星新一「ねらった弱味」のネタバレ解説

主人公の「おれ」は、心に弱味を持つ人間を見わける鋭い能力にめぐまれていました。

学校の先生をしていた時は、学生のカンニングを発見するのが名人でしたが、
口止め料をとっていたことが問題にされ、職を失ってしまいました。

それ以来、主人公は悪の道にはげむようになり、
心に弱味人物を見つけて活用していました。

その日、バーで、いらいらし、落ち着きがなく、絶えずなにかにおびえている青年を見つけ、
主人公は青年に声をかけて、自首を勧めました。

見のがして下さい、と言った青年に、考えておこう、と主人公は言い、
明晩、またここで会う約束をしました。

主人公は青年のあとをつけ、青年の自宅と会社を知りました。

約束のバーにやってきた青年に、
きみの会社に強盗に入るつもりだ、その手引きをしてもらいたい、
と主人公は言いました。

数日後、まとまった金が会社にある日時を知らされ、
同僚を青年が制止し、八百長と思われないように主人公が青年をひっぱたくことになりました。

その日、主人公は予定通りに金庫をあけて、青年を思いきりひっぱたきました。

2日後、主人公が青年に分け前を渡すべくバーに行くと、
警官があらわれ、主人公は逮捕されてしまいました。

青年が覚えた人相をたよりに、街をさがし歩き、警察に連絡したと主張していることを、
警官は言いました。

主人公の奪った金が、会社の申告した被害金額よりずっと少ないことがわかりました。

青年は会社の金を使い込み、それを主人公に押しつけてしまったのでした。


というあらすじなのですが、青年がどのような弱味を持っているのか
調べておかなかったのは主人公の手抜かりでしたね。

せっかく才能があるのだから、
万引きGメンとか税務署の職員になって才能を生かせばよかったのに、
と思いましたが、そもそも真面目に働くのが嫌いなのでしょうね……。

星新一「海のハープ」のネタバレ解説

20歳の亜紀子は恋人と口論をしてしまい、
気ばらしのために海岸へとやってきて、小さな楽器のハープを拾いました。

ハープをかなでると、あたりではしゃぎまわっていた男の子たちがやってきて、
亜紀子に愛の言葉をささやきはじめました。

これは海の妖精のハープで、男を引きつける音色を出すようでした。

ハープをひくのをやめれば、近よってきた男はまもなく離れていきました。

亜紀子はハープを使ううちに、すてきな男性のそばに寄り、
その人の耳にだけ入るぐらいの大きさでかなでれば、
その男性はたちまち亜紀子に熱を上げて、さまざまなものをささげてくれました。

夢のような毎日でしたが、ある日、亜紀子は恋人のことを思い出して、
ハープを鳴らしながら電話しました。

彼も急いでかけつけて愛をささやいてくれましたが、
男たちは亜紀子に対してではなく、ハープの音に対して愛をささやいていると思い、
むなしさを感じてハープを鳴らすのをやめました。

それでも彼は帰らずにそこにいて、亜紀子を愛していると言ってくれました。

亜紀子は海岸へ行き、ハープを海に投げこみ、
あんなもの、ないほうがいいのよ、もとの持ち主にかえしてあげたのよ、と言いました。


というあらすじなのですが、このハープは何かに似てると思って考えたら、
お金に似てました……。

キャ〇クラとかホス〇クラブで、
羽振りよくお金を使っている間はチヤホヤしてくれるけど、
お金がなくなると追い出されるのに似てると思いました。

しまうましたはキャ〇クラにもホス〇クラブにも行ったことがないので、
完全に想像で物を言っていますが。

そういうところに通っている人達にも、
亜紀子のように、お金で愛を買うのはむなしいことに気づいてほしいと思いましたが、
その人達はわかっていて通っているのでしょうから、余計なお世話でしょうね……。

ひとまず、亜紀子と恋人には末永く幸せになってほしいです。

星新一「女神」のネタバレ解説

道子は個性的で、悪くない容姿でしたが、スターやモデルの、
いいところばかりをよせ集めた美人になりたいと思っていました。

道子は美しいフランス人形を持っていましたが、
あこがれて頭を撫でてやったり、
嫉妬心のはけ口として強く叩いたりしていました。

ある夜、道子は女神が人形にむかって話しかけている声で目をさましました。

女神は、時どきいじめられているフランス人形をなぐさめに来ていたのでした。

あたし、美しくなりたいの、と道子が熱心に女神に頼むと、
かなえてあげるわ、と女神は言いました。

翌朝、道子はデパートの中で目をさましました。

道子は美しいマネキン人形になっていて、からだを動かすことができませんでした。

女の人も、男の人も、うっとりとした目つきで道子を眺めましたが、
店員たちは、このマネキン人形は美人すぎてまわりとの調和を乱していて、
商品のほうを見てくれない、捨てようという話をしていました。

道子は、人間であることを伝えようとしましたが、誰にも通じませんでした。

閉店となり、どこからともなく女神が現れると、
早くもとにもどして、自分がどんなにばかだったか、よくわかったわ、
助けて、助けて……、と道子は女神に頼み、女神はうなずきました。

やさしい女神なのに、なぜ、こんないじの悪いことをなさったの、と道子が質問すると、
これはしかたがないの、あたしは人間のための女神ではなく、
お人形たちの女神なんですもの……、と言ったのでした。


というあらすじなのですが、道子は「頼む相手を間違えてしまったのですね。

神様にもそれぞれ専門分野があるので、道子が願いを叶えたいなら、
美の女神に頼まないといけなかったのでしょう。

これは人間でも同じで、数学の先生に法律の質問をしたり、
弁護士に水泳の質問をしたりしても、あまり意味がないですよね。

お願い事や質問をするときには、相手をよく選ぶようにしましょう。

赤川次郎「死神と道連れ 怪異名所巡り9」6話「死神と道連れ」のネタバレ解説

21歳の大学1年生の納谷隆太(なや・りゅうた)は、
恋人の西田あかりと夜行バスで温泉に行きました。
バスが崖から転落し、バスの乗客、31人と運転手、合わせて31人が亡くなり、
生き残ったのは納谷1人だけでした。

それから23年後、〈N鉄工〉の社長になった納谷は〈すずめバス〉を貸し切りにし、
町田藍がバスガイドを、君原が運転手をするバスに、1人で乗りました。

M温泉までバスで行く途中、まだ10月なのに、幻の雪が降りました。

あかり! と眠り込んでいた納谷が目を覚まして叫ぶと、
一瞬のうちに、雪が消えてライトの中に、対向車線をやって来るトラックが浮かび上がりました。

君原はトラックをよけてすれ違います。
納谷は前述の事故の話と、外国で観光用の船が沈む事故にあったときも1人だけ助かったことや、
アフリカの工事現場で11人が死んだときも1人だけ助かったことを話しました。

M温泉に行くと、遠藤真由美も来ていました。

真由美とロビーで納谷の話をしていると、60前後の西田あかりの母親、西田京子は、
納谷隆太に罪を償わせに来たんです、あかりは納谷のせいで死んだのです、と言いました。

本多朋子という、アフリカの工事現場の事故で夫が死んだ女性も来ていました。

また、27、8歳の阿川舞という納谷の秘書も温泉に駆けつけました。
納谷の遺書を読んで心配して来たのでした。

12時過ぎに目を覚ました藍は、40前後の旅館の女将、戸沢秀代が、西田京子と、
バスが崖から落ちる話をしているのを立ち聞きしました。

戸沢秀代の父親は納谷と同じ観光船に乗って、船が沈んだのだそうです。

戸沢秀代は、でも、やはり……と口ごもりましたが、
あなたは、父親を亡くして悔しくないの? と言いました。

藍が温泉に入ると阿川舞もいて、舞は納谷を愛しているということを藍は言いました。

翌日、ブレーキに細工をしたバスは「崖から転落しませんでした。
君原がバスをチェックしていたのでした。

秀代は納谷に謝りましたが、西田京子は納谷を崖から突き落とそうとしました。

突然、舞が、やめて、お母さん! お母さん、いけない……、と西田あかりの声で言い、
舞が気を失って倒れました。

西田京子と本多朋子は旅館から去り、舞が納谷にプロポーズをしました。

帰りは道連れですね、幸運の女神とね、と藍が言ったのでした。


というあらすじなのですが、納谷の立場は辛そうですね……。

大きな事故や災害から生還した人は、周りの人が亡くなったのに自分が助かったことに対して、
罪悪感を感じてしまうことがあります。

これをサバイバーズ・ギルトと言うのですが、
自分で自分を責めるだけではなく、亡くなった人の遺族にまで責められたら、
心に大きな傷を負ってしまいますよね。

この短編集に収録されている話は、これで終わりです。

赤川次郎「死神と道連れ 怪異名所巡り9」5話「埋もれた罪」のネタバレ解説

関根邦代(くによ)と12歳の娘の弥生は、
夫の父親の代まで開業していた病院と家があった所を訪れました。

マンションが建設される予定でしたが、建つのが遅れていて、
その土地には人の姿はありませんでした。

弥生は工事の始まっていない空地に入っていった子猫を追いかけます。
子猫の姿が、穴の中へ消えました。

一方、邦代は弥生がいなくなったことに気づき、弥生を呼んでいると、
爆発が起きました。

穴の辺りが吹っ飛び、弥生を探してさら地に入ると、子猫を見つけましたが、
弥生は見つかりませんでした。

場面が変わり、藍は邦代に、娘を見付けるのにお力を貸して下さい! と頼まれました。

戦争中にB29が落とした爆弾が、不発弾として地中に残っていて、
弥生は爆発に巻き込まれて亡くなったということになっていましたが、
弥生の髪の毛や服や靴のかけらさえ、なくて、
弥生は死んではいないと邦代は信じていました。

邦代が帰ると、邦代の夫の関根俊行が話しかけてきて、
空しい希望を持たせないで下さい、家内にいくら請求するつもりですか?
と言いました。

場面が変わり、藍は関根医院で看護婦をしていた90歳近い秋田周子(かねこ)の家を訪れ、
医院の跡地に渦巻くような感情を覚えたことを話しました。

昭和20年の3月10日の、東京の下町が全滅した大空襲の数日後、
医院の上にB29が飛んできて、爆弾を落として行き、
庭にいた、院長の関根長一郎の愛犬がバラバラになってしまった、
ということを周子は話しました。

そのB29が、戦闘の煙突に翼をぶつけ、川に墜落し、パイロットは関根医院に運ばれてきましたが、
院長は兵士を庭へ引きずって行き、爆発でできた穴の中へ突き落としたのだそうです。

バスツアーの日、邦代と空地へ行くと、関根俊行もやってきてツアーを止めようとしました。

秋田周子と、「邦代には亡くなったことにされていた関根長一郎、98歳もやってきました。

私はあのアメリカ兵を助けなくてはいけなかった、医者として、
負傷した人間の手当てをするべきだった……、と長一郎は言うと、
穴の中へと自ら落ちて行きました。

穴の中で爆発が起き、泥や水が噴水のように噴き上げて来て、弥生が現れました。

長一郎も泥だらけになって戻ってきて、会って来たよ、あのアメリカ兵とだ、と言いました。

後日、アメリカ兵の慰霊の行事が終り、邦代が挨拶に来ました。
邦代は今は弥生と長一郎と3人で暮していて、俊行とは別れることになるかもしれない、
ということを話しました。


というあらすじなのですが、「弥生が穴から出て来た時、
父親の俊行もその場にいたはずなのに、俊行のリアクションが全くないのが不自然だと思いました。


ところで、この話のタイトルは「埋もれた罪」ですが、
敵兵や捕虜に対して非人道的な扱いをすることは戦争犯罪なので、
長一郎がやったことは、やってはいけないことだったと思います。

しかし、それを言ったら、民間人に対しての殺戮も戦争犯罪なので、
東京大空襲や原爆投下なども大規模な戦争犯罪ですが、
無差別爆撃を指揮したアメリカ軍の軍人は裁かれていません。

また、わざと日本兵を捕虜にせず虐殺することも、太平洋戦争では珍しくなかったのだそうです。

そう考えると、どうしてこの関根医院の事件だけが怪異現象になったのだろう……と思いました。
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