湊かなえ「山猫珈琲」特別収録3『答えは、昼間の月』のネタバレ解説

第35回創作ラジオドラマ大賞の大賞受賞作のネタバレ解説です。

主人公の真波と、その婚約者の晴彦は毎朝、
同じ電車の1両目で待ち合わせていました。

しかし、ある日、真波が電車に乗り、1両目に移動する途中、4両目で、
高校時代の友人の美幸に話しかけられ、そのまましばらく話をしました。

そのとき、電車が脱線事故を起こし、晴彦は大怪我を負いました。
真波は晴彦と一緒に救急車に乗って病院に行きますが、
まだ晴彦と家族ではないということで、ICUには入れてもらえませんでした。
一方、晴彦の母親の綾子は、あっさりとICUに入れてもらえました。

晴彦は一命をとりとめたものの、右足の自由を失いました。

しかし、その後も真波は晴彦と交際を続け、5年遅れで結婚式を挙げました。

真波に骨髄バンクからドナーの依頼が来て、新婚旅行は先送りになりました。

晴彦がいない時に、新居のマンションに、綾子がやってきて、
後遺症が出るといけないからドナーになるのは断れと言いました。

真波は美幸のところへ相談に行きますが、美幸は綾子の気持ちも分かると言いました。
甲状腺の病気がある美幸は、病気持ちの人や年をとった人は、
些細なことでも、すごく重く受け止めてしまうのだと言いました。

真波は綾子の家に行き、晴彦がICUに入っているとき、
扉の横の骨髄バンクのポスターを見て、誰かの命を助ければ、
晴彦の命も助かる、と願かけしたのだと言いました。

綾子も理解してくれ、マンションに帰った真波は、
帰宅した晴彦に今日の出来事を打ち明けました。

回想です。
入院から3ヶ月ほどたったある日、晴彦は病院の屋上で、
青い空に浮かぶ白い月を見ていました。
怪我が治らない晴彦は焦っていましたが、月を見ているうちに、
とりあえず生きてるじゃないか、今はそれだけで充分じゃないか、と思うようになりました。
晴彦は、婚約を取り消そう、と言いましたが、真波は、
事故の日に自分も昼間の月を見たと言い、交際を続けることにしました。
回想終わりです。

骨髄移植の後、2回だけドナーと手紙のやりとりができましたが、
偶然、新婚旅行先でドナーと会っていたことに気づきました。
最後は、真波が妊娠した場面で終わります。

というあらすじなのですが、脱線事故がテーマの話というのは、
テレビドラマの脚本だと予算オーバーしてしまうので書けませんが、
ラジオドラマならできる、ということで、この話を書いたみたいです。

「山猫珈琲」に特別収録されている話は、これで終わりです。

湊かなえ「山猫珈琲」特別収録2『ラスト・エレベーターガール』のネタバレ解説

山猫珈琲 下巻


下巻には、脚本が2編、特別収録されています。

最初の『ラスト・エレベーターガール』は、
第2回Sーi新人脚本賞の佳作を受賞した作品です。

女性が主人公で30分のラブストーリーとか、携帯電話を魅力的に使うとか、
3日以内の話とか、設定は現代の東京で季節は7月から9月頃とか、
細かい縛りがたくさんあります。

主人公の津田桃子は、百貨店でエレベーターガールとして働いていましたが、
エレベーターガールを廃止することになり、布団売場に異動することになりました。

同僚の麻美の勧めで、新しい携帯電話を買うことにし、
仕事帰りに家電ストアに行きました。

そこで、バッテリーが従来の機種より3倍長持ちだというのに惹かれ、
携帯電話を購入しました。

その携帯電話を開発した緑川宏嗣、29歳が、
会社からその携帯電話が売れないと聞いて焦り、家電ストアの様子を見てました。
2時間待って、桃子がその携帯電話を買ってくれたことに感激し、
桃子に声をかけました。

2人は食事をすることにし、トンカツ屋に移動します。
桃子はそこで、緑川に愚痴をこぼしました。

人事の西園寺という男に、食事に誘われメールアドレスを渡されたのですが、
桃子の携帯電話はメール機能がついていなかったため返信できず、
そのことに腹を立てた西園寺に布団売場に飛ばされたのだ、と桃子は言いました。

桃子がエレベーターガールとして最後の仕事をした日、
緑川は桃子に会いにきてくれました。

緑川は布団売場にも会いに来てくれ、2人は付き合うことになりました。

というあらすじなのですが、昔に書かれた脚本なので、結構時代を感じますね。

下巻のエッセイの部分には、子供の頃に読んだ怖い絵本の話、
生まれ育った因島の外の高校に行きたかったのに、
島内の高校に進学させられたこと、
高校で剣道部に入ったこと、
大学でサイクリングのサークルに入り、北海道を一人旅したこと、
大学卒業後、就職したアパレル会社を辞めて、
青年海外協力隊としてトンガ王国に行ったこと、
脚本コンクールで佳作をとったけど、
地方在住だと脚本家としてやっていくのは難しいと言われたこと、
それでも諦めずに脚本と小説の新人賞に応募し続け、
小説推理新人賞を受賞してデビューしたこと、などが書かれています。

ただ、それぞれ違う媒体で発表したエッセイを1冊にまとめたせいか、
同じエピソードが何度も何度も出てきました。

湊かなえ「山猫珈琲」特別収録1『Aokage』のネタバレ解説

山猫珈琲 上巻


湊かなえさん初のエッセイ集「山猫珈琲」の上巻に特別収録されている、
「イマジナリー・ノベル~『Aokage』(ポル.ノグラフィティ)~」
のネタバレ解説です。

ポル.ノグラフィティの『Aokage』という曲を聴いて書かれた話です。
湊かなえさんとポル.ノグラフィティは、
どちらも広島県因島市出身という共通点があります。

主人公の女の子は、気になっている男の子と2人で、
青影トンネルを通って出かける約束をしていました。

鏡を見て、前髪を揃えるだけのつもりだったのに、
飼い犬のサスケの鳴き声が聞こえたせいで、
ザクッと切り過ぎてしまいました。

約束の時間から15分以上経って、サスケの吠える声が聞こえ、
男の子が家の前にやってきたことを知りました。

主人公は青影トンネルまで自転車で通り、
男の子は走って主人公を追いかけます。

その途中、自転車を降りずに坂道を登り切れたら、
主人公は男の子と両想いになれて、
ずっと仲良しでいられる、と願かけしていました。

というあらすじなのですが、爽やかな青春小説といった感じの話です。

これだけだと、ブログの記事としてはあんまりなので、
エッセイの内容についても書きます。

湊かなえさんが生まれ育った因島や、夫や子供と暮らしている淡路島、
食べ物、登山、猫、海外青年協力隊でトンガ王国に行った時の話、
サイン会の話、などなどが書かれています。

特に、「望郷」や「山女日記」や「絶唱」の
元ネタとなったと思しきエピソードが、たくさん書かれていました。

複数の媒体で発表されたエッセイをまとめたせいか、
鯛そうめんが美味しい! という話が重複してたり、
海外で「告白」が出版されました、
という報告が重複していたりしていますが、
できるだけ発表当時の文章に手を加えないようにした結果、
こうなったのだと思います。

小説とは違って、エッセイは実際にあったことしか書けないので、
小説よりも大人しめというか、比較的穏やかなエピソードばかりでした。

湊かなえ「ポイズンドーター・ホーリーマザー」第6話「ホーリーマザー」のネタバレ解説

今回の主人公は、前話にメールの文面だけで登場した、理穂です。

理穂は結婚後、義母の嫁イビりに耐えていました。
また、弓香のことを嫌っており、弓香の母親が自殺した後、義母と協力して、
週刊誌に「弓香の母親は毒親ではない」という内容の記事を投稿します。

それを読んだ弓香は、自分を週刊誌に売った犯人探しをするために、
実家の隣町に帰ってきて理穂と会います。

そんな弓香に、理穂は弓香の母親は毒親ではないと、説教しました。

江川マリアは、母親に強制されて「売り」をやらされ、
その後遺症で子供を産むことができなくなりました。
高校中退後は、理穂の父親の会社で働き始めます。
さらに、マリアの婚約者の職場で、母親からそのことをバラされ、
マリアは自殺してしまいました。

本当の毒親というのは、マリアの母親のような人のことを言うのだと、理穂は主張します。
弓香に対しては、毒娘という言葉を使いました。

が、「その言葉は弓香には届きませんでした。

理穂は苛々しながら帰宅する途中、母親のことを面倒だと思っていても、姑よりはマシだ。
母とか娘とか、バカじゃないのか、と思うところで、この話は終わります。


というあらすじなのですが、「ポイズンドーター」を読んだ限りでは、
弓香の母親は充分毒親だ、と、しまうましたは思います。
「ホーリーマザー」を読んだ後でも、その印象は変わりません。

姑よりはマシだと理穂は主張していますが、それは結局、自分の方が弓香より不幸だ、
と言っているに過ぎません。

というか、理穂の姑より、弓香の母親の方が面倒くさい奴だという印象を受けますし……。

世の中には、自分の母親より姑の方がずっといい人だ、と思う女性もいます。

というか、理穂にムカつきますね。
偉そうにマリアのことで弓香に説教してますけど、
マリアに対して親切にしていたのは理穂の父親であって、理穂ではありません。
しかも、理穂はマリアの葬儀に出席したのに、
マリアの死を同級生に伝えたのは、マリアが亡くなってから半年も経ってからなんですよね。

あと、理穂が毒親ではないと主張している弓香の母親は、
弓香がマリアと仲良くしていると知ったら、マリアとは仲良くするな、
と弓香を叱っています。

理穂は、弓香のことを嫌っているくせに、あの女優の弓香の友達なんだと周囲に自慢したり、
同窓会に参加してほしいとしつこく頼んだりしていますし、
理穂だって決して善人ではありません。

弓香が善人だとも思わないけど、理穂には上から目線で弓香に説教できる資格はないだろ、
と、しまうましたは思います。

湊かなえ「ポイズンドーター・ホーリーマザー」第5話「ポイズンドーター」のネタバレ解説

主人公の藤吉弓香は、子供の頃から母親の過干渉のせいで頭痛に悩まされていました。

弓香の母親は、弓香の友達や、読みたい本や、なりたい職業をすべて決め、
少しでも弓香が逆らうと激しく怒りました。

弓香が学校に行っている間に、母親は勝手に弓香の机を漁り、
漫画やライトノベルを読んでいると知れば、父が遺した日本文学全集や世界文学全集を読めと言いました。

弓香が小学校の卒業文集の将来の夢にパン屋と書いたら、
母親はお父さんみたいな国語教師になれと喚きました。

弓香が中学で江川マリアという母子家庭の子と仲良くなると、
その子の母親が汚らわしい仕事をしているから、江川マリアとは仲良くするな、
と母親は厳しく言いました。

高校2年生になり彼氏ができると、家に帰った瞬間に平手打ちが飛んできました。
女友達同士のお泊まり会も、買い物も、アルバイトも駄目だと言います。

東京の共学の大学に行くのにも反対され、女子大しか受験させてもらえませんでした。

国語教師になるために教育実習を受けさせられますが、弓香は自分が教師に向いていないと痛感しました。

小説家になりたい、教師にはなりたくないと言うと、母親は猛反対しました。
採用試験に落ちると、今度は市役所の観光課の臨時職員の仕事をさせられます。

しかし、弓香はそこで女優としてスカウトされます。
親友の野上理穂が彼女の母親が決めた婚約者と結婚するのが嫌で駆け落ちしたのに後押しされ、
弓香は母親の猛反対を押し切って女優になりました。

ところが、母親はその後も、弓香が水着でグラビア雑誌に出たり、
キスシーンを演じただけで半狂乱になって電話してきます。
同窓会の幹事をやっている理穂に圧力をかけて、同窓会に参加するために帰ってこさせようとしました。

そんなとき、理穂のメールから、弓香は江川マリアが自殺したことを知ります。

弓香はそんな母親に嫌気がさし、33歳になったある日、
自分の母親は「毒親」であるとテレビ番組で告発し、
さらに「支配される娘」という本を出版しました。

最後は、「弓香の母親が自動車の前に飛び出し、亡くなったことを知らせる」理穂のメールで終わります。
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