星新一「囚人」のネタバレ解説

刑務所の屋上で、ひとりの囚人と看守が話をしていました。

この刑務所では、独房の錠が内側にとりつけてあり、
その鍵を囚人が持っていました。

囚人を渡せ、囚人を渡せ、と塀の外で群衆が叫びます。

群衆のうち2人が警告を無視して塀を乗り越えてきて、
看守に撃ち殺されました。

どうしてこんなことになったのか、と回想があります。

予想を上回る速度の人口の増加により、
全世界で食料が不足していました。

囚人となる前の彼は、電波研究所で、
各種の溶液にいろいろの波長の電波を照射して、
食料を作る研究をしていた技師でした。

ある日、事故が起き、強力な電流は彼のからだに照射されました。

それ以来、彼のからだは皮膚が緑がかったものに変化し、
また食欲がなくなっていました。
鉱物質の溶けた水を飲むことと、日光に当るだけで、
体力の維持される体質に変っていたのでした。

要するに、光合成ができるからだになったのですね。

しかし、「この現象を再現することはできず、
彼を徹底的に解剖し、ばらばらにして調べない限り、
どこに問題があるかの発見はできません、
と生理学、医学の関係者はマスコミに報告しました。

その寸前に、彼は警官隊にまもられ、この刑務所に収容されました。

看守たちが変な気を起こさないように、
看守には充分すぎる食料が送られてきていました。

囚人は自殺することもできず、看守は囚人を殺すこともなく、
いつもと変らぬ1日が終りました。


というあらすじなのですが、他の大勢の人達の命を救うために、
罪のない1人の人間を殺すことは許されるのか、
という倫理的な問題、矛盾をはらんだ話ですね。

しまうましたには、その答えを出すことはできません。

西尾維新「人類最強のときめき」5話「哀川潤の失敗 Miss/ion5.不敗のギャンブラーと失敗の請負人」のネタバレ解説

ギャンブルという場において、
流れを読むことができる『彼』こと『コントローラー』について、
佐々沙咲は哀川に言いました。

日本人である『コントローラー』は、
海外のカジノで悪名高い人物で、勝って勝って勝ち続けて、
あっちこっちのカジノに壊滅的なダメージを与え、
出入り禁止になってしまい、日本に帰国しました。

日本にも競馬とか競輪とか競艇とか、宝くじとかがあります。
国は『コントローラー』が、その国家公認の賭.場を荒らしに来るんじゃないか、
と恐れていました。

『コントローラー』はあくまでも一般人であり個人なので、
違法.賭.博には、一切手を出しません。

ギャンブルに流れってあると思いますか?
と佐々は質問しましたが、「ない」と哀川は答え、
その日の夕方には哀川は『コントローラー』と勝負することになりました。

『コントローラー』が哀川に勝てば、『コントローラー』は晴れて自由の身となり、
監視もつかず、自由に賭けることができます。
ただし、哀川が勝ったら、『コントローラー』は生涯ギャンブルはしません。

種目はシンプルに、コインを投げて、表か裏かを賭けます。
それをひたすら繰り返します。

結果、「哀川は負けました。
しかし、『コントローラー』は今後一生、
日本国内においてはギャンブルはしないという、
法的拘束力を持った書類にサインをしました。

回数を重ねれば重ねるほど、正答率が上がった『コントローラー』に対し、
哀川はごく常識的な勝率でしかコインの裏表を当てなかったので、
互いの勝率は広がる一方でしたが、
哀川は一週間ずっと、『コントローラー』の体力が尽きて、
ぶっ倒れてしまうまで、コインを投げ続けたのでした。


というあらすじなのですが、相変わらず力技の解決ですね。

でも、この方法は思いつかなかったです。

西尾維新「人類最強のときめき」4話「哀川潤の失敗 Miss/ion4. デジタル探偵との知恵比べ」のネタバレ解説

佐々沙咲は上司に頼まれ、
不本意ながら親友の哀川潤のところに仕事の依頼を持ってきました。

探偵ソフトがインストールされた、専門職の強いスーパーコンピューター、
デジタル探偵の「探偵名人」というソフトが開発されたのだそうです。

開発所としては「探偵能力において、本マシンは哀川潤を凌駕しました」
という箔が欲しいらしく、哀川にデジタル探偵と勝負して欲しい、
と佐々は自己嫌悪に陥りながら頼みました。

断ってくれて構いませんよ、と佐々は言いましたが、哀川は乗り気になり、
探偵ではなく犯人としてデジタル探偵に挑むことになりました。

場面が変わり、デジタル探偵を開発した缶堂開発所、
第一開発部主任、缶堂妙香(かんどう・たえか)は慇懃無礼に、
哀川とその付き添いの佐々に頭を下げました。

まずは勝負の条件です。

赤神財閥の関係者に貸してもらった屋敷で、
24時間以内に哀川が殺人事件を起こします。
そしてその後の24時間以内にデジタル探偵が事件を解決できたら、
デジタル探偵側の勝ち、できなければ哀川の勝ちです。

この屋敷には実際には誰も住んでいませんが、
京都府警の人間が何人か、住人役として、
「設定上」住んでいるふりをしていました
屋敷の主人、その夫人、長男、次男、長女、メイド、執事、
料理人、屋敷の主人の父、以上の9人が屋敷の中に「住んで」いて、
哀川は屋敷を訪ねてきた『主人の友人』という設定です。

もちろん実験なので、哀川は本当に殺人事件を起こすわけではなく、
屋敷内の誰かを設定上「殺す」だけです。

大掛かりなお芝居というかロールプレイング・ゲームみたいなものですね。

午前9時ちょうどからゲーム開始です。

デジタル探偵がインストールされているのは
開発所にあるスーパーコンピューターですが、
缶堂はデジタル探偵と通信しているノートパソコンを持っていました。
そのためにわざわざ、中継車まで用意していました。

9時ちょうどに、屋敷の裏手で爆発が起こり、
電気ケーブルと予備電源用の地下の自家発電機が爆破されました。
しかも同時刻、山道も爆破して土砂崩れを起こしておいたので、
ふもとまでバッテリーを取りに行くこともできず、
缶堂のノートパソコンは今あるバッテリーに頼るしかなくなりました。

バッテリーは48時間くらいは持ちますし、
爆破も延焼しない仕掛けがあったので、これは宣戦布告のようなものでしたが、
意外な行為でした。

その後、哀川は23時間何もせずに部屋で眠り続け、
デジタル探偵ではなく、データを入力する缶堂を焦らしてミスを誘いました。

哀川は最初に会った『長女』を殺し、その『血液』で、
リビングいっぱいに血文字を書きました。

スタッフと総がかりでデータを集めている缶堂に、
1時間後には『長男』を殺すと宣言しました。
その1時間後には『主人』を殺して、
8時間後には、この屋敷の人間を皆殺しにしてしまっているという、
犯罪予告でした。

『殺人事件を解決したデジタル探偵』と、
『第二の事件を未然に防げなかったものの、殺人事件を解決したデジタル探偵』では、
実験結果をレポートにしたときに、与える印象は違いますよねw

缶堂は感情的になってしまい、デジタル探偵が
『この事件の犯人は哀川潤だ』と看破するまでには、18時間を要しました。
屋敷の住人は全滅したのでした。

哀川はわざと、派手な殺人事件を起こし、
デジタル探偵に入力するデータ量をあえて増量することで、
時間を稼いだのでした。

そして缶堂は、第一の事件現場に残されていた血文字の意味を解説しようとしましたが、
哀川は「ノートパソコンを蹴り上げ、天井のシャンデリアにぶつけて破壊しました。

犯罪捜査に臨むのならば、『強い』ことが絶対条件だ、と哀川は言いました。

こうして完全犯罪は成立しました。

もし哀川がこの事件の探偵だったら、ゲームが始まった時点で、
ゲームのルール上『犯人』だと分かっている『犯人』をぶっ飛ばしていました。
反則をしてでも人死にを出さない、というのが哀川の考える名探偵の資格でした。


というあらすじなのですが、哀川潤らしく滅茶苦茶で面白かったです。

残念ながら今回、デジタル探偵にはいいところがありませんでしたが、
警察の補助ツールとして使うのなら、
デジタル探偵は現実で導入されてもいいんじゃないか、としまうましたは思います。

迷宮入りしてしまった事件の再捜査なんかにはもってこいでしょう。

西尾維新「人類最強のときめき」3話「哀川潤の失敗 Miss/ion3. 死ぬほど幸せ」のネタバレ解説

今回は地の文がなく、会話だけで話が進んでいく形式です。

刑事の佐々沙咲が、先日、とある総合商社で起こった飛び降り自殺について、
親友の哀川潤に相談に来ました。

自殺者の名前は繰島箏子(くるしま・そうこ)という28歳の女性でしたが、
飛び下りたのが4階だったので生存はしていたものの意識不明の重体でした。

繰島箏子は昼休みに会社の自分の席で持参のお弁当を食べ終わり、
包み直して、立ち上がり、不意に窓のほうに歩いていって、
閉まっていた窓を全開にして、ひょいっと飛び降りたのだそうです。

フロアには50人くらいの人間がいて、
そのうち15人くらいがそう証言していました。

哀川は佐々に頼み、繰島箏子の同僚を照会してもらい、話をしました。

同僚によると、繰島箏子が長く根回しをしていた仕事がようやく実を結び、
会社が期待していた以上の大成功を収めていたのだそうです。
さらに、5年間付き合った、同期の社員と、
この6月に結婚披露宴を執り行う予定になっていました。

飛び降りるその瞬間でさえ、繰島箏子は幸せそうに微笑んでいたのだそうです。

飛び降りる直前、昼ごはんを食べている最中には、
隣の席の子と昨日の夜放映されたドラマの内容について、談笑していました。

場面が変わり、哀川は佐々に、繰島箏子の死因は「幸せだと言いました。

(……死因って言っても、未遂なので死んでないのですが、
原文に死因と書いてあるのだから仕方ありません。)

繰島箏子は窓から飛び降りたとき、幸せの絶頂にいました。

実行には移さなくても、幸せの絶頂に入るとき、
ここで死ねば、自分の人生はパーフェクトだ、
と思う人は結構いるでしょう。

繰島箏子は『人生の辞め時はいまだ。最高に幸せな今だ』と突然思い、
『その瞬間』をやり過ごせず、自殺未遂をしてしまったのでした。

佐々は哀川に、あなたは自殺を考えたことがはあるんですか?
と訊きましたが、哀川は『ねえな』と答えました。


というあらすじなのですが、正直に言って、繰島箏子の自殺未遂の真相は、
何じゃそりゃ、という感じですね。

この話は哀川潤シリーズでやる必要なかったよな、と思いました。

忘却探偵シリーズでやった方がいいです。

でも、実はこの話は、2010年に「メフィスト」で発表されたもので、
当時はまだ忘却探偵シリーズは始まっていなかったのです。

西尾維新「人類最強のときめき」2話「人類最強のよろめき」のネタバレ解説

ER3システムのニューヨーク支局支局長の因原(いんぱら)ガゼルと、
四神一鏡の一角である檻神家のエリート職員の長瀞とろみが、
哀川に仕事の依頼をしに来ました。

活字を滅ぼしてください、とふたりは言いました。

ER3システムの女性若手研究員、ドクター・コーヒーテーブルが、
人類を滅ぼしうる、たった1冊の本をプログラムに書かせました。

その本は、面白過ぎて、寝食を忘れて読みふけってしまうような傑作でした。

比喩ではなく、寝食を忘れて読みふけってしまうので、
衰弱して死んでしまいます。

既に数百人単位で死者が出ていました。

その小説は、一人一人の好みに合わせて、自動生成される小説です。

アプリの形で配布される電子書籍にイメージが近いです。

スマートフォンのカメラで定点撮影することによって、
生成プログラムは画面に表示された文章を読む読者の、
リアルタイムな反応を観察し、
次のページを即座に『執筆』することができます。

小説家プログラムの正式名称は『ライト・ライター』で、
生成される該当の小説は『パブリック・ブック』という名前です。

『ライト・ライター』は、古今東西の、
あらゆる『小説』を電子化し、所蔵していて、
統計学に基づいて小説を書くシステムです。

ドクター・コーヒーテーブルは、
『ライト・ライター』を一般社会へ無料配布しようとしていました。

そんなことになったら人類は本当に滅亡してしまいます。

ガゼルの権限で、一般社会へのぱっひょうをストップをかけようとしましたが、
それを察したドクター・コーヒーテーブルは、籠城してしまいました。

ER3システムでは個々の研究者の領分を侵すことはタブ.ーなので、
非公式ながら、哀川に頼るしかなくなったのでした。

そのプログラムは、文章の解析よりも、表情の解析のほうが、
ずっと手がかかります。

ドクター・コーヒーテーブルは、哀川潤の妹とも言うべきロボット、
由比ヶ浜(ゆいがはま)ぷに子のOSとして採用されていたプログラムを、
『ライト・ライター』の読心術に転用していました。
だから哀川に仕事の依頼がきたのでした。

哀川はアメリカのテキサス州の砂漠へ飛び、
そこに隠されているはずのドクター・コーヒーテーブルのラボラトリーを捜します。

しかし、砂漠に大穴が開いていたため、ラボラトリーはすぐに見つかりました。

地下におりていくと、
国会図書館レベルの蔵書量の紙の書籍が詰まった本棚がありました。

最下層では、髪が半分以上、白髪化し、
衰弱したドクター・コーヒーテーブルが待っていました。

ドクター・コーヒーテーブルは、仲間の研究者から、
哀川が来訪することを知らされ、
バッテリー残量がぎりぎりのデジタルデバイスで、
わざと『パブリック・ブック』を読み、衰弱していたのでした。

わざと衰弱することで、哀川が暴力的に解決するのを防いだのです。

ドクター・コーヒーテーブルは哀川に1冊の紙の書籍を渡します。

実はそれも『パブリック・ブック』で、白紙に文字が浮かび上がりました。

ページをめくる指から、バイたるチェックをおこない、
真っ黒な微生物によって文字が書かれました。

このままだと哀川も死ぬまで本を読み続けることになってしまいましたが、
そこで哀川は、「熱中のあまり、読んでる途中に力尽きて死んじゃうんじゃ、
誰もこの本を読了できないとしか言えないんじゃね?
と言いました。

完結していなければ、小説じゃありません。
『パブリック・ブック』は永遠に終わらない未完の大作なのでした。

すると、そんなことは全く考えていなかったドクター・コーヒーテーブルは、
無言で籠城をやめ、ラボラトリーを出ていきました。

哀川は心ばかりの供養だと思い、製本版『パブリック・ブック』を、
図書室の書棚へと差し込みました。


というあらすじなのですが、しまうましたは、
最初の長瀞とろみと因原ガゼルの概要説明があった時点で、
読んでいる途中で死ぬのなら誰も最後まで読めないんじゃね?
と気付いていました……。

というか、別に読んだ人を殺すのが目的じゃないんなら、
読み始めてから丸1日くらいが経過した頃に完結するように、
調整すればいいだけだと思うのですが。

最初は究極の小説を求めて研究を始めたのに、
途中で目的が読者を殺すことに変わってしまったのかもしれませんね。
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