星新一「逃走の道」のネタバレ解説

2人の男が駅の商店街の貴金属店に忍びこみ、駅の構内の物かげに隠れていました。

遠くで、もう1回、なおよく調べてみよう、と声が聞こえ、
警官や駅員たちが、構内をしらみつぶしにさがしはじめたのかもしれない、
と2人の男は考え、列車のなかに駆けこんでトイレに隠れました。

電車は発車し、2人はトイレから出て車室の最後部の座席に、
並んで腰をおろしました。

しばらくして、静かすぎると年配の男が言いました。

まばらな乗客のだれもが話し声ひとつたてず、身動きもしていませんでした。

2人の男は、幽霊列車かもしれないと怯えます。
幽霊列車というのは、死んだ人ばかりが乗っている、存在しない列車のことです。

若いほうの男がほかの乗客を調べると、「どれもこれも人形でした。

列車は速力を上げます。

最前部の車両まで歩いても、運転士もいなくて、
中央の指令所からの遠隔操縦で動いているようでした。

場面が変わり、技師たちが関係者に説明している場面になります。

超特急を最高速度で走らせ、それを急停車させ、
どれくらいの被害がおこるかの試練で、
人間のかわりに人形を乗せてあるということを言っていました。


というあらすじなのですが、現在だと「CMなどでダミー人形の存在を一般人でも知っているので、
乗客がみんな人形だと判明した時点でオチが読めてしまいますね。

最初に、なおよく調べてみようと言っていたのは、
テスト用の列車に間違って乗った人がいないか調べていたのでしょう。

列車が急停車する場面はカットされていますが、普通に考えて、
最高速度で走っている超特急が急停車したら、
なかに乗っている乗客はほとんど死んでしまいますよね。

2人の男も死んでしまったか、大けがを負ったのだと思います。

星新一「昇進」のネタバレ解説

主人公の、平凡きわまる青年は、いつもの小さなバーで、
平凡な人生で面白くないということを中年の男の客に話します。

それを聞いた男はSPR会社の社員だと名乗りました。
Sはシークレットの略なのだそうです。

PRはおそらくパブリック・リレーションズ(広告活動)の略でしょう。
自己PRとかPR活動というふうに使う、あのPRです。

青年が会社で、残業か宿直をしているときに、男が強盗に入り、
青年が男を追い払うことで、ボーナスとともに昇進するという計画を持ちかけます。

その際に出る特別ボーナスを全部、こちらにお渡し下さい、と男は言いました。

青年はお願いし、数日後、バーで会った男が青年の会社に強盗に入ります。

男は小型のドリルで金庫を開け、青年は打ち合わせ通りに抵抗して強盗を追い払います。

男が逃げ、芝居は終了し、闇の中を遠ざかっていくと、
青年はふたたび部屋に戻り、「いくつもの札束を目にして、平凡な結論に達しました。

青年は札束のいくつかを出し、古い書類の間に隠しました。

つぎの朝、青年は社長室に入り、辞令の用紙を受け取りましたが、
そこには退職を命ずるという文字がありました。

金庫のなかの金額があわないのだ、
あの強盗が金を盗むはずがない、あれは信用のある、SPR会社の者だ、
と社長は言いました。

平凡で、これといった特色がない会社で、社長は将来を心配し、
SPR会社に相談をして、社員の昇進についての試験をうけおっていたのでした。

あの八百長は青年を試すためのテストで、青年は落第したのでした。

それにしても、同じ持ち出すなら、なぜ全部持ち出さなかった、
それだけの度胸があれば、べつの意味で合格になったのに、
あれっぽっちとは、あまりにも平凡すぎる……、と社長は言ったのでした。


というあらすじなのですが、結果的に「青年の人生は平凡なものではなくなったので、
青年も満足なのではないでしょうか(皮肉です)。

青年を試していたことについては、ブラック企業っぽいと思いますが、
青年のほうも会社を試そうとしていたので、お互い様ですね。

東野圭吾「素敵な日本人 東野圭吾短編集」9話「水晶の数珠」のネタバレ解説

主人公の度会(わたらい)直樹は、地元の国立大学を卒業後、
父の真一郎が会長を務める地元の電子部品製造会社に就職しましたが、
役者になりたいという夢を叶えるため、会社を辞めました。

真一郎と喧嘩になり、直樹は家を出て、渡米し、
鉄板焼きレストランでアルバイトをしながら演技の勉強をしました。

7年間インディーズの作品やCMなどに出ているうちに、
端役ばかりではありますが大手の制作会社からも声がかかるようになりました。

今回、全世界に配給される予定の大作映画が作られることになり、
物語のキーパーソンの日本人役のオーディションを受けるつもりでした。

直樹の姉の貴美子から電話があり、来週の14日、
真一郎の誕生日に帰ってこられないか聞かれました。

これまで直樹には知らされていませんでしたが真一郎は末期癌でした。

直樹は帰国し、誕生日パーティの翌日の早い便で日本を発ち、
オーディションを受けることにしました。

しかし成田空港から東京駅に行った時に真一郎から電話がかかってきて、
直樹の夢を大法螺(おおぼら)だと言ったり舌打ちしたり、
おまえみたいな者が受かるわけがないと言ったりして、直樹を怒らせました。

直樹はすぐにアメリカに戻り、オーディションを受け、
最終候補の手前で落とされてしまいました。

3週間後、真一郎が亡くなり、直樹は帰国しました。

直樹の母の聡代や貴美子は、どうしてお父さん、直樹が帰ってくることを知っていたのかしら、
どうやって直樹の電話番号を知ったのかな、と不思議がっていました。

通夜は盛大に行われ、親戚たちは、渡会家の跡継ぎは、前当主が死んでから本領を発揮する、
という話や、水晶の数珠を受け継ぐことなどを話しました。

真一郎は老衰やがんで死ぬのはいいが、事故などで突然死ぬのはこわがっていた、
ということなども話していました。

午前零時を過ぎると、聡代は直樹に、真一郎からの遺言状を渡しました。

遺言状には、「水晶の数珠を両手で握り、ある呪文を唱えれば、1日だけ過去に戻れる、
ということが書かれていました。
戻れるのは一度だけで、真一郎の父やその先祖もこの力を使って財を成したのだそうです。

真一郎も、人生で最も大切だと思った時に使いましたが、その詳しい内容は伏せられていました。

真一郎が死に方にこだわっていたのは、数珠の力を使うためだったのでした。

葬儀の翌朝、駅に着くと、スーツの男性と駅員が口論をしていました。

先月の墜落騒ぎについて話していて、スマートフォンで調べると、
先月の15日、真一郎の誕生日パーティが行われた翌日、
民間の小型飛行機が新幹線の線路上に落下したという記事が見つかりました。

あの時東京駅から引き返していなければ、直樹は新幹線に乗れず、
アメリカ行きの飛行機に乗れず、オーディションを受けることもできなかったのでした。

オーディションを受けられず悲嘆にくれる息子のため、真一郎は、
水晶の数珠を使って1日だけ過去に戻り、憎まれ口を叩いてわざと直樹を怒らせ、
アメリカに引き返させたのでした。

直樹は夢を諦めかけていましたが、父の遺志を無駄にするわけにはいかないと、
成功するまで日本に帰らないと決意したのでした。


というあらすじなのですが、いい話ですね。

短編集のラストにふさわしい話でした。

ただ、憎まれ口を叩いて直樹をアメリカに帰らせた後、「フォローの電話をしておけば、
直樹もオーディションで最高のパフォーマンスをできたんじゃないか、
オーディションに落ちた直後に、直樹に日本に戻ってきてもらえば、死に目に会えたんじゃないか、
と思いましたが、それができないからこそ、7年も絶縁状態だったのでしょうね。

東野圭吾「素敵な日本人 東野圭吾短編集」8話「クリスマスミステリ」のネタバレ解説

クリスマス・イブに、俳優の黒須(くろす)は15歳ほど年上の女性の脚本家、
樅木(もみき)弥生の家に行きました。

弥生が今日買ったばかりのツリーを黒須に見せ、指を絡ませて、
2人の手をツリーの横に置きました。

クリスマス・ツリーに十字架を飾るのはタブーなんですって、と弥生は言いました。

黒須は弥生が飲むワインに白い粉を入れ、乾杯しました。

弥生がテーブルに突っ伏すと、クロスは自分が使ったグラスを洗い、
ハンカチで、テーブルやソファ、クリスマス・ツリーを飾ってある出窓など、
自分が触れたと思われるところを拭き、部屋を後にしました。

黒須は午後7時過ぎに劇団の稽古場に戻り、窓から入りました。
ノートパソコンが、アリバイ工作のために吹き込んでいた音声を発していて、
それを消すとドアを開け、
劇団の事務員であり黒須のマネージャーでもある鹿野久美子に話しかけました。

回想です。

7年前、売れない役者だった黒須は、弥生のドラマに出演し、
弥生と男女の関係になり、弥生の顔で、業界で売れっ子になりました。

弥生は黒須に執着し、若い子と付き合ったらこの世界では生きていけないと脅しました。

しかし黒須は映画で共演した女優と恋仲になってしまい、弥生を殺そうとして、
弥生がドイツを旅行した時、地方の民家で手に入れたという毒薬を、
戸棚から出して弥生のワインに入れたのでした。

回想終わりです。

午後8時から六本木のパーティーに出ましたが、そこに弥生がやっていて、
私、ソファで眠っちゃったみたいね、全然記憶がないんだけど、と言われました。

あれは毒ではなかったのだ、と黒須は思いました。

パーティーの後、黒須は弥生の家に呼び出され、庭に行くと、
弥生のほうから別れ話を切り出し、2人は別れました。

翌日、弥生の「遺体が自宅で見つかりました。

2日後、黒須のところへ2人の刑事がやってきて、ボトルに毒が入っていたことや、
クリスマス・ツリーが置かれている出窓の表面から黒須の指紋が見つかったことを話しました。

黒須がワインに毒を仕込む際、弥生はツリーを移動させ、黒須の指紋を隠し、
その横に自分の指紋を付けておき、黒須に黒須の指紋と錯覚させたのでした。

留守中に白い粉が減っていることに気づいた弥生は、黒須の殺意を見抜き、
自ら命を絶ち、黒須に殺人の罪をなすりつけようとしたのでした。

言い逃れできなくなった黒須は、
ツリーに十字架を飾るのはタブーって聞いたんですけど、本当ですかね、と刑事に言いました。

クリスマスはキリストの誕生を祝うという意味があるので、
死を連想させる十字架はふさわしくないという説があります、と若い刑事が言い、
クリスマスに死はタブーよ、と弥生はいいたかったのだろう、と黒須は考えたのでした。


というあらすじなのですが、すごく回りくどい話でしたね。

ただ、弥生は完全に黒須を操っていたので、黒須が受けたダメージは大きく、
弥生の目的は果たされたと思います。

でも、「何も死ななくてもよかったんじゃないかと思いますけどね……。

東野圭吾「素敵な日本人 東野圭吾短編集」7話「サファイアの奇跡」のネタバレ解説

小学5年生の未玖(みく)は神社で薄茶色の縞柄の猫を見つけ、マシュマロをあげました。
未玖は猫にイナリという名前をつけ、首輪もつけ、可愛がっていました。

しかし、ある日からイナリは神社に現れなくなりました。

2週間ほど経った頃、ガードレールの支柱の1つに、
イナリにつけてやった首輪がくくりつけられていて、花が置かれていました。

未玖は毎日学校帰りに1時間ほどガードレールを見張り、
1週間が経った日、1台の軽トラックの運転手が花を置くのを見ました。

運転手に話しかけると、運転手が車でイナリをはねてしまい、
動物病院に連れていったけど内臓がどうにかなってて、
もう助けられないと言われたのだそうです。

遺体は病院で処理してくれることになり、首輪だけ受け取って帰ったのだそうです。

運転手に案内され、未玖が大きな動物病院に行くと、
未玖の心に、ふっと何かが入ってくる気配があり、
関係者以外立入禁止の張り紙があるドアを開けました。

長毛種で、体格は中ぐらいで、ほかの猫とは違う特徴を備えていた猫を見つけましたが、
白衣を着た男性に、この猫のことは誰にも言わないように、と言われました。

場面が変わり、猫のブリーダーをしている仁科という男の視点になります。

仁科は、サファイアという名前の、淡いブルーの雄のペルシャ猫と、
雌のチンチラシルバーの猫を交配させて、ブルーの毛並みの子猫を作らせようとしていましたが、
ずっと失敗していました。

サファイアは多くのブリーダーの手に渡ってきた猫で、17匹目の子猫が生まれると、
それから数日以内にブリーダーが死ぬというジンクスが語られていました。

15匹の子猫を生ませた仁科は、サファイアを動物病院に連れていきました。

18歳の娘が、隣りのペットの美容室から出てきて、サファイアを見て、イナリ、と呟きました。

サファイアはある時期から性格が変わり、人になつかない猫のはずでしたが、娘になつきました。
また、娘がサファイアにマシュマロをあげると、サファイアは平らげてしまいました。

場面が変わり、仁科は「猫の全脳移植技術を確立させた医学博士の安斎に話を聞きにいきました。

サファイアには脳腫瘍があり、安斎のところに運び込まれた時には動けなくなっていました。

そこに車に轢かれて瀕死状態のイナリが運ばれてきて、
イナリの脳はサファイアに移植され、個性が急に変わってしまったのでした。

仁科はサファイアを18歳の娘――未玖にあげました。

未玖はその後、青い子猫を増やすことに成功しました。
ペルシャ猫同士だと遺伝子の関係で青い子は生まれてこないみたいです、
とインターネットの記事で未玖は答えていました。

交配料もかなりの金額をもらい、子猫の数は50匹を超えたのだそうです。


というあらすじなのですが、この話の元ネタは、
耳が折れ曲がっているのが特徴のスコティッシュフォールドかもしれないと思いました。

スコティッシュフォールドは、突然変異で生まれた1匹の猫を起源としています。

しかし、スコティッシュフォールドの折れ耳を生じさせる遺伝子同士の
同型結合をもって生まれた固体には、骨格に特有の障害が生じます。

健康なスコティッシュフォールドを生むためには、真っ直ぐな耳を持った猫が不可欠なのだそうです。

ちなみに、しまうましたは、犬も猫も雑種が1番だと思います。

このスコティッシュフォールドの話からもわかるように、血統にこだわりすぎると、
遺伝病をもった個体が生まれやすくなりますからね。

犬も猫も、雑種の固体は、血統書付きの固体よりも健康で長生きする確率が高いと言われています。
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個人の趣味でやっているブログなので、解説してほしい本のリクエストは受け付けていません。
ネタバレ部分は白字にしてあるので反転してお読みください。
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