうやって直樹の電話番号を知ったのかな、と不思議がっていました。

通夜は盛大に行われ、親戚たちは、渡会家の跡継ぎは、前当主が死んでから本領を発揮する、
という話や、水晶の数珠を受け継ぐことなどを話しました。

真一郎は老衰やがんで死ぬのはいいが、事故などで突然死ぬのはこわがっていた、
ということなども話していました。

午前零時を過ぎると、聡代は直樹に、真一郎からの遺言状を渡しました。

遺言状には、「水晶の数珠を両手で握り、ある呪文を唱えれば、1日だけ過去に戻れる、
ということが書かれていました。
戻れるのは一度だけで、真一郎の父やその先祖もこの力を使って財を成したのだそうです。

真一郎も、人生で最も大切だと思った時に使いましたが、その詳しい内容は伏せられていました。

真一郎が死に方にこだわっていたのは、数珠の力を使うためだったのでした。

葬儀の翌朝、駅に着くと、スーツの男性と駅員が口論をしていました。

先月の墜落騒ぎについて話していて、スマートフォンで調べると、
先月の15日、真一郎の誕生日パーティが行われた翌日、
民間の小型飛行機が新幹線の線路上に落下したという記事が見つかりました。

あの時東京駅から引き返していなければ、直樹は新幹線に乗れず、
アメリカ行きの飛行機に乗れず、オーディションを受けることもできなかったのでした。

オーディションを受けられず悲嘆にくれる息子のため、真一郎は、
水晶の数珠を使って1日だけ過去に戻り、憎まれ口を叩いてわざと直樹を怒らせ、
アメリカに引き返させたのでした。

直樹は夢を諦めかけていましたが、父の遺志を無駄にするわけにはいかないと、
成功するまで日本に帰らないと決意したのでした。


というあらすじなのですが、いい話ですね。

短編集のラストにふさわしい話でした。

ただ、憎まれ口を叩いて直樹をアメリカに帰らせた後、「フォローの電話をしておけば、
直樹もオーディションで最高のパフォーマンスをできたんじゃないか、
オーディションに落ちた直後に、直樹に日本に戻ってきてもらえば、死に目に会えたんじゃないか、
と思いましたが、それができないからこそ、7年も絶縁状態だったのでしょうね。

東野圭吾「素敵な日本人 東野圭吾短編集」8話「クリスマスミステリ」のネタバレ解説

クリスマス・イブに、俳優の黒須(くろす)は15歳ほど年上の女性の脚本家、
樅木(もみき)弥生の家に行きました。

弥生が今日買ったばかりのツリーを黒須に見せ、指を絡ませて、
2人の手をツリーの横に置きました。

クリスマス・ツリーに十字架を飾るのはタブーなんですって、と弥生は言いました。

黒須は弥生が飲むワインに白い粉を入れ、乾杯しました。

弥生がテーブルに突っ伏すと、クロスは自分が使ったグラスを洗い、
ハンカチで、テーブルやソファ、クリスマス・ツリーを飾ってある出窓など、
自分が触れたと思われるところを拭き、部屋を後にしました。

黒須は午後7時過ぎに劇団の稽古場に戻り、窓から入りました。
ノートパソコンが、アリバイ工作のために吹き込んでいた音声を発していて、
それを消すとドアを開け、
劇団の事務員であり黒須のマネージャーでもある鹿野久美子に話しかけました。

回想です。

7年前、売れない役者だった黒須は、弥生のドラマに出演し、
弥生と男女の関係になり、弥生の顔で、業界で売れっ子になりました。

弥生は黒須に執着し、若い子と付き合ったらこの世界では生きていけないと脅しました。

しかし黒須は映画で共演した女優と恋仲になってしまい、弥生を殺そうとして、
弥生がドイツを旅行した時、地方の民家で手に入れたという毒薬を、
戸棚から出して弥生のワインに入れたのでした。

回想終わりです。

午後8時から六本木のパーティーに出ましたが、そこに弥生がやっていて、
私、ソファで眠っちゃったみたいね、全然記憶がないんだけど、と言われました。

あれは毒ではなかったのだ、と黒須は思いました。

パーティーの後、黒須は弥生の家に呼び出され、庭に行くと、
弥生のほうから別れ話を切り出し、2人は別れました。

翌日、弥生の「遺体が自宅で見つかりました。

2日後、黒須のところへ2人の刑事がやってきて、ボトルに毒が入っていたことや、
クリスマス・ツリーが置かれている出窓の表面から黒須の指紋が見つかったことを話しました。

黒須がワインに毒を仕込む際、弥生はツリーを移動させ、黒須の指紋を隠し、
その横に自分の指紋を付けておき、黒須に黒須の指紋と錯覚させたのでした。

留守中に白い粉が減っていることに気づいた弥生は、黒須の殺意を見抜き、
自ら命を絶ち、黒須に殺人の罪をなすりつけようとしたのでした。

言い逃れできなくなった黒須は、
ツリーに十字架を飾るのはタブーって聞いたんですけど、本当ですかね、と刑事に言いました。

クリスマスはキリストの誕生を祝うという意味があるので、
死を連想させる十字架はふさわしくないという説があります、と若い刑事が言い、
クリスマスに死はタブーよ、と弥生はいいたかったのだろう、と黒須は考えたのでした。


というあらすじなのですが、すごく回りくどい話でしたね。

ただ、弥生は完全に黒須を操っていたので、黒須が受けたダメージは大きく、
弥生の目的は果たされたと思います。

でも、「何も死ななくてもよかったんじゃないかと思いますけどね……。

東野圭吾「素敵な日本人 東野圭吾短編集」7話「サファイアの奇跡」のネタバレ解説

小学5年生の未玖(みく)は神社で薄茶色の縞柄の猫を見つけ、マシュマロをあげました。
未玖は猫にイナリという名前をつけ、首輪もつけ、可愛がっていました。

しかし、ある日からイナリは神社に現れなくなりました。

2週間ほど経った頃、ガードレールの支柱の1つに、
イナリにつけてやった首輪がくくりつけられていて、花が置かれていました。

未玖は毎日学校帰りに1時間ほどガードレールを見張り、
1週間が経った日、1台の軽トラックの運転手が花を置くのを見ました。

運転手に話しかけると、運転手が車でイナリをはねてしまい、
動物病院に連れていったけど内臓がどうにかなってて、
もう助けられないと言われたのだそうです。

遺体は病院で処理してくれることになり、首輪だけ受け取って帰ったのだそうです。

運転手に案内され、未玖が大きな動物病院に行くと、
未玖の心に、ふっと何かが入ってくる気配があり、
関係者以外立入禁止の張り紙があるドアを開けました。

長毛種で、体格は中ぐらいで、ほかの猫とは違う特徴を備えていた猫を見つけましたが、
白衣を着た男性に、この猫のことは誰にも言わないように、と言われました。

場面が変わり、猫のブリーダーをしている仁科という男の視点になります。

仁科は、サファイアという名前の、淡いブルーの雄のペルシャ猫と、
雌のチンチラシルバーの猫を交配させて、ブルーの毛並みの子猫を作らせようとしていましたが、
ずっと失敗していました。

サファイアは多くのブリーダーの手に渡ってきた猫で、17匹目の子猫が生まれると、
それから数日以内にブリーダーが死ぬというジンクスが語られていました。

15匹の子猫を生ませた仁科は、サファイアを動物病院に連れていきました。

18歳の娘が、隣りのペットの美容室から出てきて、サファイアを見て、イナリ、と呟きました。

サファイアはある時期から性格が変わり、人になつかない猫のはずでしたが、娘になつきました。
また、娘がサファイアにマシュマロをあげると、サファイアは平らげてしまいました。

場面が変わり、仁科は「猫の全脳移植技術を確立させた医学博士の安斎に話を聞きにいきました。

サファイアには脳腫瘍があり、安斎のところに運び込まれた時には動けなくなっていました。

そこに車に轢かれて瀕死状態のイナリが運ばれてきて、
イナリの脳はサファイアに移植され、個性が急に変わってしまったのでした。

仁科はサファイアを18歳の娘――未玖にあげました。

未玖はその後、青い子猫を増やすことに成功しました。
ペルシャ猫同士だと遺伝子の関係で青い子は生まれてこないみたいです、
とインターネットの記事で未玖は答えていました。

交配料もかなりの金額をもらい、子猫の数は50匹を超えたのだそうです。


というあらすじなのですが、この話の元ネタは、
耳が折れ曲がっているのが特徴のスコティッシュフォールドかもしれないと思いました。

スコティッシュフォールドは、突然変異で生まれた1匹の猫を起源としています。

しかし、スコティッシュフォールドの折れ耳を生じさせる遺伝子同士の
同型結合をもって生まれた固体には、骨格に特有の障害が生じます。

健康なスコティッシュフォールドを生むためには、真っ直ぐな耳を持った猫が不可欠なのだそうです。

ちなみに、しまうましたは、犬も猫も雑種が1番だと思います。

このスコティッシュフォールドの話からもわかるように、血統にこだわりすぎると、
遺伝病をもった個体が生まれやすくなりますからね。

犬も猫も、雑種の固体は、血統書付きの固体よりも健康で長生きする確率が高いと言われています。

東野圭吾「素敵な日本人 東野圭吾短編集」6話「壊れた時計」のネタバレ解説

主人公の「俺」は2年ぶりに闇の周旋屋であるAから、
2日後の午後5時から7時の間に都内のタワーマンションの一室から、
細長いケースに入った白い彫像を持ち出してくるという仕事の依頼を受けました。

ほかに金目の物があれば奪い、単純な窃盗に見えるようにしておくのが望ましい、
犯行日時をはっきりと特定できる手がかりを残しておくように、
と依頼主よりメールがありました。

指定日の午後5時ちょうどに、
主人公はAから受け取った鍵を使ってマンション入り口のオートロックを解除し、
30階でエレベータを下り、残りの3階分は階段を使い33階に行きました。

合い鍵でドアを開け、彫像か細長いケースを探しますが、見つかりません。

6時に40歳ぐらいの小柄で眼鏡をかけた男が入ってきて、主人公を咎めます。

主人公は男に突進し、2、3発殴り、気絶させようとしましたが、
男の後頭部が大理石のテーブルに激突し、主人公は男を殺してしまいました。

主人公はAに電話し、男が彫像の入った細長いケースを持っていたことを伝えると、
死体はそのままで、おかしな証拠を残さないように注意して、
細長いケースを持ってその部屋を出るように言われました。

余計な小細工はしないほうがいいんだ、わざとらしいのは禁物、とAに言われましたが、
主人公は男の腕時計が6時30分で止まっているのを見つけました。

壊れた時計がAの言うところの「余計な小細工」に見えてしまい、
主人公は死体から時計を奪って約束した公園でケースをAに渡し、
引き換えに1万札の新券がぎっしりと詰まった封筒を受け取りました。

主人公はAに時計のことを話さず、時計屋で時計を修理してもらい、
マンションに戻り、死体に腕時計を装着しました。

4日後、主人公の家に「刑事がやってきて、
白い彫像は麻.薬を石のように固めたものであり、
容疑者全員に完璧なアリバイがあったことを教えました。

殺された男は早朝、ランニング中に転んで時計を壊してしまいましたが、
死体が発見されたときには時計は動いていて、刑事は時計屋を調べました。

時計屋で主人公は新札の1万円札で支払っていて、その指紋から主人公に辿り着いたのでした。

あなた、どうしてあの時計を修理しようと思ったんですか、と刑事は尋ねたのでした。


というあらすじなのですが、主人公は、余計な小細工はしないほうがいいと言われたのに、
余計な小細工をしてしまい、墓穴を掘ったのでした。

せめて、壊れた時計を発見した時点で、
上司であるAに連絡して相談しておけばよかったのに、としまうましたは思いました。
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個人の趣味でやっているブログなので、解説してほしい本のリクエストは受け付けていません。
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